ツインテールが重要視される世界に転生者が転生しました。 作:真庭猟犬
『死ねェ!!』
『っと、【アイスボルト】!』
炎に氷、瘴気と爆発が生じる戦場を見てこっちに移動したのが幸いだと心底思った。トカゲの化物と赤ツインテは呆然としてるが、これは仕方ない。
「兄貴は兄貴で激戦状態、か」
「な、なあ。あれってというかお前等は何だ?」
「俺はリルドラケンって種族のグレイだ。で、あっちはルーンフォークっつう人造人間とあいつの相棒の騎竜。言っておくが、俺達は目の前の奴とは一切関係ないが、兄貴と暴れてる甲冑のは因縁があるとしか言い様がないな。あと、あの場は現実だ」
「デスヨネー」
そんなに目を逸らしたかったのか。つうか、トカゲのは逸らすな。お前一応怪人側だろうが。
「ま、そんなのはどうでもいい。お前等の目的はツインテール云々だったな」
「そうだ」
「で、それを奪われた人間はどうなる?」
「心の輝きを失ったら何が残る? 何の色もない無となるだけだ」
直感で嫌な予感がしたことをトカゲに投げ、その返しはムカつくもんだった。なら、躊躇はしなくてもいいわけだな。
「そうか。ならぶっ潰す!」
「……賛同します。『エクセラ、いけますね』」
『モーマンタイ』
「赤ツインテも同じか?」
「当たり前だ! と言うか俺は赤ツインテじゃない、テイルレッドだ!!」
「そうか。んじゃ、殺るか!!」
「…はい」『オッケー!』
「…なんか物騒だけど、いいのか?」
そういうのはあえてスルーしろ。
「全ての攻撃に備えろ!」
「了解!」
テイルレッド達が戦闘を始めたのと同時刻、美咲の鼓咆が響いた。【鉄壁の防陣:Ⅱ】である。二人は目立った外傷は見当たらず、疲労もしていない。対する2体のゲルダムの内、1体は上半身に焦げがあり、下半身は切り傷が多くついている。短い時間でこれだけのダメージを与えた二人の実力が伺える状態である。
「しかし、あいつの前世での強敵が復活したと言うなら他にも厄介なのが現れるだろうな」
「嫌こと言わないでください。アレでもタチが悪いのに一気に増えたら地球がアッサリ滅亡します」
「……そうならない事を祈るしかないな」
「……ですね」
戦闘中に会話している二人だが、対峙している魔神の片割れが地に伏せている辺り一種の余裕を持ってる証拠だと言えるだろう。
「三倍【アイスボルト】!」
「黒色爆炎!!」
氷の妖精魔法と黒の炎がぶつかり、爆発を起こす。爆風を利用して後方へと跳び、土の妖精に協力を頼んで魔法を発動する。
「【ジャイアントキック】!」
「ウゴガッ! って待ちやがれ!! よく考えりゃテメエ水の妖精魔法は使えないはずだ!! 何故使える!!」
ガルドラムが今更に水の妖精魔法、もといアイスボルトを発動したのに対してツッコミを入れた。
俺が使っていた妖精魔法はゲルダムを潰すために使った【グレートキャプチャー】、【ファイアモーラー】、【トルネード】、【マインドクラッシュ】、そして【アイスボルト】とさっき使った【ジャイアントキック】。本来なら契約していない属性の特殊妖精魔法は使えない。だが、俺はその常識を覆す物を持っている。
「それはこれのおかげだ。カルディアと六大精霊の恩恵が付加されているマフラー、オリジン。こいつは契約していない属性の妖精魔法でもランク6までなら発動できる。アイスボルトはランク3、発動できる範囲に入っているんだよ」
「オノレッ! 忌々しい妖精共メェッ!!」
「文句言う暇があるか? 【ツイスター】!!」
「しまっ、グオワァッ!?」
風の妖精魔法でガルドラムを宙へと飛ばし、足に力を込めてジャンプする。武器を武器自体の能力でハンマーに形状を換え、氷の魔力を纏わせて一回り大きくしてから振り上げた。
「これで終わらせてやるぜ!」
「グウゥ、ヤークベルゥゥゥッ!!」
「アブソリュート・ハンマー!!」
氷を纏ったハンマーの一撃はガルドラムの背中に罅を入れ、そこから凍りつかせていく。着地した時には頭部を除く体全てが凍りついていた。
「グガ、こうなったらテメエ等を道ずれに「【フリーズランス】!!」ゴガ!?……チ…………ウ…」
ガルドラムが自爆か何かを仕掛ける前に合成真語魔法を発動させて止めを刺した。最期まで敵意に満ちた目で俺を見てガルドラムは爆発四散した。その時、爆炎と煙に紛れて黒い何かが空へ飛び、やがて霧散した。
「何だったんだ、あれは? あいつの魂か?」
「少し違うね。あれはボクが見つけた特異な生物だよ」
