月ノ森女子学園に行くことになったのは姫ちゃんから呼び出しを受けた二週間後の5月18日のことだ。
この二週間は事前準備にかかりきりだった。企画自体が宙に浮いていたものをどうにか地に足をつけさせるだけで相当の苦労。
半分ほど空中分解しかけていた企画を再稼働させるということはそういうことだ。姫ちゃ……姫路教授の助力もあってどうにか漕ぎ着けた無茶な企画は0次試験はクリアしたといえる。
当の姫路教授は……と若葉を振りまく木々の間をすり抜ける横の人間に目を向ける。
「今失礼なことを考えていただろう」
「いえ、なにも……」
「それにしても今回は外向きの服装なんだな」
「外の学校ですからね、ふしだらに見えないようにはします」
「悪化しているような気もするが……まぁいい」
野暮ったい印象を与える伸びっぱなしだった毛先を少しだけ整えて、普段とは違う伊達メガネとスーツカジュアルを着ている。それなりにまともには見えると思うが、姫路教授のお眼鏡には叶わなかったようだ。口をへの字に曲げる彼女から逃れるように視線をそらす。
「お前がヘマをしないかしっかり見ていてやる」
「今回以降は来ないのでしょう?」
「そうだな、すまないが頑張ってくれ」
最初の付き添いだけはしてくれるらしく、横に並んで歩いていた。傍から見たら兄妹が並んで歩いているような絵面に苦笑してしまう。年齢関係は逆なのに、外見が人に与える印象は大きい。
月ノ森女子学園の理事長は感じのいい人で、弊学の教授連中のような変わり者ではなく、厳しそうな見た目に沿った真っ直ぐな人だったが、俺のような部外者にも気を遣ってくれた。
月ノ森女子学園の理事長の対応を見る限りはむこうもどうして俺が指名されたのか分からない様子だったが、終始表情を崩すことなく決定されたことには従うと言わんばかりの鉄仮面に感嘆のため息が漏れる。
顔合わせを終えてから別の教員に連れられて廊下を歩く。
月ノ森の廊下は形式から既に公立校とは異なっている。床はまるでチェスのボードを思わせるチェック柄で、窓から差し込む陽の光も相まってなにかの舞台のうえに居るみたいだが、同時に窓の形のせいで籠の中に居る印象を受ける。
姫ちゃんは月ノ森の理事長と話があるらしく、手隙の俺はとりあえずという形で一つの教室に通されて足を踏み入れると、様々な種類の視線を向けられる。
女子校というだけあって身近な男と関わる機会がないのだろう。興味津々といった色が強いことに安堵する。排他的な空気が形成された空間というのは大きなことでもしないとひっくり返せない。
教壇に立って教員先生のほうから諸注意が垂れ流されたあと、自己紹介を促される。
「提携授業で来ました、
ちらり、自己紹介をしながらクラス内を見渡す。
伊達メガネのレンズ越しに見える教室は40人にも満たないような普通の教室で、お嬢様学校とはいえ特別なものは特にないのだな、と驚いた。設備とか、木の材質だとか気にすれば高級感を感じるものの、廊下と違って普通に過ごしていればなんてことはない校舎だ。
その視界の中でも教室に馴染まない二色を発見する。
一つは若葉色の髪を持つ少女、睦だ。この学校に居ることは分かっているし、毎朝月ノ森女子学園の制服を着ていく姿を見ていたから不思議はない。彼女も察してはいたのだろう。ぼんやりとした雰囲気はいつも通りにぼんやりとこちらを見ている。家のように緩んだ態度を見せてはいけないと襟を正す心持ちだ。
問題はもう一つ、ミルクティーのようなベージュ色……長崎そよ。
ああ、そういえば月ノ森女子学園に通ってたよね、キミ……と思わず声を出さなかった自分を褒めたかった。外行きの笑顔を貼り付けているが、目がまったく笑っていない。むしろ今にも殴りかかってきそうな圧を感じる視線から一刻も早く逃げたいという思考を現実にしたいほど圧を感じる。
