哂・恋姫✝凡夫   作:なんなんな

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新しい包丁がめっちゃ強そうです。

東方二次を書こうとは思っているのですが、設定をどうするか悩んでます。
特に人間関係。
例えば設定の文章に従って魔理沙とアリスの仲を悪くするか、エンディングの状況から想定してある程度仲良くするかなど。
設定もねぇ。漫画やラノベの『さえない』主人公みたいなものかもしれませんしね。


第十一章拠点フェイズ : 聆(3X)の長丁場その五

 「ふーん……これが天の国最高の美味、ねぇ……」

 

風呂上り。

小瓶に入った薄ピンクの液体を、華琳は訝しげに眺める。

 

「一刀に言われた通りに作ってはみたものの……」

「牛の乳に果物を混ぜただけでしたもんねぇ」

 

流琉の言うことももっともで、確かにこの『フルーツ牛乳』は牛乳に果物を混ぜただけの代物だ。しかし、『最高』は言い過ぎにしても、かなりの逸品であることは間違いない。

 

「ま、物は試しやろ。飲んでみよぅや」

「そうね。皆、行き渡ったかしら?」

「はい!」

「よく冷えてるじゃん」

「む……なんだこの色は………?」

「ウチはどうせキンキンに冷えた飲み物やったら、酒のんがよかったなー」

「アタシは牛の乳自体初めてだ」

 

そうか、内陸部は家畜と言えば馬と羊だからな……なんてウンチクを交えつつ、それぞれが瓶を手にする。オレンジ色やら黄色やら。ミカンとか、南方から貿易で入手したバナナとか、その他諸々の様々な果物が使われているようだ。ただ、かゆうまの瓶の黄緑色は何だろうか。ちなみに私の瓶は白。ただの牛乳ということはないだろうから、白い果物が入っているのだろう。時代考証がどの程度の意味を持つのかは微妙なところだが、古代中国で白い果物と言えばライチだろう。牛乳との相性は正直微妙か。

 

「では、乾杯」

「「乾杯!」」

 

若干間違ったノリで皆がフルーツ牛乳の蓋を開け――

 

「臭っ」

 

私の瓶の液体からちょっと信じられないような臭いがする。え、意味が分らない。何というか……こう、………ダメだ。この臭いを形容できる言葉を私は知らない。

 

「何よ……反応薄いわね」

 

と、華琳はいちごみるくを煽りつつ不満顔。

 

「あぁ、なるほどな。ロシアンルーレットの仕返しか」

「あら、仕返しだなんて人聞きの悪い。聆の『ふるーつ牛乳』に入れた果物、天の国では『果物の王様』と言われるほどのものらしいわ。日頃の感謝を込めてみたまでのことよ」

 

……ドリアンやないか。

 

「それはそれは。また何かお返し考えんとなぁ??」

「構わないわ。これは褒美なのだから、貴女はただ甘んじて受ければそれでいいのよ」

「いや〜、良え君主を持って幸せやわぁ」

「私こそ貴女のような有能な部下を持って幸せだわ」

「アハハハハ」

「ウフフフフ」

 

「くそうっ!聆のやつ華琳様とあんなに幸せそうに……」

「姉者にはアレが幸せそうに見えるのか?……姉者は幸せものだな」

「む?」

「分からないのならその方が良いさ。……それよりも、この飲み物には不思議な美味さが有るな」

「うむ。大したことはないと分かっているんだが、……美味い」

「春蘭様、こうやって飲むのが作法らしいですよ!」

「む、こうか?」

「そうです。そうやって腰に手をあてて……勢い良く」

「ゴクゴクゴクッ……プハぁ!おお、何とも言えん爽やかな気分になるな」

「すぐ無くなってしまうのが痛いところではあるが、な」

「また作ればいいんじゃないですか?作ってくれるよね、流琉」

「そうだな。流琉、また作ってくれ」

「もちろん良いですけど、やっぱり、お風呂上りが一番美味しいんでしょうね」

「ならまた皆で風呂に入る機会が有ればたのむ」

「む、別に普段の風呂上りでもいいじゃないか」

「そんなことをすれば姉者が風呂に何度も行くようになるだろう?」

「……何故バレた」

 

