哂・恋姫✝凡夫   作:なんなんな

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お久しBLEACH最終話

今回は話題が迷走Mind(風評被害)
しっとり華琳さんとはっちゃけ華琳さん。一話で二度おいしい(おいしいとは言っていない)。


第十五章拠点フェイズ : 聆(3X)の伝説

 騒がしい夕食も終わり、皆それぞれに任務や仮眠へと別れた。

 私は仮眠組。が、なかなか寝られずに居た。原因は、今まで続けていた睡眠時間削りまくりの生活。……それともう一つ。大陸平定、つまり真恋姫夢想のエンディングが近づいていること。

 原作ではこの時期になると、一刀は現世への帰還の前兆と思われる昏倒を繰り返していたはずだ。しかし、そんな様子は無い。夕食にも元気に参加していた。無論、歴史の直接的な改変はほぼ私が肩代わりしているのだから、これでもし一刀が消えたら理不尽を通り越してお笑いになり、そして笑えないから純粋な糞と言える。

 じゃあ、当の私はどうだ。不思議なことに、私も全く異常無し。別世界の人間であることを隠して、できるだけ自然な流れで(そうすれば安全だろうと一旦思考を放棄して)キャラの死亡を回避してきたけど……普通に考えて、正史を知っている者が私を見ればオカシイのはバレバレなはずだ。

 こっちに来てすぐの時もぶち当たった疑問だが、どういう基準なんだろうか。そもそも、左慈たちはどの程度の能力を持っているのだろうか。よく覚えていないが、ルートによっては貂蝉が大陸のどこかにいる一刀を探して旅をする、というものがあったはず。このことから考えれば、全て見通せるワケではないのかもしれない。世界を管理する(らしい)人間に千里眼系の能力が備わっていないとは考えにくいが……。何か特殊な状況だったのだろうか。そう言えば、その時に居た卑弥呼……アレはどういう立ち位置の人物なのか。呉ルートの最後にも出てきていたが。

 バカみたいに酒を一気飲みして(たぶん)死んだ身ゆえ贅沢を言うつもりはないが、わけが分からないのは勘弁願いたい。その辺も全部ひっくるめて左慈や貂蝉にインタビューでもできれば楽なんだが。

 

「……こっちからはどないしょうもないなぁ」

 

しかし現状、インタビューどころか姿も見えない。分からないことしかなくて手の打ちようが無い。

 さらに、身も蓋も無い話だが、全部アイツらの気分かもしれない。管理"システム"ではなく管理"者"である限り、その判断には私情が介入する。

 

「………」

 

 気分が悪いが、やはり気にしない他に何もできないしするべきでもない。全部忘れてさっさと寝よう。

 

「……聆、まだ起きてるの?」

 

そして灯りを消そうとした当にそのとき、天幕の外から声をかけられた。華琳か。

 

「今寝ようとしとったとこや。どないかしたん?」

「これと言って用は無いけれど」

 

出入り口の幕を上げる。

『けれど』ってことは、なんとなく話がしたいということだろう。華琳が私に対してこういう態度をとるのは珍しい。

 

「用の有る無し関係なく好きにゆっくりしていってぇや。国主なんやし」

「そう言われるとむしろやりにくくなるのよねぇ」

「すまんな」

「本当にそう思ってるのかしら?」

「あんまり」

「適当ねぇ」

 

そう言いながら、寝台に腰かける華琳。手前に椅子が有るのに、あえての寝台である。

 

「ふふ、今、ちょっと身構えたでしょ」

「そらな。なんてったってあの"華琳様"やし」

「逆に貴女の方は最近殆どそういう話を聞かないわねぇ。溜まってるんじゃないの?」

「びっくりするほど溜まってない」

 

