仮面ライダージオウIF NEXT TIME~ゲイツマジェスティ~   作:K/K

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アナザーディエンドコンプリート2018 その4

 エネルギーへと変換された大量の怪人たち。その爆心地にはゲイツリバイブ。途方もない衝撃と熱がゲイツリバイブを全方位から囲う。

 離れた場所に居るアナザーディエンドCPですら後退してしまう程の威力。普通の存在ならば原型どころか塵一つ残らないだろう。

 シアンと黒が入り混じった光が、爆煙のように昇っていく光景を眺めながらアナザーディエンドCPは胸騒ぎを覚えていた。

 アナザーディエンドCPの中の合理的な部分が自分の勝利を疑わない。しかし、彼の中の人間的な部分は警鐘を鳴らしている。

 これが初撃であったのなら恐らくは警鐘は鳴らなかっただろう。だが、ゲイツリバイブの、救世主として力をまざまざと見せつけられた今ではどうしても疑念が湧いてしまう。

 

(本当に倒したのか……?)

 

 アナザーディエンドCPの中にウォズとして接していた時の余裕は無い。ウォズの計画はこのような絵図を描いていたが、そこに辿るまでの軌跡は想定とは異なる。何度も未来をウォズの都合の良いように書き換えた筈だというのに。

救世主には未来を狂わせる力も備わっているのかもしれない。

 アナザーディエンドCPは破壊の光を見ながら構えを解かずにいた。

 

(……もう少し様子を見よう)

 

 完全に光が収まるまで様子を見ることにし、念の為に今居る位置から数歩離れた。

 アナザーディエンドCPの後退した足が地面を踏み締めた直後、光の柱を吹き飛ばして疾風形態となったゲイツリバイブが飛び出して来た。

 

「なっ!?」

 

 もしかしたらとは思っていたが、実際に目の当たりにすると驚くしかない。

 ゲイツリバイブ疾風は両翼で風を切り裂き、つめモードのジカンジャックローを前方に突き出して弾丸を超える速度で真っ直ぐアナザーディエンドCPへ飛ぶ。

 念には念を入れて数歩下がった自分の判断を心の底から褒めてやりたくなる。たった一、二メートルだけ離れただけだが、その距離分だけ時間の余裕が生まれる。

 その時間を使い、アナザーディエンドCPはバリアを展開。更にバリアの後ろにバリアを張り、何重にもバリアを重ね合わせて鉄壁の守りを築く。

 疾風のパワーではバリアを破れないのは確認済みである。だからといって鈍重な剛烈となってバリアを破壊しようとすれば、その間に安全圏まで離れられる。

 どちらに転ぼうともこの状況を切り抜けられる。アナザーディエンドCPはそう思っていた。

 しかし、アナザーディエンドCPは気付くべきであった。自分が考えていることを相手もまた考えているということを。

 ゲイツリバイブはバリアが前方に張られたことを確認する。全速力からのジカンジャックローの爪ならば貫くことは出来るが、破壊するまでには至らない。

 

「ならば!」

 

 飛翔したままゲイツリバイブはゲイツリバイブライドウォッチを回転させた。

 

『パワードターイム!』

 

 疾風の翼が折り畳まれ、分厚い胸部に装甲に戻る。疾風から剛烈へと形態変化したが、飛翔の際の速度はまだ落ちていない。

動作中に形態変化を行ったことで短時間ではあるが剛烈の状態で疾風のスピードを維持出来ていた。

 

『リ・バ・イ・ブ剛烈! 剛烈!』

 

 この事態にアナザーディエンドCPは平静ではいられなくなる。剛烈のパワーが疾風のスピードで突っ込んで来る。悪夢としか言いようがない。

 ゲイツリバイブを戦車に例えていたが、これこそ正にそれ。ただし、戦車から撃ち出された砲弾だが。

 のこモードのジカンジャックローがバリアに触れた瞬間、刹那の時間稼ぎも出来ずに粉砕された。

 重ねられたバリアもまた高速で突っ込む剛烈を止めることが出来ず、力により纏めて粉々にされる。

 

「君って奴は!」

 

 バリアでは止められないと事前に判断していたアナザーディエンドCPはゲイツリバイブへ掌を向けていた。そこから放射状にエネルギーを放ち、突っ込んできたゲイツリバイブを迎え撃つ。

 エネルギーの奔流にゲイツリバイブが呑み込まれる。だが、姿が見えなくなったのはほんの少しの間。すぐにエネルギーの中を突っ切り、アナザーディエンドCPの前まで行くとアナザーディエンドCPへ拳を突き出した。

 ゲイツリバイブの拳はエネルギーを放つアナザーディエンドCPの掌へ向かう。膨大な量のエネルギーがゲイツリバイブの拳により裂けていく。

 

「おおおおおっ!」

「くっ!」

 

