自由連合召喚   作:短号司令官

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今回は解説だけですが、読者様からのオリジナル艦が少し登場します。


パーパルディア戦役
第1話 フェン沖海戦 前編


 

中央歴1639年

 

フィルアデス大陸の東に位置する、勾玉を逆さにしたような陸地を持つ『フェン王国』と言う国がある。

 

この国は簡単に言うと『武士』の生きる国であり、この国の人間は子供の頃から剣術についての教育を義務付けられ、死ぬそのときまで剣と供に人生を歩む事を国是とするなど、まるで江戸時代の日本のようだ。

  

この国の首都アマノキの真ん中にそびえ立つ、姫路城を思わせるデザインの王城の会議室では、この国の王『剣王シハン』が集まった側近たちにある重要な事を告げる。

 

シハン「皆 心して聞いて欲しい。近くパーパルディアと戦争になるかもしれない」

 

フィルアデス大陸における最強の列強国『パーパルディア皇国』は、魔法を駆使し、72もの属領を持つ最強の国家であり、その軍事力と国力を背景にフィルアデス大陸の支配者でもある。

フェン王国はパーパルディアよりも国力では大きく遅れており、特に魔法に関する技術が存在しない点では、戦いに於いても不利なため、パーパルディアとの戦争は即刻滅亡に近い無謀な事である。

 

シハン「現在、ガハラ神王国に援軍をもらえないかを要請している。それに各方面でも対策を検討中だ。兎に角、各々は戦に備えておいてくれ」

 

隣国のガハラ神王国への新書作成や、外交ルートでの交渉に関する話し合いが行われた後に、次の議題へと移る。

 

 

「剣王、日本・日本帝国・アメリカ・イギリスと言う4か国が我が国との国交開設のための交渉を行いたいと言う件についてですが」

 

シハン「ガハラ神王国の使者からの情報のやつだな。ガハラの東側にあると聞くが、あそこにはちいさな島々しかない筈だが………それが集まってできた新興国なのか?」

 

「ガハラ神王国と各国からの情報によると、総人口は日本だけで2億人を越え、列強国を越える科学力を持っているとの事です。それに………」

 

側近の言葉が詰まる。

 

 

シハン「どうしたんだ?」

 

「……これは未確認情報なのですが、彼の国々にはたった50隻でロウリア王国艦隊約4000隻を壊滅に近い損害を負わせた"戦艦"と呼ばれる軍船を大量に保有しているそうなんです」

 

その言葉にシハンは信じられないと言った表情となる。 

 

シハン「戦艦……彼らは列強国が持ってるような戦列艦をそう呼ぶのか?で、その戦艦とやらの詳しい情報は?」

 

「それが、どれもこれも荒唐無稽なものばかりで、信用に足る情報はまだ………」

 

シハン「うむ。それについても確かめる必要がありそうだ。よし!直ちに4カ国の使者を連れて参れ!くれぐれも無礼の無いように!」

 

「ははッ‼︎」

 

一時間程して、日本の「前沢悠二」帝国の「太田賢一」アメリカの「ハワード」イギリスから「キルソン」の4名が王城を訪れた。

 

前沢「何か……こう、気が引き締まりますな。」

 

太田「えぇ。まさか戦国時代の日本と同じ文化を持つ国があって、町中の建物や城までも日本式建築と同じとは」

 

ハワード「それにしてもタイムスリップした気分だ……我々は外交交渉しに来たんだよな?」

 

キルソン「全くだ……」

 

 

4人は、フェン王国の第1印象が日本の文化に通じるものがあった事を不思議に思いつつも興奮していた。

 

「剣王が入られます!」

  

声があがり、部屋の扉が開かれるとシハンが入ってくると、4人はその場で立ち上り一礼する。

 

シハン「そなた達が噂の使者か」

 

前沢「はい。日本の外務省より遣わされました前沢と申します」

 

太田「自分は帝国外務省の太田です」

 

ハワード「アメリカ合衆国のハワードです」

 

キルソン「イギリスから来ました。キルソンです」

 

シハン「ふむ。では四方、立ち話もなんだから座るが良い。」

 

シハンに促され四人は椅子に座り、シハンも専用の椅子に座る。

両者が対面しあうように配置された机の上で、早速交渉に取り掛かる。

 

 

