ぼんやりランキング見てたらなんかのってたので勢いで書いちゃいました。前話に入れようか悩んだユメホシ視点です
次こそ、次こそグラードン編は終わります
周囲一帯に響き渡る咆哮を聴きながら、息を呑む
今ホシノの目の前でもはやスクラップ同然の姿になっているものが、かつてはアビドス砂漠を悠々と泳ぎ回り砂の津波を引き起こすような、災害を巻き起こす怪物だと言って信じる人はいるのだろうか。
詳細は全くわからないが感じ取れた神秘や体を構成している雷、そのデカさや遠距離から放たれていた矢の速度、回避のスピードから、ビナーと同等の力を持っていたのだろう。体を保てないのか力無く大地に横たわり、手の先端をサラサラと粒子に変えていって、消えていっているように見える。
ホシノとユメだけではまず間違いなく勝てない、たとえ片方だけであったとしても手痛い傷は絶対に残るだろう。そんな相手を蹂躙や虐殺といった言葉がピッタリな程に打ちのめし破壊したグラードンの力。
かつての調査で強大な力を秘めている事は分かっていた。グラードンが活動を開始するとどんな天候でも日差しがさしてくるから環境への影響力も強いこともわかっていた。わかっていたつもりだった。
ゴクリ、と喉が鳴る。認識が甘かった。理解が及んでいなかった。遥か昔の時代にいたと言われる謂わば伝説の生き物。そんな存在を自分の物差しで図り切れるわけがなかったのだ。
そしてホシノはふと、自分の横に立っている先輩の顔を見てみることにた。先輩は彼を、グラードンを大層可愛がっていた。寝て起きたらこんな有様だ。驚いて動けなくなっていないか?グラードンに怯えてしまっていないか?
ユメは、真剣な顔をしていた。短い付き合いではあるが、それでも、この人もこんな顔ができるだと驚いてしまうような、険しさを帯びた顔だった。
「……やっぱり、血が出てる。」
顔を見ているホシノに気づかないまま、グラードンを注視していたユメがそう言った。ち、チ、血?誰が?グラードンが?
言葉に釣られてグラードンを見る。全身から煮えたぎっているマグマ、赤い体表。爛々と輝いている目はまだまだ戦闘続行の意を示しているように見える。手傷を負っているようには到底見えない。
「足元だよ、ホシノちゃん。この環境でもまだ残っているなんて……どれだけの量なの…?」
そしてホシノは見た。グラードンが作り替えた灼熱の大地、その足元。踏み締めて足跡が残った大地にできた赤い池。その周りや後ろに飛び立っている赤い斑点。正体に辿り着いた瞬間ホシノは血の気が引いた。
「…まさか、あれ全部、グラードンの血ってことですか。」
ユメはこくりと頷いた。
つまりは今まで行われてきた蹂躙劇は死に物狂いの、最期の抵抗に近しいものだったのでは?理性を飛ばし殺意のみで動いているからこそ気づけない、アドレナリンが出まくっているのか、それほどまでに深い怒りなのか。
いくらビル以上の巨体を誇っても生き物であるならば血を流し過ぎれば死ぬ。グラードンがどれだけ血を失えば死ぬのかなんて正確には分からないが、それでも目で見てヤバいと感じるほどの量だ。時間の問題だろう。
「私は止めに行く。」
凛とした、硬い意思を持った声でユメはそう言った。その目がホシノに問いかけていた。どうする?
「先輩を1人であんな爆心地に放り込んで、事態が解決するとは思えませんからね。当然、私も行きますよ。あのままグラードンを放っておくわけにもいきませんから」
「ホシノちゃん……!」
感極まったのか顔を緩めて抱きついてくるユメ。先程までの格好良さはどこにいってしまったのか。そう思いながらホシノは抵抗を開始した。
「抱き付かないでください……!いや、てかホントに離れてください!暑すぎるんですよ!はなれて!」
「それで、実際どう止めるんですか?あの状態のグラードンにこっちの声が届くとは思えませんし、あのボールに戻してみるんですか?」
アビドス高校の生徒会室。いつもの場所で真面目に作戦会議を始める。止める、口では簡単に言えるが取れる手段は非常に少ない。
・環境(グラードンのマグマ、水も蒸発するような熱など)
・距離(呼びかけるには近づかなければいけないが環境が酷すぎる)
・対応(見るからに理性が飛んでいるので不用意に近づけば襲われる可能性もある)
・方法(そもどうすれば止まるのか)
少なく見積もってこの4点に明確な解答が出せなければ無駄死にしに行くようなものだ。キヴォトスの人間の中で特に頑丈だという自覚があるホシノでも、この環境下では死を身近に感じ取れる。それほどまでに過酷な場所になっているのだから。
「止める方法はこれだよ!」
そういってユメが取り出したのは赤い球体と青い球体。グラードンをたまたま捕まえることができた紫のボールとは違う、宝石のような輝きを放っている。
「なんです?それ」
「これはね、グラ君のパワーの源!」
「へー、要するにパワーアップアイテムってことですか。それをどうするんです?」
「グラ君にinするの!」
「……あれ以上強化してどうするつもりですか!余計手に負えなくなっちゃうじゃないですかぁ!!」
「待って待って待って!違うの!赤いやつはそうだけど青い方はグラ君を抑える方なんだよぉ!」
「成る程、青い方をinして抑えるってことですね?」
「え?赤い方だよ?」
「………さっき!自分で!パワーアップアイテムだって言いましたよねぇ!?」
「ひぃん!」
詳しく聞くと、どうも赤い方はグラードンの強化アイテムで間違いではないが、制御装置でもあるらしい。今のグラードンは理性を飛ばして怒りと殺意で暴れ回る怪獣となっている。その為、
を用いる事で飛ばした理性を戻そうと言うわけだ。
ならば青い方はどうなのかというと。なんと、グラードンの対の存在に当たる怪獣の制御装置らしい。大地の化身であるグラードンの対、海の化身・カイオーガ。対の存在であり、ライバル、競い高め合う関係な彼らがその身に秘めた力は同等。例えユメやホシノが片手で持てるサイズの球体であっても与える影響は絶大で、グラードンの力を弱めることができるらしい。
その球はどこで手に入れたんですか?
外付け制御装置ってどういうこと?
対の存在?海の化身?カイオーガ??
それがあるってことはキヴォトスにあのレベルがもう一体いるってこと?
言いたいことや、聞きたい事は山ほどある。あるが、しかし、それらを飲み込んでホシノは聞いた。
どうやってグラードンに近づくんですか?
「それは彼らに手伝ってもらうの!」
しゅわーん!
ひゅああーん!
そういってユメが窓の外を指差すと同時に聞こえた、聞き覚えのある声。アビドス高校にたどり着くまでに手を貸してくれた姿の見えない不思議な存在。
あっ!
ラティオス
ラティアス
が
ホシノはもう色々気にしないことにした。
・グラードン
→満身創痍だけど、気づいておらず止め(完全に消し飛ばす為)の一撃のためにチャージ中
・ビナー & セトの憤怒
→動くことすらできないレベル。あと一撃軽く殴られるだけでも死ぬ。つまりグラードンがしようとしているのはoverkillである。
・ユメホシ
→作戦会議終了、ラティ兄妹と行動開始
・ラティ兄妹
→ホシノを送り届けてから実はずっとスタンバってました