つい最近まで存在を忘れてた戦闘を書くの超ツラい。
今回は後で修正入ります多分。入らないかもしれません。
関係ないですが、原作の設定使えんのになんでワザワザそのタイトルで映画作るのか。
鋼がぶつかり合う音が近付いて来る。……まだ。………あと少し。もうすぐ。
………今!
「XAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!」
「「XAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!」」
「「「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」」」
やり慣れた号令。だが、今回は鑑惺隊だけに留まらず全軍に広がり、天地を揺るがさんばかりの轟音となる。鼓膜が破れた奴も結構いるんじゃないだろうか。
そして、これが『号令』であるからには、当然それに従った行動が起こされる。
「斬山刀……斬山斬ッ!!!」
官渡の頃より更に太く長く鮮烈な光を放つ刃が、地面ごと敵を吹き飛ばす。
そして、同じような現象が他の地点でも起こった。春蘭、季衣、流琉、凪、かゆうま、猪々子……魏の誇る人外馬鹿力武将たちがありったけの力と氣を込めて反撃の一閃を放ったのだ。
後衛を、中央が下がった皿のような形(極めて浅い鶴翼陣)に布陣させ、将は一撃に備えて精神集中。各隊がほぼ同じタイミングで接敵するように前衛が調整。更に咆哮によって瞬間的に魏軍の気勢を高める。そして、一気に開放。
戦線は全ての意味でひっくり返った。
「次!弓兵隊!!」
「火桶車隊にも合図出しちゃってくださ〜い」
本陣に赤と青それぞれ一本の旗が立てられた。
ザザザっと空気の擦れる音がして、敵陣に矢の雨が振り注ぐ。
そして、未だ混乱したままの前線に、更なる一撃が加えられた。『火桶車』……火桶と言っても、日本の火桶のような生易しい物じゃない。……と言うより、完全に別物。馬用の桶に油を注いだものを衝車に乗せ、敵にぶつかる手前で火種を投げ入れ炎上させる急造兵器。火を噴く油を大量にぶっかける変態作戦だ。
元々この進軍は攻城戦を想定していたために、矢と火矢の燃料の油と衝車は豊富に用意してあった。それを一気に消費してしまう暴挙。ただでさえ物資豊かな魏軍の発狂ブッパの威力は……語るまでも無いだろう。
流石に全軍壊滅とは行かなかったが、前線の主導権は完全に取った。
「ただ、火桶車は完全に見掛け倒しやけどな」
火桶車一つにつき敵兵十人も巻き込めればラッキーな程度だ。
「今はその見かけが重要なのでしょう?一刀もなかなか面白いことを思いつくのね。単純な衝撃によって敵の士気を下げるなんて」
「精神的にキマっとる相手やし効果覿面やな」
……爆音と衝撃で敵をビビらせると同時に物理的に跳ね返して敵の進軍を止め、生物が本能的に恐れる炎というものをぶっかけ、大量の矢によって敵の数自体を減らす。普通は伏兵や策を恐れてこんな大量消費はできないが……定石を知らない一刀だから思いついたことなのだろう。曰く、『相手は突撃に命掛けてるだろうし、伏兵は無いだろ』とのこと。
ほとんど相手を畜生扱いしているようにも感じたが……一刀に他意は無いんだろうなぁ。
「ほんで流石にこんだけ間引いたら華琳さんの言う『共鳴』っちゅーんも切れかけみたいやな」
「大量の凡夫の魂が高密度で同調することによって一つの天才の魂の代用をするようなものだもの。こうなってしまえば我が曹魏の敵ではないわ」
「んだら、その人数が前線に補充されたらキツいか」
「敵を殺し続けない限りは」
「それは不味いなぁ」
「ええ。だから、牙の折れた哀れな虎を躾けなおしてあげましょう。素早く、とびきり派手にね」
そう言って軽くウィンクした。……なるほど、アレをご所望か。
「全軍」
白馬の上の華琳は天高く鎌を掲げ、そして、振り下ろした。
「殲滅」
