哂・恋姫✝凡夫   作:なんなんな

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カラオケの楽しみ方がイマイチよく分かりません。
逆にそっとしといてくれたほうが良いのにね。


第八章拠点フェイズ :【曹操伝】ほわぁぁっほぉっほわぁ!(こっちサイド)上

 「ふふふ……集まってる集まってる……♪」

「おぉー!噂には聞いてたけどすっげぇなー!!」

 

張三姉妹のライブ舞台袖。客席側に開けられた小窓から、地和と猪々子が外の様子を窺っている。

 

「ええ。それに、今回は特に。予算も労力も注ぎ込んだから」

「そーそー。人和ちゃん頑張ってたもんねー」

「そうやって笑って他人任せにできる辺りが天和らしいわな」

「えへへ〜。照れちゃうなー」

「褒めとらんわ」

 

悪びれもせず笑う頬を指先でムニムニとつつく。……ちょっとお肉つき過ぎじゃないか?いや、好きな人はこれがいいのかも……。

 

「何やこのむっちりした躰は〜。人前に立つ自覚有るんか〜?」

「うみゃぁ〜」

「ちょっと姉さんいつまで遊んでるつもり!?」

「えー?聆がつつくからー」

「ふとましいダメ姉におしおきしとっただけやしー」

「はぁ。もっとシャキッとしてよね!この『ぎゃらくてぃか☆大☆歌謡天国』にちぃ達の今後がかかってるんだから!」

「それに華琳様も招待してる……。失敗は許されないわ」

「大丈夫だよー。わたしたちはいつも通り歌えば、それで解決なんだから」

「そーやな。で、いつも通り歌えるようにお前らを守るんが、私らの役目」

「と、カッコつけるものの怪我で戦えない聆なのであった」

「うっわ失礼な!もう十分その辺の賊とか楽勝なくらい回復したし!それに猪々子っていう心強い助っ人も連れてきとるからな」

 

会場警備を凪、真桜、沙和、助っ人霞が担当し、

三姉妹の直接の護衛を私と猪々子が担う。

 

「ま、変に強いのが来たら頼むで猪々子」

「…………」

 

無反応か。……というか、妙に真面目な顔して……?

 

「どないしたん?」

「ぎゃらくてぃかって、どう言う意味?」

「あぁ……」

「意味なんてないよー」

「一刀に何か凄そうな天の言葉をきいたのよ」

「へぇー……。ぎゃらくてぃか……ぎゃらくてぃか」

 

お前もか……。春蘭も、華琳に招待状が届いた頃から何かとぎゃらくてぃかぎゃらくてぃか言っている。ギャラクティカには何かバカに作用するものがあるのだろうか。そうだとしたらそろそろ魏にギャラクティカブームが来るな。

 

「……そろそろ会長の前座ね」

 

小窓を影が横切る。背の高い男が一人、幕が降りたままのステージに立った。

 

「もうそんな時間か……お、華琳さんも来とるわ」

 

ウキウキとはしゃぐ季衣流琉に、不安げな華琳と桂花、警戒心ビンビンな夏侯姉妹。そして普段通りの一刀が、舞台正面の最高の席についた。通常の席の何倍もの値が付き、転売目的で買い占めを行った商人が謎の死を遂げたりしたこともある特等席。通称「天汗」観客席中央の天和のファンエリアに位置し、「姉妹の汗がかかるかもしれない」ということからついた名だ。

 

「会長って?なんだ?」

 

静かに一礼して、正面に向き直った男を、猪々子は不思議そうに眺める。

 

「黄巾党……ちぃ達の応援団の団長よ!」

「ちなみに私の隊の二課長の弟」

「何すんの?」

「見れば分か――

「WHAAAAAAAAAAAAA!!!」

「「ほわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」」

「!?!!?」

 ――らんか……」

「WHA!FOOOOO、FOAAAAAAAAAA!!」

「「ほわっ!ほぉぉぉぉぉっ、ほぁぁぁぁぁぁぁっ!」」

「…………何アレ……戦争?早速あたいの出番?」

「いや、応援の練習や」

「それに、次はちぃの出番♪」

「ちぃ"達"の、でしょ」

「とにかく!準備はいい!?」

「万全」

「まっかせっなさ〜い♪」

「あんたたちも舞台袖でしっかりと聴いててよね!」

「おー。一言一句どころか呼吸音も聞き漏らさんわ」

「あたいも楽しみにしてるぜ!」

 

私達の言葉に、一瞬、満足げな笑みを浮かべて、すぐ舞台へと向き直った。

 

「いくわよ!」

「うん!」

「いきましょう」

 

互いの心を伝え合うように手を繋ぎ、姉妹はステージへと飛び出したのであった。




立ち絵の沙和の身長が天和より大きくて衝撃を受けました。

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