哂・恋姫✝凡夫   作:なんなんな

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軍議シーンは飛ばしてしまいたいシーンベストスリー。
飛ばしたらダメなシーンベストスリーでもある。
(作者的に)
この小説(?)書き始めたぐらいからずっと下痢なんですけど、なんでですかね?
昨日は熱も出ました。命を吸い取られている……?


第四章二節後半

 「さて。これからどうするかだけれど……。新しく参入した聆たちもいることだし、一度状況をまとめましょう。……春蘭」

 

軍議だ……。目立ちすぎず、且つある程度存在感を示さなければならない緊張のときだ。目立ちすぎて、向こうから意見を求められるようになったらいろいろとボロがでそうだ。無論、都入りしたら、書庫を利用して軍略の勉強をするが、どの程度モノになるか分からんからな。あ……このまま陳留に入ったら、竹籠の売り上げ持ち逃げ状態になるな。使者でも出すか。閑話休題。私が目指すのは、いざと言う時違和感なく進言を聴いてもらえる立場。

 また、情報を早い段階で手に入れるため、四人娘の中ではリーダー格でもあるべきだ。コレは割と上手く行っている。華琳もさっき元義勇軍のことを「聆たち」って言ってたし。ファーストコンタクトで出しゃばって良かった。

 

「我々の敵は黄巾党と呼ばれる暴徒の集団だ。細かいことは……秋蘭、任せた」

「投げるの早すぎだろ!春蘭」

「やれやれ……」

 

一刀が突っ込み、秋蘭が呆れたように呟く。これ、春蘭が美人だからバカワイイが、そうじゃなかったらと考えるとゾッとするな。

 

「黄巾党の構成員は若者が中心だ。……今のところ、その主張や目的は分かっていない」

 

ここやな。状況理解できてますよアピール。

 

「首魁の張角についてもあんまり分かっとらんのやろ?」

「……旅芸人の女らしいという点以外はな」

「わからないことだらけやなぁ~」

 

真桜がため息混じりにぼやく。真桜って何で軍議参加してんだ?絶対街の復興作業に参加させた方がいい仕事するだろ?

 

「首魁の情報ではないですが、構成員について。我々が立ち寄った村などで聞いた話では、地元の盗賊団と合流して暴れていたとのことです」

「戦闘も全体的な動きも小慣れとって厄介やったみたいけど、陳留辺りではどないなん?」

 

凪はなかなか良い所に目をつけるな。だから、飽くまでも自然に途中でセリフを奪った。中学時代の女子特有の(最近は男子にも有るらしい)立ち位置争いを思い出す。これを何度かやられた相手はいつの間にか会話から置いてけぼりになるという。凪ェ、軍議の間は我慢してくれ。

 

「同じようなものよ。事態はより悪い段階に移りつつある」

「悪い段階……?というのは……?」

 

春蘭が首を傾げる。……美人だからバカワイイな。

 

「ここの大部隊を見たでしょう?ただバカ騒ぎをしているだけの烏合の衆から、盗賊団やそれなりの指導者と結び付いて組織としてまとまりつつあるのよ」

「……ふむ?」

「癇癪起こして暴れとるだけのガキから、冷静に"戦"をする"兵士"に変わるってことや」

「……うん?」

 

えー、結構良い感じの例えだと思ったんだが。

 

「……春蘭が吠えたぐらいじゃ逃げ出さなくなるってコト」

「ああ、なるほど」

「……春蘭さんホンマにわかっとるんけ?」

「秋蘭や季衣だけでは苦戦するということだろう。それくらいは分かるぞ。バカにするな!」

 

分かってねぇなぁ、分かってねぇよ。でもあんまりひつこくすると斬られそうなので黙っておく。

 

「……ともかく、一筋縄では行かなくなったというコトよ。ここでこちらにも味方が増えたのは幸いだったけれど……これからの案、誰か有る?」

 

ここからは確か一刀の見せ場だったよな?一刀は華琳の心を溶かす重要な人物だ。活躍を奪うわけにはいかない。相槌に撤しよう。

 

 一刀が、沙和の支援物資についての相談から兵糧攻めを発案し、敵の物資集積地の襲撃が決定。まずその位置を探ろうということで多数の偵察隊が出されることとなり、私も偵察に出ることになった。

 

 戦闘準備のときに、余っている一般兵用装備を動きの邪魔にならない程度に一部拝借した。胴は私の利点である身体の柔らかさを殺すので着けない。

 私は元々、恋姫基準の軽装が戦闘衣装だったのだが、前の戦いで、乱戦中の流れ矢(?)の恐ろしさを知り、不安になったのだ。少々窮屈だが、胸当てとか肩当てとか草摺(腰から垂らす板)とか凄い安心感。落ち着いたら真桜に私用の甲冑を作ってもらおう。

 

 腰に瓢箪を下げ、元義勇軍の私の指揮下だった者たちを率いて出発する。瓢箪は、別に戦場で酒が飲みたい訳ではない。(酔わない程度にちょっとは飲みたいが)トレードマークみたいなものだ。私も一小隊の長か……。まぁ、現世では私がいた部署は実質私が廻してたし、軍略の勉強ちゃんとすればなんとかなるはず。

 

 

