自由連合召喚   作:短号司令官

24 / 89
第2話 嗚呼、八八艦隊

 

爆撃隊がオタハイトに到達する2時間程前、マイカル港に居た帝国艦隊とアメリカ艦隊、はるな、しらぬいにも敵襲の報がもたらされていた。

戦艦紀伊の艦橋で報告を受けていた艦長の中瀬泝は艦隊司令官古賀峯一中将と話をしていた。

 

中瀬「敵爆撃機隊は艦載機群も含めて迎撃に上げるとのことですが、こちらに向かってきている敵艦隊はいかがしますか?」

 

古賀「数の上では我々が圧倒的に有利だが、相手には空母が一隻いる。自衛隊さんの船が優れているとはいえ二隻では厳しかろう……」

 

すると通信室から電文を受け取った通信参謀が上がってきた。

 

「電文です。"小沢司令より宛古賀峯一中将へマイカルへ接近中の敵艦隊を米・英海軍、及び自衛隊共に迎撃せよ"との通達です」

 

古賀「やはりそうなるか……」

 

「尚、自衛隊からは増援として"原子力空母一隻"を随伴させるとのことです」

 

古賀「原子力…?」

 

古賀にも聞き覚えがあった。現代でこそ民間から軍事に至る幅広い分野で原子力は使われており、自由連合間でもでもアインシュタイン等の著名な科学者らと共により詳細な研究が日夜続けられている。

 

21世紀初頭に自衛隊も「しょうかく型航空護衛艦」の後継艦として原子力を用いた新型空母の建造に着手した。

当初は四隻を予定していたが、東西冷戦の終結・北日本の壊滅により二隻で中止された。

 

しかしそれを差し引いたとしても前世界における東アジアでのパワーバランスを揺るがしかねないものでもあった。

 

古賀「まぁなんにせよ上空直掩を頼めるのはありがたい。出港だ」

 

中瀬「はッ!」

 

 

数十分後。小沢司令官の命令に従い、八八艦隊主力艦、ダニエルズプラン主力艦群ははるな・しらぬいと共にマイカルより出撃し、味方空母との合流を目指す。

 

 

帝国海軍

 

赤城型巡洋戦艦 赤城・天城

土佐型巡洋戦艦 土佐・加賀

紀伊型戦艦 紀伊

 

高雄型巡洋艦 高雄・阿蘇

 

 

アメリカ海軍

 

サウスダゴタ級戦艦 サウスダゴタ・ノースダゴタ

レキシントン級巡洋戦艦 レキシントン・サラトガ

ノースカロライナ級戦艦 ノースカロライナ

 

 

海上自衛隊

ひえい

しらぬい

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

マイカル港を出て小一時間程経った頃、海自の原子力空母との合流に成功した。

 

中瀬「司令、見張りより報告です。左舷11時方向より自衛隊のものと思われる大型空母が接近中との報告です」

 

古賀「もう来たのか?意外と早いものだな」

 

そう言って古賀は立ち上がって艦橋の窓に寄って双眼鏡を覗く。

 

覗いた先には美濃型やキティホーク級を上回る大型の空母が悠然とこちらに向かっていた。

 

 

 

 

ひりゅう型原子力航空護衛艦 通称:日本版ジェラルド・R・フォード

 

諸元

全長:342m

全幅:90m

最大速力:39ノット(海面状態が良ければ40ノット)

 

兵装

CIWS×2基

SeaRAM×2基

シースパロー短SAM8連装発射機×2機

 

搭載機

最大:90機 常用:80機

 

F-35c

FV-2ヴァルキリー

F-22N

 

同型艦

ひりゅう

きりゅう

そうりゅう(建造中止)

おうりゅう(建造中止)

 

 

 

 

 

 

中瀬「大きい……」

 

古賀「あぁ…実に心強い」

 

ひりゅうの姿を見て、古賀らは沸々と自信が湧いてくるのを感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方44任務部隊では、空母の甲板上で攻撃隊の発進準備が行われており、元イシュタム航空参謀『ネイト』は、空母シェアトから無線を使ってゼムに報告する。

 

 

ネイト「司令、間も無く攻撃隊は発艦準備完了します」

 

ゼム『了解した』

 

ネイト「全て順調ですな」

 

ゼム『あぁ。だが順調過ぎて怖いくらいだよ』

 

 

ネイトは楽観的であるがゼムは、作戦が上手く行きすぎている事に僅かであるが不安を感じている。

 

 

ゼム『ところで陸軍の爆撃隊はどうなってる?』

 

