ツインテールが重要視される世界に転生者が転生しました。   作:真庭猟犬

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原作とは幾つか違う進み方でいきます。


2‐2 過去と蛮族襲来と変態共

リザドギルティとガルドラムを倒し、色々と話し合った日の翌日。いつもより早めに家を出た俺は龍宮組が所有する和風屋敷へと向かっていた。理由としては王女であるユリスがリノとエクセラと共に転入するので一応の護衛として先生が俺達を指名したというわけだ。

 

 

「来たかレン坊。お嬢達は準備を終えてるぜ」

 

 

出入り口である門の前に立っていたのは鋼椰と鋼椰の妹である裕美(ゆみ)の保護者である朱音姉さんだ。龍宮組の組員の中では最年少だが、腕っ節の強さは龍宮組の中で3番目で尚且つ曲がったことや外道行為が嫌いという性格のお陰で幹部に就いている。

 

 

「どーも、朱音姉さん。この先面倒な奴等が襲来するとなると頭痛いんですけどね」

 

「あー、それはどうしようもないな。お前の過去は結構な回数に分けて聞いたが、因縁のある奴等が復活させたのが誰か分からんからな。一応組の関係者達には連絡はしといたから一般人を極力巻き込ませないようになってる」

 

「……それだけでもまだマシか」

 

 

大破局とデーモンルーラーとしての技術を得た時に見た絶望が一瞬幻視した。記憶どころか魂に焼きついた光景は転生した今でも時々幻視したり夢に出る。

 

 

「レン坊。お前またあのトラウマを思い出したのか?」

 

「……前世が前世なもんで」

 

「そういや約二千年も生きてたもんな。そりゃ忘れろってのが酷だ」

 

「今は向き合ってますけどね。けど、あんなのはもう二度と起こさせない。今を生きている人は俺みたいなのはさせない」

 

「決心するのはいいが背負いすぎるな。お前は壊れかけた経験があるだろ? それを繰り返してしまう可能性を忘れるな」

 

「………」

 

「お前がヤークベルとして生きてきた歴史は粒子レベルしか知らねえ。けど、過去のお前が今を潰すのは許さねぇ。私はお前の姉だ。勝手に潰れるのは許さん」

 

「…わかった。朱ねぇ」

 

「おう!」

 

 

幸い、この会話は美咲達には届いてなかった。聞かれてたら羞恥の果てに自殺する自身があったから本ッ当によかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆さん。知っての通り昨日、謎の怪物たちが暴れ回り、街は未曾有の危機に直面しました」

 

 

一時間目の授業を中止して昨日の出来事についての集会が行われてる中、俺と美咲、鋼椰は生徒会長の話を聞き流しつつ周囲を警戒していた。

体育館に入った瞬間、前世の経験で学生と教師ではない何かの気配を察知し、美咲と鋼椰にその事を告げておいて警戒することにしている。

 

 

「煉弥。数は幾つだ?」

 

「4。その内1体は英雄クラスのスカウトでも察知するのが難しい程だ。けど、敵意よりかは情報会得に徹しているから残り3体がどう行動するかだな」

 

「兄貴」

 

 

鋼椰が指差した先、ステージの端で奇妙な違和感を感じた。まるで見えない何かが――

 

 

「チッ。鋼椰!」

 

「ウッス!」

 

 

生徒による人垣を掻き分けステージへと走る。相手も俺らの行動を察知したのか生徒会長へと走っていく。

 

 

「鋼椰! ぶん投げるから奴を殴れ!」

 

「了解!」

 

 

流石に間に合わないため、鋼椰に指示を出しながら砲丸投げの要領で投げる。元々人外染みた身体能力なのでこういうのは余裕だ。

 

 

「オラァ!」

 

『ゴブバッ!?』

 

 

鋼椰が敵を殴り飛ばし、体勢を整えながら着地する。俺がステージへ上がると、生徒会長はメイド達が護っており、筋肉と血管が浮き出た人型の魔物が殺意を宿らせながら立つところだった。

 

 

『オノレ…ニンゲンゴトキガ……』

 

「な、なんですかあの化物は!?」

 

「エリートインビジブルアサシン。体を透明にする事ができる残忍な習性を持つ魔物の中で群を抜く個体だ。現状俺達ぐらいしかコイツを殺すのは不可能だ」

 

「だが、君たちが「心配無用。つうか、鋼椰が押してるんで」え?」

 

 

指差した先には鋼椰が【ドレインタッチ】からのワンツー魔力撃パンチを叩き込み、反撃の攻撃を最低限の動きで回避しながらカウンターする所だった。元とはいえ伝説の大英雄と蛮族王に格闘術や斥候術などの手解きを受けていたのに加え、特殊な魔剣の迷宮での戦闘を行っていたのでグレイにならなくても十分に戦える。つーかこっそり錬技入れてんな。

 

 

「終わりだ!」

 

『『ギィヤアアアアァァァァッ!!!』』

 

 

鋼椰が止めを刺すと同時に別の蛮族の断末魔が響いた。それに対し、慣れている俺ら以外は身を強張らせる。とりあえず音源を捜すと、麻袋に蛮族の死体らしきものを詰めているリノと息を整えているユリス、学校の備品でない大きなモップで床を拭いているエクセラを目撃した。

 

 

「そっちにもいたのか」

 

