哂・恋姫✝凡夫   作:なんなんな

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早く美羽様を出したいです。
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恋姫で好きなキャラ上位十名(高位順)
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第四章拠点フェイズ :【北郷隊伝】始動!北郷警備隊 後半

 「う〜〜ん……」

「隊長、むずかしー顔してどないしたん?飴ちゃんいるか?」

「なんか悩みやったら酒が一番やで」

「聆、仕事中だぞ」

「いやー、街の雰囲気っていうか……なんか違う気が……」

 

独特の熱気に包まれる陳留の街。通りに並ぶ様々な店がお昼時に向けて盛り上がりをみせはじめている。こういうところは、いつも通りなんだけど……。

 

「普段はもっとみんな、声かけてきてくれるんだけど……」

 

今日は遠くから見てるだけ……?

 

「隊長が変態長って噂が広まったんちゃう?」

「嘘だろ……何だそれ嫌過ぎる。……それ、聆が広めてるんじゃないだろうな……」

 

 不穏なことを言う聆を振り返って気づいた。

 

「あ」

 

そうだった。いつもと違って今日は四人が一緒なんだ。

 

「隊長、不審者でもいましたか?」

「えー、そんなの怖いのー」

「アンタが怖いゆうてどないすんねん「どないしようもないな」……聆、強引な割り込みは禁止やで」

「ごめんなー(棒)」

 

気さくだし、四人ともカワイイ女の子(聆はどちらかというとキレイ系だが)だからうっかりしてたけど、立派な武官なんだよな。真桜はドリルだし、沙和もオシャレな格好だけど、しっかり双剣を装備している。特にヒドいのは後ろを歩く二名。オーラを纏い眼光鋭い凪と、破格の身長とこれまた破格の武器を持つ聆だ。

 

「いやー……目立ってるなぁ、俺たち」

「そう?んなことないんちゃう?」

「沙和があんまりにもオシャレだからかなー」

「はははっ!無い無いー」

「いやー……えぇ…?無いわぁ……」

「否定の仕方が酷すぎるの……あれ?目から汗が……」

「もうちょっと、みんながびっくりしないような格好にしないとな。特に聆」

 

聆の衣装がどんどん厳つくなっている件について。

鬼の上顎をモチーフにした頭飾り兼兜。同じく下顎の襟廻。

七段綴りの袖と荘厳な装飾が施された胸当てで上半身が固められ、通常より大きく、角が尖った草摺と佩楯 が、全体にどっしりとした重量感を与える。

太腿と二の腕を包む黒い襦袢の布は見るからに頑丈そうだ。膝、肘にかけて広がったそれを、細身のガントレットと臑当が締める。……右腕はそうなんだが、武器を担ぐ左腕は、三本指のやたらと重厚な手甲に守られている。

それらだけでも十分に異常なんだけど……一番はその上から羽織ったマントだった。窮屈だと言わんばかりに髑髏の蛇が躍り、他がモノトーンで統一される中、その眼だけが真紅に染め上げられていた。

……つまり、体全体で全力で威嚇しにかかっている。所謂厨ニ臭さは、そこはかとなく感じられる確かな技術と威圧感で掻き消されていた。

 

「厳つさだけで人が殺せそうなんだけど……」

「意匠は私で、指導が沙和やで」

「聆ちゃんの意匠は所々いいかげんだったのー」

「製作はウチや」

「何か、地獄の鬼の幹部って感じ?」

「お、えぇとこに気ぃついたな!そうやでー。これは一般兵と並んだ時に自己主張しつつ一体感を出す、 "《鬼神の軍勢》曹魏の指揮官" の観念で作られたんや」

 

ああ……そういえば、曹操軍の標準鎧と色の配置が似てるな……。全体的にエッジが効いてパンクでロック過ぎるけどな。

 

「華琳さんも、『新しい時代の風を感じるわ……』って気に入ってくれたで?」

「あぁ……そうなんだ」

 

好きそうだもんな。こういうの。

 

「ウチらの自信作やで」

 

真桜が目を輝かせて言う。沙和も嬉しそうにニコニコしている。こりゃ、警備では使うなとは言えないな……。

 

「で、凪はさっきから静かだけど……」

「………………不審者、不審者……」

 

