ツインテールが重要視される世界に転生者が転生しました。   作:真庭猟犬

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2‐3 宣戦布告

放課後。新入生の勧誘ラッシュを巧く避け、6人で帰宅する。オンブロとその部下の件があったってのに逞しいもんだ。

 

 

「兄貴。昨日の件なんすけど、ガルドラムは迷うことなく兄貴の前に現れたっすよね?」

 

「そういえば、そうだな。……ん?」

 

 

鋼椰の言葉に答えた時、一瞬疑問が浮かんだ。

ガルドラムは何故俺の元へと直行できた? それに前世の時より大幅に強化されていた。バックがダークドワーフの技術と召異魔法を収得しているのと何かしらの技術を持っているのは確実だ。けど、その技術が現代社会ではオーバーテクノロジーとされるものだとしたら……

 

 

「こりゃ前世の強敵以上に厄介だな」

 

 

謎の生物を使って異世界の死者を蘇らせたり強化させたりしてるとなると個の力で神の領域に達しているかもしれない。全く面倒な。

 

 

「名前持ちの蛮族等を復活させた存在か」

 

「ああ。正直言ってカルディアの力の殆どを使う必要があるかもしれない。それ程に厄介なものだ」

 

「アルティメギル以上っすか?」

 

「比較するにも対象の詳細が分からんからどうしようもないが、ラクシアだったら国どころか世界の危機に陥るのは確実だ」

 

 

魔動機文明での禁忌クラスの技術をぶっ込んでようやく互角だろうけど、そうしたら世界がネクロニカレベルになりかねないんだよな。

 

 

「しかし、それ程の技術を持ちながら何故この世界へ宣戦布告をしないのでしょう?」

 

「……確かに。煉夜に因縁のある蛮族や人族なら魔神やアンデット等を使役してバイオハザードや襲撃をしても可笑しくない」

 

「個人的な恨みや因縁とかとしても判断がつかないよ」

 

『………………』

 

 

推測を出し合ってもどこか決定打がない故に沈黙する俺達。話が止まった瞬間――

 

 

『この世界に住まう全ての人類に告ぐ! 我らは異世界より参った選ばれし神の(ともがら)、アルティメギル!』

 

 

――荘厳な声で神官(プリースト)でもある俺やユリスに対して挑発しているような言葉を吐くドラグギルティの演説が住宅と空に映し出されたスクリーンから聞こえた。

何かムカつくなこれ。

 

 

「おい、レン。昔の貌になっているぞ」

 

「…そうか。チッ、神の徒とかふざけんじゃねぇ」

 

「駄目だなこれは」

 

 

ムカつきながらも黙って聞いていると大きく粗暴な声が耳に入り、その言葉にイラつきが吹っ飛ばされることになった。

 

 

『聞いているか! レン・エクスフィリア・ヤークベル!!!』

 

『『!?』』

 

『俺の名はケートスギルティ! 命を奪いあう闘いこそが生き様の存在だ! 俺が望むのはたった一つ! お前との殺し合いだ!!』

 

「……」

 

 

ドラグギルティの語りと違い、ケートスギルティの言葉はスッと耳に入る。闘いを求み、その果てが死であろうとその結果を甘んじて受けるような感情が込められている言葉は、レンとして生きていた時に会ったトロールを思い出させた。

 

 

『この星の人間共! もし俺とレン・エクスフィリア・ヤークベルとの闘いに横槍を入れるなら、自身と家族友人の感情を奪い取った上で殺すぞ』

 

 

ケートスギルティが言ったのは警告のように見えて実際は脅迫。後半の声色もそうだが、スクリーン越しでも感じるピリピリとした殺気が本気だと理解させられる。本当にヤツに似ているな、性格も生き様も。

 

 

「カルディア」

 

「言わなくてもいいわ」

 

「…ありがとな」

 

 

さて、と。その要望に応えてやるよ、ケートスギルティ。

 