 アナザーディエンドCPも一方的に負けるつもりはなく放つエネルギーの量が増す。激流となったエネルギーが再びゲイツリバイブを呑み込もうとするが、ゲイツリバイブの拳はそれに屈することなく真っ直ぐ突き進み、やがてアナザーディエンドCPの掌に叩き付けられる。

 発射口を押さえられたことでエネルギーは逃げ場を失い、結果凄まじい爆発が起こる。

 爆発によりアナザーディエンドCPは吹き飛ばされ、置かれてある資材の山に激突。突き破って更に数個資材の山を崩すこととなった。

 

「う……ぐ……!」

 

 アナザーディエンドCPは呻きながら自分の全身を確認する。エネルギーを暴発させられ、自分自身を吹き飛ばすことになるとは思わなかった。爆発の中心地に居たのでエネルギーに焼かれ、全身から白煙が昇っている。特にエネルギーを放っていた左掌は重傷で、今にも崩れそうなぐらいに炭化しており手首から先の感覚がなかった。

 一方で爆発によりクレーターとなった地面の上に立つゲイツリバイブは、彼もまた全身から白煙を上げているがそれだけであり目立った損傷を見られない。爆発によるダメージの差は明白であった。

 ゲイツリバイブはゆっくりと歩き、アナザーディエンドCPの方へ向かう。

 

「これが俺とお前、救世主にかける想いの差だ」

 

 向かう途中、どうしてこれ程の差が生じたのかを語る。

 

「救世主とは大事なもの為に命を賭して戦う! それを守る為に!」

 

 ゲイツリバイブの中にある救世主というものに対しての答え。それは嘗ての経験から経てのものであった。

 

「お前の力を見ていたら分かる。お前は何もかも支配しようとしている。それがお前のなろうとしている救世主の力だ! そんなものを俺は認めん!」

 

 アナザーディエンドCPのアナザーライダーや怪人たちを意のままに操り、捨て駒にする力に支配という言葉を見出した。アナザーディエンドCPが救世主の力を手に入れればその支配は更に広がり、悲劇を齎す。ゲイツリバイブはそれを真っ向から否定する。

 

「聞くに堪えない……青臭い言葉だねぇ……! ゲイツ君……!」

 

 否定されたアナザーディエンドCPは重傷の体を押して立ち上がる。

 

「命を懸けることが……そんなに高尚かい……!? それぐらいしか懸けることしか出来ない弱者の戯言さ……!」

 

 ゲイツリバイブが矜持を以ってアナザーディエンドCPを否定したように、アナザーディエンドCPも彼自身のプライドでゲイツリバイブの考えを否定する。

 

「だが……君が言っていることは一つだけ正しい……。いや、君の指摘で気付いた……支配、それが私の本質……! そうだ! 支配による救世……! まさに私に相応しい在り方……!」

 

 アナザーディエンドCPはゲイツリバイブの支配という言葉だけは否定しなかった。寧ろ、指摘されたことで客観視することができ、救世主ではなく支配者というのが自分の本質だと気付く。

 

「──ふん。語るに落ちたな、ウォズ!」

 

 救世主をあっさりと捨て、支配者になろうとするアナザーディエンドCPを軽蔑する。

 

「君に……何を言われようと……痛くも痒くもない……! そう支配、支配だ! 私は全てを支配する!」

 

 アナザーディエンドCPが吼えた瞬間、アナザーディエンドCPの体からシアン色のカード型のエネルギーが無数に飛び出す。カードの中にはアナザーディエンドCPが必死に搔き集めた怪人たちが閉じ込められていた。

 カードから次々と解き放たれる怪人たち。数で攻めて来るのかと身構えるゲイツリバイブであったが、想像とは異なる光景を目にする。

 召喚された怪人たちはエネルギーの光となってアナザーディエンドCPへ吸い込まれていく。ゲイツリバイブを攻撃した時に光線のエネルギーとして吸収したように今度はアナザーディエンドCP自身が怪人たちを取り込んでいく。

 

「何っ!?」

 

 膨大な数の怪人たちが抵抗する間もなくエネルギーへと変換され、アナザーディエンドCPの糧になる。怪人たちを取り込むことでアナザーディエンドCPの炭化していた左手は瞬く間に再生し、全身の傷も無くなる。

 アナザーディエンドCPから一際強い閃光が発せられ、ゲイツリバイブは目を覆う。次にアナザーディエンドCPを見た時、彼は静かに佇んでいた。

全ての怪人たちを取り込んだが見た目に変化はない。それが逆に不気味に思えた。

 いつ攻撃されてもいいようにゲイツリバイブが身構える──その瞬間、目の前にアナザーディエンドCPが来ていた。

 

「なっ──」

 

 避ける暇もなく顔面に拳が打ち込まれ、殴り抜かれるとゲイツリバイブは地面をバウンドし浮き上がった所を蹴り飛ばされた。

 

「ぐあっ!?」

 

