死後ってランダムに流魂街にリスポーンするものだと思っていたのですが、整理券が配られてから送られるんですね(原作ちゃんと読め)。
拙作内ではランダムリスポーンするという設定でお願いできればと思います……。
とある港町から船を出し、波を超えた先には五つの島が寄り添うように連なる地域がある。その島々の一角には、古びた寺院がひっそりと佇んでいた。
その寺院は、もともとこの海域で暮らす漁師たちのために建てられたものだった。潮の流れを読み、荒波に挑む者たちが日々の糧と無事を祈る場所。しかし───時代の流れとともに、その役割は変わっていった。
かつて存在していた国───
そして追われる身となり、行き場を失った末にこの地へ辿り着いたのだ。この地で彼らはひっそりと暮らし、寺院は逃亡者達への隠れ家へと変わった。
そして彼らは、特殊な力を持っていた。
霊を視認し、滅ぼす力を。
もしかしたらその力こそが彼らを追いやった本当の理由だったのかもしれない。
つまるところ───この時代、この国において、
「皆さん、お集まりいただいてありがとうございます。」
丸眼鏡をかけた総髪の男性が、集まった大勢の人々の前に進み出て声をあげた。彼の目元には笑い皺が深く刻まれており、柔らかい雰囲気を身に纏っている。
集まった大勢の人々をゆっくりと見渡し、一人ひとりの顔を確かめるように目を配る。そして、静かに口を開いた。
「やがて、この地へ死神がやってくるでしょう。伝承の死神のように、我々に死を届けに。」
死神と
始まりは確か、現世と
だが、いつしか死神と
理由はわからない。だが溝は深まっていくばかりで、争いは次第に激化していく。もはやその渦中では、人々からだけではなく、死神からも身を隠して生きていかなければならなかった。
そして遂にはどちらかが滅びるまで終わることのない、苛烈な対立にまで発展してしまったのであった。
「我々
人々の反応は様々である。
声をあげる者、頷く者、拳を振り上げる者、祈る者、友人と抱き合う者────。
だが、彼の声に賛同しているという一点においては、皆同じであった。
「皆で祈りましょう、我らの未来を。」
かつて
そして彼らは彼らの主───
その様子は皮肉にも、彼らを追いやるきっかけとなったキリシタン達のものに酷似していた。
**********
本日の業務を終え、藍染美代は四番隊隊舎の自室にて一息ついていた。茶葉を蒸らした急須から緑茶を注ぐ。
四番隊の業務は救護活動が主と聞いていたが、先日急患で
淹れたばかりの茶をゆっくりと啜る。新茶特有の爽やかな香りが鼻に抜けていった。
茶を嗜んでいると、不意に馴染みの霊圧が近づいてくるのを感じた。その気配を追いながら、湯呑みをもう一つ用意して茶を注ぐ。やがて、戸をノックする音が響いた。
「どうぞー。」と声をかけて招き入れる。
「なんか、忙しそうだね。」
「なぜか平子隊長に目をつけられたみたいでね。」
「まあでもそのお陰で
そういえば、と思い出す。天挺空羅で突然兄から頼み事をされた時のことを。
「っていうかさ、急に“今現世で
「でも出来たのだろう?」
───まあ、そうなんですケド。
涼しい顔でお茶を啜る兄の姿を見ているとなんだか腹が立った。
「私は出来ないことは頼まないよ。美代も私と同じでやろうと思えば大概のことは出来てしまうだろう?」
そう言われてしまうと何も言い返せなかった。
反論の代わりに、不満を滲ませるようにわざと顔を顰めて見せる。
「───それで、哀れな
流魂街でのことを思い起こす。彼は尋ねたことを素直に話してくれた。その内容には、
「やっぱり、今の対立は死神が一方的に
「とすると、目的は情報の隠蔽か。」
「そうみたい。八百年前の戦争も、ユーハバッハの目的のことも彼は知っていた。」
戦争から八百年経った今でも、彼らの技術と共に王の話は伝承されているようであった。
「それでね、また面白い話があって。
『封印されし
900年を経て鼓動を取り戻し
90年を経て理性を取り戻し
9年を経て力を取り戻し、
───9日間を以て世界を取り戻す』 」
「なるほど。」
目前の兄が、どこか含みのある笑みを浮かべる。
───楽しそうだね。兄の様子を見て美代も笑う。その様子は双子らしく、鏡合わせのようにそっくりであった。
「それは面白いね。───もしかしたら、王鍵を作る手間が省けるかもしれない。」
**********
重苦しい気配を放つ両扉の奥では、隊長羽織を纏った死神達が静かに居並んでいた。
厳然たる威圧感が満ちるこの場こそ、隊首会──御廷十三隊の隊長格が一堂に会し、重要な議論と決定を下す場である。
そして今回、彼らが集ったのは他でもない。
その存在を巡る問題について、今まさに議論が行われようとしていた。
厳粛な空気の中、御廷十三隊総隊長──山本元柳斎重國が重々しく口を開く。
「────して、奴らはなんと?」
それに答えたのは五番隊隊長──平子真子。
「五の島にて待つ、と。そう言うてましたわ。」
「隠密機動でも、彼らが島に集まっておることは掴んでおる。確かな情報じゃろう。」
二番隊隊長──四楓院夜一が平子の言葉に補足を入れた。それ以降、誰も口を出すものはおらず、厳粛な雰囲気が場を満たす。張り詰めた空気を打ち破ったのは、またしても山本元柳斎重國であった。
「此度、
八百年前の、ユーハバッハとの闘いを思い起こす。彼が目を見開くと、全身から覇気が迸った。
隊長達は皆一様に黙って次の言葉を待つ。
「諸君。
────全面戦争と行こうじゃないかね。」
後に歴史に刻まれることとなる、
─────その、幕開けである。