哂・恋姫✝凡夫   作:なんなんな

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スルメ食べてたら口の中怪我しました。
皆さんもスルメを食べるときは気を付けてくださいね。


第五章拠点フェイズ :【北郷隊伝】突撃!凪の激辛昼ご飯 前半と後半の間

 「うー……外は日差しがキツイのー……。焼けたくないのにぃー……」

「焼けたほうが好みって男も結構居るから良えやん別に」

「男の子がどう思うかなんてカンケーないの!」

「イミフー」

「えー!?聆ちゃんってやっぱり乙女心が分かってないのー」

「あぁん?煽っとんのんけ?今暑いから私ってば箍外れがちやで?」

「キャーっ隊長助けてー!酔っぱらいに襲われちゃうのー……っておぉう。そういえば隊長は変態長なの……」

「すっごい理不尽な展開でけなされたんだけど……」

「あーぁ……こんな晴れるってわかっとったら、夏侯将軍ら干してきたのになあ」

「真桜、『からくり』を付けないとマズイ……」

 

陳留の町並みを、五人でガヤガヤと騒ぎながら歩く。女の子の会話は内容とかメンバーとかがコロコロ変わって忙しい。俺も通り魔的にイジられたりする。

 

「それにしても、仕事以外で五人で街に来るのは初めてかもな」

「……すみません。先程は仕事の邪魔をしてしまったようで……」

 

凪は申し訳なさそうに俯く。

 

「いやいや、一段落ついたとこで、ちょうど良かったんだ。それより、さ、何食べようか」

「麻婆で」

「即答かいっ!」

 

ペシッ。

 

俺は思わず裏拳でツッコミを入れる。だけど凪は、不思議そうに首を傾けた。

 

「……なんですか?」

 

……ツッコミにきょとんとされるのはキツイ。

 

「いや、遠慮してた割には答えが早かったなあ、と。しかも麻婆だろ?ちょっと意外かも」

「たいちょー、あんな!凪は激辛料理が大好きやねんっ!」

「まぁ凪ェもちょっと問題有りってことや」

「っ!!」

 

真桜が凪の後ろから勢い良く抱きつき、聆がワシャワシャと頭を撫でる。

 

「……や、やめ……隊長の前で……」

「なー♪好きやんな、辛いモン。よう食べてるし」

「我慢せんでもええんやで?」

「……そんなことはない。別に、普通だ。我慢もしていない」

「ねーねー、凪ちゃんに質問そのいち〜!麻婆茄子と茄子田楽、どっちが好きー?」

「麻婆」

「そのに〜!担担麺と拉麺は?」

「担担」

「さいご〜!唐辛子と茘枝はー?」

「………………………唐辛子」

「ってなワケや」

「これァ病気ですワ」

「病気かどうかは別として、まあ、だいたい分かった」

「誤解しないでください隊長。決して辛いモノだけが好きだとか、辛い料理ばかり食べているとか、そういうワケではなく……」

「でも凪ェしばらく辛いモン無かったらイライラしたり調子崩したりするやん」

「なっ!……そう言う聆も酒が切れたら大暴れするじゃないか!」

「やから私は高らかに酒好きを宣言するで」

「ぐぬぬ……」

「ハイハイ、じゃあ今日は辛いもの食べようか」

「はいっ!」

 

良い返事。さっきまで聆と睨みあっていたのが嘘みたいだ。もしかしたら凪って、ただのツッコミイジられ役じゃないのかも。

 

「それで、どこかオススメの店とかあるの?」

「あー、そういえば聆、何かほとんど毎日行っとる店あったやん?香辛料とか追加できるって言っとったし、そこで良んちゃうん」

「えー、『チャーハン兄貴』け?この面子やったらアカンわ」

「え、"一見さんお断り"みたいな店なのか?」

「あー。別にそうでもないんやけど、初見が四人も一気に入ったら"爐途"が乱れまくるし他の"弟分"に迷惑かかるしなー。それに静かにせなならんから趣旨に反するんや。ってか、まず沙和が泣き出すと思う」

「……恐ろしい店だってのは分かった」

 

聆いつもそんなトコで食べてんのか。

 

「慣れたら良えんやけどなぁ」

「ねね、隊長ー。『一見さんお断り』ってなんなのー?」

「あぁ、こっちにはそういうの無いのか?えっと、俺がいた世界の京都って所の店は、常連の紹介が無い限り初めて店に来る人を入れたがらないんだよ」

「えー!?客が減るやん?何でそんなことするん」

「おかしな人間が入って来ないようにして面倒が起こるのを防ぐ……ってことだと思う。詳しくは分からないけど。……聆は知ってたみたいだったけど?」

「……言葉の雰囲気で分かったんや。一見さんをお断りするんやろ?それより、他どこ行くか決めよ」

「あぁ、ほかに誰かある?」

「そーいうことなら、凪ちゃんの出番なのー」

「そーそー。凪って舌オカシぃなっとるかと思いきや、ウチらん中で一番の食通やからなぁ〜!」

「料理屋やったら凪ェに任せとけば外れは無いわ」

「へぇ〜、そうなんだ?」

 

ちょっと意外だな。他の三人とは違って凪は「仕事一本」ってイメージが強いから、こういうことは新鮮に感じるんだよな。

 

「さっきから、凪の知らなかった一面を発見しまくってるなぁ。隊長は嬉しいぞ」

「確かに食べることは好きですが……華琳様たちのように、上等な食事を好む……というワケではありません。美味しいかどうかだけを考えて食べ……そして出来れば、それを自分の手で再現したいと思っているだけです」

「じゃあ凪は料理が趣味ってことかー。ちなみに再現は辛さ何倍で?」

「ちょ……っ!隊長まで!」

「おぉー。分かってきたやないの隊長」

「なかなか見事なちゃちゃ入れやな」

「まあでも料理かー。女の子らしくていいなぁ」

「〜〜〜っ!!」

 

凪含め武官の娘って普段男勝りで女性的な部分を見せてないんだよな。

 

「くすくす……♪凪ちゃんってば照れてるのー!かわい〜〜」

「……………ッ………」

「おーっと。続きは食事しながらゆーっくりしようや。あんま時間無いねんから、急いで急いで」

「まー、ちょっと凪を可愛がるんに夢中なりすぎたなぁ」

「そうだな。凪、案内してくれるか」

「……はい」

 

小さく頷き、先頭を切って歩く凪に案内され、俺たちはお店へと向かった。




この拠点フェイズ凄く長いですね。

あの店は関東に行った際に一度試してみたんですが、"カラメ"は唐辛子じゃなくて味が濃くなることだと知らずにマシて地獄を見ました。なんとか睨まれる前に食べきりましたが。

現代知識の勉強のため回路図を眺めていたら東方の二次創作を思いつきました。
だからなんだっていう。

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