仮面ライダージオウIF NEXT TIME~ゲイツマジェスティ~   作:K/K

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こういうシチュエーションだと協力技を出したくなります。


アナザーディエンドコンプリート2018 その8

「邪魔だっ!」

「へ? うおおおおっ!?」

 

 自分に迫る二本の刃が目に入り、グランドジオウは慌てて身を低くする。頭上を刃が通り過ぎていくと、その先に立っていたカッシーンの体が三つへと分けられた。

 バールクスの二刀流により断たれたカッシーンは爆散する。

 

「あぶな!」

 

 グランドジオウは立ち上がり、頭頂部を擦る。刃が通り過ぎた時、微かにチッという掠った音が聞こえていた。

 

「急に振らないでよ! でも、助けてくれてありがとう! 飛流!」

 

 合図も無しに攻撃して来たことに怒りつつもカッシーンを倒したことを感謝するグランドジオウ。彼の目線だと自分の代わりにカッシーンを倒し、手助けしてくれたように映っていた。

 

「ちっ!」

「また舌打ち!?」

 

 バールクスからの答えは苛立ち混じりの舌打ちであった。バールクスからすればグランドジオウに当たっても問題無かったのだが、紙一重で躱されたことが気に入らなかった。

 ついこの間まで平穏に生きてきた学生である常磐ソウゴ。記憶が無くなっているというのにグランドジオウの力を直感的に理解し、順応しつつある。それが気に食わなかった。

 それと加古川飛流との因縁も忘れてしまっているのでソウゴの性格も合わさって距離間が近く、馴れ馴れしいのも気に食わない。

 

「勘違いするなよ、常磐ソウゴ。俺はお前と馴れ合うつもりはない」

「えぇ……今日会ったばかりなのに……?」

 

 加古川飛流の方は嫌う記憶があってもソウゴの方は今日が初対面なので、ここまで嫌われる理由が分からず戸惑ってしまう。

 

「何でそんなに俺のこと嫌うの?」

 

 直球な質問。相手の答えは──

 

「お前のそういう所が嫌いだからだっ!」

 

 常磐ソウゴの性格、人格そのものを嫌う。まともに話し合うつもりのない態度にグランドジオウは困ってしまう。

 

「そんなこと言っても──」

 

 今更直せないと言おうとした時、いつの間にか周りを囲んでいたカッシーンたちがサブアームから光弾を一斉発射する。

 全方位から逃げ場の無い攻撃が二人を襲うが──

 

『ジオウⅡ』

 

 バールクスがアナザージオウⅡの能力を発動。バールクスを中心とした半径十メートル以内の時間が巻き戻さたことで光弾は消え、カッシーンたちはサブアームを展開する前まで戻される。

 

『ジオウ!』

 

 そこへすかさずグランドジオウが頭部のジオウのレリーフを押す。『2018』が浮かんだ黄金の扉から二人のジオウが登場する。

 片方は基本形態のジオウ。もう片方はジオウの強化形態であるジオウⅡ。

 

「おおっ! 何か俺と似てる! 似てない!?」

 

 最初の変身がいきなりグランドジオウであった為、初めて見るジオウとジオウⅡの姿にはしゃぎ、似ていないかバールクスに訊く。バールクスはグランドジオウに訊かれても無視していた。

 しかし、ジオウとジオウⅡを召喚したのはいいがカッシーンたちは既に発射体勢に入っている。このままではまた同じ事が繰り返されるが──

 

「時間よ……跳べっ!」

 

 グランドジオウが指を鳴らした時、全ては終わっていた。

 

『ギリギリスラッシュ!』

『キング! ギリギリスラッシュ!』

 

 いつの間にか振り抜いたのかバールクスにも分からなかった。気付けばジオウのジカンギレードとサイキョージカンギレードが囲んでいたカッシーンたちを全滅させていた。

 

「よしっ! って何それ! 顔が付いてるー!」

 

 カッシーンたちを一掃させたことにガッツポーズをとるグランドジオウ。そして、すぐに興味がジオウⅡの持っているサイキョージカンギレードへ向けられていた。

 グランドジオウとサイキョージカンギレードの側面にあるジオウの顔と向き合っている中、バールクスは密かに戦慄していた。

 グランドジオウは召喚したライダーの時間を操れる。時間を停めたり、巻き戻しにしたりなど。今やったのは時間の跳躍。必殺技を放つ為の過程を省略させ、斬ったという結果まで時間を跳ばしたのだ。

 カッシーンたちは斬られたと認識する前に破壊された。

 

(こいつ……!)

