哂・恋姫✝凡夫   作:なんなんな

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少し前から牧場物語(はじまりの大地)をやっているのですが、今作ではキャラメイクで見た目女の男ができるので、擬似レズの遊びをしています。
で、いつものように攻略対象外キャラにイベント用アイテムを渡して反応を見て遊んでいたら、何かイベントが発生。
びっくりして攻略サイトを見てみると、何かそう言う仕様のキャラだったらしいです。優遇されたモブってわけじゃなかったんですね……。


今回は、「蜀潰れるぜヒャッハー!」と思っていた読者様方には少し物足りない感じになってるかもしれません。ご了承なんとかかんとか


第十一章一節その六

 「……ごめんなさい。私が余計なことを言ったばっかりに………私が……」

「……いや、いいんだ。もともと鑑惺のとこに突っ込むって言ってたんだ。これで私の思い通りなんだよ……はは、はははは…………」

「姉様……」

「翠ちゃん……」

「それよりもさ、……全部読まれてたのかな、やっぱり。黄忠が罠だって思うのも、味方への成りすましに気づくのも、……この作戦自体も」

「…………………。今思えばそうとしか考えられないわ……。人選、援軍、戦法。どれを取っても最小の消耗で最大の被害を与えられるようになっている……ように見えるわ」

「でも、どうやって?事前工作に不備が有ったわけじゃないよね?」

「ええ。それに、もし仮に部隊の規模が明らかになっても、それが私達だと知る方法は……」

「その上であたし達の動きを読み切って、自分たちは楽しく晩飯喰ったり、翌朝には策に嵌めたりしたんだな……」

「占いか……後は、五胡の妖術でも使ったとしか思えないよね」

「確かに、一時期の噂ではそういう事もあったけれど……、実際の曹操は質実剛健、誰よりも現実主義というのが朱里ちゃんの言。『天の遣い』ですらも、その予言を聞くわけじゃなくて殆どその辺の凡夫と同じに扱っていると聞くわ。妖術や占いに頼るとは思えない。……考えられるのは………」

「相手が朱里より優秀だったってことか?」

「そうね。……それも、人智を遥かに超えて、心を読み、未来を見透すほどの……」

「それこそ絵空事ではないか」

「………!星、お前、こんな所で何を……!」

「お主らが思わぬ苦戦を強いられていると聞いてな。糧食や馬の手配をしておいた」

「それなら、助けに来てくれれば……!」

「さてそろそろ定軍山か、と意気込んだときには既に惨敗の報せが届いていたこちらの身にもなってくれ」

「くっ……」

「それに、助かったわ。逃げるときは、糧食も何も気にしている場合ではなかったもの……。帰ることすらままならなかった……」

「ふむ……まぁ、まずは帰ろう。ゆっくり休まねばな」

「………分かった」

 

  ――――――――――――――――――――――――――――

 

 「――という訳で、相手はこのまま帰るようですね」

 

偵察兵はそう言いつつ、紙芝居を仕舞う。……上手いんだが、構図が平面的なんだよなぁ……。敢えて紙芝居自体にはつっこまない。

 

「この様子やと、私の策はハズレたっぽいな。馬超が予想以上に聞き分け良すぎた」

「……意気消沈し過ぎて八つ当たりすることもできない、と言った方が正しい気もするが……。削り過ぎたようだな」

「いや、別に良えわ。元々が遊びみたいなもんやったし。それに、逆に思たより影響大きぃて蜀が勝手に潰れでもしたら華琳さんもがっかりやろしな」

「……いえ、少し待ってください。偵察さん、さっきの報告は、相手の会話を一言一句正確に記録したものですよね?」

「は、はい!聞き取れたものは全て!」

「なら、会話部分のはじめからもう一度読んでみてください」

「……?は、はい。『……ごめんなさい。私が余計なことを言ったばっかりに………』『……いや、いいんだ。もともと鑑惺のとこに突っ込むって言ってたんだ。これで私の思い通りなんだよ……はは、はははは…………』『姉様……』『翠ちゃん……』『それよりもさ、……全部読まれてたのかな、やっぱり。黄忠が罠だって思うのも、』」

