自由連合召喚   作:短号司令官

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ロデニウス大陸編
第1話 触接と驚愕


 

 

西暦2025年

旧太平洋上

海上自衛隊派遣群

 

護衛艦かが

 

航空偵察で確認された「もう一つの日本」に対して派遣された、派遣群は道中で護衛艦おわりを加えて平穏な海の上をひた走っていた。

 

「もう間も無くだな」

 

腕時計を見ながらそう言ったのは派遣群司令の古橋雄三海将捕だった。

 

「しかし…どうなるんですかね。仮にあちらが本当に過去の日本だとして、領海侵犯だからとかで攻撃を受けたりは…」

 

古橋「無きにしも非ずだな、だが安心したまえ。前田一佐」

 

古橋は心配そうな顔で言う前田啓司一佐に声をかける。

 

古橋「このかがには最新鋭のF-35やハリアーⅡが搭載されておるし、何より我々には『おわり』が着いてる。アレを見たら連中腰を抜かすぞ」

 

得意げに古橋が言うのも無理はない。我々が生きる世界でのいずも型はヘリコプター搭載護衛艦として建造されたが、この世界線では最初から軽空母として建造されており、最新ステルス戦闘機F-35に加え、アメリカ海兵隊向けには最終製造が終了したハリアーⅡを多数搭載している。

 

古橋は艦橋の窓から周囲にいる護衛艦達を眺める。

 

むらさめ型護衛艦ゆうだち・いなづま

はるな型護衛艦はるな・ひえい

いずも型護衛艦の自艦 かが

いせ型護衛艦いせ・ひゅうが

そして超弩級護衛艦おわり

 

古橋にも不安がないと言えば嘘になるが、これだけの編成を見れば自信を持つのも無理はない。

 

 

 

 

同じ頃

 

旧日本海

 

日本海軍第二航空戦隊

旗艦:飛龍

 

艦橋内は静寂に包まれており、時より操舵手が舵取りで声を出すくらいにしか無かった。

そんな中司令席ならどっしりと座って眼前の海原を睨んでいるのは『人殺しの多聞丸』で有名な山口多聞少将だった。

 

山口「参謀、うちの潜水艦か捉えたという所属不明の艦隊はまだ見つからんのか?」

 

山口はそう参謀の伊藤清六中佐に問いかける。

 

伊藤「はッ。不明艦隊は我が本土を目指して航行中というのは確実なようですが、詳しい編成や数も分からず……」

 

山口「そうか…まぁ気長に待とう。二式艦偵やハルゼーもいることだ」

 

お気付きになっただろうか?山口は今「ハルゼー」と言った。

その答えはそのすぐ横にあった。

二航戦と並走するようにして航行していたのはアメリカ海軍第16任務部隊であった。

 

第二航空戦隊

空母:飛龍・蒼龍

駆逐艦:菊月・夕月・卯月

 

第16任務部隊

空母:エンタープライズ

重巡:ソルトレイクシティ・ノーザンプトン

駆逐艦:フェルプス・ウォーデン・モナガン・エルウィム・バルク・コニンハム

 

第16任務部隊が日本に赴いていたのは訓練の為であったが、演習相手の第二航空戦隊が予定を変更して不明艦隊の捜索に向かうと聞いたブルことウィリアム・ハルゼーは「ならば俺もヤマグチと行くぞ!」言って半ば強引にアメリカ海軍上層部に許可を得てやって来たのだ。

 

「司令、エンタープライズより隊内電話です」

 

日米の関係良好化に伴い、艦隊間の通信も問題無くできるようにしようとアメリカ側が提案したことに始まり現在では日米両艦隊とも互いに通信が取れるようになっている。

 

山口は設置された通信機を取る。

 

山口「私です」

 

ハルゼー『Oh!ヤマグチ!お前のところは何か見つけたか?』

 

山口「生憎まだです。丁度出した機は一通り戻って来たので給油・交代をさせてまた上げるつもりです。そういう貴官は何か見つけたのですか?」

 

ハルゼー『いいや、まだこれといったものは何も。だがうちの偵察機があと一機残ってる、そいつが良い報告をしてくれるさ!』

 

山口「それは頼もしいですな」

 

ハルゼー『それでだ、ヤマグチ。俺が見つけたらまた美味い酒を奢ってくれ』

 

山口「またですか?」

 

山口は呆れた様に言うがこれは二人の間では恒例行事となっていた。

ハルゼーは当初日本海軍には『それ程強い航空指揮官はいないだろう』と高を括っていたが、山口少将との演習で彼の実力に驚愕したハルゼーは彼をライバル視すると同時に良き友人になった。

それ以降演習の度に負けた方は勝った方に酒を奢るというのが恒例行事となっていた。

 

今回は演習が中止となった為、先に見つけた方に奢ることになった様だ。

 

山口「うーむ…分かりました」

 

ハルゼー『ガッハハハwそうこなくっちゃな!じゃあまたな!』

 

そう機嫌良さそうに啖呵を切った。この後驚くべき事態になるとは日米両艦隊の誰もこの時は思って居なかった……

 

 


 

 

派遣群付近の上空を飛行する一つの機影があった。

それはハルゼーの乗るエンタープライズより発艦したSBDドーントレスであった。

 

「Hey ニック。何か見えたか?」

 

パイロットのジョージは後部座席のニックに話しかける。

 

ニック「いや、見えるのは雲と空と海。それだけがさっきからずっと見えるぜ」

 

ジョージ「どうする?もうそろそろ折り返しだぜ?」

 

ニック「このまま何もなかったブルに怒られちまうなw」

 

