仮面ライダージオウIF NEXT TIME~ゲイツマジェスティ~   作:K/K

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相手が相手なだけにインフレさせました。


アナザーライオトルーパー2003 

 怪人たちの大群をグランドジオウたちに任せ、透明となって逃走したアナザーディエンドCPを追い掛けるゲイツリバイブ剛烈。

 姿が見えない相手を追跡するのは無謀と思われるかもしれないが、実のところは逆であった。

 ゲイツリバイブ剛烈はアナザーディエンドCPを追い掛けているように見せかけて人気の少ない場所を目指している。アナザーディエンドCPの狙いは明光院ゲイツの救世主の力。それを手にする為に邪魔が入らないようにしたいと考えている筈。アナザーディエンドCPは透明化してその機会を窺っていると思ったので、その思惑に敢えて乗ったのだ。

 孤立したゲイツリバイブ剛烈を見ればアナザーディエンドCPは必ず何処かで仕掛けてくる。

 

(必ず奴は一人になった俺に攻撃をしてくる。その時に奴を──)

 

 そう考えていた時、ゲイツリバイブ剛烈は背中を何者かに叩かれた。少し前のめりになるがそれだけで済ませ、特にダメージは無い。振り返ってみるが襲撃者は見当たらない。

 続けて全身に攻撃が来る。攻撃の間隔に隙間がほぼ無い連続。だがやはり襲撃者の姿は見えない。透明化を維持しているのだろうが、ゲイツリバイブ剛烈は前後の攻撃に違和感を覚えた。

 

(何だ? 何か違う)

 

 最初に受けた攻撃と次に受けた攻撃。ゲイツリバイブ剛烈は攻撃の質の違いを感じ取っていた。最初の攻撃は力任せの野性味のある攻撃で、二回目の攻撃は素早い連続攻撃であり急所を狙おうとしている知性がある。

 攻撃に変化をつけることはあるが、そうだとしても変わり過ぎている。

 

(少なくとも二体以上敵がいる!)

 

 ゲイツとしての記憶が蘇っているので経験則からそう結論付ける。そして、姿が見えないのはアナザーディエンドCPが自身の透明化を施していると考えた。

 

「見えないならそれ相応の戦いがある」

 

 ゲイツリバイブ剛烈は逃げも隠れもせず、両手を垂らした無防備な体勢で堂々と待ち構える。

 やがて、肩に不可視の一撃が叩き込まれる。ゲイツリバイブ剛烈は全く怯むことなく相手が攻撃したタイミングで前方にジカンジャックローを突き出す。

 高速回転するのこモードの刃が不可視の相手を削り、火花を散らす。ダメージの許容範囲を超えたのか透明だった相手の姿が浮かび上がる。

 銅色の甲殻と緑の目。両手が大きな鋏の形状をしたカニに似た怪物。鏡の中に潜むミラーモンスターという種族の中でボルキャンサーと呼ばれるその個体は、ジカンジャックローの刃の振動で全身を震わせ、口から泡を吹いている。

 ジカンジャックローを押し当てた状態でグリップ上部にあるスイッチを押し、グリップのボタンを押し込む。

 

『のこ切斬!』

 

 回転する刃が橙の光を帯び、更に回転数が増す。ボルキャンサーの頑丈な甲殻はゲイツリバイブ剛烈が少し腕を突き出しただけで甲殻を削っていた刃がボルキャンサーの体に沈み、貫通した光刃により簡単に切断され、ボルキャンサーは爆散する。

 ボルキャンサーを難無く倒したゲイツリバイブ剛烈だが、見えない敵は少なくともまだ一体居る。

 しかし、見えない相手だろうとゲイツリバイブ剛烈には戦う術がある。

 ジクウドライバーをセットしてあるゲイツリバイブライドウォッチを回転させる。砂時計の形をしたゲイツリバイブライドウォッチは、上下が入れ替わりことで内部の砂状の物質が下に流れ、ゲイツリバイブのもう一つの顔を露わにする。

 

『スピードターイム!』

 

 ゲイツリバイブ剛烈の胸部を守る分厚い装甲が左右に開くと同時にゲイツリバイブの仮面の色が橙から青に変わる。

 