 

 ほんの数分前までは仮面ライダーに変身したことの無い一般学生だったというのに、凄まじいスピードでジオウの力に順応し始めている。

 嘗てジオウとして戦った経験があったとしても記憶が無いのなら素人と変わらない。それなのにもう能力の応用まで出来ている。

 バールクスの中にグランドジオウへの嫉妬の感情が再燃する。

 

(だが、これでいい……!)

 

 だからこそ潰し甲斐も出て来る。いずれは雌雄を決するつもりだが、今はその時ではない。

 そもそも飛流は今のバールクスの力に不満を抱いていた。確かにバールクスの力は強い。時間改変前に使用していたアナザーライダーと互角以上の力を持っている。

 しかし、所詮は貰い物に過ぎない。バールクスの力に頼る限り飛流はクォーツァーの王SOUGOに首輪を付けられたも同然である。

 アナザーライダーの王としての力を失っている現状は使用するしかないが、いずれはバールクスを超える力を手に入れ、クォーツァーを下す。それが飛流の野望であった。

 

(常磐ソウゴ。今は強くなれ……! 強くなったお前の力を俺の糧にしてやる……!)

 

 それまでは決着を預けるつもりである。

 ジオウⅡのサイキョージカンギレードを手に持って感触を確かめているグランドジオウであったが、カッシーンたちが倒されたのを見てわらわらと他の怪人たちも集まって来た。

 

「まだ居るのー?」

 

 尽きない敵にウンザリするグランドジオウ。

 

「おい」

「え?」

 

 すると、グランドジオウの背後に移動していたバールクスが背中越しに話し掛けて来た。

 

「一気に倒すぞ」

「──うん!」

 

 バールクスからの思いも寄らない協力の言葉。グランドジオウは嬉し気に頷く。バールクスの中には敵対心とライバル心しかないが、グランドジオウはそんな彼とも仲良くやっていきたいと思っている。

 考えはすれ違っているが、この時だけは協力し合う。

 

『サイキョー! フィニッシュタァァイム!』

 

 サイキョージカンギレードから光刃が伸びる。長大な光刃には『ジオウサイキョウ』の文字が描かれていた。

 サイキョージカンギレードの力を引き出した状態でグランドジオウライドウォッチの力を足す。

 

『フィニッシュタァァイム! グランドジオウ!』

 

 グランドジオウを中心にして足元に出現する黄金の時計盤。囲んでいた怪人たちは全て時計盤の上に立っている。

 グランドジオウと同時進行でバールクスもまた必殺技の体勢に入っていた。

 

『フィニッシュタァァイム! バールクス!』

 

 持っていた長針と短針を模した剣を柄頭で合体させ、両刃剣にする。両刃剣はバールクスの力を受け、刀身が白色に輝く。

 黄金の時計盤の外枠に追加される深緑色の時計盤。更に飛蝗の翅のような装飾も追加される。

 

「足を引っ張るなよ?」

「いや、俺と飛流ならいけそうな気がする!」

 

 バールクスの上からの言葉をグランドジオウは根拠のない直感の台詞で返す。

 

『オールトゥエンティー! タイムブレーク!』

『タイムブレーク!』

 

 時計盤の上を走る二つの針。片方はグランドジオウのサイキョージカンギレードによる黄金の針。もう片方はバールクスの両刃剣の白色の針。

 それぞれの時を刻むように二つの針は時計盤の上を走る。時計盤の上に拘束されていた怪人たちは二つの針によって真っ二つにされていき、針が時計盤を一周した時には敵は全滅していた。

 

「よしっ!」

 

 グランドジオウは今度こそ敵を全滅させたことに喜び、バールクスにハイタッチを求めたが、バールクスの方は見向きもせずにそれをスルーする。

 上げた手を寂しそうに下げるグランドジオウに急にバールクスが声を掛けた。

 

「常磐ソウゴ」

「うぇ! ──何?」

「次に会う時までに強くなっていろ。王になったお前を俺が潰してやる」

 

 バールクスからの宣戦布告。

 

「王……俺が王様になりたいって知っているんだ……」

 