後ろから聞こえた声に反応し、振り向く。そこには茶色のフード付きのローブに身を隠した人間(?)がいた。顔は仮面で隠れている上に声は機械のような無機質なもので、男か女か判別できない。
「いやいや驚いたよ。まさかガルドラムをアッサリと倒すなんてね。実に興味深い」
「お前があいつを復活させたのか?」
「そうだよ。あいつ以外に複数の蛮族や人族の裏切り者等をね。一部を除いてだけど全てクローン体での復活をさせているのさ」
「狂ってるな。命を実験に使うとなんてよ」
「それは自覚してるさ。けど、それを望んだのも居たのさ。トロール種とさっきのタロス、レイヴンとかね。タロスは復讐心だけど二人は君との決着を望んでいたのだから要望に答えてあげたってわけ」
「……」
「今日はここで御暇させてもらうよ。次に会った時はボクが誰かを教えてあげるよ。そうそう、ボクは生まれも育ちもここの世界の人間さ。魂は別だけどね」
「ッ、おい」
手を伸ばすよりも先に湧き上がった炎に一瞬動揺しまい、硬直してしまった。炎が消えるとそこにはだれも存在していなかった。
「……一先ず合流するか」
脳が混乱を訴えることもなく極めて落ち着いた状態であることに我ながら呆れ、今行う上で最善の行動を実行することにした。
「あー、終わってたか」
戻るとリザドギルティとゲルダムは存在しておらず、テイルレッドが金属の輪を切る所だった。
「あ、兄貴。そっちも終わったんすか?」
「まあな。バックと会ったが、男か女かわからんかった」
「そっスか」
「まずは移動するぞ。長居は無用だ」
とりあえず外野の視線はテイルレッドに集中している為、俺が幾つかの魔晶石を握りつぶしながら妖精魔法を発動してから現場から去った。
「しかし、タロスのバックの存在もそうだがアルティメギル、だったか? レンから聞いた時は馬鹿馬鹿しいと思ったが、感動や喜びをなくすとなると見過ごせんな」
俺と美咲の家から近い公園で人払いを行い、リノ以外は元々の姿に、エクセラはポリモルフで人間の少女の姿へとなってからアルティメギル等について話し合うことにした。
「そうですね。こちらでは一応ラクシアの技術及び信仰がありますからアルティメギル対策は十分でしょう。問題は他の国ですが……」
「……精神体に普通の武器は無意味」
「それも問題だけど、二ヵ所以上で同時に出現したら対処が難しいよー」
「蛮族以外にノスフェラトゥやレギクスとかが出たら小国は確実に滅ぶな。第一ガルドラムでも
「「「「え?」」」」
「やはりな」
突然のカミングアウトに約一名を除いて硬直した。この世界の神々のレベルは最初の人生で見た動画の設定と同じで、小神は最低レベル40以上、ガルドラムはレベル37だった。まあ、前世の美咲は
「(お前は黙っておけよ。元大神クラス。余計な混乱を出したくないからな)」
「(わかった)」
とりあえず二次災害は起きなくなったな。
「カルディア。あのバックの存在って何なのか判ったか?」
「いや全然。少なくとも穢れは感じなかったけどね」
「人族ってだけか」
「うー。分からないことだらけだよぉ」
「……今更どうこう言ったって変らない」
「そうですね。私達は私達で行動するしかないのですから」
「だな。アルティメギルはあのツインテがどうにかできても、蛮族なんかは俺達しかできないし、ましてや小神クラスに近いのがほいほい出たら普通は全滅ルートまっしぐらだしな」
「ああ。幸い、私達には戦力と移動手段はある」
「レンが造った魔動機なら世界中を移動できるしね。実力も大英雄クラスが6人もいるから十分に対抗できる」
「とりあえず今後は戦闘で必ず生き残るのと一般人の安全を第一にしていくぞ!」
『おう(はい)(うん)!!』
敵の戦力及びその規模はまだ分からないが、あの時と同じようにやるだけだ。
『俺はレン・エクスフィリア・ヤークベル。誰よりも鮮烈に力強く、己の信念に忠実なナイトメアだ』
『これでも僅かに鈍ってんだよ。コンクリが高熱で結晶化してるのが証拠だ』
観束家でパソコンの画面を真剣な顔で見るトゥアール。映されているのはレンだ。レンが名乗りを上げたのと炎で戦闘員の半分を消滅させたシーンはトゥアールにとってはありえない光景となっている。
「
……?」
彼女は一人で呟く。その疑惑の真相はとある外道の存在によって判明することになる。
ネタバレになりますが外道はオリキャラ・原作一名の激しい憤怒(オーラ的な意味で)を引き起こします。