食欲の秋、文化の秋、芸術の秋、そして女心は秋の空ということで色々と心がぴょんぴょんしていたらこんなに期間が開いてしまいました。
秋の鮭はクッソ美味しいです。毎日食べてます。太りました。
プレミア12面白かったです。私モお嬢様として実況スレで白熱してました。
さて、本編はと言いますと内容がクッソ複雑な上に私の技量が不足しているためすごく分かりにくくなってるかもしれません。
でも安心して下さい。ここは分からなくていいところです。
聆と七乃さんが意図して分からないように行動しているのですから。
今回誤字多いです。気づいたらご指摘よろしくお願いします。
「ふゎぁあ…………うえぁ」
決戦の地へと向かう行軍のさなか。野営地の天幕での七乃さんとの話し合いの席。ふとした瞬間に何とも気の抜けた欠伸が出てしまった。やはり身体も頭もかなり消耗しているらしい。
今回の行軍では真桜によって改良され揺れが抑えられたちゃん美羽の馬車に同席させてもらっているが、これがいつものように騎馬(牛)だったらと思うと……。
「あはは……随分お疲れみたいですねぇ」
七乃さんも膝枕で眠るちゃん美羽の頭を撫でながら苦笑いする。
初めからそういうもんだと思っているが、それでもちゃん美羽は気楽なものだ。
「一昨日から面倒な問答ばっかりや。馬超やら諸葛亮やら……」
槍を刺されたり釘を刺されたり。
「それに麗羽さんも、ですね……」
「そらもう……あんなんあっかい。外にも内にも活発過ぎや。たった一晩波風立てんように収めるんにどんなけ苦労したことか」
それに加えて麗羽ェの傍若無人ときた。出立の前日に協定を結んでからというもの、自分の再起をアピールしたくてたまらないらしく、いつ余計なことをしでかすか気が気じゃない。
「猪々子さんや斗詩さんと連携してコレですもんねぇ」
「ちゃん美羽はどうにでも軌道修正できるけど、麗羽ェは一回『やる』言うたらもう止まらんからな」
最悪ちゃん美羽は蜂蜜を舐めさせていれば大人しい。が、麗羽ェの方は自己顕示欲が強く他人の欲しがるものを手に入れたがる(ちゃん美羽にも似たような気質は有るが)。正にトラブル体質だ。
「それでも猪々子さんと斗詩さんを味方に付けられるのは大きい、と?」
「消去法や。猪々子が抜けた状態やったら最序盤の私らの将二人だけやぞ。無茶過ぎるわ。ある程度は一騎討ちとかで稼がなならんのに」
正直な話、私たちの戦力では夏候姉妹季衣流琉の最精鋭部隊とかにマトモに当たったら確実に半壊する。文醜隊華雄隊はそこそこの数が居るが魏軍全体と比べればお察しだし、鑑惺隊は一千と五百程度の比較的少数の部隊だ。ぶっこ抜いてきた奴らも有能ではあるがだからと言って覆るものでもない。
策が成るまで保たないのだ。
「聆さんが沢山相手すれば」
「冗談でも御免やわ」
「でしょうね」
「……はぁ、そんでのぉてももう怪我しとるんに」
「まぁ、去ってもらう筋書きはもう通ってるんですから戦さえ乗り切っちゃえばこっちのものですよ」
「軽ーに言ぅてくれるわ」
その戦が鬼畜タイミング管理の難所だと言うのに。
「え〜、作戦の難易度で言えば今までとそう変わらないじゃないですかー」
「その『今まで』が大変やったやんけ」
「……もしかして、本気で結構弱気になってます?」
「私は黄巾の頃から弱気やぞ」
「不安なら『道化』さんの様子でも確認して来たらどうです?」
「どーせその時までガタガタやろから見てもしゃーない。むしろ下手に刺激せん方が良えやろ」
「まぁ、そ――」
「……どないしたん?」
「いえ、何でもありません」
七乃さんが言い終わるかどうかの瞬間、微かに外で動く気配が有った。丁度私が欠伸をした辺りから居た間諜だろう。
「七乃さんも疲れとんとちゃう?」
「うーん、そうでもないんですがねぇ」
「大体自分で疲れた思い始めたときはもう相当末期やからなぁ――」
「……」
「……」
「行ったみたいですね」
「くくくっ……七乃さんホンマ狸やわぁ。居るん分かっとってあんな話振ってくるんやもん」
「でも聆さんも即座に乗ってきたじゃないですかー」
「まぁ、せっかくの機会やし便乗しとかなな。さて、これで向こうがどう出るかやね」
「大体決まったでしょう」
「やろなぁ………wwwwwww」
――――――――――――――――――――――――――――
「――なるほど。……その内容に間違いは有りませんね」
「少なくとも、位置取りを定めてからは。互いに淀みなく話していましたから……途中に聞き取れない小声での会話が有ったとも思えません。聞き漏らしは無いかと」
「気づかれてないわよね?」
「は。本人は気のせいだと思ったようですが張勲が何やら違和感を感じたようなので大事を取って帰還しました」