「大学では美術を学んでいます。拙いと思いますが、よろしくお願いします」
ああ、帰りたい。よろしくなんてしたくない。ただでさえ面倒に思っていた連携授業が顔見知りが居ることでより重い気分になる。
これでは針の
好奇の目と、なにかを期待する視線と、悪感情が剥き出しの敵意。
他人から向けられる視線が濁流のように押し寄せ、逃れられず内心でため息を吐く。
年に一度の提携授業なこともあってお互いに手探りの授業。付き添いとして姫ちゃんが来ているとはいえ気が重いことに変わりない。ほどほどに頑張ろうと思っているときだった。
「なにか質問はあるかな?」
担当の教師からとんでもないひとことが発せられる。一見アバウトでどうとにでも取れるような質問は、特に女子高生にとっては極上の餌だろう。
「先生!」
「はい、
「彼女が居たことは!」
「黙秘です」
「今は居ますか!」
「残念ながら居ません」
ほれ、みろ。女子高生といえば新しい流行を作ることに印象を向けがちだが、高い社交性と旺盛な興味のうえで成り立っている。
教室中の空気が一変して、おもちゃにするような空気を肌で感じた。
「同棲とかしたことありますか!」
「……………………同じ屋根の下に異性と住む、ということであれば」
まさか現在進行系で同じ屋根のしたに住んでいる人間が居ます、などと言えるはずもなく選びに選んで言葉
沈黙は肯定である。二つの視線が鋭くなったことに気付いたが、先ほどよりもにわかに騒がしくなる教室内に遠目になりながら落ち着くまで、禅問答のような心持ちで質問に答えていった。
指導教員兼1年A組──睦が居たクラスである──の担任は美術担当の先生らしく、適当な人だった。
芸術の世界に足を踏み入れた人間は変わり者揃いで、適当に生きている人間が目立つが彼は輪をかけて適当だった。その証拠に先ほどの喧騒を止めることもせず、適当に収まるのを待ってから企画人員を整理していった結果、希望者が5人ほどの小規模グループになった。
そのなかに睦とそよが含まれていたのは当人たちの希望だが、こちらとしては面識がない胃に優しい人間が来てほしかったと弱音を吐きたい衝動にかられて、すんでのところでため息を吐く。
今回は顔合わせ、次回から説明と実際の授業でということになって今は昼休みを使って睦の担任教師に学内を案内してもらっている。
奇異の目から逃れながら現実逃避に巡った構内はさすが月ノ森女子学園というべきか、各種特別教室が一通り揃えられていた。音楽室、実験室、視聴覚室に果てはコンサートホールのような講堂まであるのは流石の充実度というべきか、雑然としているというべきか悩ましい。
美術室はその特別教室に属しているが、コンサートホールに比べれば非常に簡素な部屋だった。
床や壁に染み込んだごちゃ混ぜの匂いと空気に、丁重に並べられたイーゼル、半円状に配置された座席たちはまるで吹奏楽のような様相で困惑するがおそらくは得意な人間に聞けるような環境を作ることが目的なのだと一緒に来てくれた睦の担任が教えてくれた。
そう考えると上手いことやったものだと思う。
準備室を覗けば授業で使うようなものが一通り揃っており、名門と言われているのも頷ける。弘法筆を選ばず、なんて言葉があるとしても、道具を選ばない人間が偉いのではない。
達人とて使いやすいに越したことはないのだから、良い悪いを判断出来ない初心者は道具がノイズにならないようにいい道具を使うべきだ。
「よく整理されていますね……うちの大学とは大違いです」
「使用感に欠ける、というのは褒め言葉とも貶されているとも取れますね」
「あ、そういうわけではなく……」
「いいえ、構いませんよ。使われない道具たちを思えば悲しい気持ちになりますが、あくまでここは淑女の教養のためにあるのですから」
