あなたに忘れられない星になりたくて   作:ultimate!!

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お気に入り20件突破&評価星9が2件、本当にありがとうございます!!!モチベ爆上がりです!!!
感謝の更新です!!!


先生、ちょっとお時間もらっていただけませんか?

 

 いつも通りセミナーの仕事を進める。

 

 先輩に想いを伝えたい。ただここで伝えたら余計苦しめてしまうんじゃないかと考えてしまった。

 

 それからと言うもの、本当に伝えていいのか考えるようになってしまった。

 

 余命も、私の想いも。

 

 どれをどこまで伝えるのが一番いいのか。

 

 そう考えながら仕事を進める。

 

 どれを、どこまで…

 

 

 「トワちゃん?もう仕事は終わりましたよ?」

 

 「ふえぇ!?」

 

 

 ノア先輩に言われてようやく気づく。もうすでに時間は6時を回っている。

 

 ばっと窓を見ると日はもう沈んでいる途中だった。

 

 

 「ふふっ、綺麗な夕焼けですね、トワちゃん。」

 

 「あ…はい。そうですね…」

 

 

 本当に、綺麗な夕焼け。

 

 この景色をノア先輩と共有できたと言う事実が、たまらなく嬉しい。

 

 

 「そういえば、トワちゃんは明日シャーレの当番でしたよね?」

 

 「えっ…あ“っ」

 

 

 即座にスマホを取り出し予定を確認する。

 

 ご丁寧に赤文字で書いていたのにここ最近の出来事の濃さで忘れていた。

 

 

 「あー…今日は早寝しないとな…」

 

 「片付けはやっておきますから、先に帰ったらどうですか?」

 

 「えっ…いいんですか!?」

 

 「はい。当番に遅れる方がダメでしょう?」

 

 「あ、ありがとうございます!」

 

 

 優しい…そう思うのもほどほどに私は走って家に帰る。

 

 そうしているうちに10時。

 

 全ての準備を終わらせた私はベッドに入る。

 

 はぁ…

 

 

 

 死にたくないなぁ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「おはようございます!先生!」

 

 “おはよう、トワ。”

 

 

 早めに起き、時間通りにシャーレに着く。

 

 今日の当番は私1人。

 

 いつもノア先輩がいる時を狙って、それ以外はウタハ先輩とかがいる時を狙って当番に来ていたから1人というのはひどく久しぶりな気がする。

 

 

 “トワが1人の当番って珍しいね。”

 

 「あー確かにそうですね!いつもは他の友達がいる時を狙ってきてるので!」

 

 

 今となっては懐かしく思える。私が入学して、セミナーに入って、連邦生徒会長が失踪して、先生がやってきて。

 

 友達と、ウタハ先輩と、ノア先輩と、当番に来て、先生と話して。

 

 それから…

 

 

 “今日は仕事も少なめだし、早く終わらせちゃおうか。”

 

 「そうですね!頑張りますよ〜!」

 

 

 あぁ、だめだ。ついつい昔のことを考えてしまう。

 切り替えよう。今は当番としてきているんだ。私は今目の前の仕事を終わらせないと。

 

 

 “…”

 

 「…」

 

 

 黙々と仕事を進める。

 

 いつもなら私が友達や先輩を巻き込んで話を進めたりするが、今日は話す気になれない。

 

 理由は…明確。

 

 正直あの宣告を受けてから三日目の今でも受け入れられていない。

 自分がもうダメだなというのをなんとなく体の調子でわかっていながらもどこかであれは何かの間違いで、まだ大丈夫なんじゃないか、そう思わずにはいられない。日に日に落ちていく体力も、この薬も。ある日突然ふっと治ったりしないだろうか。そう、思い続けている。

 

 

 “んー…ちょっと休憩しようか、トワ。”

 

 「んえっ、あっ、はい!」

 

 

 びっくりした…仕事は進めてはいたけど考えが止まらなかった…先生の話聞き流したりしてなかったかな…

 

 

 

 ソファーに座り直した私に先生がコーヒーを淹れてくれる。

 

 

 「はぁ〜…あったかぁ…」

 

 “相変わらず美味しそうに飲んでくれるね。”

 

 「いやぁ…本当に美味しんですよ…」

 

 

 体に染みるこの味…美味しい…

 

 そうして温まりながら浸っていると、先生が話しかけてくる。

 

 

 “今日、元気ない?”

 

 「あー…やっぱ気づかれちゃいます?」

 

 

 なんとなく、先生なら気づくと思っていた。

 

 だし、気づいて欲しかった。そのほうが、話しやすいから。

 

 

 「私、余命があと一ヶ月ないらしいんですよ。こんなに元気なのに。」

 

 

 軽く言う。ソファーにもたれ掛かりながら、いつものように。

 

 

 “…そう、か。”

 

 “それで、トワはどうしたいの?”

