哂・恋姫✝凡夫   作:なんなんな

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やったッ!!
おてぃんぽに定評のある北郷さんやッ!!!
こ れ で 勝 つ る ! !


第三章一節

 「あれが陳留か…」

「やっと着いたー。凪ちゃーん、もう疲れたのー」

「私だって疲れている。だが、これから籠を売らなければ…」

「アテにしとった沢が二つとも枯れとったのは地獄やった…。聆は大丈夫かー?」

「お酒有るから大丈夫……」

「聆ィ、それ、お酒やない…泥水やァ……」

「聆ちゃんが大変なことになってるの…」

「聆は責任を感じてか、ただでさえ少ない自分の水を私達に分けてくれていたからな……。聆が夜中に仔熊の血を啜っているのを見た時は戦慄した………。まず何か食べに行くか」

「飯なんか後や!!酒が先や!!早よ!早よ酒を出せ!!うおおおおおおおおおおおお!!!!!」

「ちょ、聆、落ち着きぃや!!酒が出る店に行くから!やから全力で地団駄踏むの止めぇ!!!怖いねん!」

 

 

 「ァーー!酒が体に染み渡るゥ!!こんなうっすい酒に………。悔しい!…でも感じちゃう……!ビクンビクン」

 

凪が適当な店を見つけ、少し早めの昼食を摂っている。私はソッコーで酒を注文した。しょーもない酒なのに凄く旨く感じる。

 

「聆はそのうち酒で何か大きな失敗をしそうで怖い」

 

そう言って、凪は何か赤い物体を口に放り込んだ。

 

「凪はそのうち舌がダメになるやろな」

「そう言う真桜は飯屋で何をしているんだ??」

「全自動籠編み装置の調整」

「食い物扱うトコで絡繰いじる奴がおるかいや!コラ歯車に削りかけるな屑出るやろ」

「あー、聆、そんなコト言うてえぇんかなー?絡繰に一番お世話になっとるのはアンタやで?」

「あん?それは脅しか?そっちがそんな態度に出るんやったらこっちにも考えがあるで?」

「なんや言うてみぃ」

「全力地団駄」

「ゴメンウチが悪かった堪忍してぇや」

「あはは!沙和の周りには問題児ばっかりなのー」

「「「沙和はほっとくと服買いすぎで破滅するな」」」

 

 

 「さて、そろそろ籠売りに行くか」

「もう竹籠売るの、めんどくさーい。真桜ちゃんもめんどいよねぇ」

「そうは言うてもなぁ……全部売れへんかったら、せっかく籠編んでくれた村のみんなに合わせる顔がないやろ?」

「せっかくこんな遠くの街まで来たのだから、みんなで協力してだな……」

「そうだよ。(便乗)」

「うっうー……。わかったよぉ」

「最近は、曹操って有能な人が州牧になったとかで、治安が良ぇから商売しやすいんや。」

「ウチらみたいに色んなトコから色んな人が来とるからな。気張って売り切らんと。」

「……そうだ。人が多い街なら、みんなで手分けして売った方が良くないかな?」

「沙和は偶にえぇこと言うなぁ」

「えー、偶にじゃないよぉ」

「うん。良い案だ」

「それじゃ、四人で別れて一番売った奴が勝ちってことでええか?負けた奴は晩飯、オゴリやで!」

「こら真桜。貴重な小遣いを……」

「わかったの」

「沙和まで……」

「競争でやる気が高まればその分得やん。私ら四人の売り上げとしては、競争した方が大きくなるんやから」

「聆……自分の分の小遣いが無くなる苦しみはお前が一番良く分かっていると思うのだが……。今度は泣いてもダメだぞ?」

「私は負けん。絶対にや!!」

「よっし。三対一で、可決ってことで!凪もそれでええやろ?」

「はぁ……やれやれ。仕方ないな」

「ほな決まり!」

「おーなのっ!」

「ほんだら、夕方までには外の大門の所に集合な?解散」

 

私の言葉を受けて、皆が行動を開始した。やはり、商売については三人娘の内では真桜が一番素早い。自分の分の竹籠と籠編み機を持ってさっさと行ってしまった。

 

