私を巻き込むな!?   作:カニバルキャンディー

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殺害人数600人以上


人類史上最大の殺戮者

「ふんふんふ~ん…やっぱり気持ちがいいわねぇ…」

 ちゃぷちゃぷと目が痛くなるほどの美しい金を使い、大の大人が手足を伸ばせるほど広い湯船

 

そこにお湯ではなく溢れんばかりに血が注がれている。

約10人分の量、これを彼女は毎日作っているのだ。

 

「さて、これ以上いたらのぼせるわね、仕事もめんどくさいし…だけどやらないと上から怒られるのよねぇ…めんどくさい…」

 湯船から上がりメイドたちに身支度をさせ自身の仕事部屋に入り、用意させてある完璧な軽食と珈琲

真剣な表情をして、私たちを太らせてくれる民のために仕事を始める。

 

彼女は悪役令嬢

 

────────────────────────────────

「アトス…お前に個人的に頼みがあるのだが」

「はっ!何なりとお申し付けくださいませ。」

 

 王城の一角で煌びやかな服を着てこれまた煌びやかな椅子に座る

その王の前に跪くのは美しくだが確実に実戦で使用できる鎧を着た騎士団長と呼ばれる青年

 

「簡潔に言う、ここから馬で3日ほど行った所にバートリ家が納める領土がある、そこの主であるエリザベート・バートリーを近々捕まえる」

「…!?失礼ですが…バートリ家と言えば広大な農地と鉱山を持つ侯爵領だと把握しています…なぜ彼女を…?」

 

顎に手を当てて考え込む…確か…現当主が散財癖があり高いものを買い込むが…少なくともバートリ家が痛むレベルではない

ならば何を?国王に楯をついた?いや…この国と同等の財力を持っている…そんなバートリ家と戦うのであればこの程度では済まない

 

「フローラという少女がバートリ家から逃げ出してきたのだ…彼女が見たものは…血を搾り取るためにありとあらゆる拷問をかした…話だけでも凄惨そのもの」

「なるほど…民をぞんざいに扱うなど…貴族の風上にも置けませんね…かしこまりました少々お暇御いただきます」

「秘密裏に頼む」

 

アトスが立ち上がり部屋から出て王城の中を歩く

美しい中庭を歩いていると気配もなく後ろから声がかけられる

 

「アトス、王命でも下ったのかな?」

「アラミスか…気配もなく背後に立つなって、驚くだろう?」

 

 意地悪そうにニヒルに笑うアトスの友人、弓の腕では国に並ぶものなしと言われる狩人

アトスの昔からの友人で戦場では同じ釜の飯を食いあった親友と呼べる相手だ

 

「アレでしょ?バートリ家の調査」

「耳が早いどころの騒ぎじゃないが??さっき話したばかりなんだけども!?」

 

アトスがアラミスの背中を軽く叩き逆に肘でお返しとばかりに突く

「出発は何時?今日僕暇だから晩御飯食べない?」

「明日の朝だな、いいぜ?今日は付き合ってもらおうか!」

 

 場面が変わり夜の酒場

騒がしくも楽しい夜の社交場

そんな中明らかに目立つ2人が上品に酒とつまみをたしなんでいる

ほどほどに気持ちよく酔いが回ったところでアラミスが声を抑えて話始める

 

「今回は相当にまずい…噂だと市民だけじゃなくて隣の領の貴族まで手を出しているみたいだね」

「…正気か…?同じ貴族だぞ?」

「あぁ、とても正気とは思えない…貴族だよ?明確な国への敵対行為になる…」

「あのレベルの領主がやることじゃないな…何が目的だ?」

 

 度数の低い酒に口をつけて考え込む…確か女性領主…押しも押させぬ大貴族、ただの加虐趣味か?貴族にはありがちだが…それにしても度が過ぎている

そこも調査の一環と言ったところだろう、市民が残虐に巻き込まれてる…それだけで俺の心は正義に燃え上がる。

 

────────────────

 3日かけて巨大な都市と言っていいほどの町にたどり着き辺りを見渡す。

近くに居た少し歳の行った八百屋の店主に話しかける

 

