哂・恋姫✝凡夫   作:なんなんな

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第七章拠点フェイズ :【張三姉妹伝】熱狂と、現実と 上

 「彼女たちがこれから護衛を担当する楽進と鑑惺。こっちは護衛対象の張角、張宝、張梁の三人ね」

 

一刀がそれぞれの間に立ち、双方を緩く紹介する。

今回北郷隊に任された任務は、「張三姉妹と協力した、工作員の討伐」。西方の邑に住民を煽動して反曹操の気運を作ろうとしているらしい。これがそれなりのやり手らしく、なかなか尻尾を出さない。仕方ないから、そこに張三姉妹という、求心力の塊みたいなものを突っ込んで相手を焦らせて炙り出そうというのが筋だ。

 

「どもー」

「よろしくお願いします」

「よろしくねー」

 

天和と軽く挨拶を交わす。凄く自然な営業スマイルだ。さすがはアイドル。

 

「あ、あんた!ちぃたちにヒドイことしようとした奴だ!」

 

突然地和がこっちを指さして大声を上げた。

 

「聆……」

「お前……」

 

凪と一刀がじっとりとこちらを見遣る。

 

「ナンノコトカナー」

「忘れたとは言わせないわ!あんたにつけられた心の傷は深いのよ!」

「んー?そうなの?会ったことあったっけ?」

「天和姉さん……黄巾が解散したときに私達を捕まえた将よ。……さすがに身長で気付くでしょう」

「うーん、そう言われればそんな気も……鎧が無いからわかんなーい」

 

邑の住人に気取られないようにとできるだけ普段着に近い格好にしたのが裏目に出たか……。

 

「もう!天和姉さんあんなことされといて何も思わないの!?」

「……ちぃ姉さん、アレはタダの脅しで結局何もなかったじゃない。話が進まないからその話題は置いておいて」

「そうやでー。あんときは悪役っぽかったけど実は私ったらさいきょ……じゃなくて、親切心の塊やから」

「えー?聆が親切?まっさk痛い痛いいたたたたた!!」

 

余計なことを言おうとした一刀の小指を捻る。

 

「……鑑惺の力量は実際に見てるから良いけど……あなた……」

 

人和が視線をスッと凪に移す。

 

「あんた、腕の方は立つんでしょうね」

 

地和の問いに、凪はコクリと静かに頷く。相変わらずの人見知りだ。でも強者っぽい動作なのでこの場合では良い。

 

「……そう。それじゃ、行きましょ」

 

 

 「ねー、まだその邑につかないの?」

 

四半刻も経たないうちに天和が不満を漏らし始めた。

 

「まだ歩き始めたばっかりだろ?」

「歩くの疲れたー。馬はないの?」

「そんな費用ないわ」

「あー、でもそうやなぁ。北郷隊から三人分の馬ぐらい出せんかったん?」

「いやー、できるだけ現場警備に注ぎ込んだから……」

「こっちも無しと……」

「ぶーぶー。楽進ちゃんはどう思う?やっぱり馬が欲しいよね?」

「自分は必要ありません」

 

……とだけ答えてすぐ黙ってしまう。そこは必要無くても一旦相槌打つとこだろうに。

 

「楽進ちゃんは鍛えてるんだー。すごいなー」

 

ほら気を使わせてしまっている。

 

「それにしてもさっきから全然喋らないわよね」

「護衛がべらべら喋ったりしないよ。まぁ、あと、凪はあんまり人と話すの得意じゃないし」

「申し訳ありません……」

 

謝っちゃダメだろ。

 

「別に謝らなくて良いよ。凪は警戒を頼む」

「そうやな。警戒は凪、張三姉妹の話し相手は私、おもちゃは隊長、それぞれ適材適所で」

「まてちょっとおかしい」

「え、そーかなー?だいたい合ってると思うけどー?」

「そうよね。一刀!何か面白いことしなさいよ!」

「うわ!最悪の無茶振りだ!」

「やって〜」

「救いはないんですか!?」

「頑張れ。スベっても私が笑ったる。……悪い意味で」

「いや、それダメだろ……」

「ねぇ、やって〜」

「早くしなさいよ!」

「あくしろよ」

「はぁ……。面白くなくても愛想笑いぐらいしてくれよな?」

 

そしてシンと空気が鎮まる。張三姉妹は普段おちゃらけているもののやはりエンターテイナー。聞く体制の大切さを分かっているらしい。

一刀がゆっくりと顔を上げた。

 

「ヘイ!ボブ

 なんだいジョージ

 今朝、キミの畑で熊を見たぜ

 Ohジョージ、それはウチのカミさんだよ」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「ヘイ!ボブ

 なんだいジョージ

 昨日ウチで飼ってる犬に噛まれてさァ、もう捨ててやろうかと思ったぜ。

 Oh、ウチも毎日毎日うるさく吠えるから捨ててやろうかと思ってるんだ

 キミは犬を飼っていたかい?

 吠えるのはカミさんさ」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「ヘイ!ボ「もうやめてください!隊長!」ブ

 なんだいジョージ「ごめん!私達が悪かったから!」

 キミの畑の胡瓜はどうしてあん「止まって!とまってよ!!」なに大きいんだい?

 毎日ボクが大切に世話して「狂気を感じるわ……」るからさ キミならもっと大きくできるよ

 それはどうしてだいボブ

 ウチじゃカミさんのせいで萎んじまうからね」

 

「ヘイ!ボブ

 なんだいジョージ

 今朝、キミの畑でチンパンジーを見たぜ

 Ohジョージ、黒人差別は良くない」

 

意地になった一刀のアメリカンジョーク(?)はしばらく続いた。私は内心ウケていたので止めはしなかった。




ホットドッグのことばかり考えてた結果がコレだよ!!

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