仮面ライダージオウIF NEXT TIME~ゲイツマジェスティ~ 作:K/K
四人に分身したアナザーディエンドCP。これは幻影ではなく実体を持った分身である。その証拠にアナザーディエンドCPの一体がゲイツリバイブの頭を鷲掴みにして無理矢理立たせると、もう一体のアナザーディエンドCPが腹を蹴り上げた。
「ぐはっ!」
ゲイツリバイブの腹にアナザーディエンドCPの爪先が食い込む。アナザーディエンドCPは敢えて蹴り飛ばさず深く食い込んだ爪先を捻じり込み、ゲイツリバイブを甚振る。本来ならゲイツリバイブの装甲に食い込むことなど無いのだが、アナザーディエンドCPの異常な力がそれを可能とさせた。
「あぐぁぁ……!」
「どうしたんだい? ゲイツ君? そんな情けない声を出して?」
ゲイツリバイブを嘲りながら爪先を抜き、痛めている腹部に今度は拳を打ち込む。
「うぐっ!」
「まだ君は救世主なんだ。これぐらい耐えないとっ!」
同じ箇所に何度も拳が叩き込まれる。ゲイツリバイブは逃れようと鷲掴みにしている手を払おうとするが、残りのアナザーディエンドCPらが両腕をしっかりと拘束する。
「ほら! ほら! ほらぁぁぁ!」
憎悪を込めてゲイツリバイブを痛めつけるアナザーディエンドCP。ゲイツリバイブの苦痛の声が何度も上げられる。
やがてその声も止み、ゲイツリバイブはぐったりとした様子となるが、アナザーディエンドCPたち彼を掴んで倒れることを許さない。
「この程度かい? 言っておくが君が気絶しようとも攻撃の手を緩めないよ? ──これは君が死ぬまで続けられるんだっ!」
アナザーディエンドCPは高笑いをしながらゲイツリバイブを目覚めさせる為に腹目掛けて前蹴りを繰り出した。
その瞬間、脱力していた筈のゲイツリバイブが顔を上げ、蹴りが届く前に体を捩る。
アナザーディエンドCPの蹴りに対し、体の側面を向かせる格好となるとアナザーディエンドCPの足がゲイツリバイブライドウォッチを蹴り、回転させる。
『スピードターイム!』
相手を利用してのフォームチェンジ。これにはアナザーディエンドCPも意表を突かれる。
『リバイ・リバイ・リバイ! リバイ・リバイ・リバイ! リバ・イ・ブ! 疾風!』
剛烈から疾風へ姿を変えた瞬間、ゲイツリバイブを掴んでいたアナザーディエンドCPたちの手が一斉に弾かれ、同時にゲイツリバイブは視認出来ない速度で動き出す。
「ちぃ!」
アナザーディエンドCPは舌打ちをするとゲイツリバイブを追ってアナザーディエンドCPもまた高速で動き出す。通常時では数秒間しか高速移動は出来なかったが、強化されたことで長時間の高速移動が可能となる。また力で剛烈を圧倒していたように速度もまた上がっている。今なら疾風を上回る動きも可能。
世界の時間が引き延ばされていき、やがて静止に近い状態となるとアナザーディエンドCPは高速の世界へ踏み入れた。
高速の世界に適合した目でゲイツリバイブを探す。間もなくしてゲイツリバイブを発見することが出来たが、アナザーディエンドCPは舌打ちをした。
ゲイツリバイブは双翼で空を飛行している。アナザーディエンドCPはゲイツリバイブ以上の速度で動けるが、彼には疾風とは違って翼が無い。ゲイツリバイブもそれを見越して空中に移動していた。
空が飛べない以上地上からゲイツリバイブを攻撃するしかない。アナザーディエンドCPたちはすぐさま五指をゲイツリバイブへ向け、指先から複数の光弾を発射した。
ゲイツリバイブもアナザーディエンドCPが高速移動を開始したのを空中で確認し、上昇して距離を開ける。アナザーディエンドCPに殴られた箇所がズキズキと痛むが、今はそれを気にしている暇は無い。ある程度の距離があれば相手の速さに対応する余裕が生じる。
ゲイツリバイブは事前にアナザーディエンドCPの高速移動能力を知ることができ、内心ホッとしていた。もしも、知っていなかったら地上を移動していたかもしれない。そうなればアナザーディエンドCPたちに再び取り囲まれていただろう。
空中でなら簡単には手を出せず、攻撃も限定される。ゲイツリバイブの目論見通り、アナザーディエンドCPは指先から光弾を連射するという遠距離攻撃に切り替えた。
数が多く、追尾する光弾なのでこれはこれで厄介ではあるが、手数の多さならゲイツリバイブも負けていない。
ゲイツリバイブは上昇し、なるべく光弾がばらけないようにする。すると、ゲイツリバイブの動きに合わせて光弾も真っ直ぐ追い掛けてきた。
ある程度の高さまで上がると、ゲイツリバイブはそこで急停止。つめモードのジカンジャックローにゲイツリバイブライドウォッチをセットする。
