哂・恋姫✝凡夫   作:なんなんな

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原作改変物ならここが第一の山場なんでしょうね。
原作改変物ならね。
この作品では相当の暇パートです。


第六章一節その二

 「聆、凪、沙和、真桜。顔良の指示に従って陣を構築しておきなさい。桂花はどこの諸侯がきているのかを早急に調べておいて。私は麗羽の所に行ってくるわ。春蘭、秋蘭、それから一刀は私に付いてきなさい」

「うぃ」

「御意」

「了解しました」

「……俺も行くのか?」

「他の将の顔も見ておくといいわ。何か得るものもあるでしょう」

「……了解」

 

黄巾残党討伐から数日。私達は反董卓連合集合地点に到着していた。華琳はこれから諸侯との軍議に参加するらしい。私もグダグダ会議参加したかった。あの頃はハムソンさん輝いていたもの。

 

「では、曹操様の陣はこちらに……」

 

顔良に案内されてかなり広めの空き地にやってきた。曹操軍全員分の天幕を建てるんだが……実際のところ、一つの天幕に結構大人数入れるので数はそこまで要らないし、練度の高い曹操軍の兵は天幕を建てるのも慣れているので、隊長格の仕事は完了報告を受けるくらいなものだ。私には追加で華琳の天幕の調度品のセッティングがあるのだが、そこまで気を張ることでもない。要はOL時代の私の部屋の配置を再現すればいいのだ。「女の一人暮らしなのにキレー」と有名だった私の部屋を。華琳も以前、整っているのに凄く快適だ、と喜んでいた。

 

「鑑惺様。北郷隊天幕設営完了しました」

 

飾りの剣をどこに掛けるか思案していたところ、報告がきた。

 

「うぃー。……おお、三課長か。戻ったら各課長共に面倒が起きん程度に諸侯の陣の見学するように言うてくれ」

「……偵察、ですか?」

「いーや。あくまで見学や。数値とかキワドい情報は桂花さんが取ってくる。お前らには雰囲気とかを見てきてもらいたい」

「分かりました。そのように伝えおきます」

「良し。行け」

 

三課長か……。アイツ私と喋るときニヤニヤしてるから嫌いだ。誰か裏切り者が出たら真っ先にアイツを疑う。いつも大人しい奴が一番怪しい、というセオリーは置いておいて、アイツ。だって普段伝令とか報告とかで出張って№2面してるし、何より若い娘だから。恋姫的に、私に成り代わって幹部になる可能性がある。

 

 「……よし、ここやな」

 

剣の位置も定まり、やることがなくなってしまった。

 

「聆ー。終わったかー?」

「おぅ。丁度えぇとこに来たな」

「何かおもろいこと無いー?暇で暇でしゃーないねん」

「とりま沙和と凪とかと合流しよーや。新しぃ来た流琉とか言うのんとも喋りたいし」

「せやね。たぶん真ん中の広場辺りにおるんちゃう?」

 

華琳の天幕から出ると、目が痛いほどに日が照っていた。そんなに意識はしていなかったが、やはり天幕の中は相当暗い。当り前だがな。

 

 「あ!聆ちゃん!今ねー、腕相撲やってるんだけどー、流琉ちゃんがすごいのー!今から凪ちゃんとするんだよー」

 

広場には人だかりが出来ている。その中心には、凪と流琉。机を挟んで……ああ、凪が負けた。"流琉と比べれば"凪は技術型だもんね。仕方ないね。

 

「あっちゃー!凪も負けたんか!こりゃ聆、あんた行くしかないな」

「は?何言っとんお前」

「新たなる挑戦者ーー!!鑑 嵬 媼!参上!!なのー!!」

「おい沙和ふざけんな」

 

とたんに周囲がざわめき始め、腕相撲のフィールドである机までザッと道が空いた。まったく、曹操軍はこういうトコでも練度が高いぜ!