「……そうですよね」
使われない道具、というのがモノ悲しく聞こえて声のトーンが落ちる。
存在意義を果たせない道具は、ないのと一緒だ。
「それでは、私はこれで失礼。気になるところがあれば自由に歩き回ってください。梔子空さんに見て回っていただけるのなら道具たちも喜びます」
まるで俺を知っているような言葉を残して美術室から出ていく彼を見送ってため息を吐く。一方的に知られている人間というのは、どうにも。
彼の言う通り、上流階級の教養として準備されているのだろう。油絵用のパレットや油彩筆、果てはペインティングナイフに至るまで美しい。
先程まで行っていた授業を振り返る。生徒さんたちは先の一件から目を逸らせば自分が通っていた高校よりも真面目で気品があり、授業中でもとても静かだ。睦が通っているというのも納得で、彼女の物腰であればここの雰囲気は合うだろうと思う。
持っている人間特有の余裕のある空気を微かに感じながら、水面下で
ただ、お上品なのはどうにも肌に合わなくておざなりになってしまったのは反省点だった。
女子高生のバイタリティに普段人と関わらない人間がついていけるわけがない。
「ここの学校の雰囲気は他の学校では役に立たないんじゃねぇの……?」
いい意味でも悪い意味でも、下地が整いすぎているのはやりにくい。
特に月ノ森女子学園は単独で音楽祭をやるほどに音楽の素養がある学校で、特に合唱部や吹奏楽部といったお上品な文化が強い。ガールズバンド時代と嘯かれている昨今ではバンドもあるらしいが、それでも根付いた文化は一大勢力のままだ。
教養としてクラシックやオーケストラを聴く文化があるのは分かっていたことだが、まさかムソルグスキーの
かつかつ、と廊下から床を叩く音が聞こえて警戒しながら振り返って見えた顔に安堵する。
先ほどの教室で刺々しい視線を送り続けていた張本人、長崎そよだ。
「空くん、ちょっといい?」
「……学校では梔子先生と呼んでください」
「聞くと思う?」
誰が戸口を立てているか分からないのだから、と耳元で呟いても睨まれるばかりで言うことを聞いてくれそうにない。
先ほどまで質問責めに遭っていたのを見ていたはずなのに気にしたそぶりのない傍若無人ぶりに観念して、仕方なく椅子に腰掛けてから口調を元の調子に戻すように喉を鳴らす。
「どうしたんだ」
「聞きたいことがあったから。なんで空くんがここに来てるの?」
「ああ……俺の通ってる
「知ってる」
俺の通っている大学を教えた覚えはないのだが、どうやら長崎は知っていたらしい。うちの親と長崎の親が知り合いだったからそこから漏れたのだろうか。確認しようにも話す気はないだろうし、失言を責め立てるようなので質問はやめておくことにする。
「それの連携授業に駆り出された。別に俺から希望を出したわけじゃない」
ため息を吐きながらランチバックから弁当箱を取り出して開く。今日は時間が取れないものだとばかり考えていたので片手で食べられるサンドウィッチがいくつか並んでいる。睦にも同様のものを持たせているので、教室内で開けるわけにはいかなかった。
「……なんで参加したの」
「そんな怒りながら言わなくても……」
「怒ってない」
「じゃあ拗ねてんの?」
大きなため息を吐いて睨み合う。今この状況で自分に非がないのにずっと睨まれているのは気分が悪いが、納得できない説明をしている自覚もあって観念するように本当のところを言う。
「大学教授の勧めだよ」
「ふーん。どうだろうね」
「いろいろあるんだよ、金を出しているとはいえ学内では教授のほうが立場が上なんだから」
「色々……」
「そう、色々」
この先に期待するような関係性ではないのだから、別に信頼されずともいい。そう考えていたのだが、サンドウィッチを口に運んでいるうちに長崎の瞳が理知的な色を取り戻した。
