自由連合召喚   作:暁司令官

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第3話 開戦

 

 

フェン王国での出来事に、4カ国は何とかパーパルディア皇国についての情報収集を急いでいた。

既にパーパルディア皇国についての情報は断片的に入ってきており、政府は外務省を通じて自国民に向けてフェンを含めたフィルアデス大陸への渡航禁止処置を通達し、事実上観光客はフィルアデス大陸へは許可なしには渡航は出来なくなった。

 

 

勿論、今回の措置について反発も大きかったが各政府は自国民を守るための最大限の処置と説明し、アマノキで発生した襲撃事件の内容と日報の公開に踏み切った事で、フィルアデス大陸の情勢不安について理解を得られた事で事態は直ぐに収束した。

 

しかしこれだけでは国防という意味での処置はまだ不十分なため、政府は外交努力でパーパルディアへの対話を求める努力も行ってはいるものの、元々列強と言う事でプライドの高いパーパルディアとの交渉は難航している。

 

それどころか、パーパルディアの外交部からは自らの技術を輸出する変わりに日帝米英に対して自国への従属を迫ってきた。 

 

藤堂「冗談ではない!」

 

近衛「なんと横暴な……」

 

ルーズベルト「ふざけているのか‼︎中世クラスの国に従属だと⁉︎」

 

チャーチル「無知蒙昧とはこのことか……」

 

無論各首脳陣は、到底受け入れられない命令のような提案に拒否を示したが、あろう事かパーパルディアは4カ国に対して宣戦を布告、同時にフェン王国を攻め落とすと宣言し、一方的に外交窓口を閉じてしまったのである。

 

現在、フェンには各国外交官を筆頭とする外交団とその家族らがおり、パーパルディアが攻めいれば外交官達の命がないと判断。内閣は臨時閣議を開き、ロウリアの時と同様にフェンに攻めいってくるパーパルディア軍を武装勢力と認定、同時に外交団の待避に向けて自衛隊による作戦行動を提案。事情が事情なため国会では賛成多数で集団的自衛権の発動を容認しフェン王国に駐留するおわり以下の護衛艦隊と陸上、航空自衛隊に対して邦人保護と自国防衛のための防衛出動命令を発令、その日のうちに自衛隊の全部隊は臨戦態勢に突入した。

 

日本帝国でも緊急御前会議を実施、勅命により陸海軍全軍の出撃が発せられた。

 

アメリカでは大統領命令で直様臨戦態勢に入る。

 

英国議会でも直ぐに対パーパルディア皇国の法案が可決され、英国女王自らが命令を下し王立海軍の出撃が命令された。

 

 

 

中央暦1640年 1月28日 早朝 

 

フェン王国ニシノミヤコ沖、30㎞の海上をパーパルディア皇国軍フェン王国派遣軍所属の竜母艦隊がフェン王国侵攻のための陸戦部隊と皇国軍大艦隊の前衛として展開しており、常時警戒のための竜騎士を飛ばしていた。 

 

「竜騎士長!」

 

「はっ!」 

 

竜母艦隊副司令の『アルモス』は、横に居た竜騎士長に話しかける。

 

アルモス「我が偉大なる皇軍は強いッ!」

 

「存じております!」

 

アルモス「何故に強いと思う?」

 

「総合力です!」

 

アルモス「その通り!だが、我々が他国より圧倒的できる戦列艦もさることながら、その中核となる竜母艦隊が居るから強いのだ!戦列艦よりもアウトレンジで攻撃が出来、制空権を獲得できるからこそだと私は考えている」

 

「私もそう考えております!」

 

 

回りの竜母に比べて、耐弾性を優先し対魔弾鉄鋼式装甲と呼ばれる特殊装甲が施されている分、巨大なため圧倒的な存在感を見せつける。

 

 

 

だが彼らは知らなかった………直ぐそこまで、それを打ち破るための鋭い槍を携えた、猫と星が近付いてくる事に……

 

竜母艦隊の数百㎞手前の空を、雷のような轟音を響かせながら飛翔する灰色の双発エンジンを持ち胴体部に93式対艦ミサイル2発を抱き抱えた『F-14SJ』10機編隊、その護衛の『FV-2ヴァルキリー』が6機。

 

それに続くは3枚プロペラを回転させて誉21型を軽快に回して飛び胴体下部に九一式魚雷1本を抱えた『流星改』が20機と護衛の『烈風』が10機。

 

彼らは、哨戒中のP-3Cからの通報により皇国本土より出撃してきた竜母艦隊の針路から、フェン王国への武力攻撃だと判断し、皇国との武力事態に対する先鋒を担っている。

 