『リバイ・リバイ・リバイ! リバイ・リバイ・リバイ! リバ・イ・ブ! 疾風!』

 

 左右に展開された装甲はそのまま翼となり、瞬きをするよりも速くゲイツリバイブは空に飛び上がる。

 

『疾風!』

 

 力の化身であった剛烈から速さの化身であるゲイツリバイブ疾風へとモードチェンジ。それに連動してジカンジャックローは回転刃を収納し、一対の水色の爪を伸ばす。のこモードからつめモードへ切り替わった。

 

『スピードクロー!』

 

 右手から左手に持ち替えた後、ゲイツリバイブライドウォッチを外してジカンジャックローのスロットへ填める。

 

『ジカンジャック!』

 

 ゲイツリバイブライドウォッチの力を得た爪が発光。青い輝きが地表を照らす。

 

『疾風! スーパーつめ連斬!』

 

 ゲイツリバイブ疾風はジカンジャックローを振りながらその場で一回転。振るわれたジカンジャックローから爪型の光弾が無数に放たれ、地上に雨のように降り注ぐ。

 すると、幾本の爪が見えない何かに突き刺さった。何かは体に爪を刺したまま倒れ込み、透明化が解除される。

 ゴキブリから人間の胴体を生やしたような怪人が体を痙攣させていた。

 ゴキブリの記憶を持つガイアメモリで変身したコックローチドーパントはしばらくの間痙攣した後、爆散して消えてしまう。

 ゲイツリバイブ疾風は空中で他の怪人が潜んでいないか観察した後、慎重に地面へ降りる。そのタイミングでパチパチと拍手が鳴ったのでゲイツリバイブ疾風はジカンジャックローを構えながら音の方を向く。

 

「流石は救世主。相手にもならなかったみたいだ」

 

 拍手を送っていたのはアナザーディエンドCP。透明化を解除し、ようやくゲイツリバイブ疾風の前に現れた。

 

「つまらん小細工を……時間稼ぎにもならなかったぞ」

「他の怪人と違ってそこそこ良い個体なんだけどね。餌をたっぷり貰っていたり、覚醒しかけていたり。まあ、今の君相手じゃ力不足だったようだ」

 

 今のゲイツの力を素直に認め、アナザーディエンドCPは肩を竦める。

 

「君がもっと早く救世主としての力に目覚めたら、私も要らぬ苦労をしなかっただろうに」

 

 アナザーディエンドCPの嫌味をゲイツリバイブ疾風は一笑する。

 

「ふん。そうやって人のせいにするか? 安心しろ。早かろうと遅かろうとお前が救世主の力を手に入れることはない」

「……それはどういう理由でだい?」

「お前のように人を騙し、裏でこそこそと動くような奴には、そもそも救世主としての器が無い!」

 

 元から救世主に相応しくなかったと指摘するゲイツリバイブ疾風。その指摘に表情は分からないが明らかにアナザーディエンドCPの雰囲気が変わる。

 

「……言ってくれるねぇ。救世主失格の君が」

「最初から資格すらない奴に失格どうこうと言われる筋合いはない」

 

 アナザーディエンドCPは冷静さを保とうとしているが若干声が震えている。ゲイツリバイブ疾風は畳みかけるようにアナザーディエンドCPを言葉で攻める。

 

「──これ以上君に言っても無意味のようだ」

 

 アナザーディエンドCPの方から会話を打ち切られる。暗に舌戦では勝てないことを認めているように捉えられるが、口先だけで勝っても意味は無い。これから始まる戦いに勝たなければ、それこそゲイツの方が口だけの男に成り下がってしまう。

 アナザーディエンドCPは右手の指で天を指す。銃を撃つジェスチャーの後に三原色の光が重なり合い、一つの実体を生み出す。

 全身は体格に合わせて骨のような装甲を張り付けていたが、骨格標本に中身を詰めたような外観になっていた。額からは鬼のような角。その下には巨大な単眼があり、目全体が白色に濁っている。腹部にはベルトのような物体を装着しているが、やたら大きい上に分厚いせいで腹が出っ張っているように見え、全身の雰囲気から地獄の餓鬼のようであった。

