哂・恋姫✝凡夫   作:なんなんな

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急に電源切れるの本当にやめて欲しいです。
また途中まで書いていたのがオジャンになりました。
そのせいか本文もちょっとテンション低めになってしまいました。
でもメインネタは次ですのでそんなには問題無いです。


第六章拠点フェイズ : 聆(3X)の兄貴 前半

 磨き上げた圧縮琥珀球を日にかざし、自らの作品の美しさに思わずため息をつく。怪我のために戦闘技術の鍛錬ができないため、その間に何か凄い物、fateに出たら宝具化されるような物を作ろうと思った。そこへ丁度華琳からの依頼が来て、その仕事に無駄に力を注いだ。それがこの、夏侯惇の義眼である。真桜の技術協力のもと、試行錯誤を重ね作り上げた最高傑作だ。銀球を核に、圧縮琥珀、赤色硝子で描いた文様、圧縮琥珀という多層構造をとっている。中心の銀が光を反射し、血のような赤が深い黄金色の中を漂うように輝く。文様は、曹操作の戦勝祈願の漢詩を、そうと言われなければ分からない程度にレタリングしたもので、ご利益もバッチリだ。さっさと献上すべきなんだろうが、あと半日くらい悦に浸っていても良いよな。

 

「嵬媼!昼飯の時間だ!!」

「よっす〜。どっか食べに行かん?」

 

勢い良く扉がぶち開けられ、かゆうまと霞がやって来た。

 

「かゆうまェ……扉は静かに開け閉めせいって何回か言うたよな」

「おぉ、次は気をつける」

 

そう言って次も同じことを繰り返すんですね分かります。

 

「あれ?聆それ何持っとん?」

「ああ、これ?キレイやろ?春蘭さんの義眼や」

「義眼?」

「眼球無いままほっといたらどんどん顔歪むからな」

「そういえば夏侯惇は左目を喰ったんだったな。……なぜだ?」

 

霞の表情が曇る。一騎打ちに横槍……この場合は横弓か?が入ったのを思い出しているんだろう。代わりに私が答えた。

 

「お腹空いたんやって」

「腹が減ったのか……なら仕方ないな」

「目玉って栄養豊富らしいからな」

「では私達も栄養を摂りに行こうではないか」

「あー、じゃあ先に華琳さんにコレ渡してくるわ」

 

かゆうまと昼食なんてトラブルの匂いがプンプンする。壊れたらマジ泣きする自信があるぞ。

 

「ちょい待ちっ!アンタらってずっと今みたいなツッコミ不在の会話しとん!?」

「……なんのことだ?」

 

絵に描いたようなキョトン顔だ。すげぇ……曹魏にジャンジャン馬鹿が増えて行く……。

 

「……もーええわ……じゃあ聆、ウチら門のとこで待っとるから用事終わったら来てな」

「早くしろよ」

「あーー。分かった分かった」

 

かゆうまェ……。華琳関係の用事って言っとるのに早くしろとか、ガチで華琳を主君とも何とも思ってないらしいな。その内春蘭との猪対決が起こりそうだ。流石に勘弁。

 

  ―――――――――――――――――――――――――――――

 

 「頼んでいたもの……完成したのね」

 

玉座の間で華琳と対面する。一応、一芸術家が支配者に正式な依頼として受けた仕事として処理されるためだ。

 

「……かなり試行錯誤繰り返したわ。作り方にこんな悩んだモンは無い」

「その代わりに素晴らしい出来なのでしょう?」

「私自身はかなり気に入っとる、とだけ言っとくわ」

 

手にした箱の蓋を開けた。クッションに半ば埋もれるように義眼が置いてある。片膝をついて箱を華琳に差し出す。このシーンかなりそれっぽいな。

 

「ふふ……素晴らしいわ。――そこのお前。春蘭をここへ。……貴女の持ってくるモノは本当にほとんど期待を裏切らないわね」

「……『ほとんど』?」

 

何かヘマをしただろうか?

 

「……華雄よ」

 

そんなに嫌いか。嫌いなタイプだろうな。春蘭みたいな忠犬バカじゃなくて我が強いバカだからな。

 

「まあ、上手く導けば良ぇ働きもするんちゃう?」

「そうだと良いのだけれど……」

「単純やから扱い安い方やん?」

「扱い安い人間は二度も関からの突出なんてしないわ」

「ぐぅの音も出んな」

「華琳様!お呼びでしょうか!!」

 

春蘭が息を切らせてやって来た。呼ばれたら全力ダッシュか。

さすがやでぇ。

 

「春蘭、ここまで来なさい」

 

指先で肘掛けをトントンと叩く。

 

「は、はい!」

 

春蘭が足早に私の横を過ぎ、華琳の目の前に立った。

 

「目を閉じなさい」

 

春蘭は一瞬戸惑いつつも言われるままに目を閉じる。その顔の側面に手が添えられた。するすると撫でる。

 

「か、華琳様!?」

「何かしら」

「そ、その……衛兵も見ていますし……。聆の目の前でなんて……」

「ふふっ……それも面白いかもしれないけど、今回は違うわ。……春蘭、眼帯を取りなさい」

「で、ですが……」

「いいから取りなさい」

 

華琳お得意のカリスマゴリ押しに、春蘭は急いで眼帯をはずした。痛々しく落ち窪んだ眼窩が顕になる。華琳はいつの間にか手にしていた義眼をそこに宛てがった。春蘭の体がピクリと緊張する。

 

シュプッ

 

「……え……?」

「目を開けていいわよ」

 

華琳が春蘭に鏡を見せながら言う。

 

「春蘭がせっかく左目と心を捧げてくれたのだから、私も何か特別なものを送るのも良いと思ったの。戦勝祈願の宝玉の義眼よ。受け取ってもらえるかしら?」

 

もうはめておいて何言ってんだ。

 

「はい……!ありがとうございます!!この夏侯元譲、もはや何者にも負けますまい!!」

「喜んでもらえて嬉しいわ。これk」

グきゅ〜〜

「…………」

「…………」

 

おっと腹の音が。グッジョブ腹の虫。いいかげんこのノリ暇だった。

 

「ごめーん。お昼まだやってん」

「……早く行ってきなさい」

 

うわーお。華琳様の私を見る目がかゆうまに対するソレと同じだ!




蜀の仮面がどんどん増えるように、
魏のバカもどんどん増えます。

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