異常が無いか目を光らせていた。氣を張り詰めてキョロキョロしてるから、凪自身が不審者になってるぞ……。

 

 暴走気味の真桜、暴走気味の沙和、暴走気味の聆。ひとり真面目だけど集中しすぎて暴走気味の凪。

 

「…………もしかして、戦場よりも危険……!?」

 

思わず天を仰いだその時。

 

「あーーー!!!!」

 

突然、沙和が大声を上げて、数軒先の店先へと駆け込んでいった。俺たちは、慌てて後を追う。

 

「どうしたっ!?」

「もしや、不審者か?」

「突然の便意か?」

「新しい阿蘇阿蘇が出てるー!!!」

「あ、阿蘇阿蘇〜?」

「そ。阿蘇阿蘇なの。ほら!」

 

そう言って、沙和が俺の目の前に阿蘇阿蘇を広げて見せた。どうやら女の子向けのファッション雑誌のようだ。

 

「見て見てー!社練の抜具が載ってるの♪かわいー!」

 

沙和が目を留めたのは、鞘の口に取り付け、剣の抜き刺しをスムーズにするための小物のページだ。

 

「うーん、カワイイっていうより、落ち着いてて上品って感じじゃない?……それにしても、阿蘇阿蘇……あぁ、つまりanaんむ!?」

「あ…ちょっと間に合わなかったの。……それ以上はいけないの。ね、それよりほらー!沙和、今月の恋愛運、二重マルみたいなのー!隊長はー、誕生日いつ?」

「えっと俺は……」

「おーーーっ!!!」

「なんだっ!?」

 

真桜の叫び声が、向かいの店から聞こえてきた。って、いつの間にか皆どっかいってるじゃねーか!

 

「なんだっ!?どうした!?」

「見てぇ!幻の超絶からくり夏侯淵!」

「…………なんじゃ、こりゃ」

「あー、知らんのも無理ないかー……からくり夏侯淵っちゅうねん」

「夏侯淵……」

 

真桜の手の中にある人形は、たしかに、夏侯淵……秋蘭に見えなくもない。

 

「からくり夏侯惇は知っとる?」

「あぁ。あの真桜が偶にいじってる人形だろ?」

「せや。で、しばらくして、それを作ったからくり師が妹の秋蘭様も作ろっちゅうことで作られるはずやってんけど……」

「……作られる『はず』?」

「……まず、からくり夏侯惇もす~ごい珍しいんや。大人気ない春蘭様が、『こんなものはわたしでは無い!』って怒ってもーて、あっちゅー間に発売中止になってん」

「なるほど。『あっちゅー間』に発売中止になった春蘭に引っ張られて、秋蘭も頓挫した、と」

「そ。んでもって、実際作られたからくり夏侯淵は意匠の確認用やった五体だけや。やから世の中に有る全部のからくり夏侯淵は姿勢がそれぞれ違うねん!」

「そんなに貴重なら、それって本物なのかあやしくないか……?」

「五体のうち、歩く夏侯淵をからくり師、呆れ顔夏侯淵を秋蘭様本人が持っとって、騎馬夏侯淵が焼失。で、お茶飲み夏侯淵と踊る夏侯淵が行方不明なんや。……でや。手元に有るこの夏侯淵は?」

「お茶飲んでるな」

「それに、足裏の印も、表面の加工と絡繰の仕掛けのクセも私のからくり夏侯惇と完全に一致したんや!」

「じゃあ本物か!すごいなぁ」

「せやねん〜!こりゃ掘り出し物やで。好事家ならとんでもない値をつけるはずや!……な、おっちゃんこれナンボ?」

「買う気か?」

「は?当たり前やろ??」

「で、でも今は仕事ちゅ……」

「おっちゃん、ナンボ!?……は?あっかん!そら高い!ぼりすぎやろ!」

 

真桜は世界に四体しかないからくりの値切りに夢中だ。世界に一人の隊長の言葉も聞きやしない。

 

「はぁ……俺、甜められてるよな……。確かに弱いし頼りないけどさ……一応俺が隊長なんだからさ……」

 

ただでさえ無い自身が……

 

「待てっ!!!」

「今度は何だよおっ!!?」

 