 鉄壁を誇る剛烈の防御力を貫くパワー。ゲイツリバイブは数百メートル程飛んだ後に巨木に衝突してやっと止まる。

 

「ぐっ……!」

「こうなるならアナザーライダーも残しておけば良かった」

 

 打撃と衝突に呻くゲイツリバイブであったが、すぐ近くで聞こえた声に顔を上げる。いつの間にか傍に来ていたアナザーディエンドCPがゲイツリバイブを見下ろしていた。

 見上げたゲイツリバイブの顔をアナザーディエンドCPは踏み付け、巨木に叩き付ける。

 

「折角! 苦労して! 手に入れたのに! 君たちのせいで! 全滅だ!」

 

 アナザーライダーたちを全て倒された腹いせをゲイツリバイブの顔を何度も踏みつけることで晴らす。

 ゲイツリバイブの頭が幹に叩き付けられる度に巨木は大きく揺れる。

 

「だが、これは気分が良い! これが支配者の感覚か!」

 

 ゲイツリバイブの指摘にアナザーディエンドCPは寧ろ開き直り、支配者であることを認め、取り繕うのを止めて思う存分に暴力を振るう。

 

「全ては台無しだ! 一からやり直しだ! だが、君だけは地獄へ送る!」

 

 高揚と憤怒がアナザーディエンドCPの中で交互に湧き立つ。

 ゲイツリバイブを圧倒しているが、それは吸収した怪人たちのエネルギーによる外付けの力。エネルギーはいずれ枯れる。補充しようにも手持ちのアナザーライダーと怪人は尽きた。また全て集め直さなければならない。だが、クォーツァーに目を付けられたとなると難易度が跳ね上がる。もしかしたら、オーマジオウにも目を付けられたかもしれない。

 

「これから先のことを思うと頭が痛いよ! 君から救世主の力を奪ったとしても割に合わない!」

 

 最悪の存在を敵に回したと思うと、唯一対抗出来るかもしれない救世主の力でも心許ない。

 

「だが、今はそんなことはどうでもいい! まずは君だ!」

 

 踏み付けるのを止め、ゲイツリバイブの首を掴んで持ち上げると今度は拳で殴り始める。

 

「君から救世主の力を奪いぃ! その力で私は全てを支配しようっ! 君が否定したやり方でぇ! それが私から君への復讐だぁ!」

 

 アナザーディエンドCPは、ここまで追い詰められてしまった全ての元凶をゲイツリバイブにした。元のウォズがゲイツを救世主として崇めていたことを考えると凄まじい反転ぶりである。

 

「どうだぁ!? どんな気分だい!? ゲイツ君っ!?」

 

 ゲイツリバイブの首を掴み上げたまま嬲るように訊く。

 

「憐れな……奴だ……!」

 

 答えは怒りではなく憐憫。自暴自棄になってしまったアナザーディエンドCPへの同情。それがアナザーディエンドCPの怒りを加速させる。

 

「君が憐れむかぁ!」

 

 後頭部を巨木へと叩き付けると、重ねられてきた衝撃で幹からへし折れる。

 

「おあああああああっ!」

 

 野蛮な叫び声を上げながらゲイツリバイブを投げ捨てる。ゲイツリバイブは地面を激しい勢いで転がっていった。

 

「う、くっ……!」

 

 アナザーディエンドCPの恨みや憎しみが込められた一撃一撃は凄まじく重く、ゲイツリバイブの体の芯に残る。同時に最初から使わなかったことを考えるとアナザーディエンドCPにとって本当に最後の手段なのが分かる。そして、そこまでして自分を倒したいのも伝わって来た。

 今のアナザーディエンドCPは手負いの獣。後先など微塵も考えず、それらを捨てて今だけに全てを懸けている。

 

「だとしても……!」

 

 ゲイツリバイブは歯を食い縛って立ち上がる。全身が悲鳴を上げているが、ここで倒れる訳にはいかない。ゲイツリバイブには待っている仲間たちが居る。もしも、ここで倒れてしまったらアナザーディエンドCPの毒牙は仲間たちに向けられる危険性があった。

 そんなことは断じて見過ごせない。

 

「立ち上がるか、ゲイツ君」

 

 嗜虐性を含んだアナザーディエンドCPの声が聞こえる。

 

「そうじゃないと。私の怒りは収まらない」

 

 今度は後ろからアナザーディエンドCPの声。

 

「足搔いて足掻いて最後には無様に散ってくれ」

 

 右からもアナザーディエンドCPの声。

 

「そうしてやっと私の気分は晴れる」

 

 左側からも同様に聞こえた。

 いつの間にかゲイツリバイブの四方をアナザーディエンドCPたちが囲っている。

 

『さぁ! もっと私を愉しませてくれっ! ゲイツ君!』

 

 




計画は無茶苦茶になり、離反した組織から狙われ、ゲイツリバイブが強過ぎてストレスやら何やらが全てが爆発してヤケクソになったのが今のアナザーディエンドCPです。
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