「分かった。これ以上は聞かないようにする」
「本当にやましいことはないから、そこだけ」
「それは……信じてるから」
「ありがとう……?」
信頼はされていなくても、過去から信用は勝ち取っていたらしい。
もっとも、期待とは過去への祈りだ。こうあったのだから、これからもこうなっていくだろうという儚い祈り。それが薄氷を踏むような行為であり、踏みつければすぐに崩れていくことなど分かっているというのに人は期待することをやめられない。
思考の泉に身体を放り出しそうになるのを抑えて、表層に浮き上がる。
「それで、用はそれだけか?」
びくり、と肩を跳ねさせる。長崎そよという女の子は普段は耳を傾ける姿勢を見せるのに、自分が気になることや問い詰めたい時があるときはそちらを優先するやつだ。分かりやすくてそばにいる分には楽だが、歳上としては心配が勝る。
隠せないというのは、時に損をする。
「……なんで美術の学校になんか行ってるの」
「藝大とかじゃないけどな」
「もう絵は描かないんじゃなかったの」
こちらの言ったことに反応するつもりはないとばかりに無視をされてため息を吐く。
同時に、再会してからずっと厳しい目を向けられていたことにも合点がいった。
絵を描いていた俺はその昔、断筆宣言をした。
今でもその誓いは守られ続け、公募展などに絵が出されたことはない。
長い付き合いだけあって、誤魔化すのが難しいのを知りながらも、本当のところを言う気はない。
子どもの癇癪のような問いかけからは幼さが滲むばかりで誘導されているような嫌な感じがしない。腹黒名乗るにはまだ数年、もしかしたら十年単位で掛かりそうだった。
その証拠に、瞳の表層には炎のような怒りが見えても、奥には心配の色が見える。不器用なやつ、と笑う。
「描かないよ。創作意欲ないし」
自分の手を見下ろす。筆の握ったあとが少なく、ペン胼胝も爪の汚れも油の匂いもほとんどない指先はおおよそ絵画を描いていた人間とは思えないほど残り香が感じ取れない。
手を開いて、閉じて。何度かそうしてもギチギチ音が鳴ることはなく、ただ開閉するだけの手のひらからは芸術の香りがしない。
「…………」
「どれだけ睨まれてもそれが全て。さっさと飯食え」
「んむっ!? ……おいしい」
長崎の口にサンドウィッチを突っ込んで目を白黒させているうちにこの教室にあるデッサンの山を眺める。
「お眼鏡にかなうものある?」
「流石にレベルが高いな、と」
流石に才女が通う学園はレベルが高い。幼いころからの英才教育で下地が作られているのは大きく影の表現がおかしかったり、デッサンがとろけていることも少ない。専門的に見れば指摘するところはたくさんあってもただの女子高生が描いたにしては文句なし。
「答えになってない」
「好きなものを指定しろってことか? うーん……」
題材はリンゴ。美術のデッサンとしては定番。
リンゴの中を四等分して影を分かりやすく、下半分はしっかりと影を作っている作品は基礎をしっかりと抑えられている。
普通、平凡、凡庸。
ただ、凡庸すぎる。天才が凡庸を演出しているような的外れの引き算をしているような奇妙な感覚を抱いたが、俺が気にすることじゃない。わざわざ取り上げることもなく、別のデッサンを手元に持ってくる。
「……これかな」
さきほどと同じくりんごの題材。
書き始めてから少し経ったくらいの絵だが、一枚目と同じく基本に忠実に描かれていて完成図が想像できる。特にヘタの部分の陰影は美しく、色さえつければまるでその場にあるかのような存在感は器用な人間の手つきを感じさせた。
制作者は──長崎そよ。目の前にいる亜麻色の女の子だ。
「器用だな」
「別に。空くんに言われたくない」
「空くんだいたい一人で出来るでしょ」
「過大評価だろ」