 収穫無しで陣に戻ってくると、なんか一刀が桂花に土下座してた。予備の糧食を街に全部配ってしまったらしい。春蘭が半日ほどの行軍で到着できる位置に在った敵陣を発見し、糧食がむしろ邪魔になったから許されたが、もっと見つけるのに時間がかかったり距離が遠かったりしたら……。会社で発注の桁数間違えるヤツのヤバイ版みたいな。

 

 

 陣の撤収を行い、敵地に赴く。その間に、頭の良さそうな部下を数人こっそり走らせ、各偵察隊が手に入れた情報をあつめる。凪の隊へ行った奴が面白い情報を持ち帰った。また凪か。悪いな、この出世街道一人用なんだ。凪は一刀にいっぱい可愛がって貰えるから別にいいよな。魏ルートで一番多く一刀とえっちしてるのって実は凪だと思う。他人のエピソードの御色気シーンにも登場する優遇っぷり。有能で、変態じゃない忠犬キャラとか正妻には最高だもんな。

 

 山奥にぽつんと立つ、古い砦が敵の陣だ。

 

「廃棄された砦ね……良い場所を見つけたものだわ」

「敵の本隊は近くに現れた官軍を迎撃しに行っとるらしい。守りは一万居るか居らんかやろ。此処ももうそろそろ捨てるつもりやったみたいや」

 

前半ソース凪隊、後半ソース秋蘭隊。

 

「官軍が来たから砦をすてるってのか?」

「何を言っている北郷!華琳様のご威光に恐れをなしたからに決まっているだろう!」

「……もったいない」

「捨てとるモン拾ただけって感じやろからな。あんまそう思ってないやろな」

「あと一日も遅ければ、ここも蛻の殻だったろう」

「厄介極まりないわね……。それで、こちらの兵は?」

「義勇軍と併せて八千と少々。向こうは荷物の搬出で手一杯でこちらに気付いていません。今が絶好の機会かと」

「華琳様、一つ、ご提案が」

 

桂花って唐突にくるの多いな。

 

「何?」

「戦闘終了時、全ての隊は手持ちの軍旗を全て砦に立ててから帰らせてください」

「え?どういうことですか?桂花様」

「旗よぅけ立て過ぎたらキモならん?見た目」

 

やりすぎたバースデーケーキみたいな。

 

「この砦を墜としたのが、我々だと示す為よ。……聆は自重して」

「誠に申し訳なく思っております今回の件を真摯に受け止め再発防止に取り組み今後の行動によって信頼の回復に努めさせて頂きます本当に申し訳ございませんでした」

「……官軍の狙いもおそらくここ……。ならば、敵を一掃したこの砦に曹旗が翻っていれば……」

「フフフ……。その案、採用しましょう。軍旗を持って帰った隊は、厳罰よ」

 

スルースキル高いな。

 

「なら、誰が一番高いトコに旗を立てられるか、競争やね!」

「こら、真桜。不謹慎だぞ」

「競争好きやなぁ」

「ふん。新入りどもに負けるものか。季衣、お前も負けるんじゃないぞ!」

「はいっ!」

「姉者……大人気ない」

 

大人気のある春蘭って、そのほうがおかしいな。

 

「そうね……。一番高いところに旗を立てられた隊には、何か褒美を考えておきましょう」

「おいおい、華琳まで……」

「ただし、作戦の趣旨は違えないように。いいわね」

「「「「はっ!」」」

「なら、これで軍議は解散とする。先鋒は春蘭に任せるわ。いいわね?」

「はっ!お任せ下さい」

 

 

 私の隊の配置は、元義勇軍の先頭、全体では秋蘭隊に次いで四番目に突入する位置だ。皆戦闘準備に慣れてきたのか、スムーズにすすむ。だいたい同じ頃に布陣を終えた真桜と一緒に一刀のところへ報告に向った。

 一刀と凪が何やら話している。確か沙和についてのことだったか……。

 

「何や何や。何?面白い話しとるん」

「私らにも聴かせてくれや」

「別に。面白い話じゃないよ」

「じゃあいいです!!」

「聆ちゃんたち何楽しそうにお話してるのー?布陣終わったから、沙和も混ぜてほしいのー!」

「おお、エエところに来た!この戦がおわったら、隊長がウチらの歓迎会開いてくれるって!」

「この戦いが終わったらさ……皆で旨い酒、呑みに行こうな。って言うとった」

「やめろぉっ!そのセリフはダメだ!!」

「ホント?やったぁ!」

「言うたよな?凪!」

「…………ああ」

「もう歓迎会を開くのは良いから、さっきの捏造セリフだけは撤回させてくれ!!」

 

馬鹿なやり取りに参加しつつ、心の内で戦いへの緊張感を高めていく。

 

 

 「銅鑼を鳴らせ!閧の声を上げろ!追い剥ぐことしか知らない盗人と、威を借るだけの官軍に、我らの名を知らしめてやるのだ!」

 

号令の時の春蘭は頭良さそうに見えるな、などと、ふと思う。余裕が出てきたのか?

 

「総員、奮闘せよ!突撃ぃぃぃぃっ!」

 

酒を一口だけ呑み込み、戦いの渦へ飛び込んだ。




楽進、李典、于禁伝(PSP版)十四枚のスチルのうち、九枚は凪が居るという。張遼伝八枚のうち、三枚に凪が居るという。どんだけー!

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