哂・恋姫✝凡夫   作:なんなんな

150 / 189
 お久しぶりです。前々から言っていたように他の作品にも手を出していたため遅くなりました。
 東方東方と言っていたのですが、そそわの方に、私が書きたかったことが書いてある作品群……というか作者様が居たため急遽サモンナイト4に決めました。
 この作品は原作プレイ者向けなので、逆にサモンナイトの方は未プレイの方向けに説明多め……という体でやってます。実際に未プレイの人が納得できる説明かは尻ません。

交代
交代読み
交代読み積み
交代読み積み読みアンコール
交代読み積み読みアンコール読みぶっぱ

ヤバイ、誤字多い……


第十三章三節その三 〈α〉

 SEKIHEKIから数日。春蘭と季衣と霞、そして私は先遣隊として建業への道を進んでいる。建業攻めにあたっての、布陣予定地付近の偵察と露払いが任務だ。常識的に考えて、肋骨逝っちゃってるのに先遣隊などおかしな話だが……華琳曰く『貴女は肋骨一本くらいで音を上げるような娘じゃないわ』だそうだ。実際そんなに気にならないから慣れって凄い。

 

「やはり陸路は良いな!二本の足でしっかりと大地を踏みしめて歩けるというのは良い!とても良いものだ!」

「言うて馬に跨ごうとるんやけどな」

「揚げ足を取るな!」

「でもほんとに、ゆらゆらしない地面がこんなに良いものだったなんて、初めて知りました」

「なにおぅ!霞だって――」

「ウチ、船の上平気やもん。聆もやんな」

「正味 春蘭さんほどの運動能力が有って船酔いするんが解らん」

 

確か、乗り物酔いの原理は完全には解明されてなかったと思うけど、学校の遠足とかで乗り物酔いしてる奴って運動できない鈍臭い奴ばかりなイメージがある。

 

「それにゆらゆら揺れるなら馬の上かて似たようなもんやろ」

「えー!馬は『ずんずんずんずん』ってしますけど船は『もわ〜〜〜っっ』って感じじゃないですか。全然違いますよ」

「そうだぞ。今 季衣が良いこと言った!」

「えへへ〜」

「いや、分からんねんけど」

「言わんとしとることは分からんでもない」

「な!?聆の裏切り者〜!」

「ぬわっ!?馬の上から抱きつくなや!」

「鑑惺様、斥候からの連絡です」

「お、ご苦労」

「呉はこの先の平野に布陣しています。将軍格の旗は全てたっていました」

 

そこで本隊と合流したかったのだが……先に抑えられていたか。

 

「ふふん。総力戦か。楽しみだな」

「籠城してくるかと思ったけど……そこ過ぎれば建業やし、やっぱり城を見せることすら嫌やねんやろな」

「住民に配慮したっちゅーこともあるんちゃうのん?」

「どちらにせよ、孫策と剣を交えるのが待ち遠しいぞ」

 

……私の記憶では、このときの春蘭はもう少し大人しかったはずなんだが。……そうか。黄蓋が死んでないからテンション下がってないのか。

 

「楽しみやからって暴発しなや」

「そ、そのくらいのことは分かっているぞ!……だが、相手が一当てしに来たら相手をしても良いだろう?」

「流石に私たちだけじゃ相手しきれませんよー……」

「突撃されんよーにだまくらかさなな」

 

  ――――――――――――――――――――――――――――

 

 「――そう。魏の第一陣がこの先に……」

 

当の呉軍にも、魏軍接近の報は届いた。

 

「はっ。こちらを発見したのか、進軍を停止しており その場で後続と合流する気のようです」

「この数の相手なら、合流される前に痛撃を与えられるわね」

「……相手の将は?」

「夏侯惇と許緒です」

「夏侯惇が?……やめておきましょう」

「ふむ……確かに、よく考えるべきだな」

「どうしたのですか?姉様。それに冥琳も」

「夏侯惇のような猪を、先遣隊に使ってくることが不自然なのよ。変に先走られたら困るもの」

「そこまで愚かでs――ああ、愚かでしたね」

 

盗賊を追って他領に入ってしまった逸話は有名だ。

 

