哂・恋姫✝凡夫   作:なんなんな

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今回めっちゃ言い訳がましい文章になってしまって辛いです。原案とコンテは割と得意なんですが、それに肉付けする段階でだいたい事故るんですよね。

関係ないですけどスープカレーを作りすぎました。


第十三章一節その五〜二節その一 〈α〉

 「くそっ、火の勢いが強くて近付けないな……」

 

本陣からまっすぐ前線へ向けて進軍を始めた俺達は、炎に壁に阻まれて迂回。秋蘭たちと合流していた。

 

「聆は消火指示を出していないそうだ」

「手を出すな、ということでしょう」

「そうは言ってもなぁ……」

 

炎上した船による障壁は、黄蓋の船団をと囲むような半円を描いている。そして、開いているのは敵陣側だ。つまり、こっちからは回り込まないと行けないのに向こうからは直接行けるってこと。

 

「そんなことよりこっちも敵来とるで!」

「関、張、趙、黄、馬……!?五虎将揃い踏みかよ!」

「ウチ関羽な!」

「私は張飛の相手がしたい。以前は呂布に邪魔されたからな」

「あ、おったんや華雄」

「今から肩慣らしもいいかもしれんな?」

「二人ともそういうのは後にしてくれ……」

「ならば私は黄忠を希望する。姉者は馬超をたのむ」

「任せろ!」

「ふふ……じゃあ私は趙雲と、ね」

 

総大将自ら最前線か……今更驚かないけど。

 

「貴様ら!何を悠長に喋っている」

「関羽ぅぅぅ〜〜↑待っとったでぇぇぇーーー!!!」

「うわぁ……鈴々、アレの相手は頼む」

「完全に引かれちゃってるじゃないか……何やったんだ」

「そんなんウチが知りたいわっ!ウチはこんなに関羽のこと想とるのに……」

「……同情する」

「星、そう思っているのならそのニヤけ面を引っ込めろ。……って我らまで無駄話をしてどうする!突撃だ!」

「やれやれ……。では、参るぞ!!」

「にゃにゃー!そこの気持ち悪いヤツも覚悟するのだー!!」

「定軍山ではまんまとしてやられたけど……今回はそうは行かないわよ、夏侯淵」

「望むところ……」

「行くぞっ!……西涼の雪辱、ここで晴らす!」

「久々に心躍る戦ね。……ここは私達が楽しむわ。一刀は炎の壁を回り込んで聆の援護にまわりなさい」

「おう!」

 

互いに入り乱れて火花を散らす華琳たち。あちらが尖い突きを放てば、こちらは力強い斬撃を返す。こちらが巧みなフェイントを繰り出せば、あちらは美しい連撃で応える。勝負は一進一退。こんなに激しく豪快な戦いは、ゲームやマンガでもなかなか見られないはずだ。

 

「って言ってもボーッとみてられないんどけどな。せっかく華琳たちが開けてくれた道だ。敵が広がってくる前n――」

「ここに居るぞーーー!!!」

「うわっ!?」

 

いきなり横から槍が突き出された。俺は咄嗟に後退って避ける。

 

「ありゃ、避けられちゃった」

「馬岱……?いつの間にこの船に」

「お姉様たちが戦ってるところから紛れ込んで、大回りして後ろから」

 

人懐っこい笑顔で答えてくれたんだけど、しっかり槍を構えてもいるんだよなぁ。俺も刀抜いてるから他人のこと言えないか。

 

「へー……戦う気なんだ。でも、そんな棒立ちみたいな気の抜けた構えでマトモに戦えるの?」

「戦えないと思うならさっさとかかって来たらどうだ?もっとも、俺には君みたいな小さい娘が戦場に居るのが心配なんだけど」

「……バカにしてる?」

「心配してるだけだよ。女の子に怪我させるなんて魏の警備隊長として問題だからね」

「これでも立派な将なんだけど?」

「そう言われても、全然そうは見えないからなぁ。もしかして迷子かな?俺がお母さんのところに連れてってあげようか?」

「……もう怒った。一発でヤッちゃうからね」

「あんまり強い言葉を使わない方が良いよ。弱く見える」

「うる、さいっっ!!!」

 

俺の構えは右自然体中段構え。現代日本剣道において最も基本的且つ一般的な型。

 

「ッ!」

「きゃっ!?」

 

相手のどんな動きにも対応出来る。

 

「くっ……」

「………」

 

そして、俺は聆との鍛錬で徹底的に防御を叩き込まれた。

 

「次、来なよ」

「こンのぉぉぉぉ!!」

 

つまり、攻めはその辺のちょっと強い剣道部員程度ってこと。相手の心が折れるか助けが来るまで挑発と防御を繰り返さなきゃいけない。なんてこった!!

 

  ――――――――――――――――――――――――――――

 

 炎上する船の上。黄蓋と対峙する私は、予想以上の苦戦を強いられていた。

 当初の予定では、精神的にある程度優位に立った状態で遠距離戦を終えて近接戦に移るはずだった。

 大陸トップクラスの弓兵である黄蓋に対して『遠距離戦で優位に立つ』ことを想定するのは変に感じるかもしれない。だが、基本的に単体の弓兵というのは恐ろしくないのだ。

 その理由は二つ。

 まず第一に『矢と槍とならどちらの威力が高いか』という問題。もちろん、槍だ。矢は叩き落とせる。黄蓋の放つ矢は、確かに帆柱を薙ぎ倒すような威力を秘めているが……この世界では別に珍しいことではない。現に地割れとか時空断裂とか経験してるしな。普段から乙女武将らと鍛錬している私にとっては大きな脅威ではない。