「よう、俺は旅しながら取材してるんだけどさ、最近ここら辺で変わった噂とかない?」

「……さぁ?俺はただの八百屋だからなぁ…」

「釣れねぇなぁ、そこのリンゴ1個くれよ」

「あいよ!つってもな…ここは平和そのものだぜ?バートリ様にも良くしてもらってるしな」

 

流石に口を割ってくれないか…

最初の予定通り足で調査するしかないか、こういうのはアラミスの方が得意なんだがなぁ

街の景色を見ながら歩く、楽しそうに井戸端会議をする奥様方、客引きをする40代ぐらいの男性

 

確かに違和感

 

 行く場所は酒場かこういうのは人が集まる場所の方が一番の情報源だ。

剣を揺らしながら酒場のドアを開け中に入る、朝から飲んでる荒くれものの突き刺さる視線を無視してカウンターに座る

 

「取り合えずビール」

「お前さん見ない顔だな、今日来た新顔か?」

「おう、今日来た旅のモノだな、なぁマスターここら辺で変わったこととかないか?」

「ここはいいところだぜ!ちと馴染むまではよそ者扱いされるがな」

 

マスターと軽く話すっかりぬるくなったビールを飲み干して酒場を出る。

まともな情報がないな…だが…一つ気になる点がある

 

「やはり若い女性が少なすぎる…自分の領地で居なくなったから他の領地まで手を伸ばしたのか…!?」

 

 高台まで走り街を見渡す、やはりわかる程度には女性が少なすぎる

大通りを荷馬車が通る荷台から何かがはみ出してる…微かに見える…アレは…人間の足か…?

葬儀屋…いや違う!葬儀屋の荷馬車があんなに綺麗な訳がない!

馬車に移っている赤と白の豪華な紋章

 

「あの紋章は…やはりバートリ家か…!」

 

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「失礼、バートリ嬢はいらっしゃるかな」

 バートリ家のドアを開けて堂々と廊下を歩く

 

「あら?私の館に何か御用かしら?」

 ワインで喉を潤しながら少しだけ鬱陶しそうに二階の部屋からエリザベートが出てきてアトスを見下す

今まで風呂にでも入っていたのだろうか、髪はしっとりと濡れていて甘い色気が全身を包む

 

「男娼婦を呼んだ覚えはないのだけど…何か用?」

「あぁ、ちょっと用事があってね…町で人攫いの馬車を見た」

 

「あら怖い、憲兵に厳しく言っておかないといけないわ」

「ここに入っていくのも見た…どういうことだ?」

「見間違いじゃないかしら?それとも裏に逃げる道でも作ったか…どう?今からベットの上でそのことについて話しましょ?」

 

 妖艶に微笑み手に盛ったワイングラスを揺らす

アトスは生唾を飲み込み意識を切り替える

 

「いや…せっかくだが遠慮しておこう…だが一つ質問していいか?」

「せっかちな男性ね…このワインが飲み終わるまででよかったらいくらでも」

「なぜ若者が少ない?流石に働いてる若者が居てもおかしくない…」

「私の領土は若者は鉱山、女子供は農地に行くのが習わしなの…町にいるのは働けなくなった人だけよ」

 

 まだ残っていたワイングラスを二階から落として自室に帰る

ワイングラスが割れる音を背景に言葉もなくアトスも玄関を出て素早く今日止まる予定の宿に向かって走る

 

「アレは黒だな…戦場でもしないような血の匂いがプンプンしやがる…国王に連絡を入れて…先行部隊を来てもらおう…俺1人じゃ対処は無理だ」

宿に戻り国王に向けての手紙を伝書鳩に付けて放つ…これで数日以内に援軍が来るはずだ…

 

「あら…バレちゃったかもしれないわね…咄嗟に服着たけどダメだったかしら?はぁ…そろそろ潮時かもね…トゥルゾ!逃げる準備しておいて」

「かしこまりました、お嬢様…しかしいいのですか?先祖代々の城と土地を」

「いいわよ別に…あんな奴らのものなんて…」

 エリザベートの足元には血が滴っておりその後ろには拷問器具の中に詰められた人間が詰め込まれている。

それをつまらなさそうに見つめ、執事であるトゥルゾを軽く指さして命令!口喧嘩をしながらも使用人に服を着させてもらい自室に戻る

ふと、まだ使っていない拷問器具があることを思い出す…

どうせ逃げるのだ仕事なんかしている場合じゃない、なら趣味に時間を費やすのが一番いいだろう

 