「そうだ。夏侯惇が本隊から離れる場合は常に誰か抑えの効く将がつけられる。夏侯淵やら張遼やらのな」

「その役目が許緒なのではないのか?」

「いや、許緒は夏侯惇の弟子のようなものじゃ。あやつ本人よりは常識的だが、突撃至高主義であることに変わりはない」

「伏兵の可能性が?」

「ここまで来て曹操がそういう手を使うかは疑問なんだけどね」

「じゃが、魏にも曹操の命令の外を動ける存在が、少数ながら居る」

「元々総力戦のつもりだったんだもの。余計なことをして恥を晒したくないわ」

「……雪蓮様」

「何、明命」

「先程新しく放った偵察兵が、夏侯惇の周囲に潜む小隊を発見したと」

「敵の斥候ではないの?」

「斥候にしては規模が大きいと。旗は降ろされていたので確実ではないですが、おそらく張遼と……鑑惺だとのこと」

「なかなか手堅い面子だな……張遼の機動力に鑑惺の奇術。雪蓮の見立ては正しかったようね」

「ですが……鑑惺の歴戦を鑑みるに、策の隠蔽は相当上手いはず。少し偵察兵を出したくらいで見破れるものでしょうか」

「……つまり?」

「いえ、上手くは言えないのですが、違和感というか……本当に策なのか、と」

「……本当は攻められれば負けるから、策が有るように見せかけて 突撃されるのを防ごうとしてるってこと?」

「策を読むことを読んでおるということか」

「確か、定軍山の戦いではそうやって黄忠と馬超を破ったのよね」

「そうなると、攻めてしまうのが得策ですね」

「だが……伏兵を読むことを読むことを読むことを読んでいるのかもしれん」

「何を言っておるのだお主は」

「つまり、相手は『私達が『相手が『私達が『伏兵がいる』と知る』と予測する』と予測する』と読んで、本当にもっと大量の兵を別に隠しているかもしれないということよ」

「????」

「???」

「……おかしい。私自身何を言っているのか分からなくなってきた」

「『強がってるけど本当は何もないんでしょ?』って攻めた私たちを『いや、実はもっと大量に居ったんですわ』って倒そうとしてるってことでしょ?」

「そ、そうだな。うん、そうだ」

「あぁ、なるほど」

「でも、それはそれで解りかねます。元より全ての伏兵を我々に見つからないように隠しておけばいいのでは?」

「いや、そうでもない。何の情報も持っていなければ『何か有るかもしれない』と思って攻めるだろう。だが、疑いの余地の有る伏兵を見ることによって『策は見破った』と勘違いさせられ、油断してしまう」

「な、なるほど……」

「じゃが、それを言うなら『伏兵読み読み読み読み読み読み』も有るかもしれんぞ?」

「あーーー!もうっ!だから言ってるじゃない!変な賭けをするより、ここで待ち構えましょうって」

「あ、ああ。そうだな。そうしよう」

 

  ――――――――――――――――――――――――――――

 

 「……よくもまあ、こんなところに居て無事だったわね。すぐに引き返せば良かったものを」

 

本隊と合流して真っ先に言われた一言がこれ。引き返すというのは盲点だった。私もまだまだだな。

 

「こんな小勢で敵の全戦力のすぐ近くに留まるなんて……。聆、霞!あんたたち何やってたのよ!」

「私には聞かないのか?」

「あんたに聞いても何もならないでしょ」

「なにを!バカにするなよ?」

「なら何なのよ。どんな考えが有ってこんなことをしたの?」

「やつらは魏の精兵の威に震え上がって動けなかったのだ!」

「しね。霞、何をしたの?」

「ウチらは散開しとっただけやで?」

「あとは相手方が勝手に勘違いしてくれるやろってな。何か私の名前やたら広まっとるらしいし」

 

諸葛亮やら馬超やら、私の命を狙ってる奴はけっこう居るからな。黄蓋の件で更に増えたはずだ。

 

「悪名やけどな」

「この際どっちでも良えんや!」

「決戦前に何をしているのよ貴女たちは……」

「いや〜、でも、なかなか相手の精神力削れたと思うで?」

「はぁ。もう、良いわ。自分の持ち場に付きなさい。禀、陣は整った?」

「はい。当初の予定とは異なりますが、修正を加えて問題無く完了しました。いつでも出られます」

「なら、こちらが寄せ手なのだし、少し挨拶してくるわ」

「は。お気をつけて!」

 

そう言って最前線の更に先まで向かう華琳。こういうのは、ほんとうに尊敬できる。舌戦は、相手のすぐ目の前に立つ危険はもちろんのこと、言い負けないだけの頭の良さと、何より声の覇気が大切だ。私は頭が冴えてくると声のトーンが下がってしまう癖があるからなかなか真似できない。

 

 

「……こうして顔を合わせるのは久しいわね」

「そうね。赤壁では、貴女ったら私の顔を見た途端逃げ帰ってしまったんですもの。話をするのは反董卓連合以来かしら?」

「そういえば官渡じゃ夏侯惇にしか会っていなかったわね……。できれば、貴女とは一生顔をあわせたくなかったんだけど」

「あら、ひどいことを言うのね。その官渡でこちらが多く貸しすぎた分を返してもらいに来ただけなのに」

「おかげで復権できたのは有り難いけど、その礼がこの江東全てというのは、いくらなんでも暴利すぎない?」

「この私が治めてあげようというのだから、そちらにとっては得の上乗せだとおもうのだけれど」

「残念ながら、そういうわけにはいかないの。この江東は我が孫呉の父祖より伝わる大事な聖地。命惜しさに差し出したとなれば、我が母孫堅、太祖孫武に合わせる顔がないわ」

「思ったとおり、孫呉は危険ね。そのような、血に頼った在り方が、親から位を継いだだけの無能な為政者を産み出し、国を腐らせる。やはり、私が変えなければ本当の平安は無いのね」

「そんな暴論を掲げて大陸中に戦火を広げることが、本当の大義なのかしら?北方を燃やし、涼州を滅ぼし、その欲は際限無く広がるばかり」

「おかしなことを言うわね。雑草だらけの畑は健全とは言えないでしょう?私は害悪を滅ぼしてまわっているのよ。現に貴女が引き合いに出した北方諸州も西涼も、以前より安全で文化的で、物も人も豊かになっているわ」

「気に入らないわね。貴女は人を見下すことしかしていない。人とともに歩くことができないのね」

「人に埋れて人を救うことができるのなら、ぜひそれを示してもらいたいわね」

「もちろんそのつもりよ。我が勇気、我が智謀、我が誇りの全てを賭けて、貴女たちを退けて見せるわ」

「ならば、我が曹魏も全力を以てそれに応えましょう。貴女が生かすべき人間なのか滅ぼすべき人間なのか、見極めさせてもらうわ」

 

「孫呉の勇者達よ!この戦、呉の命運を左右する一大決戦となる!我らのこの手で曹魏を打ち破り、この大陸から戦の源を葬り去るのだ!」

「曹魏の勇者達よ!この戦、魏の覇業を大きく躍進させる聖戦である!その力と命を以て、我らの覇を天に謳い上げよ!」

「「全軍!」」

「「突撃ッ!!」」




呉のキャラクターって口調の使い分けが複雑で書きにくいです。
基本三種類の喋り方使ってくるので。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。