哂・恋姫✝凡夫   作:なんなんな

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お久し秋鮭(激旨)。
最近本格的に寒くなってきましたがまだまだ鮭は美味しいです。
先週ぐらいからpso2を始めました。ep3までクリアしたのでep4実装まで放置です。

やっぱりデジタルって苦手です(唐突)。
今回は一回データが消えたのを急いで書き直したので誤字がヤバそうです。気付いた方はできるだけ早急にご指摘頂けると有り難いです。

本編の内容はやっと『もうすぐ戦だ』パートが終わり、最終決戦(β)へ。
まぁ、まだ舌戦が有るんですけどね。


第十二章X節その十五 〈β〉

「――以上が、次の戦闘での陣形と大まかな戦術となります。……何か質問や意見は」

 

 野営地本陣にて開かれた軍議は一通りの行程を終え、ある意味定形的な文言で閉じられようとしていた。

 

「………」

 

劉備や関羽などの親鑑惺派も含めた大多数が予想していた通り、方陣に分割されたカタチで蜀呉がそれぞれ布陣したその前面右翼寄りに鑑惺らが配置された。

 特に複雑なこともなく、また何かを言う空気でもなかったためそのまま終わるかと思われたが……

 

「のう、妾はもっと後方の方が良いのじゃが」

 

この者にはそんなこと関係なかった。

 

「……しかしそうなると鑑惺さんや華雄さんと離れることになりますが」

(鑑惺さん……この大掛かりな軍議に張勲さんと袁術さんだけよこして不参加とは何を考えているのかと思いましたがそういうことですか………この二人……質の悪い)

「何を言うておるのじゃ。当然そやつらもともに下がるに決まっておろう」

「そうですよねぇ。そもそも、聆さんが最前線でどうこうする質じゃないことは諸葛亮さんならよ〜く知ってると思うんですけど?」

「いえ。かの西涼騎馬隊を難なく捌いたほどの実力を持ってらっしゃいますし、魏の兵をよく知っているでしょうから……相手の勢いを挫いて攻めの起点にする その要を担うに相応しいと判断しました」

「それなら尚更陣の中程に置いて誘引と組み合わせた運用をする方が効果的だと思うんですけど」

「ですがそうなると華雄さんたちの突撃力を活かせなくなります。分けるのは……なにぶん急造の軍で情報や指示が通りにくくなりやすいので……一つの派閥は一つに纏めておこうということになってますからできません」

「それなら鶴翼と――。……いえ、クッサい言い訳はやめません?諸葛亮と美周瑜ほどの方々がここまで非効率的なことを何の裏もなくするわけ無いでしょう。どうせ裏切るだろうって思ってるんならそう言ってくれて良いんですよ?」

「………、……裏切るにしても、裏切らないにしても、私達はそれを確定するだけの判断材料を持っていません。まさか、あなた方も本気でまるっきり信用してもらえるとは思っていませんよね?」

「………はぁ。分かりました分かりました。諸葛亮さんは随分と"堅実な"方みたいですねぇ。もう私からは何もありませんよ」

「こりゃ七乃!妾の質問を勝手に終わらせるでない」

「えー、でも仕方ないですもん。お嬢様だってぇ、曹操さんや袁紹さんが『仲良くしよう』なんて言ってきたら疑うでしょう?」

「それはそれ、これはこれじゃ」

「えー、でも孫策さんも睨んできてますしぃ〜(適当)」

「そ、そんなもの妾がガツンと言ってやるのじゃ!……うおっほん、えー……」

「………」

 

本人は睨んではいないのだが不機嫌なのは確か。『睨んでいる』と言われればそのように見えないこともない。

 

「……、………やっぱりなんでもないのじゃ」

 

 その一言で軍議は終了。周瑜が『では、ここまで』と言い終わるや否や張勲らはさっさと引き上げた。まるで仕事は終わった、とでも言うように。

 

  ――――――――――――――――――――――――――――

 

 そしてしばらく後。いつもの面々()で反省会が行われる。

 