前沢「私どもが貴国に馳せ参じたのはご存じの通りかと思われます。本日は貴国との外交交渉の前のご挨拶として、我が国の職人や科学力で作り上げられた品々をお持ちいたしました。どうかお納めください。」 

 

四人は、それぞれ持ち寄ったジュラルミンの大きなアタッシュケースを机の上に置いて蓋を開ける。

中には人間国宝に指定されている職人達が1から仕上げた品々が入っている。

 

島根県のたたら製鉄で精練された玉鋼から職人が叩いたり熱したりを繰り返して作り上げた『日本刀』

 

自然にある物を最大限に生かされている大島紬の『高級反物』

 

王室御用達の30年ものの『高級ワイン』

 

開拓時代に活躍したリボルバー式の『ピストル』

 

普通の一般人が揃えような物なら破産してしまいそうな高級物が献上され、シハンと側近らはそれらを手に取り驚きと興奮の目で品々を観察する。そんな中で彼らの注目を集めたのが日本刀であった

 

シハン(なんだこの剣は⁉︎…細くて叩いたら折れそうに見えるが、この刃の薄さ、手に馴染むような握り心地、そしてこの構えやすさ…………これ程の剣を作ろうとすれば相当の手間と時間が掛かるだろう…!)

 

シハンは刀を鞘に戻し机に置くと、四人に向き直る。

 

 

シハン「我々は貴国方を見くびっていたようだ。これ程の物を仕上げるには相当の手間と時間、そして長い間に積み重ねられた技術が必要となるのは間違いない。貴国には我が国のように長い歴史があり、物作りに関しては相当の技術と拘りがあるようだ。私は貴国に興味が湧いた」

 

太田「では……!」

 

キルソン「その方向で……」

 

シハン「無論です」

 

 

シハンの言葉に前沢は待ってましたと言わんばかりの表情で、4カ国分の書類を出す。

 

前沢「我が4カ国から貴国との国交開設のための条件が書かれた書類です。ご確認をお願いします」

 

続いて書類の内容の確認と細かい調整が進められていく中、シハンはある事を確かめるため前沢らに切り出す。

 

 

シハン「そうだ、済まないが皆様に確かめたい事があるのだが。」

 

太田「何でしょう?」

 

シハン「実は、ある噂を耳にしたのだが、貴方方の国にはロウリア王国の艦隊を退けた戦艦と呼ばれる軍船があると聞く」

 

ハワード「戦艦………確かに、我が4カ国はそれぞれ保有しておりますが」

 

シハン「やはり本当であったか。いや、実は我が国は貴国の事はあまりよく知らない。貴国から提案された案があれば我が国は貴国の高い技術力が手に入る。我が国としてこれは申し分はない。だが貴国がロウリアに勝利したと言う話については荒唐無稽な物が多くてな…」

 

キルソン「はぁ……」

 

シハン「私は貴国の力をこの目で見てみたい。確か貴国には海軍と呼ばれる水軍があると聞く。親善訪問を兼ねてその戦艦とやらの力と水軍の力を見てみたい」

 

4人はシハンからの提案に面食らった。

まだ国交が開かれていないのに、武装した艦船を派遣するのは戦争行為にも匹敵するものである。

特に普通の護衛艦なら外から見れば武装は少なく見えるが、旧世代の火砲で武装した戦艦をアマノキの沖へと持って来いと言うシハンの提案に頭を抱えた。

 

 

前沢(せっかく開き掛けていた外交交渉をわざわざ閉めてしまうのは流石に外務省や日本にとっては大きな痛手になる。戦艦1隻見せるだけで国交が開けるなら背に腹は変えられんか…)

 

 

四人はシハンに本国へ連絡を取って承認を貰うと伝え、その日の外交交渉を終えて。迎えの海上保安庁が誇る最新鋭巡視船『あきつしま』へと戻り、それぞれ本国へ連絡を取った。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

同年 9月25日

 

 

フェン王国首都アマノキ

 

 

シハン「あれが日本の軍船か………まるで城のようだ」

 

「城と言うよりは、島だな」

 

アマノキの港から沖に見える、巨大な船を見てシハン達が素直な感想を漏らす。今アマノキの沖に停泊しているのは、『きい』と殆ど全く見た目がおなじである、姉妹艦の『おわり』だった。

他にもアメリカからは『第62任務部隊』が停泊してる。

日本海軍からは『第八艦隊』が参加。

イギリス海軍からは巡洋戦艦レパルスも参加。

海自からは他にもこんごう型護衛艦『みょうこう』の他に、『しらね型大型対潜護衛艦』が参加していた。

 