落ち込む間も無く叫び声があがった。

 

「待てと言われて待つバカはいないッ!!」

「うわっ!!」

 

店先から飛び出してきた不審な若い男が、俺のすぐ横を走り去っていった。その後を凪が追う。

 

「何があった!?凪」

「盗人です!!売り物を片っ端から……!」

「な、なんだってー!!ΩΩΩ」

 

警備隊隊長として、それは放って置けない。俺は、賊とそれを追う凪の後を追った。

 

「頑張れ凪〜!!なんとしても捕まえるんだ〜〜」

「はい、隊長」

 

凪は魏の将軍の中でも12を争う俊足の持ち主だ。だけどすばしっこい盗人は、路地や通行人を上手く使い、凪や俺を追いつかせない。

 

「くっ……ちょろちょろしおって……」

 

凪は走りながら悔しげに呟いた。

 

「ええいっ、まどろっこしい!!!」

「へっ!??」

 

凪の背中に、轟々と氣のオーラが浮かび上がる。

 

「ちょっと待て!アレはダメだ!!」

 

ここは陳留の中心地。多くの店が有り、人が居る。

 

「ちょ、本気出しちゃらめえぇぇぇぇぇ!!!」

 

ああ〜……グッバイ平和な街並み。

 

「ギャッ!?」

 

最早これまでかと諦めかけたその時。盗人は横から飛び出してきた何者かに足を引っ掛けられ盛大にすっ転んだ。盗人の首元を踏みつけ取り押さえたその人は……

 

「おぉ、隊長。小五月蠅い小悪党一人捕まえたでー」

「聆!」

「聆!今までどこにいたんだ!」

「『どこにいたんだ!』っやないわ凪ェ!お前何街中で氣弾撃とうとしとんじゃいや!?」

「いや……その盗人を捕まえようと……」

「周りの被害考えんかったんか」

「だが……隊長がなんとしても捕まえろと……」

「あァん?じゃあ凪ェは、北郷隊長は盗人捕まえるためやったら通行人も周りの店も吹っ飛ばしてええって言うような奴やと思っとるんやな??」

「いや!そういうわけでは…………」

 

歯切れ悪く答える凪というのは珍しいな。聆の説教は……何故かしっくりくる。

 

「なんやなんや、どないしたん〜?」

「あ、凪ちゃんが怒られてるのー」

「真桜……沙和…………、遅いよ……」

 

各々の手の中にはしっかりと、からくり夏侯淵や阿蘇阿蘇を抱えている。

 

「それにしても……二人は凪が怒られてるのにあんまり驚かないんだな」

「聆ちゃんのお説教は偶によくあるのー」

「どっちなんだ」

「聆、ホンマに危ないときとか、他所様に迷惑かけそうなときは怒るよな」

「じわじわ怒るからじわじわ精神が削られてくの……」

 

と、どうやら説教が終ったようだ。盗人を担ぎ上げて聆がこっちに来た。……さっきまでずっと踏まれてたよな。この盗人。

 

「じゃあコイツ詰め所に連れていってくから、見回り戻っといてーな」

「いや、戻ってくるまで待ってるよ」

「ああ、そう?んじゃあ急いで戻ってくるわ」

 

聆と入れ替わりで、凪がやって来た。

 

「先程は申し訳ありませんでした。隊長。軽率な行動で市民を危険に晒すところでした……」

「今度からは気を付けてくれよ」

「はい……」

「じゃ、聆が帰ってきたらラーメンでも食べにいくか!」

「隊長ありがとう」

「ありがとなのー」

「ん?何が?」

「だって隊長がウチらにラーメン奢ってくれるって言うから……」

「言ってないぞ!?」

「沙和たち今お金ないのー。おねがーい」

「好き勝手やっといてよく言うよ……」

 

盗人を取り押さえるとき、聆が飛び出してきたのが酒屋からだったのは忘れることにした。




この拠点フェイズ、最速で選択すると、陳留でのことになるんですが、テキスト確認してたら洛陽になっててビビりました。
無印とアニメ1期2期の馬騰が男なのはしっているんですが、真恋姫の馬騰ってどっちなんですかね。馬騰救済を急に思いついたので。

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