哂・恋姫✝凡夫   作:なんなんな

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もうね、寒すぎて気待ち悪いです。
あとエロい皆さんがバッシバシ展開当ててくるのでもう開き直ってその通りに進んでやりました。
そして事故発生。

関係無いですが、ワンカップにはワンカップ独特の良さが有ると思うんです。


第八章一節その三

 「――では、そのように」

「ええ。任せたわ」

 

陣に戻り、袁紹の迎撃指示を終えた華琳は、脇目も振らずに自らの天幕へと歩き出す。私もその後をついていく。

大方、私が出ていた間の陣内の様子を報告しに来たのであろう三課長が、華琳の剣幕を見て、ノンストップでUターンした。

なんて運が悪いんだ。とんだとばっちりである。まあ、ノンケの愛紗にとっては、隙あらばセクハラされかねない華琳の直下の将になるのは相当嫌だったろうことは理解できる。ただタイミングと言い方と要求内容がウンコだった。総じてウンコだった。

 

 

 そんなことを考えている内に、もう到着だ。ぐいっと一度、酒を煽ってから、華琳に続いて中に入る。いつも通り過ごしやすそうな内装だ。今回は私がすぐに劉備本陣へ向かったため、何処に何を置くのかを部下に伝えておいたのだ。きょろきょろと出来栄えを確認する私とは対照的に、華琳は、中央に置いた机の表面を静かに撫でている。

 

「この机、貴女の意匠だったわね」

「うん?まぁ、そうやな」

 

巨大な丸太の輪切りをそのまま天板としたもの。"私の意匠だった"と言うより、何か面白い机を作るようにと華琳本人から依頼が有ったので作ったものだ。今更問うものでもない。

 

「この寝台も……」

「…………」

 

従来の古代中国特有の細かい模様をゴテゴテ彫って"余白"を埋めるデザインでは落ち着かないだろうと思って献上したもの。シンプルながら均整の取れたフォルムで魅せる。

 

 ……何?どういう流れなんだ?脈絡が掴めない。関羽の発言でイラついた華琳が八つ当りしてくるものだと思っていたんだが……。

 

「私の周りがだんだん貴女に染められている気がするのだけれど?」

 

そう来たか!!

 

「いや、華琳さんが気に入ってくれたからこっちもせっせと設計したんやけど……?」

「ええ。調度品に関してはそうでしょうね。……ただ、貴女、それ以外にも色々と影響力を持っているわよね?」

「はぁ……?」

 

噂ネットワークがそんなに鼻についたか?

 

「城下に貴女の息の掛かった店がどれほどあるかしら?」

「いやー、無いんちゃう?」

 

うわ、オヤジの店バレたか?

 

「『珍しい本が入ったらまず鑑惺様に見せるようにしてるんです』……『ウチは鑑惺様のお墨付きなんだからこの味でいくんだ!ぽっと出のお嬢ちゃんの指図なんて受けねぇ!』………『ああ、城のお方ですか?いつも鑑惺様によくしてもらっているんで安くしておきますよ』……。どこもかしこも鑑惺様、鑑惺様。謀反でも起こす気かしら?」

「いや、そんなことは」

 

あと、実は美術品関連で富裕層とも面識が有ったりするのは内緒だ。

それにしても、買い物ついでに世間話したり相談に乗ったりしている内にそんなことになってたのか……。確かに、何か変わったことが有れば教えてもらおうとか、ちょっとくらい便宜を図ってもらおうとは思っていたが……。と言うか、名を伏せて街に出る華琳も悪いよな?

 

「伝令が私の前に立つ頃には既に貴女はその内容に対する策を練っているらしいじゃない」

「…………」

 

だって教えてくれるんだもの。

 

「一刀に張三姉妹……それに劉備とも随分と仲が良いようだし?我が国の将の中でも私よりむしろ貴女に付いていく者も多いのではなくて?」

「かゆうまぐらいちゃうのん?」

「一人でも十分に問題なのよ!」

 

うん。そりゃそうだ。

……冷静に考えたら私って怖すぎだな……。それが今回の関羽の発言で火がついた感じ?