ネイト「最新の報告では、間も無くオタハイトに到達するとの事です」

 

ゼム「よし……陸軍に先を越される前に我々がマイカルに一撃を加えてやる!攻撃隊の発艦作業を急げ!」

 

第44任務部隊の将兵達の心には格下のムー相手になら余裕で勝てるとの慢心があった。その感情が後に彼等の命取りになる事になる事も知らずに………

 

ネイト「司令、攻撃隊発艦準備完了しました!」

 

ゼム『攻撃隊、出撃せよ!』

 

シェアトの甲板から飛び立った攻撃隊は上空で一塊になると、こちらに向かって来ているであろう敵艦隊の元へと向かうが………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

ひりゅう CIC

 

「艦長、こちらに向かって来る敵編隊を捕捉」

 

報告を受けた艦長の原那孝信一佐は詳細を聞く。

 

原那「数は?」

 

「凡そ40機前後、いずれもレシプロ機です」

 

原那「そうと決まれば話は早い、航空隊の発進だ」

 

「了解」

 

命令を受け、待機していたパイロット達は一路甲板に駐機している機へと乗り込みエンジンを始動させる。

 

迎撃に選ばれたのは凡そ一年前の鬼退治の際に発見された「F-22N」改め「F-22NJ」が発進態勢に入る。

 

『レガシー1発艦を許可する』

 

「レガシー1コピー」

 

指示を受けたコールサイン:レガシー1武藤佐輔一佐は電磁カタパルトから勢いよく射出されていき、味方もそれに続いて発艦していく。

 

 

 

 

 

 

上空で合流した機は真っ直ぐ敵編隊の方へと向かっていく。

 

武藤「やれやれ…相手は80年近く前の骨董品なのにこっちは第五世代ステルス戦闘機って……奴さん達が可哀想だよ……」

 

哀れんだ気持ちで赴く中、レーダーが敵を捉えたのかアラームが鳴る。

 

武藤「早速おいでなすったか…全機アタックポジションッ‼︎」

 

武藤の指示を受けた各機はそれぞれポジションに着くと改めてレーダーを照射し目標をロックする。

 

武藤「レガシー1攻撃を開始するッ‼︎Fox-2!」

 

機体胴体内部の弾倉から04式空対空誘導弾が発射、白い煙を吹き出しながら迷う事なく飛翔していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゼム「何?全滅だと⁉︎」

 

第44任務部隊旗艦:べ・テルギスにて報告を受けたゼムは信じられないと言いたげな表情で報告しに来た士官を見ていた。

 

「間違いありません。今し方シェアトより味方攻撃隊との通信が途絶したとの報告が……」

 

ゼム「……何にやられたか分かるか?」

 

「通信の内容は最後に"ロケットが追いかけて来る"とパイロットが言っていたのを聞いたそうです」

 

ゼム「ロケット……」

 

ゼムは半年前の報告の中に『追尾式ロケット弾』の記述があるのをチラ見した事を思い出した。半分は嘘だろうと思っていたが、今こうして目の前なら起きている事からあれは事実だったと言うことを薄々感じ始めた。

 

ゼム「……」

 

「司令、如何なさいますか?」

 

ゼム「……作戦は続行だ。だが何があるかは分からん、空母h」

 

「前方12時方向より、低空で接近する目標ありっ!」

 

ゼム「何っ⁉︎対空戦闘っ!」

 

突然上がってきた報告に、ゼムは急いで対空戦闘を指示し、全艦から対空砲による砲撃が上がる。

 

「駄目だ!早すぎる!」 

 

亜音速で接近してきたのはハープーンだった。捉えるのは非常に困難であり、4発のうち2発は手前でホップアップ、残り2発は超低空飛行を維持したまま、シェアトと後方の小型空母へ突撃、命中と同時に爆発を生じさせ甲板と船体に大穴を開け直後に大爆発を起こし、シェアトはダメージコントロールが間に合わなかったのか右から転覆していった。

 

 

「シェアト轟沈‼︎ネイト中佐も消息不明‼︎」

 

「シェダルより報告。艦載機格納庫より火災が発生し消火不能、主機関も損傷し航行不能。浸水も発生し傾斜増大中、総員退艦を命じたとの事です!」

 

ゼム「クソっ!一度に2隻の空母が…」

 

 

べ・テルギスの艦橋からゼムは先程、2隻の空母に突入してきた正体不明の飛行物体が何だったのかを考える。

 

 

(あの飛翔体は寸分の狂いなく我が方の空母に致命傷を与えた……やはり半年前のカルトアルパス戦で日本艦隊が使用したと言う誘導爆弾の攻撃だとしたら⁉︎)