こうなってはもはやどうしようもない。

 

「……沙和、後で覚えとれよ」

「あ、あははー……」

 

何か打開策を考えるため、努めてゆっくりと歩く。

 

「鑑惺様キタ━(゚∀゚)━!」

「主力鬼来た!これで勝つる!!」

「いったれ熊殺しー!!」

 

あ、真桜テメェ。

 

「鑑惺様なら……鑑惺様ならやってくれる……」

「強い!絶対に強い!」

「アハハ/ヽ戦法来るー!?」

「酒追加!酒追加!!」

 

期待され過ぎだろ。これ裏切ったら、落差ですんごいことになりそうだ。……なんとしても勝たねば。……なんとしてもな。

机の前まで着いた。流琉の正面へと立ち、まっすぐに見据える。

 

「……随分慕われてるんですね。鑑惺さん」

「何でこんな興奮しとんやろな。皆」

「それだけ鑑惺さんに期待してるんですよ」

「凪より力弱いから期待されてもなぁ。それと、聆、でええで。典韋……さん、かな」

「流琉でいいですよ。聆さん」

「くくく……。怪我せんよーに手加減くらいしてな」

 

そう。怪 我 を し な い よ う に。

 

そしてグッと手を握り合う。……これだけでも基礎筋力の差を感じる。レフェリーの季衣がその上に手を乗せた。

 

「よーい……始め!!」

「っ!!」

コッッ

「えっっ??」

「はいドーン」

ドッッ

「……しょ、勝者、鑑嵬媼!!」

…………

「SUGEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!」

「えええええええええええ」

「何 が 起 こ っ た ん だ」

「!?」

「どういうことなの……」

「はいドーンwww」

「鬼隊長マジ鬼隊長」

「理屈じゃない………!!」

「今回の腕相撲は典韋将軍の見せ場であって、鑑惺隊長は残念ながら噛ませ犬……。そんなふうに考えていた時期が俺にも有りました」

 

噛ませになったらお前らどうせ言う事聞かなくなるだろーが。

 

「すごーい!聆ちゃんすごいのー!!」

「流琉とはボクでも互角なのに!」

「おい聆、なにか変な修行でもしたのか?」

「ボロクソに負けた聆を笑うつもりやってんのに……」

「真桜と沙和は後で天幕裏な?」

「ちょ、鑑惺先輩勘弁してください」

「あ、あの……聆さん……?」

「お?なんや?」

「さっき、手首が……?」

「オ?なんや??」

「ナンデモナイデス」

 

そこへ怒声が響き渡った。

 

「貴様ら!何を騒いでいる!!」

 

春蘭さん激オコじゃないですかヤダー。

 

「あ、春蘭様!腕相撲してたんですけど、凄いんですよ!!聆ちゃんが流琉に勝っちゃったんです!!」

「なんだと!?」

「はぁ……。聆、お前だけは"こっち側"だと思ってたのにな……」

 

何か一刀が落ち込んでるんだが。

 

「……聆!私と、しろ!!」

「ファッ!?」

「春蘭様だいたーん」

「おい春蘭いきなり何言ってんだ!?」

「いや、どう考えても腕相撲やん」

「そうだぞ!何をそんなに驚いている」

「……春蘭様は間を抜かして喋るん止めよな」

「う、うるさい!で、聆!腕相撲しろ!!」

「嫌やー!絶対怪我するもん」

「何だ、こわいのk

「静まりなさいっ!!」

 

華琳の声に、皆ビクリと体を震わせ、口を閉ざす。

 

「春蘭……私は、騒いでいる兵を静めて出発準備させるように言ったはずなのだけれど……」

「も、申し訳ありません華琳様!!しかしなg

「お黙りなさい。言い訳なら後で聞くわ。……皆!陣を畳み出発の準備を整えよ!!それができ次第汜水関へと進軍を開始する!!」

 

あれだけ騒いでいた兵たちが一斉に動き始めた。あーあ。せっかく建てた天幕がバラされていく。特に苦労もしてないから別にいいが。私も部隊をまとめとくか……。

 

    ――――――――――――――――――――――――――

 

「それにしても腕相撲凄かったなぁ」

「私、孫何とかのとこに見学行ってたから見れなかった……」

「許緒将軍と互角っていう、新しく入った典韋将軍を鑑惺様が瞬殺したんだぜぇ。野性的だろぉ?」

「むぅ……いいもんね!私なんか、鑑惺様に『良し。行け』って言ってもらったんだから!!他にも、『お前ら』を一番多く聞いてるのも私よ!」

「何を言っているんだコイツは……」

「そっとしておこう……。変態がうつる」

「なによ!失礼ね。気持ちいいことを気持ちいいと言うことがどうしてイケナイの!?」

「キモいしコワいからだ」




汚いさすが聆汚い。
流琉ちゃん相手でも小細工全開です。

クレイジーサイコレズが発生しました。
名前は一生付かんがな!

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