あなたに忘れられない星になりたくて 作:ultimate!!
「トワちゃん?起きてください?」
「ん、ぅん…ノア先輩?」
何かひどく嫌な夢を見ていた気がする。
最近そんなことが増えた。ただ、ノア先輩にだけは知られたくない。だからいつも通りに。あくまでいつも通りに見えるように取り繕う。
「おはようございます…」
「はい、おはようございます。ソファーで寝ているなんてそんなに疲れてたんですか?」
まだ回り切らない頭で返答を考えながら時間を見る。
午前7時30分。昨日ここで進めたおかげで今日は時間が取れる。
それが終わったら…
「あ、ノア先輩!」
「トワちゃん、どうかしましたか?」
いつものように首を傾げるノア先輩。
そういうところも全部どうしようもなく
「今日仕事が終わったらちょっと出かけませんか?」
「トワちゃんからそんな話を持ちかけるなんて珍しいですね。はい、いいですよ。どこに行きますか?」
「あ“」
「ふふっ、仕事が終わるまでに考えておいてくださいね?」
「はい!」
そう答えたあと、ノア先輩は部屋から出ていく。
それを見届けた私はソファーに置いた枕に顔を埋める。
「はぁ…好きだなぁ…」
口に出したことで恥ずかしさが込み上げてくる。
ソファーをバシバシ叩きながらさらに考える。
ノア先輩とは別の、私のこと。
「早く、伝えないとな。」
この想いを。
私がいなくなる前に。
「終わったぁぁぁ〜!」
「お疲れ様、トワ。」
「はい、お疲れ様です。」
やっと仕事が終わった〜!これで!ようやく!
「ノア先輩!お出かけしましょう!」
「え、ノア。今日そんな約束してたの?」
「はい。朝来た時に頼まれまして。」
そんなやりとりをしながらパソコンをシャットダウンする。
そうしてパタっと落ちた画面をぼーっと見つめていたら、ノア先輩から声がかかる。
「トワちゃん、私はちょっと席を外しますね。すぐ戻りますので。」
「了解です!」
元気よく返事した私は準備を始める。
「…トワ、伝えるの?」
「いやぁ、そろそろちゃんと伝えようとは思ってるんですよ。ただ、いざ伝えようとすると怖くなってしまって。」
「多分だけど早く伝えたほうがいいわよ。早く伝えておかないと別の人を好きになったり…とかもあると思うし。」
「そういうユウカ先輩は先生に想いは伝えないんですか〜?」
冗談まじりにユウカ先輩に返すと、ボっと顔がたちまち赤くなる。
「ち、違うから!私と先生はそんなんじゃないから!た、ただ伝えるにしてももうちょっと段階を踏んだほうがいいと思うだけで別に伝えようと思えばいつで」
「あれぇ?悲しみも怒りも因数分解できるのに恋心は因数分解できないんですかぁ?」
「ト、トワ!!!」
「あらあら、随分仲が良さそうですね?ユウカちゃん、トワちゃん。」
背筋が凍る。
どこまで聞かれていた?
「トワちゃん」
「ハ、ハイ!」
「私は準備できたんですが…そろそろ行きませんか?」
…行く!!!
「行きます!!!行きましょう!!!」
そう言って私はノア先輩の手を引っ張ってセミナーから外に出る。ユウカ先輩のため息が聞こえたのは気のせいだろう。
「ノア先輩!勝負しましょう!」
そう言って私たちが来たのはゲームセンター。アリスちゃんともよく来ている場所だ。
「ふむ、ゲームですか…久しぶりですけど頑張りますよ…!」
「やる気ですねノア先輩!まずはこれからしましょう!」
そう言って指さしたのは格闘ゲーム。
最近ずっと練習しているんだから推定初心者のノア先輩に負けるわけにはいかない…!
「ま、負けた…」
「ふふっ、私も結構上手いでしょう♪」
あっ、練習してたなこの感じは…
「そんな練習してるなんてずるいじゃないですか!!!次はこれ!音ゲーやりましょう!!」
そう言って音ゲーを始める…
「ぜ、全敗…!?」
「ふふっ、私もなかなかやるんですよ?」
そう言って胸を張って自慢げにするノア先輩。可愛い。
「っと、そろそろいい時間ですね。そろそろ帰りましょうか、トワちゃん。」
『帰りたくありません』
そう喉まで出かかった言葉を押しとどめる。まだ。まだ伝えなくていい。まだ時間はある。
「はい。帰りましょう!!」
そう言うとノア先輩はいつものように微笑んでミレニアムへの道を歩き出す。
まだ私は追いつけている。
「待ってくださーい!」
少し空いてしまった距離を埋めるため、私は小走りで追いかける。
一瞬、足が止まる。
風が吹き付ける。
ただ、まだ流されるわけにはいかない。
「先輩、早いですって!」
「ほら、早く来ないと置いて行きますよ?」
夕日に照らされる道を歩きながら、私たちは歩いた。
「はい。今日の分の薬ね。」
「いつもありがとうございます。」
ノア先輩とミレニアムに帰った後、私は病院で検診を受ける。
このことはまだ誰にも話していない。
まだ話すわけにはいかない。
体はまだ保つ…はずだから。
「先生。」
「ん?どうした?」
「私の、余命は後どのくらいですか。」
聞きたくなかった。現実から目を背けたかった。
これを聞いてしまったらもう先輩にちゃんと顔を向けられるかわからないから。
後悔が溢れ出てしまうから。
気持ちを、伝えられないまま終わってしまうと思ったから。
でも、聞かずにはいられなかった。
たとえいつか言われることだとしても。
「トワさん、星ノ谷トワさんの余命は…」
「後一ヶ月だ。」
それでも現実は淡々と、残酷な事実だけを突きつけてくる。
ミレニアム生みんな好きです
最後の先生は病院の先生です
決してシャーレの先生ではありません
僕の小説って改行多いですか…?
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