「料理も洗濯も出来るじゃない」
「料理洗濯のちゃんと、の比重大きすぎるだろ……」
その程度やろうと思えば誰でも出来る。一人暮らしでもすれば自然と身につく技能を殊更に取り上げられるのはむず痒い。話している内容はふざけたものなのに、瞳に混じる真剣な色に居住まいが正されるような思いだ。
「相変わらず一人で暮らしてるの?」
「……………………まぁ」
「誰か居るの?」
怒られることもなかった普通の答えのはずなのに、胸倉を掴んで怒りを滲ませる長崎は先よほど気に障ったらしく、有無を言わせない表情を浮かべている。瞳のなかに見える色に怒りだけでなく、別のものが入り込んだのは気のせいだと思いたい。
気付かなかったフリをして、乱暴な言い方に変える。
「一人暮らしだって言ってんだろ」
「嘘。空くんは誤魔化すとき絶対に視線を一回伏せる」
「わざとかもしれねぇよなぁ?」
「どうなの?」
「なにを気にしてんだよおめーはよ……」
何年も離れていた幼馴染とはいえ、それだけでは説明がつかないほど気にしていることに困惑する。目を離したら死んでしまうような赤子になった覚えはないと主張する俺の様子に大きなため息を吐かれた。
「幼馴染なのに、心配しないわけないでしょ」
「まぁ……そうか……」
幼少期からずっと一緒に居た、というわけではないが俺たちは幼いころから面識があって、お互いの家庭事情もある程度知っている。
知ったような口をきくのは不理解からではなく、むしろ理解しているだということには気付いていたが、まるで別のことを心配しているような様子はやはり不思議だ。
「どうせお父さんから言われたんでしょ?」
長崎が口を開こうとした瞬間、お喋りの時間は終わりだと言わんばかりに昼休みを終えるチャイムが鳴り響く。開いた口はしばらく開いたままなにか紡ごうとして──諦めたように口を閉じた。
言いたいことは分かるが、言う必要もない。
ただ、これだけは言っておかなければいけなかった。
「ありがとな、長崎」
「なにが」
「心配してくれたからわざわざ来てくれたんだろ」
「…………別に」
踵を返して去っていく長崎は来たときよりも軽やかな足音を響かせて廊下に出た。僅かに見えた上向いた口の端がどうやら正解だったらしいことを確認してから、自分の胸に手を当ててため息を吐く。
「…………一度離れた心は二度と戻らないんだよ、そよ」
雨が降ったあとに、閉じただけでまた使える傘ような単純さで生きられたら誰も苦労しない。
そんなこと、あいつも分かってるだろうに。どうして関わってくるのだろう。
幼馴染と会話をしていたのに、心を満たすものは空っぽだけ。それ以外にはなにもないのは、もう一度終わった関係だからだろう。
だから俺は親しかったはずのそよを長崎と呼んでいる。
そんな終わった関係だとお互いが承知したうえで関わってくるのは想定外で、どうすればいいのか皆目見当もつかない。
やらず喚いて、失敗すら出来ないのは違うけれど。
やって泣いて、ダメだったのなら仕方ないのだと。
そう納得して、離れたと思っておいたのだったと。
現実にはもう一度もやり直しもないのだから俺たちの関係性は他人で間違いないはずだ。
長崎は自身の行動がある種の少女性、自己中心主義からくるものだといつ気付くのだろうか。そして、その独善的な考えを正すのは俺じゃない。彼女がこれから経験するであろうこと、人たちを通して彼女自身が正していくのだ。弓を折り曲げ、矯めるように。
そもそも、彼女が求めているのは俺自身ではない。
あるいは、彼女自身気付いていないのか。
彼女の根底にあるのは、きっと──。
「壊れた時計をそのまま置いてるのか」
時計の針12時きっかりで止まって動く様子はなかった。
好きだからこそ辛い。大切だからこそ、苦しくて触れられない。
人って、そうやって出来ている。