哂・恋姫✝凡夫   作:なんなんな

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スーパーのお惣菜のお寿司が美味しいです。
イカやエビまでちゃんと美味しくて感動しました。

昨日のは無かったことです。
酔った状態でものを書くといけませんね。


第九章拠点フェイズ :【荀彧伝】続・人を呪わば穴二つ その一

 「では、これより おりえんていりんぐ妨害者会議を執り行う」

 

日が沈んでしばらく経った頃。

秋蘭の音頭で会議が始まる。

メンバーは、秋蘭、桂花、風、禀、流琉、七乃、真桜、そして私だ。

議題は、数日後に行われるオリエンテーリングの妨害について。

妨害と言っても、オリエンテーリングを中止にさせようというアレではなく、競技者の行く手を阻むギミックとしてのものだ。ちなみに、妨害者にはちゃん美羽も居るが、もう おねむの時間らしい。

 

「でも、また酔狂なことをしますねー。やっと戦の事後処理が落ち着いてきたと思ったら天の国の催し物なんて」

「あの色欲魔神が言い出したことよ。まぁ、軍事訓練としては割と使えるみたいだし?実験よ。実験」

 

ことの発端は、子供の遊びを山賊と間違えて緊急出動要請が出たことだ。まぁ、その内容は関係ないのだが、山の中に入ったことで林間学校のオリエンテーリングをふと思い出したらしい。それが華琳の耳に入り、新しいモノ好きが発動した、というわけだ。

 

「んだら、先ずは今回のオリエンテーリングの概要をサラッと言うとくか」

「分かってないバカなんて、幸いこの中には居ないと思うわよ?」

「お嬢様のことかーーー!!」

 

私の発言に噛み付いた桂花に、さらに七乃さんが噛み付いた。うーん、ちょっとバ会のノリを引きずってるのかもしれないな。素かもしれないが。

 

「もしかしたらおるかもしれんし、先にこれやっといたら話し合いやすいやろ?」

「無視はひどいですよぅ」

「ごめんあまりの迫力についついな。私の中の野生の部分が囁くんや。『これはねえ、やっぱり狂ってますよ。この人は。顔見てご覧なさい。目はつり上がってるしね。顔がぼうっと浮いているでしょ。これキチガイの顔ですわ』ってな」

「……随分と落ち着いた野生ね」

「少々言葉が悪いが……ふふ、気の良えジィさんやで」

「話が進まないから、そろそろ、いいか?」

「すみませーん」

「誠に申し訳なく思っております今回の件を真摯に受け止め再発防止

に取り組み今後の行動によって信頼の回復に努めさせて頂きます本当

に申し訳ございませんでした」

「あ、それウチらが大将の仲間になってすぐぐらいの時に言うとったやつやんな。懐かしー」

「それ風も聞いたことありますー。一時期兵の間で流行ったらしいですねー」

「ああ、報告漏れを注意した時なんかに急に流暢になる者が偶に居ると思ったら……聆殿の影響だったのですね」

「……そろそろ、いいか??」

 

秋蘭が再び問う。多分に怒気を含ませて。

 

「誠に申し訳なく思っております今回の件を真摯に受け止め再発防止に取り組み今後の行動によって信頼の回復に努めさせて頂きます本当に申し訳ございませんでした」

「誠に申し訳なく思っております今回の件を真摯に受け止め再発防止に取り組み今後の行動によって信頼の回復に努めさせて頂きます本当に申し訳ございませんでした」

「誠に申し訳なく思っております今回の件を真摯に受け止め再発防止に取り組み今後の行動によって信頼の回復に努めさせて頂きます本当に申し訳ございませんでした」

 

うおぉ……エンジニアと軍師ーズ暗記力すげぇ……。

 

「…………」

ダンッッ

「堪忍な」

「すみませんでしたー」

「申し訳ない」

 

氣を放出させながらの卓ドンでやっと静かになる一同。あれ?バ会と同レベじゃないか?