 私が相手にしているのは戦場という危険度120%の現場と人外じみた力を持つ乙女武将たちだ。私も、この身体に与えられた平均以上の素質と修行に実戦を通して強くなってきたが、いくら強くなってもまだまだ足りない。なんと言っても、パワーが足りない。パワーが足りないなら、その分をどう埋めるか。より多くの時間を戦いの準備に費やさなければならない。よって時間がなかなか無い。その少ない時間も『鑑惺』というキャラを創るのに忙しい。さらに、仮に時間が有ったとしても恋愛関係というのは管理が面倒だ。強いつながりであるだけに、拗れると惨事を招く。広く円滑な人間関係によって広範囲に影響力を持とうという私の戦略とは反する。

 そうやって後回し……いや、ある意味避けている内に本当にそういう気がなかなか起こらなくなってきてしまった。もはや子を産むための手段、通過点としかとらえていない。

 最後にしたのはいつだったか……ああ、そうだ、北郷隊幹部水泳訓練の後だ。ただ、アレは四人で一刀を弄り倒したという印象の方が強いし……。

 

「……大丈夫なの?それ」

「あかんかもしれん」

 

 健康な女の思考とは言い難い。一言で表せば"枯れて"いる。私はどちらかというと旺盛な方だったはずなんだが。……日々の習慣というものは恐ろしい。

 

「私が思い出させてあげようかしら?」

「いやぁ……遠慮しますわぁ」

「脈どころか艶も何も無いわねその返事。せっかくの美しい躰が泣いているわよ」

 

そう言いながら、お手本のように艶っぽく撓垂れ掛ってくる華琳。『遠慮する』と言ったが、思い出すいい機会かもしれない。相手もまさかこの場面でハードなプレイをしてはこないだろうし、乗るのも良いか。

 

「ちょっと、どうして頭なのよ」

 

と、私から返した手の動きに不満の声が上がる。

 

「つい」

「はぁ……美羽たちの世話を任せすぎたかしらね……」

 

 愛撫(性的な意味で)の中で、頭を撫でることは別段悪手ではない。が、どうも私のそれからは子供や小動物をあやすようなニュアンスが感じられたらしい。そういう癖がついてしまっている心当たりは有る。華琳の言った通り、ちゃん美羽その他の相手だ。

 

「……まぁ、欲が無いんはある種好ましい傾向でも有るし」

「今まさに国を大きくしてさらに発展させようという時に何を言っているのよ」

「いやほら、その辺自重することによって向こうの潔癖な子らも引き入れやすい的な?」

「また当然のように生け捕り宣言してるわね」

「あ……いや、華琳さんも同じクチやろに」

「私も確かに欲してはいるけれど、それを前提としてはいないわ。……前々から気になっては居たし、実際、何度か探ったり尋ねたりした記憶が有るけれど……貴女、何が目的なの?」

「えぇ……」

 

色恋の話の次はこの追及か。本当に、さっさと寝ておけば良かった。

 

「別に非難するような意図は無いわ。純粋な疑問よ」

 

 はぐらかすのは無理そうだ。相手は『奸雄』曹操。気が立って平静を欠いているときならともかく、一対一でこうも"静か"では……下手に受け答えすれば余計に不信感を抱かれかねない。実際、私は呉侵攻前に『何故魏に仕えているのか』という問いを誤魔化そうとして失敗している。

 

「言わん」

 

なら、はっきり拒否するのも手の内かも。考えるのが面倒になったとも言う。

 

「……その返事は予想外だったわ」

「あかんか?」

「ダメとは言わない。……けれど、すこし寂しくはあるわね」

「……これから先はもっと長いんやし、そのうち分かるんちゃう?」

「またそうやって他人事みたいに。……『これから先』か………貴女、ふらっと何処かに行ってしまいそうで心もとないのよねぇ」

「………」

 

 上手く切り抜けたと綻んだ顔が再び引きつる。

 何かそういう雰囲気が漂っているのか?それとも、フラグ?何にせよ、華琳……三国志という物語の中心である曹操が私の安否に言及するだけの"何か"が有るということか?