 真桜は食品街に行くのだが、これは私が思うに最良の選択だ。「予想外に良い品が有ったから余計に買ってしまった」が起きる確率が最も高いのが食品関係だ。つまり籠の需要が発生しやすい。

 

 次に沙和が籠を持っていった。沙和が作った服は売り切れてしまっていたので、籠だけだ。キョロキョロとしながら歩いているが、そのうち服屋街に落ち着くだろう。沙和は自分で需要を発生させるタイプだ。効率はどうだか知らないが。

 

 凪は未だ動かずに居る。

 

「どないしたん?凪」

「いや、聆はどこに行くのかと思ってな…」

 

凪は皆が行ってない所に行くのか…。

 

「じゃあ私はこっちいくわ」

「…そっちは真桜が行かなかったか?」

「真桜は多分食品が多いトコ行っとるやろーから、私はその奥の、門の所におるわ」

「そうか…。じゃあ私はこっちに……」

 

 

 私は荷車を引いて中央の通りを歩く。私が荷車装備なのは、荷物が一番多いからだ。竹細工、木彫(卑猥なモノ売ってると曹操に首チョンされそうなのでマトモなヤツ)はもちろん、木材調達に山に入った時に見つけた薬草とか色々。血抜き(?)して熟成させた熊肉なども有る。私の戦略は、コンビニとして商売し、籠をレジ袋のように使うこと。通常の売り上げから籠代を引いたものが実質の売り上げとなる。まさか、凪には負けまい。負けたとしても、必殺の言い訳を考えている。門前を選んだ理由は、一刀たちと絡んでおきたいのと、いけ好かない占い師のセリフを潰したいということ。そして、現代のコンビニと同じように、何かのついでに客が店に寄ってくれるのを期待したからだ。

 

 深くフードのようなものを被った奴がいる。アイツか。占い師。私は、最も良い位置を計算して腰を降ろした。私に注意を向けると占い師が目に入らなくなる。

 

 少しでも愛想が良く見えるよう、髪をポニーテールにまとめ、顔に掛かる前髪を横に流し、現代社会で鍛え上げた営業スマイルと営業トークをフルに使う。さぁ、戦いの始まりだ。

………一刀たちが来たらキャラ立てのため通常モードに戻るが。

 

 

    ―――――――――――――――――――――――

 

 「帰ったら今回の視察の件、報告書にまとめて提出するように。……一刀もね」

「え?俺も?」

「こういう意見は質云々よりも、まずは色々な視点が大切なのよ。……分かったわね?」

「……了解」

 

俺が華琳の言葉にそう答えたとき。その声は、唐突に掛けられた。

 

「そこの、若いの…………」

「……誰?」

「こっちや。こっち」

 

声の主は、ゆらゆらとウェーブした長く暗い茶髪の少女だった。低く艶のある声は、初めのモノとは違う気がする。それよりも目を惹いたのは、周りに置かれた品々だ。

 

「あら、珍しいモノを売ってるのね」

「おー。なかなか珍しいモンを揃えとりま…揃えとるで」

 

華琳も興味があるようで、冬虫夏草(?)や薬草を物色している。ただ……それよりも。

 

「おい貴様、……これは何だ?」

「え……仔熊やで?」

「それは分かっている。どういうつもりなんだと訊いている」

「熊肉やで」

「……秋蘭、これは私が悪いのか?」

「安心しろ、姉者。私にもよく分からない」

 

春蘭が指さしたのは、……うん。熊だ。大きさから、仔熊だというのはわかるけど、熊肉、というのは……。腕も脚も頭も毛皮もちゃんと有るし、呼吸は無いが、眠っているようにすら見える。

 

「なんか……頑張っても、仔熊の死体、くらいにしか見えないんだけど…」

「血も内臓も抜いて、熟成もしとるからほぼ熊肉や。美味しいで」

 

少女が事も無げに言うもんだから、何だかこっちがおかしいような気がしてくる。

 

「全身残したまんまにするんは珍しいけど、山間の村やと結構の御馳走やで」

 

あ……、一応珍しいことだったんだな……。良かった。

 