 

 

 

 

『初めまして、と言うべきだな。アルティメギル』

 

 

アルティメギル秘密基地にあるホールに緊張が走る。突如スクリーンが現れ、そこにキャスケット風の帽子を被った男が映し出されていた。アルティメギルは自分達が持つ技術に匹敵するほどの技術を持つ存在がいたことに驚きを隠せない。地球では放送電波を受信する機械すべての画面にその様子がアルティメギルのジャックによる映像と半々の状態で映し出されていた。

 

 

『俺の名はレン・エクスフィリア・ヤークベル。今回はケートスギルティに対し、提案を持ちかけるためにお前等の放送に介入させてもらった』

 

 

レンの言葉に指定されたケートスギルティに多くの視線が集まる。ケートスギルティはスクリーン越しとはいえ、自身の欲を満たす存在が目の前にいることに神経が、魂が昂ぶるのを感じていた。

 

 

「クハハハ! それはありがたいな! それで、提案と言うのは何だ?」

 

「俺とお前の勝負、もとい殺し合いだが、場所はこちらが選ぶ。時間は今日から20日後の朝でいいだろうか?」

 

「その心は?」

 

『お前に昔殺し合いを行った誇り高き戦士のような雰囲気を感じ取った。故に誰にも横槍を入れられない場所でタイマンを張るのが良いと思っただけだ』

 

「クク…! 成程、そいつはありがたいな。俺はその時までに俺自身のコンディションを整えられるし、お前はブランクを直せる。実に良い提案だ。その提案、飲ませてもらう」

 

『そうか。では通信を終わらせて「待て。一つ質問をさせてもらう」

 

 

レンが通信を終わらせようとすると、ドラグギルティがそれを止めた。ざわめく部下達を鎮めた後、ドラグギルティは口を開く。

 

 

「お主の技術。元々はこの世界でのものではないと見た。その技術は何だ?」

 

 

ドラグギルティの質問に対し、レンは密かに口角を上げる。そしてその質問対しての答えを告げた。

 

 

『滅びた文明の技術と、主に職人たちから信仰される神から教わった知識で生み出された特殊なアーティファクト。この世界では俺だけが持つ知識だ』

 

「神、か。どうやらお主は特に警戒すべき者だな」

 

『伊達に二千年は生きてないんでな』

 

 

不適に笑いながら通信を終わらせるレン。多くのエレメリアンが息を呑む中、ケートスギルティは自身が狂気を感じさせる程の笑みを浮かべていた。

 

 

「クハハ。やはり素晴らしい。俺の目に狂いはなかった。お前は俺が求めていた最高の強敵だ! レン・エクスフィリア・ヤークベル!!」

 

 

歓喜の笑いを上げながらホールから出て行くケートスギルティ。その背中に声をかけるものはいなかった。同時刻、地球に住む人類も誰一人声を出すことはなかった。その中、ドラグギルティは警告を告げる。

 

 

「今のやり取りを聞いていただろう。ケートスギルティとレン・エクスフィリア・ヤークベルとの闘いに横槍を入れるならば、命がないということをその身をもって思い知らされる。努々忘れるな」

 

 

その警告はテラスフィア王国を除く全世界の人を殺すことができる力を持つ者達をゾッとさせるほどに静かなものだった。しかし――

 

 

『ケケケ。アイツも蘇っていたのか』

 

『あの怪物共が言う敵対者。ソイツはどんな死に顔を見せるか、その味がどんなものか、楽しみだ…』

 

 

ある人間は生き物だった何かを入れた鍋に中身をかき回すための棒を入れながら嗤い。ある者は赤い染みを残してとある場所へと移動した。

敵対する存在が異世界から来襲した化物だけではなく、同じ人間だと世界中の人間が知るのはそう遠くない未来である。




次回はテイルレッドがタトルギルティ撃破直後に人間の敵が襲来、戦闘の後後日談のニュースの流れとなります。
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