自由連合召喚   作:暁司令官

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第6話 デュロ空爆

 

中央暦1640年8月19日

 

パーパルディア皇国 工業都市デュロ沿岸部 約300km東の空域

 

快晴の青空を、航空自衛隊所属のE767早期警戒機『AWACS』が飛行し、胴体上に装備されているAN/APY-2レーダーが周囲800㎞の空域をカバーしている。

 

その約100km先にはアメリカ空軍の『B-29』、日本海軍『連山』、イギリス空軍の『アブロ ランカスター』が飛行し、その訳50km前方には航空自衛隊の『F-3 心神』が護衛していた。

 

 

 

先日のエストラシス空爆・砲撃戦後、流石に皇国も懲りるだろうと四カ国は踏んだが、内通者のカイオスによると未だ抵抗の意思が固いとのこと。

その理由に工業都市デュロが健在であることが理由とされ、首脳陣は呆れ返るも敵の戦意をへし折るのにもう一息だとして、最後の戦略爆撃の敢行を決意した。

 

 

先ほどから『AWACS』のレーダーモニターには敵味方識別装置IFFに反応はなく、国籍不明機(アンノウン)と表示されている。

 

既に敵の防空識別圏内に入っていると理解した管制官はF-3に迎撃を命令する。

 

『マザーからデルタへ、攻撃を開始せよ。繰り返す 攻撃を開始せよ』

 

『こちらデルタ1 コピー』

 

コールサインデルタ1の伊上藤介一尉は味方を引き連れて前線に出てアタックポイントに付く。

 

伊上「こちらデルタ1 目標を捕捉した」

 

コックピット内のアラームが目標を探知した証拠に鳴り続けている。

 

伊上「Fox-2 fire!」

 

胴体下部のウェポンベイから99式空対空誘導弾が発射され、彼方のワイバーンへ向けて飛翔していく。

 

 

 

 


 

 

 

 

同時刻

パーパルディア皇国 デュロ防衛隊陸軍基地所属 第11竜騎士団第2飛行隊

 

 

青く、透き通るような空。そこをワイバーンンロードを駆る第11竜騎士団第2飛行隊が飛行していた。連合軍の攻撃を警戒する為、デュロ東の海上を警戒飛行していた。

中隊は連合軍へ対抗心を燃やしていた。

 

「(ムーの兵器を手に入れたからって調子に乗りやがって…まあ良い。俺の操縦技術で撃墜してやる)」

 

その時、

 

「ん?なんだ?あれは?」

 

透き通った青空に黒い点が浮かんでいた。

 

「⁉︎」

 

常人なら反応できなかったが、竜騎士は目が良く、それが見えた。黒い点は異常な速度で彼に接近する。

本能的に危機感を感じ、手綱を動かして回避行動を取るが…

 

「ついてくる!」

 

「くそっ!振り切れないッ‼︎」

 

黒い点ーーいや、近くに来ると矢のように見える物体は方向を変えてくる。ついてくる矢。味方の障害となるであろう物を報告しなければ。その思いは届かず、矢は近くで爆発する。

 

第2飛行中隊は『F-3』から発射された99式空対空誘導弾により壊滅させられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

パーパルディア皇国東部 デュロ防衛隊 陸軍基地ーーー

 

皇都エストシラントの建造物と同じく、豪華に作られたデュロ防衛隊陸軍基地デュロ防衛本部にある一室には、防空部通信司令課がある。

此処には魔力探知レーダーや、竜騎士への魔信の送受信、防空作戦系統司令部もあり、竜騎士と一緒に円滑に防衛をすることができる。

 

魔力探知レーダーにはデュロ上空を防衛する第1飛行隊本部、東の海上を飛行する第2飛行隊が映っていた。

しかし次の瞬間、それらが一瞬にして消えていくのを見て管制官は自分の目を疑った。

だが何度見てもそこに映る物は無かった。

 

「た…大変だッ‼︎」

 

管制官は異常事態だと感じすぐに基地司令の元へと走っていった。

 

 

 

 

ストリーム「なにッ⁉︎第2飛行隊が消失だと⁉︎」

 

管制官からの報告を受けた基地司令のストリームは耳を疑った。

 

ストリーム「本当なのか…?機器の故障じゃないのか⁈」

 

「レーダー自体はつい一昨日点検したばかりです。その際に不具合のある箇所も修理したのでそれはあり得ません」

 

ストリーム「うぅむ…」

 

先日の防衛会議に参加した彼は連合軍の兵器が自国より優れているということを聞いていた。そして目の前の事態を受けていよいよ現実味が増して来たことを理解した。

 