 向こうはこちらを知っているが、こちらは向こうのことを知らない。

 

「何か……フェアじゃない気がする」

「何を言っているんだ?」

「だからさ、俺に飛流のことをもっと教えてよ」

 

 まずは相手のことを理解しようとし、歩み寄る姿勢を示すグランドジオウ。

 

「……一つ教えてやる」

 

 そんなグランドジオウの喉元にバールクスは両刃剣の切っ先を突き付けた。

 

「俺はお前のそういう所が嫌いだ!」

 

 歩み寄るグランドジオウにもう一度同じ事を言って明確な拒絶を示すことで応える。しかし、刃を突き付けられてもグランドジオウが怯む様子は無かった。

 

「──そっか。じゃあ、これで飛流のことが一つ知れた」

 

 その敵意すらも受け止める。王としての器量の大きさを無意識にバールクスへ見せつける。

 

「……ちっ。話にならない」

 

 バールクスは吐き捨てるように言うと、グランドジオウに背を向ける。バールクスの前方に空間の歪みが出現し、その中に入ると空間の歪みごと消えてしまった。

 

「行っちゃった……」

「本当に勝手だよねー、あの新人君は」

「その内、俺が灸を据える」

「うおっ!? びっくりした!?」

 

 いつの間にか隣に立っていたザモナスとゾンジスに驚く。ザモナスの方はグランドジオウの肩に肘を置いて寄り掛かり、ゾンジスは腕を組んで仁王立ちをしている。二人が声を出すまでグランドジオウは二人の存在に気付けなかった。

 飛流と一緒に現れたのは知っているが、どういう立ち位置なのか、グランドジオウはまだ知らない。

 

「あの……どちら様で?」

「そう緊張しないで。俺たちは今は味方だよ、今は」

 

 敢えて『今は』という言葉を強調してくる。

 

「じゃあ、いずれは?」

「殺し合うかもねー」

「その時は、俺が潰す!」

 

 雰囲気はそのままに物騒なことを言うザモナスたち。

 

「──うん、分かった! 今は味方ならいいや!」

 

 グランドジオウは脅しとも取れる二人の言葉に対し、何ともポジティブな回答を示す。

 

「いいね、そういうの。ちゃんと割り切れる子は好きだよー」

「そうだ。今は味方だ!」

「頼らせてもらいまーす!」

 

 グランドジオウの態度にザモナスとゾンジスは好感を示す。グランドジオウ同様に将来敵対するかもしれない相手に二人も割り切っている様子。

 

「あの! 喋ってないで! 手伝ってくれる!?」

 

 三人が和気藹々とする中でツクヨミの怒声が飛ぶ。見ればツクヨミ一人で多数の怪人たちを相手にしていた。

 

「あっ! ごめん!」

 

 グランドジオウを含む三人は瞬間移動のようにツクヨミの傍に移動し、一瞬でツクヨミを囲っていた怪人たちを蹴散らす。

 

「もしかして、これが最後になるかもしれないなら記念に一緒にやらない?」

 

 グランドジオウからザモナスとゾンジスへの提案。

 

「ふっ。お望みとあらば」

「いいだろう、やるぞ!」

「わ、私も!?」

 

 グランドジオウに引っ張られる形で全員がそれぞれのライドウォッチを押す。

 

『フィニッシュタァァイム!』

 

 ライドウォッチのエネルギーがジクウドライバーへ充填。ロックを解除されたジクウドライバーが回転する。

 

『グランドジオウ!』

『ツクヨミ!』

『ザモナス!』

『ゾンジス!』

 

 ジクウドライバーが一回転する間に跳躍するグランドジオウたち。最高点に達すると同時にジクウドライバーが回転し終える。

 

『オールトゥエンティー! タイムブレーク!』

『タイムジャック!』

『タイムブレーク!』

『タイムブレーク!』

 

 見上げた怪人たちの頭上から圧倒的な力が降ってきた。

 

 

 ◇

 

 

 体の中を隕石が通過したような衝撃を体験しながらアナザーディエンドCPは吹っ飛ばされる。

 一直線に飛んで行き、最後は積み上げられた資材に背中を強く打ちつけた。

 立っていられないのかアナザーディエンドCPは衝突で崩れた資材に背中を預けた体勢でか細い呼吸をしている。息をするのも困難な程のダメージを負っていた。

 