────────────────────────────────

時刻は夜中、油が貴重な中世では明かりを消して誰もが寝静まる

そんななか無作法にも貴族の館に侵入する愚か者たちがいた

 

「よし、僕はここで隙を狙う…暗殺チームはエリザベートの寝室に突入して殺せ、別チームは貴族を殺したという証拠を探し出すんだ」

「「「了解しました」」」

 

 伝書鳩が送られてその次の日に早馬でアラミス引き入る先行部隊が到着、その日の晩のうちに殺害計画を立て実行

音もなく3人の部下たちがエリザベートの寝室に入る、部下たちがまず最初に感じたのは臭い

甘い匂いの間に感じたことのある鉄とヘモグロビン…この匂いは…!?

 

「あら、女性の寝室に忍び込むなんて酷い人…何が欲しいのかしら?」

 

 眠そうなエリザベートの声が天蓋付きのベットから聞こえ

声と同時に部下たちの凶刃が飛ぶ

 

「トゥルゾ…眠たいの…何とかして頂戴」

「かしこまりました、お嬢様…まったくマナーがなっていないお客様ですね」

 

音もなく壁際に立っていた執事が短剣でナイフを受け止め犯人を蹴り飛ばす

夜中だが、一部の隙もなく完璧なスーツ姿、胸元の金時計が美しく光る

 

 それを欠伸をしながらゆっくりとベットから出る…近くで戦闘が行われてるにもかかわらず

優雅に、そしてめんどくさそうに貴族的に侵入者を見てすらいない

 

「ふぁぁ…今何時よ…トゥルゾ時計どこかしら?」

「はしたないですよ、お嬢様」

 

侵入者を惨殺したにもかかわらず血の一滴も体に付着しておらず胸元の金時計を開く

その瞬間窓の外、敵を倒して気を抜けた瞬間を狙っての犯行

 

エリザベートが少しだけ首をかしげてトゥルゾがその矢を受け止める

 

「へ・た・く・そ」

ちゅっとエリザベートが投げキッスをしてトゥルゾがカーテンを閉める

 

「これはダメだ、あの執事だけかと思ったら本人も相当強いよこれ」

 

 別の木に飛び移りながらアラミスはアトスとの合流地点まで全力で走り

逃走用の馬に乗り込み走る

軽くは知らせながら待っていたアラミスを通り過ぎながらアトスは叫ぶ

 

「アトス!失敗した!撤退するよ!」

「はぁ!?完全なる闇討ちでお前が失敗するのか!?」

「ダメダメ!あれは正々堂々戦わないと勝てないタイプだね!闇討ちとかにめっぽう強いタイプ」

 

 馬を全力で走らせて街の少し外、猟師しか使っていない小屋の中に逃げ込み、息を切らしながら夜明けを待つ

夜は彼らの時間だと思っていたが…もっと深い化け物たちの時間でもあった

 

 

「もう少し時間があると思ったけど案外早いのね…さて一眠りして起きたらお風呂入って逃げましょうか…甘い飲み物用意しておいて」

「チョコケーキに熱燗を入れたものとかどうでしょうか?」

少し考え、そしてポツリと呟く

「それアフォガードじゃないの?」

 

────────────────────────────────

「この子お気に入りだったのに…使うのが最後になるかもしれないわね」

血に錆びたお気に入りのおもちゃを優しく撫でて扉を開ける

後世に伝わる余りのむごさと異様な形状で後世に轟く、鋼鉄の処女(アイアン・メイデン)

しかも彼女のおもちゃは特別性、顔の部分がガラス製になっており苦痛と恐怖の顔がよく見える

 

絶命した穴だらけの少女がエリザベートに向かって倒れるが軽く避けて甘い息を漏らす

 

「あは…!んっ…!っあ…!くっん…!うふふ…!」

自分の肌が傷つくのも顧みずアイアンメイデンを触る

30分ほど楽しんだら名残惜しそうに部屋を出ながら服を着替える

 

 ばたん!と閉じるその部屋、この国から取り寄せたありとあらゆる拷問道具

見たらわかるものから見てもわからないものまで様々なものが所狭しと置かれている…エリザベートのおもちゃ箱だ

 