ストリーム「敵の姿は捉えたのか?」

 

「いえ、レーダーには何も映っておりませんでした…」

 

ストリーム「……やはり機械文明ということか…」

 

「はい?」

 

ストリーム「いや、なんでもない。それより一刻も早く手を打たなくてはならない。例の対空魔光砲の使用を許可する。」

 

ストリームの命令で1年前に神聖ミリシアル帝国から研究用として密輸入した対空魔光砲がデュロの近くにある森林の中に姿を現した。

 

 

位置に着くと魔光砲はその砲口を迫り来る爆撃隊に向ける。

 

エネルギーを充填するのに時間がかかったが、到達までに間に合わせることができた。

 

「皇国は蹂躙させん!!」

 

彼は敵機に敵意を剥き出しにし、発射ボタンを強く押し込んだ。

光の弾が地上から超高速で、連続で上空に発射される。それはまるで地上から天へ光が昇るような光景で、美しかった。

 

 

 


 

 

 

「ん?」

 

隊長機の連山に乗る前田孝成大佐は真下の森のある場所が一瞬光ったかと思った。

だが次の瞬間、その場所から光弾が撃ち出されて味方の連山が被弾する。

 

前田「なっ⁉︎まさか…対空砲か⁉︎」

 

すぐに真下の森を見下ろす。するとそこには確かに旧式の対空砲らしき物が見えた。

前田は通信機をとって直ぐにF-3に通信を入れる。

 

前田「こちら前田機!こちら前田機!自衛隊さん、聞こえるか⁉︎」

 

『こちら、デルタ1 伊上です』

 

前田「伊上一佐、森の中に対空砲らしき物がある。それを叩いてくれるか⁉︎」

 

伊上『お任せあれ』

 

連絡を受けた伊上のF-3は翼を翻して森の方へと急降下していった。

 

伊上『敵対空砲沈黙状態、再装填中かと思われる。攻撃を開始する、FOX-3』

 

伊上はスティックのボタンを押して、20mm機関砲を発射する。

直後、パーパルディアの秘密兵器『対空魔光砲』は破壊され、その際に色取り取りの爆発を起こして吹き飛んだ。

 

 

対空砲の破壊を見届けた前田は被弾した連山の様子を伺う。

 

前田「二番機、大丈夫か?」

 

『大丈夫です。流石はアメさん譲りの機体です』

 

史実でに於ける連山は、アメリカ陸軍航空隊より鹵獲したB-17を解析・調査した結果生まれた機体である。

B-17が元となったという点は変わらないが、この世界では帝国とアメリカの関係が良好ということもあり日帝が数機購入したという点で変わる。

また日本国の技術も合わさり、防弾性能の向上と同時に高速化まで実現したのだ。

 

ともかく、被弾した機体は消火装置のおかげで事なきを得る。

そして爆撃隊はそのままデュロへ向けて侵攻していく。

 

 

デュロ周辺には市街地もある為、爆撃隊はそこを避けて工場地帯に差し掛かる。ここまで来れば大した迎撃も来ない為、爆撃隊は高度を下げて爆撃態勢に入る。

 

 

「ヨーソロ…ちょい右10!」

 

「ヨーソロ‼︎」

 

機体の位置を修正して照準器を目標に定める。

 

「よぉーい……ってぇ‼︎」

 

連山の爆弾投下に呼応するように、B-29、ランカスターも爆弾倉を開いて爆撃を開始する。

 

合計数千発にも及ぶ大小様々な爆弾は工場地帯へと吸い込まれ、次々と破壊していく。

 

また遅れて飛来した第二次爆撃隊はそのままデュロ陸軍基地へと襲来、爆撃を敢行し、これを壊滅させる。

 

 

 


 

 

その後、アルタラス王国の王座に就いた女王ルミエスが属領各国に皇国の連敗と弱体化を伝えこれを受けた各国が一斉に蜂起、それを待っていたかのようにパーパルディア皇国第三外務局局長にして内通者のカイオスがクーデターを起こす事に成功。

 

かくして、皇帝ルディアスが属領の独立と戦争終結の為に自由連合が提示した条件を呑む事を決意すると同時に、皇国の終焉を宣言。そしてパーパルディアは前身のパールネウス共和国へと戻るのだった。

 

その後、日本国首都:東京都にて裁判が行われ事の発端となった皇族エミールには終身刑が下され、ルディアスにはカイオスの懇願もあり、懲役5年執行猶予6年、そして政治への永久的な不参加が言い渡された。

 

 

 

こうして、パーパルディア戦役は幕を閉じたのであった。

 

 

 

 

 

 

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