 第二に、その弾数に限りがあること。矢筒に入る矢はだいたい二十本で、黄蓋はそれを二つ装備しており、二〜四本掛けで撃ってくるだろうから……実質の攻撃回数は十回前後。対して私はといえば体中に投具を仕込んでいる。袋に詰め込んだ撒き菱まで準備していた。手数は倍以上なのだ。

 そして、一度間合いを作ってしまえば、あとは色々と仕込んだ武装で仕留めるつもりだったのだ。黄蓋の強みはその優れた心理戦能力。裏を返せば、挑発にさえ気をつけていれば他の乙女武将とそう変わらないのだ。そして、そのハードルを超えてしまえば、あんなガーターベルト丸出しチャイナドレス風乳袋なんてナメた服を着てるヤツなんかに負けるわけ無い。

 

 では何故苦戦しているのか。……『当初の』という言葉から分かるように予定通りにいかなかったからだ。

 一つ。

 

「オラァッ!!」

「はっ!何度やっても効かぬぞ!」

 

と、まぁ、頑張って投げつけても氣の障壁を貼られるのだ。クナイ程度の重さがないと撥ねられてしまう。私が多様するのは棒手裏剣だ。重さが足りない。よって手数での優位は取れない。

 二つ。

 

「フッ」

ドシュッ

「ッ!!」

キンッ

「当たれっ!!」

「くっぉぉぉ!!」

 

何が起こったか。……簡単なこと。『弾いた矢が方向転換して向かってきた』のだ。これも氣による作用っぽい。氣を込めて威力を上げたり飛距離を伸ばしたり風の影響を消したりなんかは秋蘭や黄忠もやっていたが……まさかこんなファンタジックなことまでやってくるとは。原作の厳顔vs張飛とかを見て『やっぱ遠距離武器って避たら終わりやん』って嘗めてた。幸い"失速した後"に"一度しか曲げられない"ようだが、何も考えずに適当に弾くと周りに散らばってオールレンジ攻撃される。よって、防御面での難易度も跳ね上がる。

 

「(でも、やからって立ち止まってもしゃーない)」

 

何発も射られる前に間合いを詰める。幸い、ここは船の上。スペースは限られている。

 

「フッ!!」

 

大きく、強引に一歩。黄蓋との距離が俄に縮まる。そしてそれは相手も待っていた瞬間だ。

 相手は弓兵。そのサブウェポンとしての鉄剣による近接戦闘術が『遠距離戦に焦れて突撃してきた敵の迎撃』を想定しているのは明白。対して、私のリーチが極端に長く、中距離では一方的な展開になると相手は予想しているはず。

つまりどうなるか。

私が、私の間合いに黄蓋を捉える瞬間に黄蓋は更に間を詰め、逆に私を捉えようとする。

なら、ここで私は後ろに跳ねる!

 

「チッ」

 

牽制の一発も忘れずに。

体制を整え、半身で黄蓋に対する。左腕で相手との間合いを管理し、右で仕留めにかかる、ボクシングで言うところのヒットマンスタイル。反董卓連合の頃からの十八番だ。

 

「取り敢えずこの駆け引きはこっちの勝ちかな?」

「その割には随分消極的な構えに見えるがのう」

「消極的?無い無い」

 

ヒットマンスタイルの真骨頂は変幻自在のフリッカージャブ。もちろんその性質は私の構えにも反映されている。

 

「私はいつでも攻撃できる態勢や。こっちから攻撃せんのはそのキッカケが無いから。どんな攻撃的な戦い方でも、迂闊に動けんのは一緒やろ?現にお前も今にも突っ込んだろって体勢のまま固まっとるやん」

 

所謂『先に動いたら負ける』である。

 

「ん?儂はお主があまりにも嬉しそうな顔をしておったから話を聞いてみただけじゃが。ほれ」

 

……………どうやら見当違いだったらしい。黄蓋は無造作に一歩踏み込んで来る。

私は、それに手を出せない。

ハッタリか?

マジか?

私が機械的に左を出せばコイツを斬れるのか?

それとも何か超人的な氣の操作によって超反応のカウンターをかけてくるのか?

分からない。

相手の歩に合わせて後退るよりない。

何か、一瞬で完全に流れを掴まれた。調子に乗って余計な会話を振ったばかりに……。

 

「ほれ、どうした?儂がここまで動いてやっておるのじゃぞ?さっさと攻撃してみんか」

 

うるせー!その攻撃手段を一生懸命考えてるとこなんだよ!

 

「さっさとせんと もう船の端に着いてしまうぞ?」

 

クソが……もういい。もう開き直る。そっちがそう来るならこっちも同じことしてやる。

 私は後退るのを止め、剣をゆっくりと動かした。その先にあるのは、黄蓋の剣。剣と剣を接触させることにより、動作をコントローr――

 

キンッ

 

天高く跳ね飛ばされる細剣。同時に、腿にめり込むほどの強烈なローキックによって、私の脚は薙ぎ払われた。

 

あーあ。こうなるとは思っていた。意外と呆気なく終わったもんだ。




祭「鬼とか何とか言われていたが大したこと無かったのう」
愛紗「あの粘着質な敵もやっと諦めてくれました」
蒲公英「めんどくさい相手だったけど、結局力押しで楽勝だったよ!」
桃香「曹操さんも私達の考えを分かってくれたみたい」
雪蓮「合流する頃には魏の船団が退いて行ってたわ」
星「メンマ大量生産の目処が立った」
焔耶「犬が苦手じゃなくなったぜ」
明命「お猫様が子猫様を産みました!」

HAPPY END!
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