もしヨン様に理解者がいたら   作:肩パルト

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想像以上に沢山の方に読んで頂いているようで、感無量です。
評価やお気に入り登録ありがとうございます。大変励みになります。

あらすじ部分にも追記しましたが、現在小説版BLEACH Can't Fear Your Own Worldを読んでいまして、この小説のキャラクターも拙作に登場させる予定です。というか登場します。

引き続き、どうぞよろしくお願いします。


◆:兄
◇:妹




日記①/堕誓

 ◇ 長月十一日

 

 もじのよみかきをならった。れんしゅうのために、にっきをかくことをすすめられた。

 なにをかけばいいの、ときいてみたら、きょうあったことをじゆうにかけばよいよ、といわれた。

 とりあえず、かきはじめてみる。

 

 きょうも、よみかきのとけいさんをならった。

 まなぶことはたのしい。

 これまでのなにもしらなかったじぶんとはちがうじぶんになれる。

 

 きょうもごはんはおいしかった。

 あしたのあさごはんがたのしみだ。

 

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 ◇ 長月十六日

 

 ここでの生活にもだいぶなれてきた。

 父上、兄上呼びもさまになってきたと思う。

 

 兄上というと、わたしは彼のかく字がすきだ。

 お手本のようなきれいな字から、心をゆさぶるような字まで、なんでもじざいにかくことができる。彼じしんも字をかくことがすきみたいだ。

 父上も、きっとしょ道の先生になれるとほめていた。

 

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 ◇ 長月二十四日

 

 本はすてきだ。未知が消えていくことはとても心地いい。さいきんは二人で書庫にこもってばかりいる。

 

 ちかごろはき族のくらしがすっかり当たり前になっているが、ふりかえると今までの生活がいかにひどいものだったかを思い知る。

 死後のせかいにも格差があると知ったら、げんせの人々はどう思うだろう。

 き族のぎまんに支配されたこの尸魂界(ソウル・ソサエティ)をわたしはあまり好きになれない。

 知るたびに、わたしのせかいはよごれていく。

 

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 ◇ 神無月三日

 

 今日は霊力について調べた。

 わたしたちの体の中には魂ぱくというものがあり、そこから霊力という力がでているらしい。

 そして霊力がはっする圧力のことを霊圧というみたいだ。わたしが今まで感じていたのは、この霊力と霊圧らしい。

 また霊子というものが尸魂界(ソウル•ソサエティ)の全てのものをこうせいしてるようだ。

 

 この“霊”というものがいったい何なのかがよくわからない。何のために存在するのだろうか。

 思い出すのは、以前に流魂街で人をあやめた時のこと。

 死んで、霊になる。霊にもまた、死がある。

 一体なぜ?

 

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 ◇ 神無月七日

 

 霊力を持つものには、食事が必要。ということは、食事から霊子を摂取しているのだろうか。食べ物以外から霊子を摂取することはできないのだろうか?

 試しに石を食べようとしたところ、兄上に止められた。

 

 霊力は尸魂界(ソウル・ソサエティ)と霊体の中とを循環する関係にあるようだ。

 

 この世界の仕組みも同じだ。

 現世の生命は死ぬと霊体となり、尸魂界(ソウル・ソサエティ)へ召される。そして召された魂魄は再び現世へと生まれ変わる。こうして“霊”は循環する。

 だけど、虚圏(ウェコムンド)と地獄の存在は不可解だ。なぜ(プラス)(ホロウ)と化すのだろうか。そして浄化されることなく地獄に囚われ続ける魂魄はどうなるのだろうか。

 

 死神は世界の魂の調整者(バランサー)だと言われているけれど、これは所詮世界の延命に過ぎないのかもしれない。そう思えるほどにこの世界のシステムは、不完全だ。

 

 鍵となるのは三界を支配する王──霊王。

 引き続き調べていく必要がある。

 

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 ◆ 神無月九日

 

 この世界は全くもって不愉快だ。

 世界の真実が故意に隠蔽されているであろうことに気がついて真っ先に私が感じたことがそれだった。

 

 どの歴史書にも肝心なことが書かれていない。

 霊王とは一体なんだ?

 隠された真実を知るには、ここにある物だけでは不十分だ。

 

 真実の書かれた本があるとすれば、それは恐らく禁書であり、保管されているのは尸魂界(ソウル・ソサエティ)の過去を管理する大貴族である綱彌代家くらいのものだろう。

 

 書庫に入る手段を考える必要がある。

 

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 ◇ 神無月十一日

 

 綱彌代時灘の奥さん、歌匡さんと会った。

 とても素敵な人で、下心で近づいたことを申し訳なく思う。

 

 これで綱彌代時灘が私たちに興味を持ってくれれば良いのだけど。

 

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 ◆ 神無月十一日

 

 綱彌代家について調べた。

 最近関係者に立て続けに不幸が起こり、生き残ったのは綱彌代時灘という末席の人間とその妻だけのようだ。

 また意外な事実も判明した。

 藍染家の長男の妻は綱彌代家本家の次女であったようだ。

 つまりこの家で起こった悲劇に関しても、恐らくは綱彌代時灘によるものなのだろう。

 