「……コボルト・ゴブリン・レッドキャップを合成したようなものだった」

 

「トライヘッドミュータントだなそりゃ。で、いつまで敵情視察を続けるつもりだ?」

 

 

マイクをとり、隠れている蛮族に挑発の意を込めて問うとニンジャシャウトと共にレイヴンのニンジャが現れる。

 

 

「ドーモハジメマシテ、オンブロです」

 

 

アイサツにはアイサツを返すのが礼儀。アイサツを返さないのはすごい失礼だ。

 

 

「ドーモ、オンブロ=さん。双月煉夜です。態々頭が出るとはな」

 

「ネーブル=さんはすぐに撤退させた。お主達の実力では無駄死になるしかないのでな。拙者は無駄な殺生を好まぬ。標的を除いてな。それと、お主の前に現れたのはお主がヤークベルに似たアトモスフィアを纏っていたゆえのこと。ただそれだけだ」

 

「そうか。戻るついでにこの紙をお前の関係者に見せてくれ。体育館を棺にしない礼としてヤークベル直筆の伝言だ」

 

「ふむ。それならありがたく頂こう。では、オタッシャデー!」

 

「オタッシャデ」

 

 

アイサツを返した瞬間煙幕を張り、一瞬で気配を断って消えるオンブロ。煙が霧散すると、オンブロは見事に立ち去っていた。

 

 

「はあ。被害報告。鋼椰」

 

「ダメージ0っす」

 

「ユリス」

 

「私の学生服の右の袖が少し裂けただけです」

 

「美咲」

 

「私と学生は実質的被害はなし。動揺くらいだな。で、生徒会長は?」

 

「お嬢様は無事だ。それとさっきの化物たちとお前達の迅速な行動について説明してもらうぞ」

 

「はあ。了解」

 

 

とりあえず、蛮族達はテラスフィア王国の資料から引っ張り出して、鋼椰の格闘術は護身術とかでいいか。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…この学校に入学してたった二日ってのに疲労感が半端ない」

 

「同意だ」

 

「同じくっす」

 

「煉弥さんの機転がなければ更に酷い状態になりかねませんでしたね」

 

「……前世で二千年生きてただけのことはある」

 

「うにゅ~」

 

 

昼休み。右肘を机につき、右手で顔の4分の1を覆うようにした状態でため息と同時に愚痴を零すと美咲達が同意する。オンブロが去った後、色々説明するはめになり、蛮族についてはテラスフィア王国の古い資料から抜き出したものとし、鋼椰のグラップラー技能は対犯罪者の護身術の一つとして誤魔化した。費やした時間が約3時間かつ誤魔化すためにほぼアドリブでやってたので精神的疲労が溜まる溜まる。

 

 

「決ーめた! 今日から俺が、テイルレッドのお兄ちゃん!!」

 

「ッブ~~~~~~~~~~~~~!!」

 

「…はあ」

 

 

変態化したクラスメイトの世迷言にテイルレッド本人である観束が噴出す。原作を知っていた俺はリアル変態発言に精神的耐久力がゴリゴリ削れていくのを感じ、またため息が出た。それを知らずに変態たちの会話はヒートアップするが――

 

 

「リノ。あれは?」

 

「姫。あれは畜生以下の存在が無駄に撒き散らす世迷言と穢れです。姫が聞くべきものではないですし、見る価値はゴミ屑以下です。それに姫があの畜生以下の存在のせいで駄目人間に近づいてしまうのは家臣として許せません」

 

『ゲハッ!』

 

 

――リノの毒舌に男子数名が血反吐を吐いたような動作をし、フローリングの床へ崩れ落ちた。周囲はリノの毒舌と容赦のなさに目を点にするが、見慣れてる俺達(ユリスとエクセラ除くは親指を立てるハンドサインをした。さて、昼食を消費するか。

 

 

「よっと(ズシッ)」

 

『!?』

 

 

俺が取り出したのは7段重ねの重箱。中身は一番下以外はおかずオンリーだが、周囲は更なるインパクトを受けている。それをスルーしつつ1箱ずつ分けて蓋を開け、美咲からご飯入りの弁当箱と箸を貰って重箱のおかずを程ほどに取って食べていく。

 

 

「ふむ。相変わらず絶妙な味付けだな」

 

「栄養のバランスが取れてるのもまたいいっす」

 

「和洋中の料理が2箱ずつだから味の変化があって箸が進みますね」

 

「……城の料理人にしたい」

 

「にゅ~。甘い果物の匂い~」

 

「……それは皆でおかずを全て食べてから」

 

「ねえ。その重箱って双月くんが作ったの?」

 

「ああ」

 

「私達のおかずは大体が煉弥が担当している。料理の腕はリノが言ったとおりだ。家の関係者から多くの食材が送られるから腐らせないよう消費のために一役買わしているわけだ」

 

「成程…」

 

「いくつか食うか?」

 

「いいの?」

 

「ぶっちゃけた作りすぎた。大食いのエクセラ込みでも流石にデザートの果物を含むと食いきるのはムズイ」

 

「それじゃ一つ頂戴」

 

「おう」

 

 

一部まともなクラスメイトと食べる昼食はどこか精神的安らぎを感じるものだった。




今回でてきた蛮族はIB記載の蛮族をベースにしたオリジナルです。


次回は人間の敵を出す予定です。
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