「良かったのか?」

「訊かれてしまえば答えるしかないでしょう。そもそも……」

「あんな内容は訊くまでもなく互いに認識している事実よね。ぽっと出の新参を本陣近くに配置できるはずがない。それをワザワザ訊いてきたということは」

「その質問自体に意味は無く、質問することによって何かをしようとしたワケだな」

「はい。そう見て間違いは無いかと。恐らくは中陣への移動がソレですね。……桃香様も、今にも口に出しそうでしたし」

「『そんなことありません!……朱里ちゃん、美羽ちゃんたちを中陣に入れてあげて』ってところかしら?」

「……そうですね」

「だが、私は張勲が中陣に行きたがるというのには違和感を覚えるな」

「あー、そう言われればそうかも」

「……?」

「ヤツは自分と袁術……二人だけが無事なら他はどうでも良いという人間だ。それこそ、この戦の勝敗もな。そして、中陣に居れば裏切りの効果は確かに大きくなるが、その後うまく逃げられる確率は低くなるだろう。……四方を敵に囲まれているのだからな」

「張勲さんの行動原理に反するということですね……」

「逆に鑑惺の方にはガッチリと当て嵌まるがな。……だが、それを差し引いても張勲がアレほど語気を強くするのが不自然だ……。ヤツは自分のこと以外……いや、自分のことでさえ熱くはならない」

「確かに、一回殺しかけたときもピーピー泣きつつしっかり冗談言ってきてたわね」

「不自然と言えば、私が応えた途端にやけにアッサリ引き下がったのも……いや、唐突な入りも不自然です」

「………言質?」

「何のです?」

「『向こうも信用してないんだからそれに応える義理もない〜』みたいな。ほら、曹操って覇道に拘ってるじゃない?」

「信頼を裏切るのは卑怯と言われるが元々対立していたとなれば理解も得られる……と?」

「ですが鑑惺側もそもそも曹操が新参を受け入れたことに反発して離反した……という設定です。それを声高に宣言していますから、孫策さんの説では明らかな矛盾が表れてしまいます。言質というのは考え難いかと」

「だが曹操と我々では状況が違うのも確か」

「『曹操は余計なことをしなければ楽に勝てるのに』で、私たちは『ある程度掛けをしないと勝てないのに』ってことよね」

「その点は宣言されていません。なら、そこに考えが至る人がどれだけ居るでしょうか。人間の八割は盲目で難聴で愚かです。それを知らない鑑惺ではないでしょう」

「ならば……分かる者だけに働きかけようとした……?」

「でも分かってたら疑うのが当たり前ってのも分かってるでしょ。普通に考えて」

「………ならば、ならば何だというのだ……」

「案外さー、こーやって悩ませるための無意味な行動だったんじゃないの?」

「それならそれで、頭の作りが単純な人たちが対処してくれます。ですが、もし、あの行動に意味が有った場合……それを察知し防ぐことができるのは私たちしか居ません」

「……あぁ、そうだな」

「じゃあもうちょっと付き合ってあげるわよ」

 

 熱くなっているところ悪いが、一番最初に正解は出ていた。

 

  ――――――――――――――――――――――――――――

 

「――なーるほどなぁ……諸葛亮もなかなか踏み切ってったなぁ。人道説いとる主君の手前『信用してるワケ無いじゃんバカなの?』とは言い辛いと思とったんやけど」

 

 ちゃん美羽を寝かしつけたその後。私は七乃さんからの報告を聞いていた。

 どうやら全体的に呉のメンバー+諸葛亮が主導権を握っており、特に私と親しかった娘たちは意気消沈気味だったとのこと。どうやら先日の『黒いのチラ見せ作戦』は予想以上に広まってしまっていたようだ。

 

「ちょーっとヘマしちゃいました。グイグイいきすぎたかもしれませんねー……。一応、その後わざとらしいくらいアッサリ引き下がって混乱を狙っておきましたけど」

「十分や。桃香ェだけ揺さぶるなんかできん。今回は諸葛亮の『防衛線』が厳しかったんや」

 

中陣に行けないにしても桃香と諸葛亮の間で軽く口論くらい起きないかと期待していたのだが……これは、軍議以前にもう諭されてた系かな。

 全く、私がせっかく苦労してあの手この手で麗羽ェが軍議に出席しないように工作したというのに。

 

「んー、でもどうします?最前線に決定しちゃいましたけど」

「どないもこないも……決まったからには最終確認や。……おい」

「はっ」

「"真桜以外の"将軍格の皆呼んで来てくれ」

「御意に」

 

 ……まぁ、既に私たちの一番の仕事は果たしている。そう嘆く必要も無い。後は戦の被害を少なくするように尽力するだけだ(激ムズ)。

 

「さーて、いよいよ大詰めや」

「うふふ……後の歴史家はコレを何と書き表すでしょうねぇ」

「『大茶番』辺りが妥当やろ」

 

ホント、自分でも思うがとんでもない茶番だ。




諸葛亮どころか仕掛けた側の聆まで読みが外れはじめたステキ戦略。

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