 

しらね型大型対潜護衛艦

艦種:大型護衛艦(CG)

性能諸元

排水量:基準・18500t/満載・22500t

全長:220m/全幅:37.4m

機関出力:160000馬力/石川島播磨GT6Cガスタービン4基・ロールスロイスRM1ガスタービン4基

最大速力:32ノット

 

主兵装

80式203㎜単装砲・一基

73式127㎜単装速射砲・一基

シースパロー八連装発射機一基

20㎜CIWS・二基(三基以上の可能性も在り)

搭載機:AV-8BJ・8機、UH-60・6機

 

同級艦:CSV-41<しらね>、CSV-42<くらま>

 

 

就役30年経った『あかぎ』型航空護衛艦(エセックス級近代化改修供与艦)の代替艦。

対潜作戦及び船団護衛部隊旗艦として高い指揮通信能力と対潛哨戒を行う為多数のヘリコプター運用搭載するために設計されただけでなく、長距離機による空襲対策にVTOLの運用を考慮されスキージャンプ式の全通甲を装備。

航空護衛艦籍には無いが周辺諸国からは小型空母扱いされている。

 

考案者『13FA』さん

 

 

 

 

 

 

「私は何度かパーパルディアに行き彼らが保有している戦列艦を見た事がありますが、アレの前では……」

 

シハン「確かに。奴等の艦など小舟……いや、玩具だな」

 

 

騎士長の言葉にシハンは笑いながらおわりとパーパルディアの戦列艦をそう例えた。

 

 

そんなおわりの第1艦橋には艦長『猪口俊介』1等海佐が、双眼鏡でアマノキの港を見つめていた。

 

猪口「親善訪問をやれと言われた時にはびっくりしたが、まさか帝国海軍やアメリカ海軍、果てはイギリス海軍も出迎えとはな……」

 

「艦長、三川中将がお見えになられました」

 

猪口「おぉ来られたか」

 

副長と入れ替わりに艦橋へ入ってきたのは第八艦隊司令長官の『三川軍一』中将であった。

 

猪口「我がおわりへようこそ、三川司令」

 

三川「こちらこそありがとう、猪口艦長」

 

猪口が差し出した手を三川はしっかりと握りしめた。

 

三川「それにしても大きいですな。噂には聞いていましたが、私は以前霧島の艦長をしていましたがあれが可愛く思えてしまう程だ」

 

猪口「お褒めに預かり光栄です。おわり・きいは何れも世界最大の戦艦でその記録は打ち破られておりません」

 

三川「実に心強い。私の方の将兵達も気合いが入ってましたよ」

 

「艦長。そろそろ時間です。」

 

猪口「うむ。教練対水上戦闘用意‼︎」

 

三川「では私はここでじっくりと見せてもらいます」

 

猪口「はい、是非本艦の主砲をご堪能ください」

 

何時もの号令で乗員達は各々の部署に素早く就いた。

 

猪口「主砲発射用意!!目標、右舷標的!」

 

『目標、右舷標的!』

 

命令を受け取ったおわりの砲術長は測距儀を旋回させ、右に見えるフェンが用意した10隻の標的船に照準を合わせ、各砲塔に情報を伝達。3基の主砲塔が動き始める。

 

シハン「おぉ………あの巨砲が動いたぞ」

 

「あれ程の巨大な砲を、あの早さで動かすとは……一体のどれ程の水兵が動かしてるんだ?」

  

シハン達は天守閣から見えるおわりの主砲の動きを見ながら、これから起こる事に内心ワクワクしている。

 

猪口「砲術長、フェンの方々や三川司令に一つ派手なのを頼むぞ」

 

『お任せあれ‼︎』

 

猪口の指示に砲術長は気合いを入れて、トリガーに指をかける。

 

『各砲、射撃用意よし!』

 

『警報!』

 

3回警報が鳴り響き、外に居た乗員達は艦内に待避した。

 

猪口「てぇぇい!!!」

 

その時、アマノキ全体にに雷鳴のような爆音が響き、市民達は何事かと沖合に視線を向けた。

 

「うぉぉっ!」

 

「ぐっ‼︎」

  