「はぁ……はぁ……はぁ……うぅ!」

 

 アナザーディエンドCPは殴られた腹を押さえ苦しそうな声を出す。

 

「うぅ! うぅぅぅ! うぅぅぅぅぅぅ!」

 

 その状態で体を激しく痙攣し出す。大ダメージを負っているのは分かっているが、些か効き過ぎのような気がした。

 

「何だ? 様子がおかしいぞ?」

「大袈裟過ぎるね」

 

 アナザーディエンドCPの様子を訝しむゲイツマジェスティたち。すると、アナザーディエンドCPは体を仰け反らせる。

 

「うおぇあああああああっ!」

 

 凄まじい声を上げながら上向きになっているアナザーディエンドCPの口から黒い粒子のようなものが噴射された。

 アナザーディエンドCPの異変に驚く二人であった、もっと驚いたのは噴き出された粒子が独りでに動き、ゲイツマジェスティたちの前に移動して来たことであった。

 黒い粒子が塊となり、やがてそれは人の形になった。

 モスグリーンのローブのような衣装。首には灰色のマフラー。片方は編み込み、もう片方は前髪を垂らしたアシンメトリーな髪型。そして、手には『逢魔降臨暦』と描かれた本を持つ。

 彼の名は──

 

「ウォズ!?」

「やあ、ゲイツ君。記憶が戻って何よりだ」

 

 名を呼ばれたウォズは気さくに応じる。

 彼こそがゲイツの良く知るもう一人のウォズであり、黒ウォズとして区別されている。時間が改変される前のソウゴ、ゲイツ、ツクヨミの仲間であった黒ウォズ。そして、アナザーディエンドCPとなった白ウォズと分岐した存在。

 

「お前……今まで捕まっていたのか!?」

「君が彼を弱らせてくれたお陰でようやく脱出出来たよ。そして──」

 

 黒ウォズはディエンドディケイドを見る。

 

「君も協力感謝する」

「やれやれ。そんな所に隠されていたとはね。道理で見つからない訳だ」

 

 ディエンドディケイドもまさか白ウォズの体内に黒ウォズが監禁されているとは予想出来なかった。

 

「力を奪われた君が真っ先に協力を求めるとしたら私だと予想して先手を打たれてしまった。いきなり現れて私が動揺している間に……」

「君がもっとしっかりしてくれたら僕も余計な苦労をしなかったのにね」

「分岐したとはいえ流石は私、ということだろうね──いや、そもそも君がディエンドの──」

「どっちが原因かなんてどうでもいい。後にしろ」

 

 揉めそうな雰囲気だったのでゲイツマジェスティが会話を遮る。

 

「それで? お前はどうする? ウォズ」

「折角、借りを返すチャンスなんだ。しっかりと返させてもらうさ」

 

 ウォズはそう言い、専用のドライバーを装着。

 

『ビヨンドライバー!』

 

 ジクウドライバーとは形状が異なる未来製のドライバーを着け、ライドウォッチとは異なるウォッチを取り出し、起動する。

 

『ウォズ!』

 

 自身の名を冠する未来のライドウォッチ──ウォズミライドウォッチをビヨンドライバーのスロットに装填。

 

『アクション!』

 

 ウォズミライドウォッチが左右に開き、内部のデータが露わになる。

 

「変身」

『投影!』

 

 ウォズミライドウォッチがセットされたレバーを前に倒すと、ウォズミライドウォッチがビヨンドライバーに中央に接触。

 

『フューチャータイム!』

 

 ウォズの背後に時計型デバイスが出現し、そこから伸びる緑の光が装甲を形成していく。

 

『スゴイ! ジダイ! ミライ!』

 

 銀と緑の装甲。顔の仮面に填まる『ライダー』の文字。黒ウォズが変身した仮面ライダーの名前は──

 

『仮面ライダーウォズ! ウォズ!』

 

 変身完了と同時にウォズは叫ぶ。

 

「祝えっ!」

 

 今まで閉じ込められていたフラストレーションを晴らすかのように自らを祝う。

 

「再編された歴史の中で再び降臨した王道を進む者の預言者にして救世を進む者の戦友! その名も仮面ライダーウォズ! 新たな歴史での再会の瞬間である!」

 

 




最後の最後で黒ウォズ復活となりました。
出さないと仲間外れになりますし。
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