 

「気まぐれだし、急に『羅馬に行きたい』だの『倭国に行きたい』だの言いだしそうだわ」

 

あぁ、そういう……。かなり心臓に悪かった。

 

「そういうのんは霞辺りが言いそうなもんやけどな」

「カラっとしてるようで意外と複雑だものね。こう言ってはなんだけれど、平和を甘受できない向きよあの子は」

「隊長が上手いことやってくれるんちゃうか」

「もうやることはやってるみたいよ」

「それは言わんでも分かり切っとるわ」

「そうよね。言わずとも、よね。……貴女が囲ってるのは別として、要職はほぼほぼ全滅してるみたいだわ。季衣に流琉……霞や凪なんて、私もまだ手をつけていないのに……稟なんて酷いのよ。私は鼻血のせいで触れることすら難しいのに一刀はしっかり結合してるのよ!?」

 

言いながら徐々に語勢が強くなる。そう言えば、華琳が三国統一したがっているもう一つの理由は『大陸中の美女を我が物にするため』だったっけ。それが、目の前で先を越されているんだから心中穏やかでないのもしかたない。たぶん。

 

「結合てあんた……まぁ、アレやて。本命は華琳さんで、隊長は自慰のおもちゃ扱いと思えば」

「一刀が稟の体を楽しめて私が交われないことには変わりないじゃない!!」

「そないに気にしとんやったらもう睡姦でもすればええやん……」

「……やっぱり頭いいわね貴女」

「はは………あ、そうや一つ自慢してええ?」

「何?まさか貴女まで実はいろんな娘を誑し込んでいるというの?最近は枯れ気味だけれど少し前までは私の知らないところでブイブイ言わせていたというの!?」

「そうやないけど……ちょい前の話ではあるな」

「何よ、場合によっては詳細な報告書を要求するわよ」

「隊長の筆下ろししたんは私なんやで」

「………な……」

 

華琳の目が見開かれてしばしフリーズする。

 言ってやった。

こっちに来てすぐの頃に立てた目標の一つを今まさに達成した。

 

「結構前にそういう噂が立っていたのは知っていたけれど、実際にそうだと言われると……何か神代の伝説を目の前にしたような気分だわ」

「予想を遥かに超える反応で嬉しいわ。それ以上に引くけど」

 

私も『目標』とか言って大げさだったが、相手はそれ以上で返してきた。

『神代の伝説』て。女媧やら三皇五帝やらと同列に一刀のちんぽを並べるつもりなんか?

 

「一刀の男根はね、数多の少女の処女を穿った言わば歴戦の猛者。それも、どの娘も一級の容姿と権力、そして実力を持つ英傑ばかり。本来あの子たちの方が大量の娼夫を囲っていてもおかしくないのよ。その辺りの凡婦を抱いた単なる性豪とはワケが違う。見た目が美しいだけの無力な張りぼてを抱いた王たちとも、ね。……非常に、本当に悔しくて胸が張り裂けそうだけれど、性交についてアレの右にでる者は無いでしょう。一刀の前では私の方が主導権を持っていて、絶対の自信があるように振る舞っているけれど、内心では負けを認めているわ。この私がこうまで言うんだから、その凄まじさは分かるでしょう?」

「お、おぉ……」

 

 おかしな雲行きになってきたが、華琳も色々ストレスで大変なんだろう。たまにくらいはっちゃけさせてもいいと思う。そういうことにしておく。私のことについてあれこれ質問されるのに比べたらよっぽど良い。

 

「私の覇道を振り返れば、幼き頃初めて潜った私塾の門を思い出す。将として勇ましく剣を振るう春蘭の背中に、木の枝を振る少女を見る。そして、あの男根にもそんな『初めて』が有った……感慨深いとは思わない?」

「それそう並べて良えんかいや」

「生物の強さはね、『頭脳』と『戦闘能力』と『繁殖』よ。何かと性的な話を卑下する風潮があるけれど、私はその風潮をこそ卑下するわ!」

 

握りこぶしを胸に、勢いよく立ち上がって宣言した。

 

「だから貴女の性器にも歴史的、文化的価値があるのよ。冗談ではなく真面目に。分かる?」

「あんまり分かりたくない」

「そういうわけで聆、女陰見せて♡」

「嫌です」

「なんで?(殺意)」

 

 このあとめちゃくちゃ押し問答した。




オチが分かった人はホモ

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