 召喚されたアナザーライダーを最初に見た感想は、『強く見えない』というものであった。明らかに今まで見てきたアナザーライダーよりも一段階、二段階落ちる印象を受ける。

 見た目で油断しないように注意深く観察すると、腕に『RIOTROOPER』『2003』の刻印を見つけた。

 

「『最後までとっておいた割には弱そうだ』。そう思っているね?」

 

 対ゲイツリバイブとして召喚されたアナザーライダー──アナザーライオトルーパーへの感想を正確に言い当てる。

 

「君の感想は正しい。このアナザーライダーは今まで私が呼び出したアナザーライダーと比べると大分格が下がる」

 

 アナザーライオトルーパーの強さは控え目に見ても一般人が変身したアナザーライダーより弱い。

 

「でも、弱いは弱いなりに別の強みもあるのさ」

 

 アナザーディエンドCPが指を鳴らす。すると、数え切れない程の光が現れ、それらからアナザーライオトルーパーが出て来る。

 

「これは……!?」

 

 ざっと数えても百体以上居る。どれもこれも全く同じ姿をしており、差異が無い。

 

「これでも氷山の一角さ。このアナザーライオトルーパーは他のアナザーライダーにはない良い能力を持っている」

「良い能力だと?」

「増殖、分身を生み出す力さ」

 

 これらの大量のアナザーライオトルーパーは一体のアナザーライオトルーパーから誕生した。アナザーディエンドCPが説明したようにアナザーライオトルーパーの能力は他者を媒体にして自分の分身を生み出すもの。

 アナザーライダーの中にも自分の力を感染させる能力を持つ個体も存在するが、アナザーライオトルーパーは本物と全く同じ性能にすることが出来る。

 

「力ではなく数で押すか」

「その通り。昔から数の力は偉大だと言われているからね」

 

 アナザーライオトルーパーの軍隊を前にしてもゲイツリバイブ疾風は怯まない。

 

「──舐められたものだ」

 

 ゲイツリバイブ疾風の姿が消える。すると、アナザーライオトルーパーたちが次々と爆散していく。

 瞬きするよりも速くアナザーライオトルーパーの数を三分の一まで減らしてしまった。

 消えたゲイツリバイブ疾風が姿を現す。

 

「この程度で俺に勝つつもりか?」

「まさか」

 

 ゲイツリバイブ疾風の台詞を嘲笑し、アナザーディエンドCPは指を鳴らす。すると、ゲイツリバイブ疾風が倒した数以上のアナザーライオトルーパーが出現した。

 これにはゲイツリバイブ疾風も瞠目する。

 

「言ったじゃないか。氷山の一角だって。君を倒す為に沢山用意したんだ」

 

 ゲイツリバイブ疾風の余裕が揺らぐのを感じ、アナザーディエンドCPは嘲りを深める。

 

「……雑魚をどれだけ揃えても俺は倒せん」

「ああ、そうだろうね。君は倒せない」

 

 あっさりと認めたことを訝しむ。

 

「君を倒すのは君自身さ、ゲイツ君?」

「……どういう意味だ?」

 

 アナザーディエンドCPの言葉に嫌な予感を覚える。

 

「救世主になる為に得たその力……果たして何処まで持つのか君は把握しているのかい?」

 

 ゲイツリバイブ疾風は仮面下で一筋の汗を垂らす。

 

「慣れはしたかもしれないが克服した訳じゃない。砂時計の砂はいつか落ち切るものさ」

 

 ゲイツリバイブのパワーとスピードはゲイツ自身の時間を圧縮、引き伸ばしすることで得たもの。変身当初は目や鼻から流血するという酷い自傷ダメージを受けていたが、回数を重ねるにつれて自分の時間の手綱を感覚的に握れるようになり、変身後の反動も最小まで抑えられることを可能とした。

 しかし、アナザーディエンドCPが指摘したように反動が無い訳ではない。ジオウたちと比べて継戦能力に危うさがあるのが唯一の弱点であった。

 

「──なら落ち切るまでにお前を含めた全員を倒すまでだ!」

「それは不可能だね」

 

 ゲイツリバイブ疾風の啖呵を不可能と一蹴する。

 

「私はねぇ、色々と言っていたが君のことを侮っている訳じゃないんだ。そもそも君が救世主としての力に目覚めた時、反抗される未来を私が予想していなかったと思うのかい?」