「「「ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!!」」」
各将、そしてその最精鋭部隊を筆頭に、今度は魏が全軍突撃を仕掛ける。舌戦の最後に出る、言葉だけの『全軍、突撃』ではない。ガチの全凸だ。
そう。全凸。つまり本陣の私たちも出るということ。
「さぁ、孫策の顔でも見に行くとしましょうか。行くわよ、聆」
「アハハハハハハハハ/ヽ/ヽ/ヽ/ヽ/ヽ/ヽ!!!!!」
久しぶりの勢い任せの突撃だ。敵軍には大いに慄いてもらおう。
――――――――――――――――――――――――――――
「……ウソ、でしょ…………」
兵が、融けた。……この数十秒の出来事は、孫策にそう錯覚させるのに十分だった。
優勢が一気にひっくり返り、今度は孫呉が押しつぶされようとしている。
「あ、あはは……やっぱり、そう上手くはいかないか」
負ける予感はしていた。相手が何か仕掛けているのもなんとなく感じていた。だが、物量が圧倒的な魏と戦うには、突撃するより他に無かった。……それに、『勝てるかもしれない』とほんの少し前までは思っていたのだ。
「姉様!」
「蓮華!?」
「ああ!無事でしたか!!」
「ええ。私は、ね。……他のところはどう?」
「前線は、どこも……。ですが!両翼の突撃は明命たちが駆けつけて何とか耐えています。それに、中央も亞莎と穏が上がってきています!まだ負けてはいません!!もう一度巻き返しを……」
「そうね。ここからまた反撃……と行きたいところだけど、ちょっと厄介なのが来たみたい」
「厄介……?」
首を傾げる孫権に、孫策は前方を指し示す。そこには、魏を示す髑髏の兜が迫っていた。
「……!もうこんなところまで!?」
「それにアレ、鑑惺よ」
「死にたい奴はそこでじっとしとれェ!生きたい奴は道開けなァ!!ヒャッハーーーッッ!!!」
二人の目に映ったのは、小山のような水牛に跨り、狂ったように笑いながら両手に持った長物を振り回すバケモノ。
「あら……祭の話では相当知的な将だったはずなんだけど………?」
「と、とにかく、アレの相手は私が引き受けます!姉様は――」
「私の相手をしてもらうわ。いいでしょ?孫策」
「曹操……!!」
「そんな……」
「そう悲観的な顔をしなくてもいいわよ 孫権。私達が早く来すぎただけだから。兵が着くのはもう少し後よ。……ほんの少しだけれど」
「そんな余裕ぶってていいの?ここでこっちが勝ったら、せっかくひっくり返した戦況が台無しよ?」
「ひっくりかえした?違うわね。在るべき状況に戻っただけよ。兵も馬も将も武器も食糧もこちらの方が多い。そしてそれらのどれもが貴女たちのものより上質。これで負けろという方が難しいと思わない?」
「そんな 物量に頼った侵略者に、私たちは屈したりしない」
「物が有るのはそれを作ろうとする人の思いがあるからよ。それが分からない貴女ではないでしょう?貴女は私に反発する大義が欲しいだけ。だから浅はかな言葉を並べ立てる」
「大義は既に有る!孫呉の聖地たる建業を、曹魏の手から守るという大義が!!」
「私は孫策と話しているのよ 孫権。それに、孫家のために民を死兵に変えるのが大儀?」
「華琳さんェ……素早く倒すんちゃうのん?どーせこーゆー手合は一発ぶん殴らな解らんて」
「そうね。少し喋りすぎたわね。……さぁ、孫策」
「……言われずとも」
「じゃァ私はそこの小娘とやなぁ。ちょっと遊ぼか。孫権」
「くっ、……そのにやけ面、必ず血の海に沈めてやる!」
陣形イメージ
□呉□
□□□ 鋒矢+遊撃
□□□
□□ □□□ □□
□ □□□ □
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⇧風向き(弱)
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■■魏■■ 鶴翼+緩衝