ダンジョン無ければただのゴミ   作:ちんぽ

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ゴミが潜る

 最低の職業とは何か。諸説あるだろうが、俺は思う。探索者だと。

 

 8年前異界より襲来した【不死王】によって100階層の迷宮が出来た。向こうの摂理に地球が飲み込まれた。

 

 一月に一度訪れる【災厄】により結構な被害を受けた日本は変わった。

 

 その変わった日本に新たに現れた自然法則、レベルアップやスキルと言ったRPGの様な法則を使い、ダンジョンに潜る者、それが探索者だ。

 

 探索者といえば聞こえは良いが実際は押し込み強盗と大差ない。強盗と違うのは、相手が人間で無いことくらいだ。

 

 平和に生きている生き物の縄張りに凸ってぶち殺すとかいう外道の所業を生業にするなど、ゴミ野郎以外にでき無いだろう。俺の様なゴミ野郎にしか。

 

 そう言えば自己紹介がまだだったな。人殺しだけが取り柄の、現代社会で生きてちゃいけないタイプのゴミ。それが俺だ。

 

 学歴は幼卒だし、戸籍すら偽装だし、特にこれと言った長所は無い。ここまでの文章で察して頂けただろうが頭も悪い。さらにそんなのが誤差に思えてくるレベルで性格が悪い。ゲームで言うならあらゆるステータスを暴力に割り振り、人格に至ってはマイナスに突っ込んでいる出来損ないのゴミクズ。それが俺だ。

 

 しかし、迷宮内では、暴力と殺害のみが是とされる。

 

 どうしようもないゴミ野郎の俺が、暴力と悪意の権化が、迷宮の中では肯定される。

 

 それ故に、俺が肯定される為に、俺は迷宮に潜る事を決意した。【不死王】に会う為、5人のクソヤクザを殺す為という理由もあるが。

 

 ただ一つ問題がある。俺のクラスが【ノービス】であると言う事だ。

 

【不死王】の襲来以降、人類はクラスと言うものを得た。RPGの様な世界への適応を果たした。

 

【ノービス】とは人類種の9割5分が所属するクラス。レベルアップによる補正効果は最下層。特殊能力(スキル)も習得不可、魔術も習得不可というクラスだ。探索者になりたいならまず【ノービス】以外のクラスにつくことを祈れ。探索者学校とか言うごみ溜めでのありがたい教えだ。

 

 暴力しか取り柄の無い俺様だが、迷宮内という異世界の怪物と強力なクラス補正を受けることで生まれた超人達が跋扈する魔境では、弱者に位置する事になるだろう。暴力のみがアイデンティティの奴から暴力とるなやと抗議したい。暴力のアドバンテージ無けりゃ俺はただのゴミじゃねーか。あったとしても厄介なゴミだがよ! 

 

 さりとて迷宮以外に道は無い。そして俺は迷宮へと潜った

 

 結論から言えば結構戦えた。

 

 目の前にいるのは身長1.5メートル程の犬型の亜人。コボルト。コボルトが鈍器を振るう。俺の手のひらと棍棒が触れ合う……その直後棍棒がふっとばされた。俺の後方に。

 

 どういうトリックかと言われればあえて隙を作りコボルトの全力攻撃を誘い、力のこもった攻撃の力の流れを接触したとき技術で操作し後ろに向けただけだ。

 

 唖然とするコボルトに向かって右足を鞭のようにしならせつつ接触の瞬間に接触地点に全ての力の流れが集中するように調整し思い切り蹴り上げた。

 

 その結果コボルトは10メートル上方の天井に激突し爆散した。

 

 周りのペーペー探索者達からも化け物を見る目を向けられた。

 

【拳銃程度なら素手で対処できる】それが■■■時代の俺のキャッチコピーだった。あと【死の舞踏(ダンスマカブル)】という痛々しい二つ名もあったな。

 

 それからもゴブリンの集団を投石でまとめて粉砕し、現実世界の小型の熊と大差ない能力を持った熊を格闘技術と身体能力で捌きながら少しずつ勘を取り戻していく。そうしているうちに感じたのは何かが流れ込んでくる感覚経験値とやらを吸収していく。

 

 そもそも【ノービス】が他クラスに対して差をつけられるのはどこだろうか。レベルアップ時のステータスブーストとスキル習得だ。

 

 要は差がつくのはレベルアップ時と、スキル習得時。

 

 レベルアップ等誰もしていない、そしてスキルなんて誰も習得していない低レベル帯では、ノービスのデメリットが機能しない。

 

 そしてレベルアップの関係しない素の状態なら俺はこの中で1番強い。

 

 なのでこの階層では俺が1番強いのだ。

 

 まあ魔術が関係するなら話も少しは変わるかも知れんが。

 

 

 そう思っていると目に入ったのは金髪のチャラそうな男に巨乳と貧乳のパーティーだった。そしてその中の巨乳の方が、コボルトに向かって唱えた。【火炎よ】【覆え】と。その直後直径40センチの火球が打ち出され、10メートル先のコボルトを覆った。

 

 

 

 おお、話に聞いていたがこれが魔術か。

 

 魔術。

 いくつかの魔術言語という言葉で精霊に命令し、超常現象を引き起こす、不死王によってもたらされた奇跡の一つ。それが魔術。そして基本、潜りたての魔術師は一節の魔術しか使えない。なのでこいつはかなり優秀な部類の魔術師なのだろう。

 

 そうだ、言い忘れていた。節というのは魔術に使う言葉の数だ。一節なら【火炎よ】二節なら【火炎よ】【覆え】三節なら【火炎よ】【覆え】【我が敵を】

 になるって具合だ。

 

 ちなみに

 

【火炎よ】だけだと火炎を出すだけだ、別にその火が飛ぶわけでも無い。よって一節魔術は戦闘面では産廃とも言える魔術だ。【火炎よ】【覆え】だと火炎が相手に飛んでいくようになり、【火炎よ】【覆え】【我が敵を】の3節魔術になると、飛んでいった火炎が相手を誘導する様になる。

 

 面白い者が見れたなと思いつつもひたすら俺は罪無き魔物達を殺して殺して殺す。

 

 自身の暴力を生かして高位の迷宮探索者となる為に。

 家族を殺したクソヤクザ共、そいつらを殺す為に。

 

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