 血の風呂ではない普通のお風呂に入りメイドに着替えさせる

私血の風呂好きだけど髪についたらゴワゴワするからそこだけはマイナスポイントね、

出産したての血とかサラサラの血液とかになってないかしら、ほら全部栄養は赤ん坊に行ってるし

そしたら産ませて血だけもらうんだけど。

 

外をちらりと見る、明らかに人の気配がない、だが少し離れたところで大量の人間が集まっているような気配を感じる

 

「逃げるのはいつでもできるわ…けど正面から王国軍と斬りあうなんて中々できないわよね?」

「悪い癖ですよ、お嬢様お供するのは私なのですから…大人しく逃げてほしいのですが」

「いやよ!だってつまらないじゃない?あとどれだけで来る?」

「ドアノッカーが今叩かれましたね」

 

瞬間館のドアが吹き飛びぞろぞろと王国軍が入ってくる

 

「あれはノックって言わないのよ…」

 

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少し前に戻る

王国の軍隊とそれを率いる切り込み隊長ポルトス

身の丈ほどの大剣を背負い分厚い鎧を着こんだ筋肉隆々の大男、アトスより頭1つ大きい

 

「よう!久しぶりだな!」

「久しぶりですポルトス、あの時の戦場以来ですか?」

「だな!んで今回は国王に頼まれてきたんだが…詳しいことは聞いてねぇんだよな」

 

たははと笑いながら頭を豪快に掻いて資料を渡してもらう

そこには僅か数日で調べたとは思えない量の犯行の証拠

 

隠密に庭を掘らせても、壁を崩しても、死体死体死体、まさしく死体の山

 

「おいおい…この領はいつから戦場になったんだ?なんだこのおびただしい死体は…」

「エリザベートは領の若い女性を拷問、そしてその血を集めて浴びるという…異常な趣味を持っている」

「うぇ…生臭そうだな…これは至急討伐しろって命令も納得できるぜ、向こうの兵力は?」

「僕の部隊が見てきたけどまったく居ないね、館に残ってるのは最低限のメイドとエリザベートそれに執事のトゥルゾぐらい」

 

音もなく、2人に降り立ったアラミス、挨拶するように手を挙げてそれに返す

準備は万端、大貴族と言えど騎士団長に切り込み隊長、国一番の狩人そして軍…このメンバーを集めれば討伐など容易い

 

「んじゃ!景気よくノックでもするか!」

大剣を肩に担いで大砲のような威力の蹴りをぶちかます

 

そして先ほどの現場に戻る

 

────────────────────────────────

「こんなに大勢の人を迎えるなんて初めての経験かもしれないわね」

「だはは!豪胆な女じゃねぇか!俺は嫌いじゃないんだがな!国王からの命により貴様の命をもらい受ける」

「貴様の命もらい受けるですって!」

 

クスクスと楽しそうに笑ってバルコニーからエントランスに飛び降りる

華麗に着地してぐるりと周りを見渡す…鎧姿の騎士に囲まれた、数秒後には捕まり処刑台の上に立たされるだろう

 

「トゥルゾ!演出お願いするわね」

「本当に人使いが荒いですねお嬢様!」

 

少し離れたところにいたトゥルゾから投げ渡された槍

赤黒い先端が螺旋状になってる実用的とは思えない物、苦痛を与え血を流させることに特化したその槍

くるりと槍を1回転

 

「私普通に戦っても割と強いほうなのよ?軽く抗わせてもらうから」

「上等じゃねぇか!」

 

エリザベートの身長を超える大剣を振り下ろし、そのまま真っ二つにしようとするが大きく後ろに飛んで回避

近くにいた兵隊が剣を振りかざすが、その前に槍を振り回し、数人まとめて首をいとも簡単に吹き飛ばす

 

噴き出す血を全身に浴びてエリザベートは美しく輝く、ゾッとするような笑みを浮かべ兵隊の群れの中に飛び込む

槍を振るう度に首が跳ね上がりテンションがどんどん上がる

 

「クソ!兵士はいったん外に出ろ!なんで侯爵令嬢がこんなに動けるんだ!」

 兵士たちが想定外だったのは乗り込んだ時点で大人しく捕まると思っていたこと

もう1つは殺しに躊躇がなさすぎること!普通の女性だったらすでに数回は死んでいる!

