哂・恋姫✝凡夫   作:なんなんな

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もうすぐ美羽様回収出来るからって
袁分補給をしていないせいか、
予定外の展開をどんどん思いついてしまって、
ついでにそれを実行してしまうという。
関係ないですが今日雪が降りました。やめてほしいです。


第八章一節その五〜戦闘パート

 「おーっほっほっほ! おーほっほっほ!」

 

官渡を埋め尽くさんばかりの袁家の軍勢。城郭にもこれほどのものはなかなか無いであろう巨大な櫓の列。その一つから聞こえてくるのは、あまりにも印象的なあの笑い声。

先程から華琳と袁紹が舌戦をやっているらしいのだが、私の立ち位置は後ろ寄りの中陣。聞こえてくるのは袁紹の高笑いだけだ。

 

「……お、舌戦終了か」

 

櫓の上の弓兵が構える。普通、舌戦に出ている双方の大将が自陣に戻ってから開戦なのだが……。袁紹に常識が無いのか、華琳の煽りが酷いのか。

引き絞った弓を今にも放たんしたとき、上空を巨大な影が幾つも横切った。カタパルト……バリスタだったか?まぁ、真桜作のヤバい兵器によって発射された大岩だ。

 

「い~ち、に~、さん、よん、ご〜」

ドーン ドーン ドン ドン ドーン

 

巨木によって頑丈に作られていたはずの櫓が次々と倒れ去る。袁紹の櫓も、破格の大きさと共に、基部の車輪によって動くというバケモンだったのだが、こっちのチート技師には敵わなかった。気の毒なことだ。

結局、袁紹が乗る一つを残して櫓は全て無くなってしまった。実害もさることながら、士気への影響も計り知れないだろう。

 

満足げに口元を綻ばせた華琳が本陣へと戻って行く。ついに開戦だ。

 

「皆、これからが本番よ!向こうの数は圧倒的。けれど、連携も取れない、黄巾と同じ烏合の衆よ! 血と涙に彩られたあの調練を思い出しなさい!あの団結、あの連携を以ってすれば、この程度の相手に負ける理由など有りはしない!それが大言壮語ではないことは、この私が保証してあげましょう!」

「総員、突撃!」

 

……と言っても鑑惺隊は突撃しないんですけどね。霞率いる第一陣と、春蘭率いる第二陣をすり抜けて本陣に向かってきた敵の勢いを殺して、背後に回って、逆に追い立てて、混乱させた状態で周りの隊にぶつけて始末させるのが私の役目だ。まあ、そのまま潰してしまっても良いらしいが。とにかく、相手が来るまで待機だ。イマイチ締まらないけど。

 

  ――――――――――――――――――――――――――――

 

 「ふん、いかに練度が高くとも、やはりこの兵力差では前陣を抜くことなど容易い」

「前方に千人規模の集団を確認!旗印は鑑!鑑惺隊です!!」

「ふん!その程度の人数がこの一万の軍勢の前に立つなど……。何をぼんやりしているんだ?どうやら鑑惺は個人の武には優れているらしいが、戦況を読む力は無いようだな。たったの千人……踏み潰してくれる!!総員、速度を上げろ!突撃用意!……突撃ィッ!!!」