「……この椅子、何だ?」

「脱衣所にこんなの有ったっけ」

「んっふっふー気になるか?気になるやろ?これはウチが作った『もみもみ君弐号機』や!」

「なるほど。嫌な予感しかしない」

「『〜君』は地雷なのー。沙和の経験的に九割方当たるの」

「えー、そんなことないやろ!なあ、凪」

「……真桜、認めるべきだ。『〜君』はだいたい機能を詰め込みすぎて失敗している」

「ちぇー。ウチのお菊ちゃんにさんざんお世話になっとっ――」

「わわわ!やめろ!」

「ん?お菊ちゃんって誰だ?」

「猪々子様、気にする必要は無いです!全く!」

「……で、結局誰も使ってくれん、と」

「うーん、……そうだ!まず真桜が使ってみせたらどうだ?」

「それは嫌や」

「なんでなの?」

「危ないやん」

「……今度お嬢あたりに座らせてみるか」

 

  ―――――――――――――――――――――――――――

 

 「大丈夫ですか!?」

「隊長!目を覚ましてください!」

「んあ………?」

 

目を覚ました俺の目に飛び込んできたのは、むさ苦しい仲間たちの顔……の どアップ。

 

「……そうか、俺は………」

 

突如始まった巨乳貧乳戦争。もっとこう、

『だいたいどうやったらそんなに胸が大きくなるのよ!』

『んー、特に何もやってないけどなぁ』

『そう言えば揉めば大きくなるとか……?』

みたいな流れを全裸待機していたのに、何故かガチ戦略語り始めて落胆した。そして同じく飽きた娘たちの水の掛け合いで男湯と女湯を分ける壁が崩壊し、壁にベッタリ張り付いていた俺も同時にぶっ飛んだんだ。

 

「俺は、どのくらい眠っていた……?」

「四半刻弱かと……」

「そうか。華琳たちは?」

「現在、皆様 寝間着に着替え移動中です」

「そうか……」

 

ということはもう牛乳は終わっちゃったんだな。ドリアン牛乳の反応とか、一人だけ抹茶オレの華雄の反応とか聞きたかったのに。

 

「この後、曹操様たちは何を……?」

「パジャマパーティだ」

「『ぱじゃまぱーてぃ』……?」

「皆で布団に寝っ転がったり枕を抱えて座ったり思い思いにくつろぎつつ『そのパジャマかわいい〜!』とか『誰が好き?』とか甘々な会話をしつつ寝るまで楽しむ会だ。その場の高揚感に任せて柄にもないことを言っちゃったりして楽しいらしい」

「なるほど……で、どうするんですか?」

「どうするって……?」

 

何のことだろうか。

 

「……あ、もしかして聞き耳たてるとか考えてる?」

「え、やらないんですか?」

「パジャマパーティは覗いたり聞き耳を立てたりしたらマナー違反なんだよ」

「『まなー』と言う言葉が何なのかは分かりかねますが、良くないことなのですね?」

「ああ。そうだ。ちなみにマナーっていうのは作法という意味だ」

「作法、ですか。それなら風呂の様子を伺うのは作法に反する行いなのでは?」

「風呂は様子を伺うのがマナーだ!……後で誰かがひどい目に遭うことまでセットで」

「『せっと』って、一括でってことですね。不思議な文化ですねぇ」

「初めて触れる文化ってのはそんなもんさ。でも、それを不思議と思いながらも受け入れることができたのなら、……みんながそういう風に考えることができたら、もしかしたら五胡や南蛮ともわかり合えるかもしれない。『仕方ない』という許容の心、つまり『和』。……今思えばそれが俺のいた国に大きな争いが無い理由なのかもしれない」

「す、すげぇ……」

「何が凄いって壮大なことを即興で語れる隊長がすげぇ」

「俺ってば初めて隊長を尊敬しましたってばよ……」

「ははは!今までは俺のことを何だと思ってたんだ?」

「普段はヘタレのくせに美味しいところだけ持ってくえろ天人」

「三課長さん!?」

「様子を見てこいと言われて来てみれば……随分と元気そうで安心しました」

「様子を見てこい、って……誰に?」

「私と言えば鑑惺様です。……ゆくゆくは鑑惺様と言えば私になるように画策していますが」

「え、あ、はい」

「では、ここに居ためんばーの情報も含めて鑑惺様に報告させて頂きますので。あでゅー」

「え、あ、はい」

「………止めないのですか?」

「何か聆なら笑って許してくれる気がする」

「あ、それ俺も思います」

「『あっはっはっはっ!仕方ないやつらやなぁ!』って言ってるのが目に浮かびますね」

「なるほど!鑑惺様はもう既に和を会得してるってことですね!」

「やっぱ聆にはかなわないなぁ〜」

「あはは、そうですね」

「じゃ、用事も済んだことだし、明日も早いから帰るか」

「お休みなさい」

「お疲れ様でしたー」

「………くそうっ!」




【悲報】三課長、敗れる

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