編隊より遥か上空で空中指揮を行う『ボーイングE767 AWACS』からの指令により攻撃隊は高度を下げ、ヴァルキリー・烈風は上空援護に残る。

 

 

『全機、高度下げ!アタックポジション!』

 

高度を下げた先行するF-14SJは海面高度スレスレの超低空飛行に移り、編隊を組む。

機首に装備されているレーダーが、敵竜母艦隊を捉え、指揮官機が指示を下す。

 

『アタックリーダーより各機へ!敵艦隊ロック!攻撃用意!』

 

レーダーとAWACSからの情報を基にミサイルの発射態勢を整え、パイロットはトリガーに指が掛ける。

 

『全機、Fox-1、ファイア‼︎』

 

胴体部のステーションからASM-2が切り離される。

10機のF-14から放たれた20発のASM-2は直ぐにターボジェットエンジンによる低空飛行に入り、竜母艦隊へと突き進んでいく。

 

 

同時に、パーパルディア皇国竜母艦隊の魔導レーダーが高速飛翔物体を捕捉した。 

 

「な…なんて早さだ⁉︎」 

 

レーダー手が警戒サイレンのボタンを押し、サイレン音が艦隊内に鳴り響いた。 

 

アルモス「何事かっ‼︎」

 

「副司令、前方より高速の飛翔物体が急速接近‼︎」

 

アルモス「高速飛翔物体だと⁉︎」

 

アルモスは前方に目を向ける。しばらくすると、海面を低空飛行してくる白く細長い棒のような飛翔物体が信じられない速度で迫ってくるのが見えた。

 

アルモス「速い!」

  

海面スレスレを飛んできた棒は、彼が乗り込む旗艦『ミール』の鼻先で突如上昇し真上から突入してきた。

 

アルモス「グァァァァァ!!」

 

直後、ミールの甲板で大爆発が起こりアルモスは衝撃波で船尾側のマストの根本に叩きつけられた。 

 

「高速飛翔物体!更に多数接近!」

 

その直後、同じ飛翔物体が一斉に迫り、各竜母と護衛の100門級戦列艦に命中し、木っ端微塵に吹き飛ばしていく。

 

アルモス「何が…何が起きたんだ⁈これではまるで我々は一方的ではないか‼︎そんな馬鹿な事があって堪るか…‼︎」

 

「さらに接近する騎影が多数‼︎」

 

アルモス「な…何だと⁉︎」

 

魔導レーダーが捉えたのは後続の『流星改』20機である。

 

「燃えてるな」

 

「はい、ですがまだ沈みそうにはありませんね」

 

「全くだ。どれ、我々が早めに三途の川を渡らせてやるか!」

 

機長はスロットルを上げて敵艦隊へと一直線に突っ込んでいく。

 

「ヨーソロ…よぉーい!……ってぇ‼︎」

 

投下レバーを下げ、胴体から切り離された魚雷は海面下に没すると航跡を出しつつも吸い込まれていくように敵竜母艦隊に突っ込んでいく。

 

 

アルモス「なんだ…?」

 

一連の流れを見ていたアルモスは不思議に思った。

突然見たこともない飛行物体が現れたかと思うと胴体の下から何か棒を落とすと翼を翻して飛び去る。

 

しかし、魚雷を知らない彼らは命中した航空魚雷の爆発に巻き込まれることになり自分達の身に何が起こったのか正確に…いや、死んだ事を理解する前に海の藻屑と化した。

 

上空13000メートル 航空自衛隊所属 E767『AWACS』

 

 

「敵空母艦隊、行動停止を確認。」

 

「攻撃隊はそのまま母艦へ帰投せよ。直掩隊は敵残存航空戦力を掃討した後帰投せよ」

  

無機質な航空管制官の命令が薄暗くモニターの光しかない機内に木霊し、通信担当員が攻撃隊と直掩隊に指示を送る。

レーダースクリーンには直掩隊が敵竜母艦隊の上空直掩騎をミサイル攻撃と機銃攻撃により殲滅する様子が写し出され、敵の反応が次々と消滅していく。

 

 

「アスター1より、チュウシングラへ。敵の空母並びに航空戦力を排除。後続の敵主力は当初の予想通り、そちらに向かっている。」

 

『こちら、貴隊の活躍に感謝する。』

 

AWACSからの通信は、後方の海域を航行するチュウシングラのコードネームがつけられたおわり以下の護衛艦隊へと届けられる。

 

 

護衛艦『おわり』 第1艦橋 

 

「艦長!空自が敵の航空戦力を排除したとの報告が入りました。」

 

猪口「そうか、これで心置きなく敵と一戦交える事ができる。敵艦隊の規模は?」

 