 

「おほん……じゃあ、内容については私から」

 

いやに気取った態度で桂花が切りだす。

 

「まず、相手方……競技者は。季衣、凪、沙和、バカ、馬鹿、莫迦、そして精液よ」

 

残念ながら、遠征のため霞は欠席である。

 

「開始時間は四日後の辰の刻。終了は、基本的には全員が何らかの形で競技を終了すること、だけれど、華琳様が飽きればそこで試合終了よ。競技全体は点数制で行われるわ。ごーる……つまり最終目的地ね。そこに最初に到達した者には十点。三つ有るちぇっくぽいんと……中継地点に最初に到達した者にはそれぞれ五点が与えられるわ」

「なるほど……。つまり、勇んでごーるに一番乗りしても、二つ以上のちぇっくぽいんとを墜とされていれば同点になってしまう、と」

「おりえんていりんぐのるーるも本来ちぇっくぽいんとを通らないといけないものだしね。まぁ、一部のバカ共はそんなこと無視してごーるに殺到するでしょうけど」

「同点の場合の判定はどうするのですかー?」

「華琳様の審判となるわ」

「これ、仲間割れ有るでぇ……」

「ふふ。そうよ。だから二番以下には得点を与えないの。それと、各地点への到着は競技者それぞれに対応した色の狼煙で知らせることになっているわ。桃色が季衣。黒が凪。緑が沙和。白が精液。バカ共にはそれぞれ赤、黄、青を振り分けているけれど、……これらが使われることはないでしょう。気にしなくて良いわ」

 

バカをバカにし過ぎだろ……。

 

「そして、これが当日バカに……競技者に配布される地図よ」

「ふむ……」

「うーん……?」

「これは……」

 

一つの点と、三つの円、一つの赤い点そしていくつかの線が描かれた、圧倒的に白い紙。それぞれ、スタート、チェックポイント、ゴール、等高線を表しているのだろうが……。

 

「……少し難しすぎないか?」

「嘘は描いていないのよ?」

「いやぁ、情報が少なすぎるやろ……。これ、私でも難しいで」

「そうですねー。これだと、地形の高低だけで場所を判断しなければならないのですよー」

「しかも、その基準になる線も随分と荒いですしー」

「手直しが必要ですね。目印となる物を……例えば目立つ大木とかを描き加えたらどうですか?」

「……そうかしら、………はぁ、まぁ、仕方ないわね。それは出来次第また見せるわ。……次に、いよいよ妨害方法を決めるわけだけれど……。これが詳細な地図よ。あと、石と指し棒」

 

急に本気だ。地図も机いっぱいになるほど大きく、そこに細やかな情報が見辛くならないように上手く書き込まれている。さっきの地図では分からなかったが、どうやら道なりにジグザグに進んだ曲がり角付近にそれぞれのチェックポイントが有り、ゴールとスタートを結んだ直線は、だいたいその道を横切って進むようだ。スタート直後とゴール直前には、道が重なっているところも有るが。

 

「なるほど……。考え無しに直進すると道なき道を進むことになるのですか」

「それで、妨害だけど、"できるだけ"怪我人が出ないように、とのことよ」

 

できるだけ、の部分に力を入れて言う。ああ、これ一刀さん殺す気ですわ。

 

「仕方ありませんねー……。春蘭さんを止めようと設置した罠では一刀さんは大怪我しちゃいますでしょうし」

「お兄さん、脆いですからねー……。不思議と死なないのですけど」

「その罠のことなのだが……私はどうすれば良い?あまり得意ではないぞ」

「あ、私もです。秋蘭様」

「直接攻撃で良いわよ。そうね……流琉はこの辺り、秋蘭はこの辺りで待機しておいて」

 

それぞれスタート付近とゴール付近の開けたポイントを指す。戦略的には、ゴール前に二人配置が良いのだろうが、それではムリゲー過ぎる。さっきの地図とは違って丁度いい判断だ。

 