 妹に綱彌代時灘の妻と“偶然”出会ってもらった。

 彼がこちらの想定した通りの男であれば、これで興味を持ってこちらへ接触してくるはずだ。

 

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 ◇ 神無月十三日

 

 上手くいってよかった。

 明日綱彌代家の管理する大霊書回廊を案内してもらえることになった。

 

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 ◆ 神無月十三日

 

 案の定、綱彌代時灘がこちらに接触してきた。

 これで漸く真実を知ることができそうだ。

 

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 ◇ 神無月十四日

 

 きっと禊により分たれた世界は、少しずつ混沌(もと)に、戻ろうとしているのだろう。

 だからこそこの世界は、歪みと淀みを産む(エントロピーが増加する)

 

 

 

 

 ─────この世界に、正しき死を。

 

 

 

 

 そろそろページの終わりが近い。

 一旦この日記は処分することにする。

 

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 ◆ 神無月十四日

 

 

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(黒く塗りつぶされている)

 

 

 

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 綱彌代時灘は、双子(新しい玩具)のことを思い出して思わず笑みを浮かべた。

 

 件の双子について知ったのは、奇しくも妻の話からであった。本家の()()()に処分した藍染家に面白い双子の養子がいるようだ。

会ってみたところ、なんと彼らは尸魂界(ソウル・ソサエティ)(原罪)をご所望のようである。彼らの利口で行動力のあるところを彼は評価しており、それ故彼らを綱彌代家へ、大霊書回廊へと招いた。

 そして彼らは深淵を覗く────深淵もまた、彼らを覗いているとは露知らずに────。

 

 「これこそが、世界の真実だ。私はね、この世界をより良いものに変えたいんだ。犠牲の上で成り立つ世界なんて間違っている。───もし私の意見に賛同してくれるならば、君たちの力を貸してはくれないだろうか?」

 

 「僕らも、貴方と同じ気持ちです。霊王(あんなもの)に従い続けるこの世界は、間違っている。───僕らの矮小な力でよければ、どうぞお使い下さい。」

 

 なんて聡明で、純粋で、正義感の強い子供達なのだろう。そしてなんて愚かなことか。

 彼らのことを思うと自然と口角が上がってしまう。愛おしさで胸がいっぱいだ。

 

 ──藍染家を滅ぼしたのが私だと知った時、一体どんな感情を私に向けてくれるのだろうか。

 ──私が君達を裏切った時、一体どんな反応を見せてくれるのだろうか。

 その時が今から待ち遠しい。

 

 

 彼らとは良い関係を築いてゆきたいものだ(精々私を楽しませてくれよ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 「それにしても、あの男はよくも平然と、思ってもいないことを口にできるものだ。」

 「ほんと。そういうのは兄上だけで十分だっての。胸焼けしちゃいそう。」

 「……。」

 

 藍染惣右介と藍染美代は綱彌代家を後にしていた。二人の雰囲気からは先程までの子供らしさが消えうせ、他者を圧倒するような自負に満ちていた。

 そしてもし聞く者がいたら、躊躇せず口を塞ぐであろう会話が行われる。

 

 「──いずれにせよ、綱彌代時灘はああ言ってはいたが、諸悪の根源は霊王ではなく、霊王を必要とする世界だろう。美代の言っていた通り、死んだ人間に営みがあり、死んだ死神が地獄に囚われていることは異常だ。」

 「“霊”──私はこれを、死を変質させるモノだと考えている。()()()()()()()()()()()()()()()()()、その結果本来起こるべき死が変質する。“霊”の存在が、死の概念を歪めている。」

 「そして恐らく、(ホロウ)は死の変容によって生じた欠陥(バグ)なのだろう。」

 「本来であれば現世の生命にとって“霊”は不要。そこから考えられるのは──」

 「──“霊”はもともとこの世界には存在しなかった。霊王は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()でしかない。つまり─────」

 

 

 

 

 「「霊の存在しない、器子のみの世界(現実)こそが、正しいあるべき姿。」」

 

 

 

  これから私達は──────天を堕とす。

 

 

 

 二人の達した結論は、尸魂界の死神(敗者)の理論とも、藍染惣右介(別の世界線の彼)の掲げる理想とも、とある滅却師の王(ユーハバッハ)の目的とも異なる、この世界の成り立ちそのものを否定するものであった。

 そして二人はお互いに誓い合う。──声に出さずとも、想いは一つだった。

 

 「それにしても、他に手段がなかったとはいえ面倒な人に目をつけられちゃったね。」

 「今後も彼と関わることは避けられないだろうね。」

 

 藍染惣右介は自分達の反応をみて心底楽しんでいたあの悪辣な男のことを思い起こす。全てを軽んじているかのような歪んだ目元を。己の邪悪を知られぬようにと笑みを必死に堪える下卑た口元を。

 

 ──今はそうやって笑っているがいい。所詮、君は道化に過ぎないのだから。

 

 

 

 彼とは良い関係を築いてゆきたいものだ(精々利用してやろう)

 

 






時灘「すべて私の掌の上」
藍染「すべて私の掌の上」

───水面下でのマウントバトルが今始まる、かも。

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