「えぇ、戦列艦と砲艦合わせて183隻、揚陸艦101隻、合計284隻との事です」

 

猪口「分かった。このおわりと帝国海軍の相手にとって不足はないな」

  

猪口はそう言い、戦う意思を改めて示す。

  

猪口「各艦に通達。敵が我々の射程距離に入り次第、ミサイルによる攻撃を実施せよ。ミサイル攻撃後、本艦は帝国海軍と共に敵艦隊との砲撃戦に移行し、敵艦隊をフェンから叩き出す!各員の努力に期待する‼︎」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

フェン王国 ニシノミヤコ沖 パーパルディア皇国フェン王国派遣軍艦隊旗艦『パール』

 

 

「竜母艦隊が壊滅!?何かの間違いじゃないのか?」

 

「いえ!偵察に向かった砲艦からの報告では、現場海域には竜母と護衛の戦列艦は存在せず、生存者も確認できなかったとの事です。」

 

「馬鹿な……」

 

派遣軍司令の『シウス』は、竜母艦隊の壊滅の報を聞き、迷っていた。

 

シウス(何が起きてるんだ?竜母艦隊が何の報告もなしに突然壊滅した…………何処の誰からの攻撃なんだ?)

 

 

この時、彼には敵の正体を正確に把握できずにいた。

その時、艦隊内に警戒警報が鳴り響いた。

 

「閣下!前方より高速の飛翔物体が接近!」

 

シウス「何っ⁉︎」

 

見張からの報告に、シウスは一気に飛び上がるように座っていた椅子から立ちあがり、前方を見る。

 

シウス「何だあれは…?」

 

海面スレスレの超低空飛行をする飛翔物体が迫ってくるのが見えてくる。シウスの長年の勘が警鐘を激しく鳴らし、本能的に指示を下す。

 

シウス「全艦、回避!!早くしろ!!」

 

シウスの命令に水兵達は急いで艦を回頭させ、別の艦も合わせるように回避行動を取ろうと動き出す。

だが接近してきたソレは、それよりも早く数秒後には100門級と50門級戦列艦に直撃。

 

「戦列艦ロプーレ、ミシュラ、シレーン、クション、パーズ轟沈‼︎あぁ、エルフェンも轟沈!」

  

突然、自軍の戦列艦が瞬く間に6隻も轟沈、シウスは慌てふためく。

 

「何だ……何が起きたのだ⁉︎」

 

「分かりません!友軍艦が爆発したとしか!」

  

艦隊を襲ったのは海上自衛隊の護衛艦から放たれた対艦ミサイルによる飽和攻撃であり、おわりを除く5隻の護衛艦から放たれた20発のミサイルは瞬く間に戦列艦と砲艦20隻を葬り去り、パーパルディア艦隊を混乱に陥れた。

 

 

 

 

 

戦艦『大和』第1艦橋

 

「司令、おわりより入電。"我敵艦ヲ葬リタリ 共ニ仕上ゲニ 掛カロウ"とのことです」

 

「分かった。艦長」

 

『おわり』からの入電を受けた第一戦隊司令官『志摩清英』は艦長の松田千秋を呼んだ。

 

松田「はい」

 

志摩「手筈通り『おわり』と本艦、そして武蔵の3隻で敵を叩くわけだがいけるかね?」

 

松田「ご心配には及びません。未来の技術で本来以上に強化された本艦なら十分です」

 

松田がそう豪語するのには訳があった。

 

正史なら大和型には少々弱点が見受けられた。その代表的な例は速力であった。

大和型の最大速力は27ノットとお世辞にも早いとは言えなかった、しかしここでは日本の技術も合わさり最大速力33ノットが可能となった。また防御面に関しても溶接技術の発達で軽量化しつつもかなりの強度を得ることに成功したのだ。

 

志摩「結構、では参ろうか」

 

松田「はッ!」

 

『おわり』「大和」「武蔵」の3隻と護衛艦隊は速力30ノットという軽快なスピードで海上を駆け抜け、前方のパーパルディア艦隊を目指す。

 

 

 

それから数十分後…………

 

 

突然の攻撃からようやく態勢を立て直したパーパルディア艦隊の前に、護衛艦隊が姿を表した。

 

シウス「来たかっ!」

 

シウスが目にしたのは、こちらに向かってやって来る8隻の護衛艦だった。そのうちの先頭を航行する3隻は他の5隻がケシ粒のように見える程の巨艦だった。 

 

シウス「何だあの巨艦は……見張り、相手との距離は⁉︎」

 

「本艦隊との距離は………推定30㎞です!」

 

「30㎞だと⁉︎もっと距離が縮まっているようにしか見えんぞ‼︎」

 