51センチ砲の射撃による衝撃波と爆音は城内に居た召し使い達や王国兵達にも一瞬で届き、吹き抜けの天守閣に居たシハン以下の家臣達は爆音と共に衝撃波を受けて思わず耳を塞ぎ後ずさり、数人の家臣が尻餅をついたり転んだりする。

 

シハン「おおっ‼︎これはぁぁぁ!!!」

  

シハンが耳を塞ぎ、両足をしっかり開いて転ばないようにしながら吠えるような声を挙げた。

彼の目の前には10隻の標的船を取り囲むように9本の巨大な水柱が上がり、標的船は水柱の中に消えて見えなくなるのが見えた。

 

「剣王様ぁぁ‼︎あれを‼︎」

 

水柱が消えて無くなると、さっきまで見えていた筈の標的船はほぼ全てが転覆、または船体の半分以上沈みかかっており、船としての機能を失っていた。

 

「なんという破壊力だ………」

 

第62任務部隊旗艦の巡洋艦『シカゴ』の艦橋から『おわり』の砲撃を眺めていた『リッチモンド・K・ターナー』少将は圧倒された気持ちでいっぱいだった。

 

ターナー「噂の20インチ砲の火力が凄まじいとは聞いていたが、まさかこれ程とは……」

 

ターナーは帽子を被り直すと再び眼前に見える『おわり』に向けてこう言った。

 

ターナー「我々も負けてられんな。参謀、次は我々の出番だ‼︎」

 

彼の指示を受けて第62任務部隊が動くのに合わせて、第八艦隊・レパルスも後に続く。

 

『おわり』の砲撃が終わり、今度は日米巡洋艦とレパルスの各主砲塔の弾薬庫から砲弾と装薬が給弾装置にて砲塔へ揚げられいき、射撃指揮所でも砲術長と砲術員達が『おわり』からの諸元修正をしながら照準を合わせていく。

 

『各砲次弾装填よし!諸元修正よし!射撃用意よし!』

 

「撃てぇぇ‼︎」 

 

放たれた2射目の直後、満身創痍だった標的船に砲弾が降り注ぎトドメを刺した。

砲撃音は『おわり』のものに比べればはるかに小さいがそれでも彼らに与えるインパクトは絶大であった。

 

「おぉぉぉぉぉ!!!!!!」

 

水柱が標的船に大きな衝撃を与え、今度こそ本当に姿を海中に消してしまった。

海面には標的船の残骸と思われる木片とマストに使われている丸太と幌が海面に浮かんでいる。

 

「なんと…………」

 

シハン達は言葉が出なかった。

10隻あった標的船がたったの一撃で、残骸を残して消滅してしまったのである。

 

シハン「このような攻撃、パーパルディアでは到底真似できん。直ぐにでも日本側と国交開設について準備と調整を進めよう」

 

「はいッ‼︎」

 

 

 

一方、砲撃直後の尾張の艦橋に、CICから奇妙な報告が入った。

 

猪口「間違いないのか?」

 

『はい。みょうこうからの報告で、西の方角から20程の目標が188ノットで接近。あと数分でこの場に到達すると予想されます。』

 

三川「…………確か西にはパーパルディア皇国と言う国があったな?」

 

猪口「はい」

 

三川「この軍祭に招かれているというのは…?」

 

猪口「そのような話は、我々は聞いていませんが…」

 

三川は顎に手を当ててしばらく考えると通信機を借りて『青葉』に通信を入れる。

 

三川「五藤君、私だ」

 

三川が通信を繋いだ相手は第六戦隊『青葉』に乗艦する「五藤存知」であった。

 

五藤『はい、よく聞こえます。してどうしました?』

 

三川「いやな、おわりの電探が複数の敵影らしきものを捕捉したようでな」

 

五藤『本当ですか⁉︎』

 

三川「残念だが事実だ。今からでは鳥海に戻ってる暇はない、艦隊の指揮は君に任せる」

 

五藤『分かりました。しかし司令は…?』

 

三川「このおわりの戦いぶりをもう少し堪能してから戻るよ」

 

三川は笑みを浮かべながらそう言う。

 

五藤『分かりました。ではこの五藤、艦隊の指揮をお預かりします』

 

三川「頼むぞ」

 

通信を終えた五藤は直ぐに通信長を呼んだ。

 

五藤「通信、ターナー少将とテナント艦長に伝えろ。あと各艦に指揮は私が取ることを伝えろ」

 

「了解‼︎」

 

