哂・恋姫✝凡夫   作:なんなんな

100 / 189
鼻血の量が尋常じゃないので病院に検査に行きました。まず内視鏡的なもので鼻の穴を確認。傷口的なものが見つかるも、別段それほど出血するようなものでもないとのこと。次にCTで副鼻腔の確認。異常無し。もしかしたら、血液が固まりにくいのかもしれないということで血液検査。検査採血でなぜか失神しました。リアルに「知らない天井だ」でした。


かゆうまの真名は投げ捨てたわけじゃないです。次の次の話で回収します。


第十一章拠点フェイズ : 聆(3X)の長丁場その二

 『私には真名が無い』……かゆうまの言葉に、周囲に居る誰もが戸惑いを隠せないらしかった。

真名が無い、という事実に、ではない。

生まれて間もない頃に何か重大な不幸があったり、或いは捨て子や奴隷、又はそれ以下の生まれの者は母親が真名をつけられないことも有る。それに、極稀にだが、親子間の不仲などで名を捨てることも。

では何に戸惑ったのかと言えば、それは、真名が無いと言ったことに対して、だ。

と言うのも、先に挙げたように真名が無い境遇であったとすれば、育ての親や主が真名をつけてしまうものだからだ。極端な話、自分でつけることもできる。わざわざ『無い』という状況にする、或いはそのような発言をすることの必要がないのだ。

……まぁ、迷っていても仕方が無い。一応聞いてみてあまりにも面倒臭そうだったら無理やり話題転換すれば良い。

 

「へー。何で?」

 

浴槽の縁に背を預けつつ、いかにもどうでも良いことのように、それこそ、沙和のオシャレ談義に対する相槌と同じような調子で尋ねる。視界の端の華琳が『よく訊いたわ!』と目配せをした。対して、視界の中央のかゆうまは、何だか気恥ずかしそうに俯く。……気恥ずかしそう………?

 

「その、なんだ……。まだ決まっていないのだ」

 

これまたよく分からない答え。いや、まだ決まっていないことは分かるのだが。

 

「うーん、もうちょい分かるように喋ってくれんか?」

「あぁ、えー……――」

 

かゆうまは歯切れ悪く語りだした。元々話下手で、且つ今回は無駄に言葉を選んでいるようだったので余計に時間が掛かったが。そして、その内容は実に些細なものだった。簡単に言えば、『母親が最初に思いついた名前があまりにもかっこ悪い(今で言うDQNネーム)ので自分で考えることにしたが、そういった手前良い名をつけなければならず、決めあぐねている』ということだ。なんてつまらない理由。どえらい肩透かしである。重いのが来ていても困るのだが。

 

「はぁ?そんな理由?バカのくせにもったいぶるからちょっと身構えちゃったじゃないの」

 

桂花も同じ感想らしい。

 

「それは……バカにされるかもしれんと思ったからだ」

「は?今更!?」

「おい嵬媼!その言い草は酷くないか!?」

「まぁ確かに母娘共々残念では有るわね」

「華琳様……そんなことを言っては可哀想です。こんなことでも当人にすれば大事なのですから」

「妙才……お前の言葉の方が刺さるのだが?」

「せやなー……この際やし、ウチらでつけてやるってのはどや?」

「おお!それは有り難い!」

「良い考えだけれど、それはまたの機会でね」

「何故だ!」

「もう既に酔っ払っとる奴も結構居るからなぁ。酔った勢いで変なんつけられても嫌やろ」

「む、それはそうだな」

「本音を言えば、全体の交流の場やのにかゆうま一人のために時間使うんはダルい!」

「……嵬媼、お前も酔っているのだな?でなければ私はお前を殴らねばならん」

「もう飛びかかっとるやないですかーやだー」

 

バシャバシャと水飛沫をあげながらじゃれ合う。傍から見れば『なんだ、天国はここだったのか』と言いたくなるような光景なのかもしれないが、私は内心ヒヤヒヤだ。何しろかゆうまは物理法則を無視した怪力を持っている。ちょっとの気の緩みが大怪我に繋がりかねないのだ。……何だこれ猛獣か?

 

「……ふむ。そうね。今まで明かしていなかったことを喋るのも面白いわね」

「あ、知ってるのー!そーゆーのって『かみんぐあうと』って言うらしいの!」

「ふふ。ではこの後の予定に『かみんぐあうと大会』も組み込みましょう」

「この後?」

「言わなかったかしら?この後『ぱじゃまぱーてぃ』をするのよ」

「それも隊長から?」

「ええ。他にも『王様げーむ』とか、『からおけ』とかも教えてもらったわ。からおけは今のところ少し実現が難しそうなのだけれど」

 

……確かにこのメンツでやったら面白そうだ。

 

「教えてもらった、と言えば、アレをしなくちゃね」

「アレ……?」

「そう。一刀が『お風呂イベントには必須だよね☆』って言っていたのよ」

 

そう前置きして、華琳は嬉しそうに宣言した。

 

「皆、『洗いっこ』するわよ!」

 

  ――――――――――――――――――――――――――――

 

 〜男湯〜

 

「ふふふ……全て計画通り………」

「大丈夫なんですか?隊長。もしこっちでこうして聞き耳をたてていることがバレたら……」

「大丈夫だ。気づくような娘は、聞き耳たてる程度なら笑って許してくれる娘が多いし、唯一何かしら言ってきそうな華琳は舞い上がってて気づかないはずだ」

「曹操様が……」

「舞い上がる……?」

「そうだ。……華琳が女の子……それも美女才女が好きなのは知っているよな」

「はい。……それは分かっていますが………」

「落ち着いてるように思えて、実際は凄くはしゃいでるんだよ。三日も前からあれやこれやと準備をしてたみたいだしね。……そんなことより、どうやら今から祭りが始まるらしい」

「あーーーーー、見えないのがもどかしい。どこかに穴でも開いてないでしょうか」

「ふふ……素人だな」

「なんですと……」

「確かに、ただの風呂ならそりゃあ覗きの方が良い。でも、これから始まるのは『洗いっこ』だ。……ミスリードの逆利用ってやつだな」

「………?」

「つまりどういうことなんですかってばよ……?」

「それを俺の口から言う必要はないだろう。もう、すぐに答えは示されるさ」

(凄い……なんて頼もしいんだ)

(北郷隊長がまるで曹操様のようだ……!)

 

少女たちの戯れの裏、男たちの戦いが始まった!




記念すべき第百回目の投稿をスランプ状態で迎えたことが残念でなりません。
恋姫のネタを考えようとしたら他の事ばかり思いつくんですよね。
しかも作品に纏められなさそうな突飛な一発ネタばかり。
東方×学園革命伝ミツルギとか。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。