『ジカンジャック!』
ゲイツリバイブライドウォッチから際限なく供給されるエネルギーによりジカンジャックローの爪が強く輝く。
『疾風! スーパーつめ連斬!』
トリガーを押しながらジカンジャックローを振り抜く。爪部分から爪型の光弾が大量に撒かれ、追尾していた光弾の進路を塞ぐ。二種の光弾同士が衝突する。アナザーディエンドCPの光弾は爪型光弾を砕いたかと思えば、内包されたエネルギーが解放され爆発を引き起こす。その爆発は他の爪型光弾に誘爆し、爆発が連鎖する。結果、無数の爆発に呑み込まれ、アナザーディエンドCPが撃った光弾は全て消し飛ばされた。
視界に広がる爆発。見上げていたアナザーディエンドCPたちは爆風を浴び、反射的に顔を逸らす。次に彼らが見上げた時、爆発を突き抜けた無数の爪型光弾が彼らに向かっていた。
「くっ!」
バリアを展開する余裕が無く、仕方なくアナザーディエンドCPらは防御を固める。身を守っているアナザーディエンドCPたちに爪型光弾は豪雨のように降り注ぐ。
一発一発の威力は大したものではないが、それが百や千を超えると話は変わってくる。同じ箇所に何度も命中すればそれなりのダメージは蓄積し、ダメージが蓄積すれば防御の方にも隙が生じ始める。その負のループによりアナザーディエンドCPたちは為す術なくダメージを負い続ける。
ゲイツリバイブは上空からスーパーつめ連斬による攻撃を繰り返しながら決して距離を詰めようとはしなかった。今は一方的に見えるかもしれないが、ゲイツリバイブは緊張感から絶えず冷や汗を流し続けている。何か一つでも間違えれば今度はゲイツリバイブが蹂躙される番になる。
もし、捕まってしまったら脱出した際の方法はもう通じず今度こそゲイツリバイブは逃れられなくなる。
自ずと戦いへの緊張感が増していく。しかし、ゲイツリバイブの場合は決して悪い意味でではない。緊張感があるということは油断が無くなり、目の前の戦いに意識が集中することを意味する。
一手間違えないように細心の注意を払いながらゲイツリバイブは攻撃を続ける。
『疾風! スーパーつめ連斬!』
再び発動する必殺技。アナザーディエンドCPたちの視界を青い光が覆い尽くす。
やむを得ずアナザーディエンドCPたちは防御に徹する。ただし、先程の奇襲のような攻撃とは違ってバリアを張る余裕がある。アナザーディエンドCPらは背中を預けるように並び、全方向へバリアを展開した。
爪型光弾がバリアに当たる。爪型光弾が炸裂するがアナザーディエンドCPのバリアは揺るがない。膨大な光弾が際限無く撃ち込まれていくが、アナザーディエンドCPのバリアは強固であった。
「この程度じゃびくともしないよ! ゲイツ君っ!」
バリアで身を守りながらゲイツリバイブへの挑発も忘れない。状況的にはアナザーディエンドCPの方が不利。何とかしてゲイツリバイブ有利な状況を傾かせる為に使える手段ならば何でも使う。
その為に頭を働かせていたアナザーディエンドCPであったが、思考する中である事が気になった。
ガンガン、とバリアに撃ち付けられる爪型光弾。その度にバリアによって弾かれているのだが、その音の中に雑音が混じっていることに気付く
ガンガンガンガンガギンガンガンガンガン。
聞き間違いでなければ確かに混ざっている不自然な音。音の出所を確かめる為にアナザーディエンドCPらはバリアを見る。
際限無く放たれ続けている爪型光弾を弾く鉄壁のバリア。何処にもおかしな点などを──そこまで考えた時、アナザーディエンドCPは気付く。
バリアの隅。そこに突き刺さっている爪型光弾。それを見つけた時、新たに来た爪型光弾が先に刺さっているものの後ろから突入し、爪型光弾同士が一体となり少しサイズが大きくなることで刺さっていた穴を広げた。
「これは!?」
アナザーディエンドCPが驚愕するとまた同じ事が起こり、穴を広げる。今度は穴周りに罅が生じ始めていた。
ゲイツリバイブに気付かれる前に急いでバリアを修復しようとした時──
「ウォズゥゥゥゥ!」
ゲイツリバイブが叫びながら突撃して来る。アナザーディエンドCPが気付いていたようにゲイツリバイブもまたバリアに出来た一穴を見逃していなかった。
バリアに爪型光弾が突き刺さったのは偶然の産物。アナザーディエンドCPはバリアの強度を信じていたが、バリアの強度は均一ではない。僅かな差ではあるが、アナザーディエンドCPが無意識に強度を緩めてしまった箇所、そこへピンポイントに爪型光弾が刺さったのだ。
ゲイツリバイブの執念が産んだ偶然。その千載一遇のチャンスをゲイツリバイブは逃さない。