「……まぁ、妥当な判断ですね」
ところ変わって呉蜀同盟会議天幕。
間諜の報告を受けるのは諸葛亮、孫策、周瑜、劉備、関羽の五人だ。
「ご苦労様。下がっていいわよ」
「は」
「敢えて周泰さんが見廻りに出てるときに諜報員を放って正解でしたね」
「ああ。奴ら明命のことも警戒しているだろうからな。逆に、明命が留守だと思えば気が抜ける」
その予想が大当たりした(大間違い)ワケだ。
「……さぁて、どう見る?」
「まず昨夜からこちらでも掴んでいた情報ですが……袁紹さんと何かしらの比較的強い協定を結んだということ。そして次の合戦の後にその袁紹さんを消す気で居ることが読み取れます、ね」
「…………」
「消す、か………」
諸葛亮の言った内容に、劉備と関羽の二人は暗く沈んだ表情を見せる。
「まーた複雑そうな顔しちゃって」
「以前にも言いましたが、聆さんは私たちの『甘い』考えを嗤わずに受け止めてくれた最初の人です」
「前から思ってたけど聞いてくれた聞いてくれたって……」
「今までは華雄然り、文醜然り、馬騰殿に翠……いずれも仲間に加えるか見逃すか」
「………つまり、敵ながらにしてあなたたちの理想を実行してる人物だと思ってたワケね」
「今回でひっくり返りましたが」
諸葛亮がすかさずトドメを刺した。今後(と言っても既に乱世も終局に近いが)のためにこの二人には鑑惺に対する好感度が低い状態でいて欲しいのだ。
諸葛亮と孫策周瑜という反鑑惺的な集まりに二人を呼んだのもそもそもはそのためである。
「私から見れば妥当だがな。……単に戦略面ではなく奴の思考を考慮して。奴はしきりに『有能』『損失』という事務的な言葉で人を評していたし、現在は曹操の下から離れ劉備殿を讃えてはいるが元は曹操の強硬な戦略を支持していた。恐らく奴にとっては思想など二の次で、この大陸を速やかに統一することだけが重要なのだろう」
「袁術ちゃんがかわいいってのも『自分の思い通りになるのが』かわいいってことだったのかもね。文醜華雄も殺すより使う方が効率的だと思ったんでしょう」
「………」
孫策の言に二人が言い返さないのを見て、周瑜は気を良くする。
「まあ鑑惺の人柄は別としても、だ。どうやら奴らの頭の中には次の戦での作戦が既に設計されているらしい」
「『一騎討ちで稼ぐ』『難易度で言えば今まで通り』という言葉ですね」
「それに『最序盤は私らの将二人だけ』ね。……まぁ言わなくても分かるだろうけど」
「あぁ。十中八九裏切るつもりだろう」
「っ……だが、ただ単に私たちを信用できていないだけかも知れんではないか」
「信用していようがしていなかろうが、味方だと判断していたならばこちらからの作戦指示もないうちから作戦を立て、それが確定しているかのように話すことなど出来はしない。逆に初めからこちらの提案を蹴って動くつもりなら幾らでも作戦を立てられる」
「開戦と同時に転じてくるんでしょうね。どうせ」
「それならば説明がつくな。奴らにとっては敵陣の中で戦が始まることになるワケだからな」
「それは……でも、周瑜さんの言う通り聆さんが非情な効率主義者だったら、我が強い上に相手の策に喜んでかかる今の曹操さんは一番嫌う相手のはずでしょ?今になって向こうにつくっていうのは……」
「だーかーらー、その策に喜んでかかったってのが嘘なんじゃないの?実際鑑惺がこっちに来たせいで祭の策は丸潰れで全体の流れを掴まれて逆に私たち本隊が急かされて出る形になったんだから」
「桃香様、愛紗さん……辛いでしょうけど、鑑惺さんはほぼ間違いなく黒です」
「く……」
「認めたくないのはわかるけどねぇ。……覚悟、決めときなさいよ」
むしろ鑑惺を斬る役目は関羽にさせようか。そうすれば、この戦に勝ったとしてその後の反撃戦線で一皮剥けた戦いが出来るようになるかもしれない。
「さ て、と。じゃあ、私たちはどうする?人質を取って封じ……られないでしょうね。アイツは」
「何も言わないでおきましょう。ただ、戦場では相手が寝返り次第即座に叩けるように備えておくべきかと」
「そうだな。策が発動する瞬間に潰せば向こうに混乱を与えることが出来るだろう」
「元々不利な戦い……コレが出来るか出来ないかが勝負ね………」
「…………」
その後、劉備関羽が退出した後もアレコレと議論は続いた。これまで隙を見せないどころか散々自分たちを引っ掻き回した鑑惺の尻尾を掴んだということが、本人たちは気づいていないながら相当嬉しかったようだ。
そう言えば連載して一年が経ちましたね。
4月には終わる予定で恋姫英雄譚発売に絡めたダイマエンドを考えていたのにどうしてこうなった。