「対空戦闘ぉー‼︎」

 

警報がけたたましく鳴るのに合わせて、乗組員達は機敏に動きそれぞれの持ち場へと急ぐ。

 

 

三川「猪口艦長、君達はいいのかね?」

 

猪口「ご安心を、既に命令は出しております」

 

三川「早いな。流石だ」

 

猪口「しかし…来ますでしょうか?」

 

三川「来る……必ず来るぞ…」

 

おわり艦内でも再度警報が鳴り響き、乗員達は突然発令された訓練ではない対空戦闘配置の号令に驚きつつも、訓練通り各々の配置に就く。

 

『そのまま待機。突発事態に備えよ』

 

三川の予感は数分後に的中する。

 

 

 

 

 

 

西の方角からパーパルディア皇国監査軍東洋艦隊所属のワイバーン部隊20騎は、フェン王国に対する懲罰攻撃のためアマノキ上空へと来ていた。

彼らの任務はフェン王国への懲罰攻撃に加えて、今アマノキに集まっている文明圏外国の外交官へ向けての警告を示す威嚇任務も担っている。

 

上空には軍祭に招かれていたガハラ神王国の風竜が居るが、彼等を見るなりパーパルディアのワイバーン達は目を逸らす。

 

「ガハラの民には構うな!当初の予定通り二手に分かれろ!第1小隊は城と市街地、第2小隊はあの巨大船と周りのヤツに攻撃だ‼︎」

 

 

隊長と思われる竜騎士が指示を出し、ワイバーン部隊は二手に分かれて王城と市街地、そして艦隊目掛けて急降下を仕掛けてきた。

 

猪口「デモンストレーションじゃない‼︎コイツは攻撃だ‼︎」

 

「国籍不明騎、発砲!!」

  

その直後、王城に向かったワイバーン部隊から放たれた火炎弾は王城に着弾、木造の城は一瞬で炎上した。

 

 

『王城被弾!炎上中!』

 

三川「予感が当たったな……目標の動きは?」

 

「目標群α、離脱!目標群b、本艦直上より降下中!」 

 

おわりへと向かってきていたワイバーン部隊は、おわりのほぼ直上から急降下を仕掛ける。

 

「なんてデカさだ………」

 

「あのような船を蛮族どもが…?」

 

騎士達は距離が縮まる度に、おわりの巨体に恐れおおのく。

 

「あんなものはコケ脅しだ!怯むな!攻撃用意!」 

 

指揮官らしき騎士は部下達にそう言い聞かせ攻撃準備を指示する。

 

「不明騎本艦直上、急降下!攻撃態勢に入った模様!」

 

三川「来るか…!」

 

「艦長!」

 

猪口「回避は間に合わん!!外に出ている者は急いで艦内に待避!急げ‼︎」

  

猪口はこの巨体では回避は出来ない事と、火球程度では対した損害は受けないと判断し、甲板と見張所に居た隊員達に待避指示を発令、隊員達は急いで艦内に待避し、間に合わない者は側にある遮蔽物に身を隠す。

 

「喰らえ蛮族!」

 

その直後に、尾張に向かってきたワイバーン10騎から同時に放たれた巨大な火球が降り注いだ。

全弾が右甲板と艦橋上の見張所に命中し炎上、熱と煙を探知したスプリンクラーのセンサーが反応し、消火用の水が吹き付けられる。

 

三川「被害報告‼︎」

 

『艦橋見張所、右舷甲板に被弾!現在消火作業中!被害集計中‼︎』 

 

直ぐ様被害確認と消火作業が開始された。幸いにも負傷者は待避する最に転んだ者が数名、火災もスプリンクラーが作動した事と被害対策班による消火作業が迅速に行われたため被害は微小で済んだ。

 

『目標群b、上昇!』

 

猪口「自衛隊法第95条に基づき正当防衛射撃を行う!!砲雷長、武器の使用を許可する!」

 

『了解』

 

命令を受けた砲雷長は全火器のロックを解除する安全キーを回して全火器の安全装置を解除する。

  

猪口「CIWS、攻撃初め!」

 

沈黙していたファランクスが起動し、自動制御で逃げようとするワイバーン部隊を捕捉する。

 

「どういう事だ……あの数の火炎弾を喰らって平気だというか⁉︎」

 

水平飛行で待避行動を取っていたワイバーン10騎は、渾身の一撃が効いていない事と摂氏何百度もある炎が瞬く間に消え去っていく様子に唖然としていた。

 

