あなたに忘れられない星になりたくて   作:ultimate!!

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ウタハは私の最推しです

あと書くの忘れてましたがオリ主ちゃんの名前は『星ノ谷トワ』です

追記:原作との名前被りを確認したので名前を変更しました。


最高のマイスターに

 

 

 「一ヶ月、かぁ」

 

 

 診断を受けた帰り道。ミレニアム特有の街灯が照らす夜とは思えないほど明るい街並みを1人で歩く。その間も考えることをやめられない。

 

 前々から覚悟していたとはいえ、いざとなると考えが巡って巡って仕方ない。

 

 この限られた時間を使えばいいのか。私はノア先輩にいつ伝えるのか。

 

 

 「あれ、もう着いた?」

 

 

 気づくとミレニアムの前に居た。

 

 冬の寒さが強くなってきた十二月。私はふと、来年に行けるのだろうかと考えていた。

 

 

 

 

 

 ミレニアム内を自室のある寮に向けて進む。

 この道も後何度通れるのか。恐ろしく静かな廊下を進む。進む。進む。

 

 

 「あれ、まだ光ってる。」

 

 

 エンジニア部の前を通るとそろそろ夜12時だというのに光がついている。

 

 私の病院が長引き、考え事をしていたせいでこんな時間になってしまったのだが、今はそんなことはいい。

 

 そのままの足で私はエンジニア部のドアに手をかける。

 だが、ドアを開ける手が止まる。

 

 エンジニア部にはよく通っていた。先輩達にアイデアを提供しに行った事もあったし、一緒にバカ騒ぎしたこともあった。相談もよくしていたし、セミナーの他では一番仲が良かった人たちだろう。そう考えながらも、他の思考がよぎる。

 

 このままドアを開けて、どうしたい?余命を言うのか?私ですらまだ飲み込めてないのに?

 

 それでも今は、誰かに話したかった。

 

 

 「ウタハ先輩?」

 

 「ん?あぁ、トワか!どうしたんだい?こんな時間まで。」

 

 

 いつも通りに接してくれるウタハ先輩。まだ私の事情を知らないとはいえ、今はその態度がひどく暖かくも、残酷にも思えた。

 

 

 「…先輩こそ、こんな時間まで何してるんですか。」

 

 

 いつも通りに、見せかける。

 

 

 

 「私かい?私は新しい発明品を作っていてね…少し難航していたから休憩していたところなんだ。」

 「で、トワはこんな時間までどうしたんだい?」

 

 

 話が私に振られる。当然だ。

 

 

 「ぁ…」

 

 

 言葉が詰まる。

 

 誰かに言いたくてこのドアを開けたはずなのに。

 

 いざとなると言葉が出なくて。

 

 

 

 「トワ…?」

 

 

 「あっ…す、すいませ、ん。」

 

 

 やっぱり、まだ言わなくてもいいんじゃないだろうか。

 

 一ヶ月もあるんだ。まだ伝えなくても…

 

 

 「トワ。話があるなら言ってくれ。もちろん無理にとは言わないが、そう言う話を話せるくらい仲はいいと、私は思ってるから。」

 

 

 顔が自然と俯く。

 

 先輩にそこまで仲がいいと思われていたことが嬉しいのと、そんな先輩に伝えなきゃいけないのとで気持ちがぐちゃぐちゃになっていた。

 

 

 「…ウタハ先輩。少し聞いてもらっていいですか。」

 

 

 消え入るような声でどうにか絞り出す。

 

 

 「あぁ。ゆっくりでいいから、話してくれ。」

 

 

 いつの間にか先輩の手に握られていた工具が置かれている。

 

 私は呑気にもそんなことを考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ウタハ先輩の隣に座らせてもらう。

 

 そのまま私は少し時間を置き、覚悟を決める。

 

 

 「…先輩。私は、後一ヶ月しか生きられないそうです。」

 

 

 沈黙が流れる。

 

 

 「そう、か。もうそこまで来ていたんだね…」

 

 

 そう言ったのは先輩。

 

 

 「…知ってたんですか?」

 

 「あぁ。なんとなくはね。」

 

 

 話したことはなかったはずなのに。どうして。

 

 そう考えていた私の心を見透かしたかのように先輩は言葉を続ける。

 

 

 「前、君が年々体力が無くなっていく、って話してくれただろう?あれが気になって少し調べたんだよ。そうしたらいくつかの事例が出てきたんだ。」

 

 「まだ病名もついていない病気。キヴォトスの普通の人よりも体が強く、ただ年々体力が減少し、そのまま亡くなってしまう奇病。」

 

 「人によってどこまで生きられるかは異なっているが、これの病気になった人十数人は例外なく高校卒業前に亡くなっている。」

 

 「君がこんな時間までいたのも、ミレニアム郊外の病院に行っていたからだろう?この病気を研究しているところはまだあそこしかないからね。」

 

 

 いつもより淡々とした言葉が先輩の口から出てくる。

 

 ただ、言葉は淡々としていても、その表情は暗い。

 

 

 「先輩。そんな暗い顔しないでください。」

 

 

 だから、私は強がる。

 

 

 「なんとなくわかってたんです。そろそろ終わりかなーって。」

 

 

 嘘だ。まだ大丈夫だと思っていた。

 

 

 「言葉が詰まってたのも、知り合いに伝えるのが怖かったからなんです。これで接し方が変わってしまうんじゃないかって。」

 

 

 これは、本当。でも、強がりに変わりはない。

 

 

 「だから、笑ってください。私は、これでいいんです。」

 

 

 良くなんて、ない。ただそれよりも。

 

 ウタハ先輩は、ミレニアムの友達は。

 

 笑った顔の方が似合うから。

 

 最後まで、いや最期まで、私は強がると決めた。

 

 

 「あー…そっか。うん、君がそう決めたなら、私もそうしよう。」

 

 

 笑った顔をこっちに向けてくれる。

 

 うん、やっぱりその顔の方が私は好きだ。

 

 

 「ところで先輩。」

 

 「うん?どうしたんだい?」

 

 

 まぁ、ただ。

 

 

 「ちょっと作って欲しいものがあるんですけど…」

 

 

 最後にこのくらいは許してほしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「今日は寝覚めがいいな。」

 

 

 目が覚める。

 

 ウタハ先輩は急ピッチで作ってくれると言っていたが、出来るまで二週間はかかると言っていた。

 

 なら、それまで死ぬわけにはいかない。

 

 

 「さぁ!この日々を最後まで楽しむ!そして笑って死ぬ!それが、私の目標!」

 

 

 気持ち新たに、セミナーへと向かう。

 

 ノア先輩。待っててください。

 

 

 

 ちゃんと、伝えますから。




次回!先生登場!

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