ジョージ「HAHAHAwそうだな…おっ?見ろ、居たぞ!」

 

ジョージが前方に航行する派遣群を発見したのとほぼ同じ頃、派遣群の『おわり』も二人が乗るSBDをレーダーが捕捉していた。

 

護衛艦おわり

 

『対空戦闘よぉーい!』

 

アラームが連続して鳴り響く艦内を自衛隊員達が忙しなく動き回り、持ち場に着くとハッチが閉まる。

 

CIC

 

「艦長、対空戦闘用意よろし」

 

「結構」

 

副長から指示を受けたのは『おわり』の艦長を務める猪口俊介一佐であった。

 

猪口「機数は?」

 

「一機。恐らく偵察かと思われます」

 

「どうします、かがにF-35かハリアーを上げてもらいますか?」

 

猪口「相手は偵察だ。その必要は無い」

 

猪口は冷静にそう判断した。他艦のレーダーでも十分捕捉することは可能である為迎撃するか否かは各艦で判断できるだろうと考えたからだ。

 

 

SBD

 

ジョージ「もう少し接近する。ニック詳細をちゃんと報告しろよ?」

 

ニック「任せとけって」

 

彼は操縦桿を倒して派遣群へと接近し上空で旋回を始めた。

 

ジョージ「こちらジョージ一等兵、目標の不明艦隊を発見した。編成を報告する」

 

『分かった』

 

ニック「編成は戦艦1、駆逐艦4、小型空母3…?ちょっと待ってくれ…」

 

何かがおかしいと思ったニックは目を擦ってもう一度よく確かめて見ると自身の報告が誤りであったことに気がつく。

 

ニック「HOLY SHIT‼︎なんてこった⁉︎報告を訂正する‼︎不明艦隊の編成は巡洋艦クラスが4!空母が3!そして戦艦は……目測だが、全長を300mは裕に超えてるモンスター(超弩級戦艦)だ‼︎」

 

『なに?300m越えだと⁈それは本当なんだろうな⁉︎』

 

ジョージ「この期に及んで嘘なんて付くと思うか⁉︎早くハルゼー提督にこの事を‼︎」

 

『わ…分かった……!』

 

通信を終えたジョージは逃げるように機体を反転させてその場から飛び去った。

 

 

おわり CIC

 

「偵察機、遁走していく模様」

 

それを聞いたCIC内は安心して息を吐いたり、背伸びをする者が多数出た。猪口も帽子を被り直した。

 

「偵察とはいえ、ヒヤヒヤしましたね。艦橋からの報告によると現れたのはSBDドーントレスのようです」

 

猪口「SBD?何故アメリカ海軍のレシプロ機が?」

 

それを聞いた猪口は疑問に思った。来ると思っていたのは日本海軍の偵察機だろうと思っていた矢先現れたのはアメリカ海軍の機体だ。

 

「さぁ…それは自分にも分かりません」

 

猪口は益々分からなくなった。

 

 


 

 

 

飛龍

 

山口「それにしても……300m超の戦艦とはな…」

 

伊藤「自分も信じられません…」

 

ハルゼーの隊内電話で詳細を聞いた山口・伊藤らも驚愕していた。

自分達帝国海軍が秘密裏に建造を進めている大和型戦艦でさえ260m級なのに対し、不明艦隊にはそれを超える300mの戦艦が居る。

さらに不明艦隊のマストには旭日旗が掲げられていたと聞いて山口らも益々分からなくなった。

 

ともかく事実を確認する為にも急いで向かわねばならない。

万が一戦闘になっても良いように飛龍・蒼龍・エンタープライズの甲板上には零戦・F4F・九九式・SBDが待機していた。

また舞鶴港から摩耶・最上・三隈も急行中とのことだ。

 

しばらく航行していると見張り員の報告が上がってきた。

 

「我が艦隊の前方に、不明艦隊を捕捉!」

 

山口「どれ…」

 

艦橋の窓に近寄って双眼鏡で覗いて見ると、確かに周りの艦艇がシミかと思ってしまう程に中央にいる戦艦が巨大であるのが分かる。

 

山口「参謀、見てみたまえ」

 

山口に促されて伊藤も双眼鏡を覗く。一度離して鼻腔をつまんでもう一度覗く、そしてまた離すと今度は双眼鏡のレンズを裾で拭く。

 

山口「大丈夫だ伊藤君。君の目は正常だし、双眼鏡も壊れておらんよ」

 

伊藤「は……はい。それにしてもこの距離からでも分かる程巨大な艦とは…遠近感が狂ってしまいそうです」

 

山口「そうだな…あの不明……いや、謎の日本艦隊の正体が益々気になるな」

 

一方のエンタープライズ艦内では『おわり』の巨艦に圧倒されて慌てふためいたり、気絶する者が続出していた。

ハルゼーも遠近感をやられそうになったのか後ろにふらついた。

 

「提督!大丈夫ですか⁈」

 

ハルゼー「おっおう、大丈夫だ。それにしても彼らの報告は本当だったようだな……」

 

互いが双眼鏡無しで視認できる距離にまで近づいたとき、飛龍から発光信号で何者かを問うと『おわり』から「我々は未来の日本海軍。海上自衛隊である」と返答され、日米両艦隊は驚愕した。

 

この後、派遣群と日米艦隊は日本帝国本土へと無事到着する。

外交特使も無事帝都に到着し日米英三カ国と無事国交を締結することに成功する。

 

そして護衛艦『おわり』を見た日本海軍・アメリカ海軍には激震が走っていた。

 

 

 

 

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