 

「……っ!?」

 

突然、首筋に冷たい感触。

 

「今だって一人、天幕のすぐそばに気配が有るけど……。貴女の部下よね?……いつでも突入してやろうって雰囲気だわ」

 

誰だよそんな余計なことしてるのは?

……アイツか。

 

「聆。貴女の主は誰?」

「…………」

 

……華琳って答える所なんだろうけど、癪だな。首元へ鎌を引っ掛けておいて、忠誠の言葉を求める。華琳の政治……覇道とはこういうものだ。理性で従うべきだと分かっていても、それと同じくらい心は反発する。この鎌が無ければ逃げ出してやるのに。

 

――今は従っているが力が弱まれば――

 

アレクサンドロス、始皇帝、項羽。覇による治世は必ず短命だ。もし永く続いているならば、それは逆らうことができないほど搾取しているから。

今の桃香の無責任さでは三国は治められまい。華琳なら確かに完璧に治めて見せるだろう。だが、その次の世代。争いは繰り返す。

さらに言うなら、強い主による政治は短いスパンなら確かに強いが、不満が蓄積してくると酷く脆い。民主的な王はその辺で強い。他人のせいに出来るから。

ここで私が一言「私の主は華琳だ」と答えるのは容易い。軽くキスでもして、この話は流れるだろう。だが、それでは覇道を認めることになる。「それではいけない」と、誰かが言わなければなるまい。それが……あれ?これって桃香の役目やないですか。

 

「私の主は華琳さんと、隊長」

「随分と時間がかかったようだけれど?」

「国の行く末を考えとった」

「ふぅん……。結構なことだわ。でも、それじゃ不合格」

 

あ、不合格ッスか。

 

「一片の思考も挟む余地無く、私が主であると言えるようにしてあげるわ」

 

華琳が浮かべる表情は、あのサディスティックな笑み。

鎌によって顔を引き寄せられる。

 

「ン……ちゅ……」

 

重なる唇。滑らかで、柔らかくて、瑞々しい。そしてぶっちゃけタイプじゃない。私はソフトSなので、ドSは苦手なのだ。

 

「んむ……、お酒の香りがするわ………」

「あぁ……ちょっと今日のんは匂い強いやつかな」

 

唇をぬらりとすり抜けて、舌が入ってくる。奥に入られたくない一心で、私も舌を絡ませるのだが、華琳はそれを好意的な応答と取ったようだ。

 

「上手いじゃない……ンぅ、はぁ……」

 

私のキス歴>華琳の年齢だぞ?嘗めんな。

 

「……んんぅ……、ちゅ……っ、ンふ………ぅむ」

「ンう……!?」

 

……華琳さんは唾液入れてくるタイプか…………。

 

「………ぅ……ン…………」

「ンく…ん……フフ、負けず嫌いなのね」

 

何の躊躇いもなく飲んだよこの娘……!うーん、相当芋臭いはずなんだが……。流石だな。

 

「ん、ちぅ……あむ…………」

「ん……ぅ…」

「……」

「…………」

「」

 

いっちょあがりっ、と。唾液と一緒に睡眠薬を飲ませてやった。工作員直伝の技が役に立った。

 

「あーあ。これで私にホンマに謀反の気が有ったら終わりやで魏ェ」

 

呉なら孫家の誰かが、蜀なら愛紗か諸葛亮が次の中心になるだろうが、魏にはそれが無い。それぞれの国を支えるものが、呉は孫家の血、蜀は義、魏は華琳だからな。君主=存在意義。ヤバい。良い意味と悪い意味で。

 

「さて、起きた時にキレられんよーにもう一踏ん張りしますかね……」

 

つまりはアレだ。小言を言うのも躊躇われるほど私が酷い状況になっていれば良いんだ。

 

用意するもの

・手頃な紐及びロープ

・丁度いい太さの何か

・自分の血(鼻をキュキュキュッとやると比較的簡単に用意できる)

・自分で自分をラッピングする技能

・気合

 

 

その後しばらくの間、華琳は鬼畜として名を馳せることになった。




華琳「ん……?いつの間に寝ちゃってたのかしら?」モゾモゾ
聆「キノウハオタノシミデシタネ」シバラレー
華琳「解せぬ……」

聆の初物は表向きここになりました。
真実を知る一刀はもちろん口止め。
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