 

 

事前の情報で、マイカルには自由艦隊の艦船が多数とラ・カサミ級戦艦が1隻しか居ないと報告を受けていた。数に任せれば押しきれると考えていたが、まさか相手が誘導弾を持っていると想定していなかったゼムは自分達が敵の術中に態々入っていた事を確信した。

 

 

ゼム(撤退するか?…いや、撤退すれば恐らく軍法会議ものだ……只でさえ我々は問題児の集まり、上からも疎まれている。ここは全滅覚悟でマイカルに向かうか……)

 

ゼムは艦内放送マイクを手に取る。

 

ゼム「達する!司令のゼムである!我々は今の一撃で上空直掩を失った。しかし!かと言ってここで撤退する程無様ではないッ‼︎作戦は続行する。すまんが…諸君達の命を私に預けてくれ……」

 

彼はミサイルの脅威を前にしてそのまま艦隊を目的地に向けて前進させた。

 

 

 

 

 


 

 

 

「ハープーン、全弾命中っ!」

 

「「「「「うぉぉぉぉぉ!!」」」」」

 

歓喜の雄叫びを上げるのはこの海域に密かに進出していた『ラ・カサミ改』の乗組員達であった。

そんな中でも艦長のミニラルは冷静な態度を貫いていた。

 

ミニラル「目標の動きは?」

 

「目標は速力低下、間も無く停止します」

 

ミニラル「停止と言う事は機関をやられたか?もう片方の敵艦は?」

 

「第1目標と同じです。敵艦隊はハープーン着弾直後より動きが活発になりつつあります」

 

ミニラル「蜂の巣を突付いたような騒ぎとはこの事だな……恐らく向こうは大慌てだろう。よし、古賀中将に知らせろ!」

 

ミニラルはハープーンによる撃破の報告を古賀峯一の乗る紀伊へと伝達する。

 

 

 

 

紀伊

 

中瀬「司令、敵空母の反応消失とラ・カサミより報告。敵空母全艦轟沈と判定します」

 

古賀「うむ、重大脅威は始末した。後は残りの戦艦と巡洋艦、駆逐艦が問題だな。速力と機動力は同等だが、単純な数なら向こうが勝ってる。駆逐艦なら砲力を使えば何とかなるが、巡洋艦6隻となるとな…」

 

中瀬「司令、我々も対艦誘導弾を使って敵重巡を先に片付けますか?」

 

古賀「そうだな。対水上戦闘、誘導弾攻撃用意!」

 

中瀬「了解っ!目標!敵巡洋艦4、誘導弾攻撃始めっ!」

 

「撃て!」

 

甲板上に新しく設置されたハープーンが発射筒より撃ち出された。

発射から数分後には敵巡洋艦6隻のうち4隻にハープーンが命中し、こちらも間も無く無力化されたようだ。

 

「敵巡洋艦4、行動停止っ!」

 

中瀬「残りの艦は?」

 

「増速しています!真っ直ぐ我が方に向かって接近中っ!」

 

古賀「次の攻撃段階に入るっ!砲雷撃戦用意っ!最大戦速っ!」

 

敵艦隊の増速に合わせて日米戦艦群も速度を上げる。

 

 

「目標捕捉ッ!」

 

間も無く、見張り員が敵艦隊接近を報告する。

 

古賀「全艦、撃ち方用意ッ‼︎」

 

中瀬「撃ち方よぉーい!」

 

五基搭載された主砲はその砲口を迫り来る敵艦隊へと向ける。

 

「全艦、撃ち方用意よしッ‼︎」

 

古賀「砲撃開始ッ‼︎」

 

中瀬「撃てぇ‼︎」

 

刹那、日米戦艦群から絶大な火力がゼムら第44任務部隊へと降り注ぐ。

周りに多数の水柱が立ち、巡洋艦多数が沈められたのが確認された。

 

しかし相手側も黙っておらず反撃にと攻撃を開始する。

 

紀伊を含む何隻かの周りに水柱が立つが問題は無かった。

 

中瀬「臆するなぁ‼︎撃ちまくれ‼︎」

 

熾烈な砲撃戦はそれから30分程続き、敵旗艦べ・テルギスは紀伊から放たれた46cm砲弾の直撃を受け轟沈した。

 

 

 

 

 

 

こうして、一連の戦いはグティ・マウン爆撃隊と第44任務部隊全滅と言うグラ・バルカス側の戦術的、戦略的敗北と言う形で幕を閉じた。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。