「くそっ!反転上昇!もう一度だ!」

  

隊長騎の指示で竜騎士達は反転上昇し今度は真正面から仕掛ける。

 

『不明騎、本艦正面より接近!』

 

「正面は死角です!」

 

猪口「不味いぞ…!」

 

『おわり』を含めた大戦時に建造された戦艦は左右側面への攻撃を想定しているため真正面、しかも海面スレスレの低空飛行で接近してくる飛行目標へ対しての攻撃は不可能なのである。

 

「ぐぉっ‼︎」

 

先頭を飛行していた若い竜騎士は目の前に迫ってくる尾張の巨体に恐れおおのく。

 

「このぉっ!」

 

しかしそんな恐怖を圧し殺すように、声を揚げながら愛騎に攻撃を命令し、再び火球が放たれた。

全弾艦首に直撃したが、船体の前から後ろまで高張力鋼による装甲が施されているおわりの船体には全く効果はなかったが、命中した箇所の船体塗装と艦番号が真っ黒に変色してしまった。

 

「上昇しろ!今度は真上から仕掛ける!」

  

竜騎士達はその場で急上昇し真上から仕掛けようとする。

 

『不明騎再上昇!』

 

しかし彼らのその動きは命取りとなった。

おわりの真上に上昇した事によりCIWSの射角に入ってしまった事でレーダーが彼らを捕捉、2基のファランクスが完全自動制御により驚異とみなしたワイバーンを瞬く間に撃墜しようと銃口を向ける。

さらに鳥海・青葉等の巡洋艦群の高角砲・対空機銃もワイバーンを捉えていた。

 

「撃てぇ‼︎」

 

号令と同時に25mm機関砲・12.7cm高角砲が火を吹き、それに合わせてCIWSも独特の発射音と共に20mm弾を天空にばら撒く。

 

「何が……起きた………?」

 

幸い1人の竜騎士が攻撃を受けた愛騎からバランスを崩して落下し20ミリ弾の直撃を受ける事はなかったが落下中に、自身の隊が次々と撃墜されていくのを目の当たりにし、海上に落下した。

 

「何が…何が起きたんだ!」

 

「くそっ‼︎」

 

王城の攻撃に向かった別のワイバーン部隊も、目の前で友軍が全滅したのを目撃し、おわりを驚異と判断し左舷側に回り込み、接近を仕掛ける。

 

ターナー「MSDFだけだと思うな‼︎」

 

テナント「Fire‼︎」

 

左舷から接近して来た敵に対しては米第62任務部隊・レパルスの対空砲が火を吹きこちらもあっという間にワイバーン群を撃ち落とした。

 

シハン「……………………」

 

攻撃を受けて炎上した王城の天守閣から3階下の部屋に避難していたシハンと側近、そして市民達は開いた口が塞がらなかった。

単騎でも最強と言わているパーパルディア皇国軍のワイバーン10騎の攻撃を受けても何事も無いかのように赤子の手を捻るかのごとく殲滅した『おわり』『第八艦隊』『第62任務部隊』『レパルス』の実力に、シハンと各国の大使は恐れおおのいた。

 

勿論、その様子は上空を飛んでいたガハラ神王国の騎士『スサノウ』と相棒の風竜は、彼らの高い対空戦闘能力に驚嘆する。

 

[すごいものだな、あの船は]

 

風竜は『おわり』を見下ろしながら声をあげる。 

 

[あの船から放たれた大量の光弾は、直前にあの白い頭のような物から光が放たれ、その反射を捉えてから打ち上げていたみたいだ] 

 

風竜が言ってるのはファランクスのレーダーの事で、電波によって相手の航空機を捕捉し照準を定める仕組みを自分なりに解釈する。

 

[あの船は凄い。大きいだけかと思ってたが、恐らく相当高い技術力が使われているに違いない]

 

「お前がそう言うなんてな。まぁ見りゃ分かるが、あの船はどれくらい凄いと思う?」

 

[伝承にある、古の魔法帝国の魔導戦艦や対空魔導艦など、あの艦の前では玩具同然だろう。無論、誘導魔光弾を100発撃ち込んでも沈めるのは困難だろうな]

 

「スゲェ………こりゃ帰ったら報告書が大変だな」

 

 

 

 




提供してくださった13FAさん、ありがとうございます。
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