「……HALLLLLLLL URULAAAAAAAA!!!!!!!」

「「HALLLLLLLL URULAAAAAAAA!!!!!!!」」

「「「HALLLLLLLL URULAAAAAAAA!!!!!!!」」」

「な、何だァ!?」

「二つに別れました!」

「挟撃!?左右からの攻撃に備えろ!!!」

「既に攻撃を受けています!」

「バカなっ!?反転が速すg「FOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!」

「Gyasyaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!」

「「FOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!」」

「「Gyasyaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!」」

「「「FOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!」」」

「「「Gyasyaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!」」」

「!?退いていく!!!」

「更に勢いを強めて食い込んで来ています!!」

「ええい、それは反対側のことだろう!!」

「HALLL URULAAAAA WRYYYYYYYYYYY!!!!!!!!!!」

「「HALLL URULAAAAA WRYYYYYYYYYYY!!!!!!!!!!」」

「FOOOOOOOO!!!!!!!」

「「「HALLL URULAAAAA WRYYYYYYYYYYY!!!!!!!!!!」」」

「「FOOOOOOOO!!!!!!!」」

「「「FOOOOOOOO!!!!!!!」」」

「前後に回り込まれます!!」

「また反転!?待て、前後ってどっちだ!?」

「HYUUUUUUUUUUU!!!!!!!!!!」

「HYUUUUUUUUUUU!!!!!!!!!!」

「「HYUUUUUUUUUUU!!!!!!!!!!」」

「「HYUUUUUUUUUUU!!!!!!!!!!」」

「「「HYUUUUUUUUUUU!!!!!!!!!!」」」

「「「HYUUUUUUUUUUU!!!!!!!!!!」」」

「末端部、分断されました!!」

「「「HYUUUUUUUUUUU!!!!!!!!!!」」」

「「「HYUUUUUUUUUUU!!!!!!!!!!」」」

「削り殺される!!?とにかく、前方に突撃しろ!!」

「ダメです!混乱していて指示が「「「HYUUUUUUUUUUU!!!!!!!!!!」」」

「「「HYUUUUUUUUUUU!!!!!!!!!!」」」

「指示が通る奴らだけでもm「「「HYUUUUUUUUUUU!!!!!!!!!!」」」

「「「HYUUUUUUUUUUU!!!!!!!!!!」」」

「GRUAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!」

「「GRUAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!」」

「な……既に半数g「「「GRUAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!」」」

「「「「GRUAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!」」」」

「「FOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!!!!」」

「く、来るなァッッ!!!」

「GRUAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!」

「「「GRUAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!」」」

「「「HYUUUUUUUUUUU!!!!!!!!!!」」」

「「「HYUUUUUUUUUUU!!!!!!!!!!」」」

「「「「FOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!」」」」

「「「「FOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!」」」」

「「「「FOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!」」」」

「「「「FOOOOOOOOOOOOO!!!!!!!!」」」」

 

  ――――――――――――――――――――――――――――

 

 「第三波、殲滅完了しました」

「んーー。ご苦労」

 

前陣を抜けて攻め込んで来るのは騎馬隊ばかりだった。まあ、機動力からして順当だろう。だが、残念ながら我が鑑惺隊は騎馬崩しを最も得意とする。馬は小回りが効かないし、叫び声に怯えてしまう。一騎で幅を取るので、突進さえ往なせば攻撃の密度は小さい。一度歩みを止めてしまえばこちらのもので、後は細い隊列を組んで分断していけばいい。

騎馬隊でのこの戦術の攻略法は、最初の挟撃を気にせず走り抜けること。だが、そうやって鑑惺隊を抜けても普通に本陣と当たるだけな上、もちろん私がケツを掘りに行く。詰まるところ、弓兵隊でも来たら厳しいが、弓兵隊が攻め込んでくるなどまずない。実質無敵に近い戦術だった。

 

 私がそんな嵌め臭い戦闘をしている間に大局は進み、曹操軍圧倒的有利へ。もはや私の出番もあるまい。孫家は春蘭相手にまだ頑張っているようだが、実際のところ、引いたらそのまま崩れてしまいそうだから踏ん張っているだけだろう。袁紹に関しては、元々、季衣流琉に顔良文醜の二対二の構図になるはずが、かゆうまのせいでこちらの大勝だった。

 

「あ、華雄様が戻ってきましたよ」

「なんでや……」

 

かゆうまを先頭に数騎の騎馬がこちらに走ってくる。かゆうまは袁紹の追撃に向かうはずだが……。

 

「ただいま戻った」

「追撃は?」

「楽進たちに任せている。それよりも……」

「どもー」

 

かゆうまの後ろからひょっこり顔を出したのは、袁家の二枚看板の一人、文醜だ。なるほど。バカ猪同士意気投合したのか。

 

「そういうことやったらこっちやのぉて華琳さんとこ行けや」

「いや、嵬媼に用が有るのだ」

「私にぃ?」

「あ、やっぱ姉ちゃんが鑑惺さん?」

「…………違うで?」

 

何?また私の下でとか言う奴?やめてくれ。華琳にまた警戒されてしまう。

 

「違わないだろう。嵬媼、ごまかしたところで何にもならんぞ」

「はぁ……で、えぇと、文醜さんは私に何の用?」

「おう!あたいと一騎討ちしてくれ!!」

「お断りします」




この前、聆イジメと見せかけた華琳イジりになってしまった分がここに。
骨の一本や二本は覚悟してもらおう!

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