それだと雫というシナリオブレイカーの行動に違和感があったので、五条悟と一番会いやすい高専生中に動くことにしました。
「本日は来ていただき、ありがとうございます」
「卒業したら呼ばれたら即会うなんて出来なくなるしな」
太郎の東京高専の卒業まで後1か月を切ったあたりで、夏油傑に太郎は呼び出された。
「これお土産のひとくちずんだ餅と牛タンせんべいね。美々子と菜々子にあげてよ」
「ありがとうございます。帰ってきたらあげます」
高専の寮には一人部屋はもちろん、色々な事情を考慮して家族が住める部屋もあったりする。
多少は支払う金額も増えるが、特級術師になった傑にはなんら問題ない程度である。
傑の部屋に太郎と五条悟が呼ばれたが、悟は何やら別件があるということで来ていない。
また美々子と菜々子はもともと住んでいた村で色々とあり、教育が遅れているのでその勉強のためにこの部屋にいない。
「それで改めて呼び出してどうしたの? 飯食いたいとかそういうことではないよね?」
「はい。話は2つありまして、1つは先日特級術師の九十九由基に会いました」
「チッ」
「先輩は九十九由基が嫌いですよね。前にも会ったとしても話を真に受けるな、死ぬぞって言ってましたし」
「ああ、嫌いだ」
太郎の暗躍の一つに九十九由基が高専に来れないように裏工作していた。
なるべく九十九由基の動向を監視し、高専に来る用事が発生しないようにしていた。
何故か? 原作のように天内理子は死んでいないし、盤星教による人類の悪意を傑は感じていない。
しかし傑は優しすぎるため、九十九由基の言う最も簡単な呪霊のいない世界構築の方法、非術師の皆殺し案で傾くのを防ぐためであった。
あとちなみに盤星教は天内理子の暗殺が失敗した後の全体集会中に、1級呪霊がその場に現れたことでほぼ壊滅している。
あの組織は原作の夏油傑が乗っ取るまでは非術師の集団のため、為すすべはなかったのだろう。
「なんと言われたんだ? 好きなタイプと呪霊根絶についてとか?」
「やはり先輩は何でも知っていますね。最近は全く隠しませんし」
「メロンパンにバレなければ問題ないからな。情報隠した結果、傑が闇落ちしましたとか洒落にならん」
「僕が闇落ち? ああ、先輩が死んだら味覚戻るのできっと闇落ちするかもしれないですね」
傑たちは雫から『メロンパン』というワードを太郎が口にしていても、詳しくは聞くなと釘を刺されている。
どうやらこの呪術界の裏で暗躍している存在で、その存在が厄災を発生させようとしているとのことだ。
このことは夜蛾と五条悟世代のみが把握している。なお、夜蛾が総監部に報告しないのは、総監部に『メロンパン』の目があるらしいことも聞いたから。
「死ぬ気はないし、もし万が一死んでもなんとか術式効果を呪いとして残せないかを研究中だから待っててな」
「いや、待ちません! 先輩が死ななければいいだけですよね」
「念のためね。で、九十九由基はなんて?」
「非術師の皆殺しですね。それを実行すれば人類の術師化が進むとかなんとか」
「それを聞いてなんて思ったの?」
「困りますね。確かに一般人への被害は減りますけど、呪霊は美味しいですから」
「……あはははは。ああ、安心したよ」
とりあえず太郎は九十九由基に会ったらぶん殴ることを決意した。
自分は恒久対応するとか言っているがまともに計画も練れていないのに、暫定対応の呪霊狩りをほぼしないくせに盤面を荒らす。
元々転生前にネットで九十九由基が皆殺し発言しなければ、最終的に羂索は呪霊操術を手に入れられなくて詰んだのではないか。
彼女が最大戦犯なのではないかという意見を見ていたため、過度に九十九由基を嫌っている面もある。
まあそれがなくても、特級術師の癖にまともに呪霊狩りの任務をやらないため、それ以外の人にしわ寄せがきているためさもありなん。
その後少し横道に逸れた後、2つ目の話がハジマッタ。
「で、2つ目は?」
「まずはこちらを確認してください」
傑より渡されたノートの題名が『地域別の味の変化について』であった。
「……特級と4級では旨味が全然違うため、同じ等級においても味が変わるのではないかと呪霊操術の練度を更に高めた結果、同じ等級でも味の違いが分かるようになってきた。まじ?」