「しかし、いくら確認しても彼我の距離は30㎞は離れています!」 

  

シウスもポクトアールと同様に、巨艦であるおわりの巨体で目の錯覚を起こし距離感覚が狂ってしまっていた。其れ程までにおわりが巨大なのである。

 

シウス「あの敵艦は私の目を狂わせる程の巨艦だとでも言うのか……」

 

シウスの目には、迫ってくる敵艦に装備されている砲塔のような物が目に入る。

するとその敵艦3隻は艦首を左に向けて、右舷を自分たちに見せる態勢を取り、搭載されている巨砲を向けてきた。

 

シウス(あれはムーのラ・カサミ級に装備されている、旋回式の主砲塔と似ているが…………明らかにラ・カサミのものより大きい………いや、大きすぎる‼︎)

 

 

自身に向けられている9門の51cm砲と18門の46cm砲を前に、嫌な予感と悪寒が彼の背筋を走った。  

 

「いかん!!」

 

既に自分達は敵艦の射程距離に入っている事に気がついたシウスは、指示を下そうとするが、どのような指示を下すべきか迷う。 

 

 

『おわり』

 

『CICから艦橋。大和・武蔵、本艦の射撃レーダーと連動!』

 

猪口「先輩方との一斉射撃、とくと受けるがいい!撃ち方始めぇ‼︎」

 

松田「てぇーー‼︎」

 

この瞬間、世界最大級の火力がパーパルディア艦隊へと襲い掛かった。

 

 

 

「敵艦発砲!!」

 

指示を下すより先に『おわり』『大和』『武蔵』が砲撃を開始した。

 

シウス「回避だ!回避しろ!」

 

「司令、ご安心を。敵艦は我々より30㎞も離れています。当たる心配はありませんよ」

 

シウス「馬鹿か貴様はっ⁉︎あの敵艦の砲が見えないのか!これは命令だ!直ちに回避だ!」 

 

シウスの覇気に押された艦長は、急いで回避を指示する。

その瞬間だった。

 

シウス「うぉぉぉ!!!」

  

足元から突き上げられるような衝撃で艦が左右に大きく振られ、シウスは壁に叩きつけられる。 

 

シウス「うっ…………何が……」 

 

体から感じる痛みを堪えながら、立ち上がると信じられない光景が広がっていた。 

 

シウス「………………」 

 

なんと、自身が乗り込む艦のマストよりも遥かに高い水柱が上がり、それが収まると、ほんの1分前まで健在だった主力艦が沈没寸前のような状態に陥っていた。 

 

シウス「そんな……馬鹿なッ…‼︎」

 

狼狽してる中、3隻からの砲撃が続き、爆発が起きる度に友軍艦は吹き飛び、宙を舞い、破壊され沈んでいく。

  

シウス「夢だ……これは夢だ!夢に決まってる!我が皇国軍がたった3隻の敵艦相手に蹂躙されるなど、有り得ん!何かの間違いだ!!」

 

非常識な現実を突きつけられたシウスは叫び、怒り、認めようとはしない。だがそれでも目の前の現実は彼の心に暗い影を落としていく。

 

シウス「こうなれば………ヤツと刺し違えてでも、任務を遂行しなければ!」

 

シウスは、残存の艦に敵艦への捨て身の突撃を仕掛けるよう命令を下し、旗艦パールを先頭に生き残りの100門級、50門級、砲艦が『風神の涙』と呼ばれる動力を全開にして突撃を敢行する。 

 

シウス「進め!進め!進め!恐れるな‼︎」 

 

パーパルディア艦隊の威信と伝統を背負った艦隊は、ジグザグ航行を行いつつ、ひたすら突進を仕掛ける。

 

『敵艦、ジクザク航行で接近してきます』

 

猪口「分かった。志摩司令に伝えてくれ。本艦は正面から叩く、大和と武蔵は左右から頼むと」

 

『了解』

 

速力を上げて3手に分かれる。

 

『おわり』は正面から副砲・速射砲を含めた砲撃を加え、『大和』『武蔵』はそれぞれ左右から主砲・副砲・高射砲による砲撃を浴びせる。

 

シウス「おのれぇぇぇ‼︎おのれぇぇぇぇ‼︎」

 

シウスは好き勝手に蹂躙され、何もできない無力感と敗北感を同時に味わいながら、乗艦するパールと共に爆炎に包み込まれた。

 

 

この戦いは日本による圧勝、皇国軍はフェン王国派遣軍全滅、海軍は保有する戦力の1/3と陸軍兵力18万人を失うという史上希に見る結果となった。

この戦果が後の戦闘に大きく影響する事になる。

 

 

 

 

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