 

 

 帰ってきたのは予想とちょっと違う質問。

 

 

 「どうしたい、かぁ。私はてっきりもっと生きたくないのかーとか言われるのかと思いましたよ。」

 

 “それは私がどうこう言う問題じゃないからね。”

 

 “私が手を貸すことでどうにかできるようなことなら、私は全力で手を貸すよ。”

 

 “ただ、どうしようもないこともこの世にはあるんだ。悔しいけどね。”

 

 “だからこそ、私はトワがこれからを最大限後悔しない選択をしてほしいと思ってるよ。”

 

 

 先生には敵わないな。

 “大人”として、こんなずっと迷って、大事な時間を考えて無駄にしている私とは違う。

 そう思いながら、コーヒーを啜る。

 

 

 “もう一度聞くけど、トワはどうしたいの?”

 

 「どうしたい、かぁ。実は今日それを相談しにきた所あるんですよね。」

 

 

 正直、先生が察してくれて、話を振ってくれると思ってここに来た。

 

 だからこそ、私は先生に相談する。

 

 

 「私、ノア先輩が好きなんですよ。」

 

 “うん。”

 

 「…もしかして気づいてました?」

 

 “いやぁ、なんとなく、って感じだけどね?そうなんじゃないかなーって。”

 

 

 はぁー…バレてたかぁ…ただまぁ、それはそれで話しやすい。

 

 

 「ならそれを踏まえてなんですけど。」

 

 「私はノア先輩にこの想いを伝えた方がいいと思いますか?」

 

 “なるほど。”

 

 

 そう言って、少し場が沈黙する。

 

 

 「…ノア先輩は、あの記憶能力を持ってるじゃないですか。」

 

 「あのせいで、いいことも悪いこともあったと思うんですよ。」

 

 「私は、この想いを伝えたい。」

 

 「ただ、そのせいで私が先輩にとって悪い、色々と後悔してしまうような思い出になるのが嫌なんですよ。」

 

 「伝えたら、私は満足できる。ただ、そのせいでノア先輩が苦しんでしまうのは、もっと嫌なんです。」

 

 「難しい質問なのはわかってるんです。それでも…」

 

 

 

 「私は、どうすればいいですか?」

 

 

 

 

 

 “…トワはさ、ノアにとってどう言う存在でありたいの?”

 

 「どういう存在…ですか?」

 

 “うん。トワが生きている間も、死んだ後も。ノアにどう思われていてほしい?”

 

 

 考える。

 

 私は…私は、

 

 

 

 

 

 「私は。」

 

 「ノア先輩の記憶の中で一番の輝きの、何があっても忘れられない星になりたいです。」

 

 

 

 こうありたいと思った。

 

 

 “なら、後をどうするかは自分で決められるんじゃないかな?”

 

 

 私は、改めて姿勢を正す。

 

 

 「はい!」

 

 

 もう、迷いはなかった。

 

 

 “とりあえず、残ってる仕事を終わらせようか。“

 

 「あ“」

 

 

 …締まらなくはあったけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 “トワ。”

 

 「はい?」

 

 

 仕事を終わらせてから、改めて先生と他愛の無い会話をして、ゲームもして、帰る支度をしている時、先生が突然話しかけてきた。

 

 

 “もう時間は短いのにこんな時間までありがとうね。“

 

 「いえ!楽しかったので全然OKです!」

 

 

 実際この時間はずっと楽しかった。

 

 後悔はないし、大満足だ。

 

 

 “困ったことがあったらまた来てね。いつでも話は聞くから。”

 

 「はい!そうなったら頼らせてもらいます!」

 

 

 

 “それと…”

 

 「?」

 

 “トワの好きなようにすればいいと思うよ。”

 

 

 あぁ、私はその言葉が欲しかったのかもしれない。

 

 私が躊躇っているこの背中を押しているその一言を。

 

 

 「はい!!」

 

 

 私がやることは決まった。

 

 シャーレからミレニアム行きの電車を待ちながら、モモトークを開く。

 

 連絡するのはもちろん、ノア先輩。

 

 

 

 

 

 

 『ノア先輩、明日デートしませんか!?』

 

 

 

 さぁ、伝えよう。




先生は生徒の背中を押してくれる存在だと思ってます。
時に導き、自主性を尊重し、一緒に遊び、大事なところは生徒に選択させる。
先生はその背中を押してあげる存在だと。そう思っています。

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