プロローグ:デビルの目覚め
雨が降り続ける暗い夜だった。
天沢零士(あまさわ れいじ)は錆びついた廃工場の中でうずくまり、ぼんやりと天井を見上げていた。肩を濡らす雨粒にも気づかない。
頭の中を埋め尽くすのは、過去の残酷で醜くおぞましい最悪の記憶。
「お前が生きていても、誰も幸せにならない」
「どうしてあんな子が家族に生まれたのか......」
「お前を産んだ両親が可哀想だなぁ〜?あははは!」
親戚からの冷たい視線、学校での孤独、そして家族を失った日の光景。
どれも彼の心を殺し削られ深くえぐり続けていた。
「......もう、限界だ」
声にならないつぶやきが零れる。
心の奥底から湧き上がる絶望に押しつぶされるように、零士は目を閉じた。これで、すべてが終わるはずだった。
だが、その瞬間だった。
――ズキン。
胸の奥から突然、鋭い痛みが走る。同時に体中に黒い稲妻のようなものが駆け抜けた。零士の体は地面に押し倒され、激しい痙攣を起こす。
「なんだ......これ......」
もがき苦しむ彼の耳に、不気味で低い声が響いた。
「目覚めよ、我が力を受け継ぐ者よ――」
その言葉とともに、零士の中で何かが弾けた。赤い光が彼の瞳を覆い、指先が鋭い爪のように変形していく。背中には黒い翼のような影が現れ、周囲の空間が不自然に歪む。
力が湧き上がる――圧倒的で、恐ろしく、底知れない力が。
「俺は......どうなってるんだ......?」
戸惑いと興奮が入り混じった感情を抱えながら、零士は立ち上がった。その瞬間、自分の凄まじい力の素晴らしさを
理解した。この力があれば全てを取り戻し復讐出来ると。
『デビル因子覚醒――契約完了』
零士の体には、ただの人間ではない「何か」が宿っていた。それは絶望の淵に立たされた人間だけが目覚める力――破壊と復讐を象徴する「デビルの力」だった。
「......これが、俺の力....くはは……あははははは!!!..」
冷たく輝く赤い瞳で自らの手を見つめながら、零士は初めて笑みを浮かべた。その笑みは、自分を苦しめてきた全てに復讐を誓うかのように歪んでいた。
「ふははは……見ていろ……俺の失った物を……貴様らから………全てを取り戻し!全てを消し去ってやるっ!!」
彼に……もう優しき心は消え去っていた。彼の心には復讐と殺意………それだけが彼の心を……零士の心を支えていた。
もう誰にも彼を止められない。誰も…………ノガレラレナイ……
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