「マジです。よく思い出すと、吐瀉物雑巾の味も、多少の違いがあったことを思い出したので、次のページ見てください」
「呪霊の等級で旨味だけではなく、味の種類や深みも変わることが判明。魚のような見た目の呪霊であればその見た目に近い味に変わる。牛頭とかだと肉の味。他に分類出来ない人型だとただの旨味しかないと」
「この前大量の3級のイカの呪霊を取り込んだんですけど、それがまた美味しくてですね。旨味自体は弱かったんですけど、味はとてもよかったんです」
「縛りで味を見出したとかではないよね?」
「そんなことはしませんよ。ただ呪霊とは何かを突き詰めた結果、元々の被造物の姿を真似して、同じような動きをするなら、同じ味でもおかしくはないと思いまして」
「その結果、呪霊の味を感知出来るようになったと」
「はい!」
太郎は考える。
この考えが広まってしまったらどうなるか。
「まあ、問題ないわな。ただこの内容を発表とかはするなよ? 結局前提として『感度操作』で吐瀉物雑巾の味を反転させる効果適用と『呪霊操術』みたいな呪霊を喰える方法がないと意味ないわけだし」
「はい。ただこれでより呪霊の狩る意欲は湧いてきましたね」
「飯はちゃんと食ってんだよな?」
「仮にも僕は親になりましたからね。虐待されていたあの子たちは僕が先に口にしないと安心できないみたいなので、ちゃんと3食食べてますよ」
「それならよい……九十九由基がまた来たら拘束しておいてくれ。あの女の術式は
「……総監部でも九十九由基の術式は把握できてなかったはずですけど」
「広めるなよ、じゃあな」
内心ドン引きしているが、太郎が特級サキュバス呪霊の夢魅雫を愛していることに比べたら、偏食家程度の傑の方がマシだろう。
♡♡♡♡♡
「ちょっとサキュバス先輩、傑に呼ばれてるのにそれを無視してこいとか、呪術界で俺をそんな扱いするのは先輩方2人くらいですよ」
「呪霊喰らい、夏油傑は1時間以上は絶対に話すみたいだから、それまでに会話を終わらせるわよ」
「もしかして真面目なやつですか?」
「太郎様関係の真面目な話で私がふざけたことはないわ」
時を同じくして傑が話始めるよりも少し前に、五条悟の部屋に夢魅雫が訪れていた。
それも傑の呼び出しを拒否させて待機させていた。
「やっぱりチビ先輩……今は同じ身長くらいでガタイは向こうの方がゴリラだからチビ先輩じゃないんだよなー」
「太郎様はチビ先輩という呼ばれ方を実は気に入っているからそのままでいいわ。そこまで砕けて接してくれるのは金関係でうまくやってるカラス使いくらいだから」
「冥冥さんによく依頼してるっぽいっすもんね。それならチビ先輩で。チビ先輩のことホント好きですね」
「五条悟が太郎様を気に入っているのと同じよ。呪術的に隔絶し過ぎてて、術師を対等に見れなかった貴方でも基地外だと思うようなことを繰り返してる太郎様のこと好きでしょ?」
「まあ、そうっすね。傑はどちらかというと親友ですし、先輩は戦友? まあ実際に戦ったら先輩雑魚ですけど」
「……まあいいわ」
雑魚と口にしているが、五条悟と同様のあちら側判定を太郎は受けているため、傑とは別の好かれ方をしている。
また呪霊からは捕食対象と見られ、人間からは呪霊としか見られないのに、人と接するためか価値観が人間ととても近いサキュバス呪霊はずっと苦しんでいた。
それなのに彼女を心の底から愛して信じ、肉体も魂もいつでも乗っ取れる状態にしている太郎を好かないはずがない。
彼女でも理解しているのだ。異世界物の人間とエルフのような関係ではなく、人間と蟻が恋をするくらいありえないことが起きていることに。
絶対に逃がしたくない、死んでほしくない存在である太郎のために雫は裏で動く。
「本題に入るわ。太郎様はある理由で未来の一部を知っている」
「それは最近露骨だったんで知ってます。メロンパンってやつが黒幕だとか」
「ええ。それである理由によって、六眼で見ると太郎様の肉体と精神は異形のように見える。だから最初に会った時に攻撃をした。合っている?」
「そうですね。サキュバス先輩の過剰とも言える
「それは一部合っているわ」
「……どこが? 呪いのとこ?」
「人間ではないというところよ」