 

 揺るがない自信を見せながら、アナザーディエンドCPは空に向けて引き金を引くジェスチャーを見せる。

 

「君の為に用意したんだ。有り難く受け取ってくれ」

 

 次の瞬間、百では収まらない数のアナザーライオトルーパーたちが出現する。

 

「これは……!?」

「言っただろう? 過小評価はしていないと。まあ、これでも千分の一ぐらいさ」

 

 アナザーディエンドCPがゲイツリバイブに対抗する為に用意したアナザーライオトルーパーの数は十万。一万でも十分過ぎるのだが、念には念を入れて更に十倍増やした。

 数自体増やすのはそう難しくない。アナザーライオトルーパーを放てばネズミ算式に増えていく。結果としてアナザーライオトルーパーの増殖に用いた世界は一国が完全崩壊してしまったが、アナザーディエンドCPが気にすることはなかった。

 たった一人の為に十万の兵を用意する。アナザーディエンドCPの執念が窺える。

 

「さぁ──」

 

 しかし、その執念を用いた計画さえも──王の気まぐれにより崩壊する。

 

「私に」

 

 その時、時空が歪んだ。

 

 

 ◇

 

 

 広々とした平野。そこに蠢く大量のアナザーライオトルーパーたち。アナザーディエンドCPが召喚した者たちだけでなく、保管していたアナザーライオトルーパーさえもこの謎の平野に引きずり出されていた。

 十万のアナザーライオトルーパーたちを見下ろすのは古墳のような玉座に座る紅の衣を纏った壮年の男性。

 

「有象無象とは正にこのことだな」

 

 男はアナザーライオトルーパーたちを見下し、嘲る。

 

「はっ。少し放っておいたらこの様か? 俺たちが綺麗に舗装してやればこんな事にはならなかっただろうに。所詮は替え玉か? なぁ?」

 

 男が話し掛けるといつの間にか玉座の隣に初老の男が立っている。

 

「若き頃の私が未熟なのは認めよう。しかし、お前たちにとやかく言われる謂れは無い。こうなった責任はお前たちにもあるのだからな」

 

 仲間、という雰囲気は無い。どちらも相手に敵意を隠そうともしない。そして、共通してアナザーライオトルーパーなど眼中にはなかった。

 その二人は十万の兵すらも無視し、隣に立つ相手にしか意識を向けず歯牙にもかけない。

 真紅の衣を纏う男と荘厳な衣装の老いた男。彼らにとって十万の兵などただの雑兵。戦意を向ける価値すらも無い。

 その傲慢なまでの振る舞いを許されるのは彼らが王だからこそ。

 言葉を交わしていても話は平行線。元より歩み寄るつもりが無い彼らは互いを鼻で笑い、そこで話を打ち切る。

 

「だそうだ、スウォルツ?」

 

 すると、虚空からスウォルツが出現し、不愉快そうに顔を顰める。

 

「ゲストの招き方がなっていないな」

「俺が来い、言ったらそれが全てだ」

 

 半ば強引に連れて来られた様子のスウォルツは嫌味を言うが男の傲慢さの前には通じない。

 

「──ならゲストの追加だ」

「何?」

『ゼイン』

 

 聞いたことがない音声が鳴り、壮年の男と初老の男は音の方を見る。

 背後に異なる世界を映し出す二つの次元の穴を背にする人物。穴から放たれる光が逆光になり変身者の輪郭しか見えない。

 

『ゼインライズ』

 

 変身、という声が聞こえたような気がした後、それを認証する音声が鳴る。

 

『ジャスティス! ジャッジメント! ジェイル!』

 

 二つの次元の穴は一つとなり、そこから放たれるエネルギーを浴びた変身者の姿が逆光の中で変わる。

 

『ゼイン!』

 

 純白で統一された騎士を思わせる仮面ライダー。

 

『Salvation of humankind』

 

 絶対正義の体現者である仮面ライダーゼインが王たちの前に参上する。

 壮年の男はゼインを凝視し──

 

「……誰だ?」

 

 ──疑問を口に出さずにはいられなかった。

 




オーマジオウ(……誰だ?)

予告編とは変えて参戦者も増えたので敵の数も増やしてみました。
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