「おお!季衣の土産にいいかもしれんな!……しまった!おい秋蘭!!金が無いぞ」

「服の買いすぎだ、姉者。衝動買いも程々にしろ、ということだろう」

「むぅ〜、しゅーらぁん……」

「あー、俺が出すよ。……すいません、幾らですか?」

「おお!北郷!こういうときだけは役に立つな!!」

 

こういうとき だけ かよ……。否定できない。

 

「お、買うてくれるんか!……こんだけや」

 

そう言って示された値段はラーメン四杯分くらい。あれ?熊って高級食材じゃなかったっけ?秋蘭も不思議に思ったようだ。

 

「こんな値でいいのか……?」

「割と簡単に狩れたし、みんなビビってもて、買うて貰えへんかったから。」

「細かく切っておけば良かっただろう?」

「姉者、細かく切ればそれだけ悪くなるのが早まるんだ」

「……そういうものなのか?」

「そういうものだ」

「ここで捌いたらえぇか?」

「いや、私が担いで帰る」

 

買い物袋を持ちたがる子供の心境と同じなのか、春蘭が熊を担ごうとした。その時。

 

「コレを創ったのはだれかしら?」

 

華琳が置物を指さし、少し険しい声で少女に尋ねた。

 

「え……その辺のんは全部私のんやけど……」

「誰かに師事したことは?」

「ないで?」

「……そうでしょうね。削りや磨きに間違いが目立つわ」

 

そう言って、一つ手に取る。竜が牛に噛み付いているモノだ。北海道土産のアレに雰囲気似てるな……。

 

「例えばコレ。あなた、竜の身体に沿って撫でるように磨いたんでしょうけど、実際は木目にこそ合わせて磨かないといけないの」

「はぁ……すいません」

 

ちょっと落ち込んでるな

 

「ただ、この構図は珍しくて良いわ。竜の荒々しい力強さがよく表現されているもの。……こっちのは……どういう意図で創ったの?」

 

そう言って手に取ったのは、色鮮やかな何かだ。現代アートっぽいな。

 

「……色と形の綺麗さだけ考えて作ったから特に意味はないで」

 

まんま現代アートか。

 

「そう……フフフ……。じゃあ、この置物、全部もらうわ」

「なんやて!?」

「華琳!?」

「華琳様!?」

「あら、何がそんなに不思議なの?これは素晴らしい才能への先行投資よ。本当なら囲い込んでしまいたいのだけれど、それをするとせっかくの感性を腐らせてしまいかねないもの。」

 

華琳は偶に突拍子も無いことをするなぁ。

 

 結局、荷物が多くなり過ぎたので、熊と置物は少女の荷車で城の前まで運んで貰った。立ち上がった少女は俺よりも結構身長が高くてびっくりした。鑑惺という名前らしい。少女は去り際に何度もお辞儀をしていた。

 

 熊を捌くときにまた一悶着あったのもいい思い出だ。

 

    ――――――――――――――――――――――

 

 先行投資だって!曹操って天才過ぎるだろ(笑)占い師も黙らせたし、置物も全部売れたし、まあ、籠は少し余ったが、私のテンションはまさに有頂天(?)だ。待ち合わせ場所で待っていると、わりとすぐに凪と真桜が戻ってきた。かなり遅れて沙和も。しかし、半泣きである。

 

「ちょっと沙和!?どないしたん?」

 

真桜が駆け寄った。どうやら、服に一生懸命になっている内に竹籠を置き引きされたようだ。

 

 賭けはダントツで沙和の負けだが、不憫すぎるのでナシになった。

 

    ――――――――――――――――――――――

 

 「おい貂蝉。サブキャラっつーか、誰?ってかんじの奴に警告を妨害されたんだが。」

「へえ?まあ仕方ないんじゃない?(ふざけて突っ込んだままにしたキャラってバレたらおこられるわよね)」

「信じられん…」

「そもそも、管理者が登場人物に接触するのも野暮って感じだしィ……」

「お前が言うなよ」

「………」

「………」

「………」

「………」

「ぶるぁぁあぁぁぁぁぁあ!!!」

「ギャアァァァァァァッッ」




あれ…?長い。
このキャラこんな言葉遣いしないだろって思ったら指摘お願いします

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