田中太郎は既に五条悟と同じく190CMを超え、肉体がよりゴリラ寄りのスペックをしている。原作では東堂の肉体が一番近いだろう。
「まず太郎様の体には黒い呪印が見えない部分にいくつもあるわ」
「そうなんすか? そういえば先輩とは海とかプールには行ってないし、風呂も一緒に入ったことないっすね」
「腕や足、胴体にはいくつもの黒い線が引いてあるの。あれは太郎様が生まれたころからあるものよ」
「……おかしくないっすか? 六眼にはそんなもの見えなかったっすけど」
「貴方の六眼は人間の乳首が服の上から見えるの? あれはもう体の一部として存在するから呪力的な力を感知する六眼でも見えないのだと思う」
雫が用意していたノートに黒い線についての記載が追加される。
「そしてこの前ガネーシャ呪霊を太郎様の領域展開で倒した時、結界から出てきたときは髪の色が違った」
「何色ですか?」
「ピンクと肌色の中間くらいだったわね。で、初めて会った時に具体的にどう見えたの? そして今はどう見えるの?」
「……えーと、腕が追加で2本、腹に口があったと思いますね。故に異形としか見えなかったんで」
「平安時代に暴れた悪鬼、両面宿儺の容姿は?」
「は? 知ってるわけないでしょ」
悟は未だに致命的な失敗をしていない。
天内理子は死んでいない。夏油傑は闇落ちしていない。灰原雄も死んでいない。
故に原作に比べて太郎たちとの鍛錬で戦闘技術や呪術的な技術力は高いが、お勉強は未だに原作の水準を満たしていない。
「4本腕にお腹にも口があったらしいわ」
「……両面宿儺の生まれ変わり?」
「そして私が太郎様に了承を得ず、魂と呼べるものを捧げた時」
「ちょっと待った! 魂を捧げた? 太郎先輩が寿命で死んだら解放されるとか言ってませんでしたっけ?」
「愛する人が死んだら生きていく意味なんてないわ。だいぶ前にそういう縛りを結んだのよ」
ガネーシャ呪霊を倒す前ですら、太郎と雫が真正面から戦えば絶対に雫が負けるくらいの戦闘力に差があった。
雫はサキュバスなことが出来るため、真正面から戦うのは本来の術式運用とは違うが、それでも太郎の足を引っ張りたくなかった。
なのにガネーシャ呪霊との戦いでは、ほぼ何も出来ていなかった。故に太郎に全てを捧げ、それを縛りとすることで多少のパワーアップはした。
それでも多少であり、太郎や悟との差を埋めるほどではなかった。その事実を前にガネーシャ呪霊との戦いで気絶している太郎の前で泣いた。
「話を戻すわ。太郎様に魂を捧げたことで、太郎様の魂と完全に触れた時にある存在と会ったのよ」
「もしかして両面宿儺?」
「そう。太郎様の中には両面宿儺がいるわ。そして別の存在の中にも両面宿儺がいるはずよ」
「……ハァ?」
悟は思った。最強らしい宿儺が安売りされすぎじゃないかと。
♡♡♡♡♡
雫が太郎に魂を捧げた時、いつの間にか太郎の実家の自室にいた。
その場には太郎とは異なる存在がいた。
「……早いな。俺の存在がバレるのが早すぎる」
それでもわかる。特級呪霊でも弱い方の雫でもわかる。あまりにもその存在は格が違うと。
そして最近太郎と調査をして、調べていたからこそ思いついた。
「もしかして両面宿儺?」
「いかにも。お前らが最近色々調べている平安時代の化け物、両面宿儺だ」
その言葉を聞いた瞬間、雫は存在自体を賭けて、目の前の存在を消し去るための魔法を放とうとした。
たとえ自らが消えようとも、愛する太郎の中に巣くう悪鬼を滅するために覚悟を決めたが。
「辞めろ。お前が死ねば太郎が悲しむだろうが。お前らは自分の命を軽視し過ぎだ。平安ではないのだぞ」
「……え?」
4本腕の宿儺は
ちなみに雫が気が付いている類似点は太郎は全く感知出来てないです。
なんで伝えないの? とか、太郎鈍すぎるとかは次回宿儺が説明してくれます。
やったね真人、天敵が増えたよ。しかも触られたら終わりとか泣けるね羂索。
次話は明日中に出したいですね。こういう引っ張り方される展開苦手なので。
もしこんな話を!やご意見があれば下記に頂きたいです。参考にします。
感想でそういうの募集すると怒られるので。
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