あなたに忘れられない星になりたくて 作:ultimate!!
確率二倍とは…?
目が覚める。相変わらずの寝覚めの悪さだが、最近はこれがデフォルトになりつつある。
そのままカーテンを開け、スマホを確認する。
いつも通りの9時半。
今日は先輩と映画だというのに昨日のことを考えて、暗くなっているを覆い隠す。
大丈夫。覆い隠せるなら、大丈夫だから。
そう自分に言い聞かせ、たとえその場しのぎだったとしても今を楽しむ。そう決めた。
「まだ待ち合わせの時間までは時間があるし、どうしようかな。」
映画は13時からで、待ち合わせの時間は12時半。
昼ごはんを食べて、家を出ることを考えても二時間くらいは暇になる。
どうしようか考えて、キャンプが明後日に迫っていることを思い出し、先に必要なものとか、買わないといけないものをリストアップして準備しておこうと思い立つ。
「キャンプ用の靴はある、テントとかはヴェリタス側で準備してくれる。後は…ジャンパーが足りないか。」
少しづつ買うものをスマホにメモしていく。
そうこうしているうちに、朝ごはんを食べていない私の腹は減っていく。
「11時…朝ごはんを食べていないし、ここらで一度ご飯を食べておくか。」
そう決め、台所へと向かう。
別に特別凝ったものが作れるというわけでもないが、自炊は好きでよくしている。
卵、ネギ、後ベーコン。
昨日の夜の米を取り出して油を引いたフライパンの上に出す。
そのまま材料を全部入れて、雑に炒める。
そこに胡椒とかその他もろもろ入れて仕舞えば簡単な炒飯はすぐにできる。
「炒飯って簡単で基本外れないからいいんだよね…」
そんなことを考えながら炒飯を口に放り込む。
流石に熱いが、このくらいが一番美味しい。
「ごちそうさまでした。さて、ここから一時間どうしようかな。」
部屋を見回しながら、ここからのことを考える。
キャンプの準備とかリストアップは終わらせたし…
「ウタハ先輩に頼んだもの、できてるかな。」
思い出すのは、あの日ウタハ先輩に頼んだもの。
二週間ほどかかると言っていたが、もうそろそろ一週間が経つ。一度、途中経過を聞いてみるのもありかもしれない。
『ウタハ先輩、前頼んだものどうですか?』
とりあえず送信しておく。先輩は今日もエンジニア部に籠っているだろうし、返事が来るのは遅くなるだろう。
そう思っていたのだが、今日はすぐに返信がきた。
『あぁ、そのことなら、そろそろ伝えようと思っていたんだが、思いの外早く出来上がってね。明日にはできそうだ。明日取りに来れるかい?』
さすがウタハ先輩だな。
そう思わざるを得ないくらい、仕事が早い。
…後はこれで余計な、具体的には自爆とかBluetoothとかつけてなければ完璧なんだけどな。
『ありがとうございます!明日は用事があるので…明後日取りに行きます!』
そう返信して、少し早いが家を出る支度を始める。
いつものカバンに財布と飲み物、定期を入れて玄関に置いておく。
そしてリビングに戻り、薬を飲む。
「よし、いこう。」
荷物を持ってドアを開ける。
天気は快晴…とは言えないが、晴れている。
「ノア先輩!こんにちは!」
「トワちゃん、こんにちは。」
そう元気よく挨拶し、そのまま映画館へと向かう。
世間話をしながらも私はどこで昨日のことを聞こうかと考えていた。
映画が始まる。内容はごく普通の恋愛映画。
ただの高校生同士の恋愛。
その映画を見ている時、ずっと私はこんなふうに、余命という制限時間を気にせずに恋愛とか、学生生活とかそういうのを送ってみたかったなと思ってちゃんと見れなかった。
「面白かったですね。」
「そうですね。面白かった…ですね。」
純粋な気持ちで見れず、内容がぼんやりとしか入っていなかったせいもあり言葉が詰まってしまう。
そんな言葉の詰まりを見逃すノア先輩ではないというのはわかっていたというはずなのに。
「トワちゃんはあんまりでした?」
「あ、いえ。面白くなかったわけではなかったんですが、いまいち自分には刺さらなかったいうか…」
私の寿命云々抜きにしてもあまり私に刺さる内容ではなかったのは事実だ。
だからまぁ、嘘を言っているわけではない。
別に特別面白くないとか、嫌いとか、そういうわけではなかったんだけど、何かいまいち面白いと感じられなかった。
「すいません…せっかく誘っていただいたのに。」
「そうですか…まぁ、合う合わないはありますし、仕方ないところはありますね。」
そのまま、無言で歩くだけの時間が続く。
昨日の話を私から切り出せないまま、時間だけが過ぎ、どんどん歩いていく。
「あ、すいません。私あの店寄りたいんですけどいいですか?」
「はい、行きましょうか。」
そう言って私が向かうのはキャンプ用品売り場。
今私が申し訳ないとか、どう話そうかとか、そんなことを考えていても明日の予定は変わらない。
迷っている暇があるなら明日の用意をしておいた方がいい。
「トワちゃん、キャンプなんて行くんですか?」
「あぁ、明日、コタマ先輩にキャンプに行くから来ないか〜って誘われまして。せっかくならちゃんとしたものを買っていきたいじゃないですか。」
そう言いながら買う目星をつけていたものをカゴに入れてレジへと向かう。
そのままスムーズに買い物を終わらせて、駅への道を歩く。
今日はこれ以上先輩といる予定もない。
このままだと特に何もなく終わってしまう。
聞かなくていいのか、聞かない方がいいのか。
どうしようもなく考えているうちに駅に着く。
時間は5時頃。
帰るには少し早いか?という時間ではあるが、別に帰っても違和感のない時間ではある。
電車に、乗る。
別に話すこともなく、電車は進む。
ただ、それでもこの時間は心地よかった。
「トワちゃん、次は明後日、セミナーで会いましょう。」
「はい、ノア先輩。また。」
そのまま一日が終わる。
特に何か特別なこともなく、ただ先輩と映画を見ただけの日。
そう、特別なこともない日。
ノア先輩と二人で出かけたことが“普通”になってしまったということに若干の嬉しさを感じて。
昨日のことを聞けなかったことに若干の心の距離を感じて。
それでも時間という歯車は止まらず進む。
それが、なぜかひどく残酷に思えた。
今回薄味で申し訳ないです
次回以降は濃いめの話を投稿できるので待っててください…!
僕の小説って改行多いですか…?
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