「………!」

「………!」

「ほら、結構効いてるみたいですよー」

「え、え?どういうことですか?」

「……馬超が黄忠を真名で呼んでいない」

「あ……!」

「どうやら一から十まで完璧っぽいなぁ」

 

これは良い。その場で殴り合うわけでもなく、かといって簡単に割り切れるものでもない、絶妙な不和だ。私の場合は一週間ほど謝り続ければ何とか持ち直せたが、コイツらの場合は原因がガチ過ぎてそう簡単には修復できまい。

 

「で、どうする?追撃をかけるか?……私はこのまま帰還した方が良いと思うが」

「ええ。帰還しましょう。趙雲は器用な将らしいですからね。十分な被害は与えましたし、もういいでしょう。何を仕掛けられているか分かりませんから、深追いは危険です」

「よっしゃ決まり。帰り支度すっか。……ところで美羽様は?」

「お腹いっぱいになって寝ちゃってますー」

「さっきまで戦場に居たというのに、気の大きい奴だ」

「あんま分かっとらんだけちゃう?特に今回は余裕やったし」

「そうですねー。お嬢様、ほとんどお遊び気分でしたよ」

「お遊びと言えば、夕食の余興での歌、なかなか素晴らしいものだったな」

「え、美羽ちゃんって、歌が上手なんですか?」

「それはもう。耳が天国の階段を駆け上がりますよー」

「その例えはよく分かりませんけど、よく分からないくらい凄い、って解釈で良いですか?」

「……まぁ、それで間違ってはいないな」

「じゃあ、天和ちゃんたちみたいに徴兵を手伝ってもらうっていうのは……?」

「アカンやろなぁ。美羽様って調子乗りィやから、自分の歌で兵が集まるとなったら独立したがるやろ。なぁ?七乃さん」

「否定はしません」

「やから、使えるとしたら慰安やろな」

 

上手く手綱を引けば徴兵できないこともないが、流石に圧倒的すぎてダメだ。

 

「まぁ、どっちにしろここ居ってもやることないし、帰るか」

「お前はさっさと帰って宴会したいだけだろ」

「バレたーー!」

アッハッハッハ

 

皆は和やかな冗談を言い合って終了。

 

  ―――――――――――――――――――――――――――

 

 定軍山について留守番組の一言

 

一刀

「今だから言えるんだけどさ、定軍山って俺たちの歴史じゃ秋蘭が黄忠に討ち取られるって出来事だったんだ。だから気が気じゃなかったんだけど、無事で良かったよ」

 

華琳

「ご苦労さま。……で、とりあえず美羽をここに呼びなさい」

 

春蘭

「秋蘭を罠にかけるとは蜀の奴らめ!許せん!!どうして追撃をかけなかったのだ!」

 

桂花

「ふふん。諸葛亮孔明、恐るに足らず!」

 

「見事に裏の裏をかいた素晴らしい策ですね。兵法書など出してみてはいかがですか?」

 

「あ〜、これはこれは……黄忠さん、ぽっきりいっちゃってそうですね〜」

 

季衣

「流琉!ボクにも何か作って!」

 

「……無事でよかった」

 

真桜

「ウチの工兵隊ってどこで活躍したん?もしかして出番無し!?……え?連絡用の火の消火?地味やなぁ〜!もっと派手なことさせたってぇや!」

 

沙和

「ねー!やっぱり服装って大事なのー。この策が成功したのも、蜀の服に着替えるっていうのが肝心なところなの!だから服代を経費で(ry」

 

猪々子

「え!?一騎討ち無しかよ!」

 

かゆうま

「つまらん」

 

「同じ騎馬隊としては背筋が凍る話なんやけど……」

 

「え、マジで西涼騎馬隊そんなことになったのか?……容赦無さ過ぎだろお前ぇら……」

 

赤髪の侍女

「犠牲者がまた一人……」




蜀の精神的ダメージをどのくらいにするかで非常に迷いました。
当初の予定では、黄忠と馬超が殴り合い一歩手前まで行って趙雲が止める、というものだったのですが、もうそうなると本気で蜀が瓦解しそうな雰囲気になってしまったので静かな不和に変更。
と、時が解決してくれるさ……。

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