爪型光弾の中に紛れながらバリアに接近し、開いた穴にジカンジャックローを突っ込む。穴は爪一本分しか開いていないので一対ある爪は当然入らない。それを承知で強引に突っ込んでことで爪が片方折れてしまう。だが、一本でも爪が入れば十分であった。
『スーパーつめ連斬!』
バリアに刺した爪から連発される爪型光弾がバリア内のアナザーディエンドCPたちに襲い掛かる。
「ううっ!?」
アナザーディエンドCPは咄嗟に爪型光弾を避ける。しかし、反射音の後に背中に強い衝撃を受けた。避けた爪型光弾がアナザーディエンドCPに当たっていた。
周りはアナザーディエンドCPが張ったバリアで囲われている。避けてもバリアに反射して爪型光弾が予想も出来ない角度から来る。
自分を守る為のバリアが今は逃げ場を無くす檻と化していた。
「うああああああっ!」
乱反射する爪型光弾に翻弄されるアナザーディエンドCPたち。バリアを解除すれば逃げられるかもしれないが、バリアの外では何時でもフィニッシュタイムが発動出来るようにライドウォッチに触れているゲイツリバイブの姿が見えた。
爪型光弾にやられるか必殺技を受けるか、アナザーディエンドCPに容赦の無い二択を突き付ける。
ただそれを選ぶ時間も残されていなかった。内部で暴れ続ける爪型光弾らが次々と爆発し出し、それらが誘爆し出す。
十分な数、密閉された空間。それにより逃げ場を失った爆発のエネルギーが圧縮される。
バリア内部が青いエネルギーにより満たされ、内側からの圧力で罅が入り始めたのを見てゲイツリバイブは離脱。その直後、バリアを突き破って広範囲に爆発の衝撃波が広がっていった。
空中でそれを見ていたゲイツリバイブも体勢を一瞬維持出来ない程の衝撃である。
(──奴はどうなった?)
あれだけの爆発を受けたのなら倒れていてもおかしくないが、それでもゲイツリバイブは油断しなかった。
爆発が収まり、アナザーディエンドCPが居た場所を見る。
「何だ……?」
爆心地にはアナザーディエンドCPたちが居た。背中合わせ三角形を描くような陣形になっている。
そこで気付いた。アナザーディエンドCPが三体しかいない。四体いる筈なのに。
最後の一体が何処にいるのか。ゲイツリバイブはつい空中で静止してしまう。
その瞬間、三体の間から四体目のアナザーディエンドCPが現れた。
アナザーディエンドCPは逃げ場が無いことを悟り、咄嗟に分身である三体を集合させ、自分を守る為の壁にしていた。バリア程ではないが分身もかなりの耐久力がある。本体さえ生き延びていれば分身はまた呼び出せる。
三体の分身を盾にして辛うじて生き延びられたアナザーディエンドCPは、空中からこちらを見下ろしているゲイツリバイブと目が合う。そして、自分に寄り掛かっている分身の一体をゲイツリバイブ目掛けて投げ飛ばした。
アナザーディエンドCPそのものが飛んで来ることに驚きつつも速度はそれ程ではなかったので射線上からあっさりと離れる。
その直後、アナザーディエンドCPの分身の体を光線が貫いた。次の瞬間、アナザーディエンドCPの分身は光線と同化し、枝分かれとなって無軌道に伸びる。
「何っ!?」
避けようとしたゲイツリバイブであったが、躱し切れず翼が光線によって貫かれる。しかも、ゲイツリバイブが動く直前というタイミングであった為、光線に貫かれたまま移動してしまい、翼の傷が横へ広がってしまった。
その結果、翼は破損し空中でバランスを崩してゲイツリバイブは落下してしまう。
大きな落下音と立ててゲイツリバイブは着地。怪我は無いが片翼が完全にダメになっており、もう空へは飛べない。
「ようやく私の目線に合わせてくれたねぇ、ゲイツ君?」
アナザーディエンドCPは嗤い、ゲイツリバイブの首を掴んで立ち上がらせる。
「さて、お楽しみ時間だ」
アナザーディエンドCPは再び分身を生み出し、四体となってゲイツリバイブの前に並ぶ。分身を再度生み出したのはゲイツリバイブに今までやって来たことは無意味だと思い知らせる為のアナザーディエンドCPによる精神への攻撃である。
「先ずは──」
アナザーディエンドCPが腕を振り上げた瞬間、ゲイツリバイブの首を掴んでいた手が撃ち抜かれた。
「ぐっ!? 何だ!?」
ゲイツリバイブを離してしまい、白煙を上げる手に触れるアナザーディエンドCP。四体のアナザーディエンドCPらは襲撃者を探す。
「随分と楽しそうじゃないか」
襲撃者は声を出し、自ら場所を告げる。資材や材料を保管する建物の屋根、そこにネオディエンドライバーの銃口を向けた海東が座っていた。
「あんまりに楽しそうだから、ちょっと邪魔をさせてくれるかい?」
他人の邪魔をすることに関しては右に出る者はいないと個人的には思っています。