 

「はぁ!」

「激しい男は嫌いじゃないわよ?」

 

アトスの直剣を槍で受け止め火花を散らしながらの鍔迫り合い

そのまま槍を掴み強制的に重心を崩して背負い投げの要領で壁に投げつけるッ!

クルリと空中で回転して足から着地して微笑む

 

「ふぅ…激しい運動すると疲れるわね…熱くなってきちゃったわ」

「捕まってくれるなら冷たい水を用意するんだけどね」

「ワインのほうがいいわ…それに、もう出れないわよ?」

 

クスッと笑うと頭上から燃え盛るシャンデリアが落ちてくる

それを皮切りに屋敷の中にあちこちに炎の手が上がる

 

「な!?これは…!まさか我々事殺すつもりか!?」

「おい!アトス!火で回りが囲まれたぞ!」

「兵士たちを下がらせるんだ!」

 

 兵士が入ってきた扉から次々と逃げて行く

火の中で優雅に踊るエリザベート、アトスと目を合わせると誘うように指先を動かしてこっちにおいでと誘う

アトスが力強く踏み込み今度こそ仕留めようと駆け出すがポルトスに首根っこを掴まれ火の海から命からがらに脱出

 

「女性の誘いを断るなんて、酷い人ね」

「お嬢様…そろそろ脱出しませんと我々も危険です」

「そう…なら行きましょうか」

 

 いつの間にかすぐ後ろでエリザベートが火に焼かれないように防御しているトゥルゾが立っていた

こちらにと地下室に案内しそこから秘密の扉を開ける、かび臭い地下路を抜けると血と臓物で森が濡れている光景が広がる

 

「派手にやったわね…大変だったんじゃない?」

「少々数が多かったので手荒になってしまいました、少しばかり歩いてもらうことになりますがよろしいでしょうか」

「よろしくないわよ…山道歩くなんて」

「多少小太りになられましたし…いい運動ではありませんか?」

「あんたの次の仕事はシャワーの水役ね」

 

くすくすと笑いながら話しながら歩いていると風を切る音が一瞬だけ聞こえる

瞬間エリザベートの胸に弓が深く突き刺さる

 

「くっ…!不意打ち…!?」

「お嬢様!?」

 

 倒れこむエリザベートを抱き留めあふれ出る血を必死に抑える

草木を揺らしながらアラミスが油断なく短剣を構えながらエリザベートを狙う

 

「悪いね、僕は狩人なんだ…正面から戦うより逃げる獲物を射る方が得意なんだよね」

「貴様ァ!」

「トゥルゾ…今あなたの手を離されたら私死ぬわよ?それと聞きなさい」

「お嬢様…どうしたんですか…もっと…軽口を…」

 

「私の財産を持って逃げなさい、貴方なら何処でもやっていけるわ…」

 

口から血吐き出して優しくトゥルゾの頭を撫で、頬を掴む

「いいから行きなさい…私の最後のお願いよ?」

「……今までお世話になりました……!」

 

たっぷりと数秒かけて熟考、意を決したように頭を下げて森の中を全力で走り去る

楽しそうに笑って、次にアラミスを睨みつける

 

「追いかけたりしないわよね?こんなにいい女性がいるのだから…目移りしたら悲しいわよ」

「追いかけたら残りの力を振り絞って僕を殺しに来そうだからやめておくよ」

 

分かってるじゃないと軽く笑い胸の矢を簡単に引き抜く

 

────────────────────────────────

「これより!エリザベート・バートリ侯爵令嬢の裁判を執り行う!!」

法廷の真ん中にエリザベートは拘束された状態で立っている

射殺すような視線を受けながらも堂々とエリザベートは周りを睨み返す

 

「隣の領の貴族を拷問!そして国の財産である国民を600人以上殺害!何か申し開きはあるか!」

「それだけしか殺せてないの?1000は行ってると思ったのだけど」

「その口を閉じろ!この期に及んで反省のかけらもしていないとは…!」

「後悔も反省もしてるわよ?もう少し血を絞り出せたんじゃないかなって」

 

あははは!と楽しそうに笑うエリザベートを取り押さえるように叫ぶ裁判長

 

彼女は今この瞬間をもって牢屋の奥深くに幽閉されることになった

 

 




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