「あと、聆にも直接攻撃ででてほしいのよ」

「ムリヤナ(・×・)」

「聆さんの戦いって大怪我しますもんねー。主に聆さんが」

「否定はせん。やから罠に廻るわ」

「そう。なら、罠を仕掛けるのは私、聆、風、禀、真桜、七乃ね。罠の基本方針だけれど……」

「待っていただきたい。確かに、罠に嵌めるという点では、基本方針を決めて連鎖反応的に畳み掛けるのは有効ですが、いかんせん彼らの半分は我々とは全く異なる思考回路を持っています。考えの通りに事が運ぶとは思えません。ここは一つ、各々の担当範囲だけ決めて、後はそれぞれの自由にするのはどうでしょうか。多様な罠によって、『嵌める』のではなく、『引っ掛ける』のです」

「おお〜、禀ちゃんが輝いているのですよ〜」

「ウチ、ただいやらしいこと考えて鼻血出すだけの人やと思とったわ……」

「私も『鼻血の人』って思ってましたよー。むしろ、『禀』って名前、初めて知りました」

「あなた達……」

「んだらまず、直進経路と、チェックポイント通過経路の二つに大分されるな」

「そうね。バカとそれ以外ね」

「うーん、季衣ちゃんは直進すると思うのですよー」

「ああ、ボクっ娘、春蘭様にべったりやもんな」

「逆に猪々子さんはちぇっくぽいんとにちゃんと行きそうな気がしますねー。博打好きですけど決まりは守る人なので」

「ま、つまりは考え無しの力任せな者が直進するワケよ。それでわかるように、直進経路の罠は一定以上の威力と耐久性が求められるわ」

「逆に、とにかく力押しで来るやろから隠蔽工作と精密性は適当でも良え、と」

「そう考えると、この交差点付近は真桜に担当してもらいたいわね」

 

桂花は、地図上に二つ有るバカルートと常識人ルートの交差点をそれぞれ一度ずつ指して言う。

 

「精密性と威力の両方が求められる所よ。お願いできるかしら」

「まっかせとき!!完璧な罠で全員仕留めたるわ!!」

 

目を輝かせて大声で答える。期待の言葉のおかけで職人魂に火がついてしまったようだ。

 

「相手が死なんように気ぃつけぇよ?」

「じゃ、私はちぇっくぽいんと付近、貰ってもいいですか?」

 

と、ここで七乃さん。

 

「できるの?ちぇっくぽいんとは競技者が特に注意深くなる所よ?」

「だからこそ、ですよー……」

 

黒い笑み。さすが恋姫唯一の純粋な悪人と評されるだけある。Sとかいじめっ子とか、そんな次元じゃない陰湿な罠が仕掛けられることだろう。

 

「あと、私はちぇっくぽいんと経路の道中をやりたいと思ってるのだけど、構わない?」

「いいのですよー」

「ええ。構いません」

「んだら、私と風さんと禀さんでバカの相手やな」

「ええ。特に聆はバカに詳しいし、期待しているわ」

「直進経路はちぇっくぽいんと経路によって三区画に分かれますね……。聆さん、最後の所をやっていただけますか」

「おお。ええで」

 

何か禀は私に対してめっちゃ下から来るなぁ。

 

「じゃあ風は真ん中をもらうのですよー」

「それでは私は最初、と。……これで決まりましたね」

「ええ。設置は三日後、おりえんていりんぐ本番の前日よ。集合時間は卯の刻。設置後の全体的な調整は私がやるから、作業終了後、罠の詳細を私に伝えるのよ」

「うぃ」

「はーい」

「了解しました~」

「分ったで」

「了解」

「分かりました」

「……このおりえんていりんぐ訓練実用化実験が意義あるものとなるかは皆の頭脳に掛かっている。存分に知恵を振るうように。以上、解散」

 

かくして私はバカ対策の大トリを務めることになった。

バカは打撃に強いし、網も引き千切られてしまい、割と意味がない部類だ。……かと言って刃物で傷つけるのは嫌だ。怪我の苦しみは私が一番よく分かっている。ぬるい罠では軍師ーズに文句言われるだろうし。さて、どうしたものか……。




――組分け時――
美羽様「妾も競技者になるのじゃ」
七乃サン「でも山の中を歩き回ったり罠を避けたりしなきゃいけませんよ」
美羽様「やっぱり妨害者になるのじゃ」

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