自由連合召喚   作:暁司令官

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第7話 戦果と新たなる同胞

 

中央暦1643年2月1日

 

グラ・バルカス帝国のムー大陸と第2文明圏からの排除を目的とした反攻作戦前の下準備として、連合軍からムー大陸へ向けての追加の戦力が派遣された。その戦力の一端を担う航空自衛隊とアメリカ空軍は既に行動を起こしていた。

 

 

連合軍バルクルス基地

 

ブリーフィングルームではアメリカ空軍のパイロット達が作戦の要旨について説明を受けていた。

参謀総長のカール・スパーツがホワイトボードに貼り出された近海の地図を指しながら説明をする。

 

カール「我々の本作戦の目的は敵輸送船団の壊滅だ。敵はこのバルクルスの陥落を相当重く見たのか、連日のように大量の輸送船団をこのムーへと送り込んでいる」

 

バルクルスはグラ・バルカス帝国にとってかなりの重要拠点であるのに変わりはなかった。

しかしそれがたった一晩で陥落するとは思ってもみなかったようで残された重要拠点であるレイフォルへ向けて連日のようにピストン輸送で人員・物資・武器・弾薬を輸送していた。

 

カール「既に第一次・第二次は到着を許してしまった。だがまだ挽回は効く!今回の第三次には輸送船を大小含めて2〜30隻はいるそうだ」

 

それを聞いたパイロット達からどよめきの声が上がるが、カールは続ける。

 

カール「だが敵もその規模に見合った護衛をつけている。確認できただけでも戦艦2隻、重巡・軽巡2隻ずつ、空母を4隻、それも未確認の新型艦と思われる」

 

それを聞きパイロット達は目を見開くと同時に静まり返る。

 

カール「いいか、よく聞け。これが我々合衆国空軍の初めてのミッションだ!目的はあくまでの輸送船団の壊滅、敵機動部隊は二の次だ。だが……撃沈は許可する」

 

「Foooooo!」

 

「yahhhhhh!」

 

撃沈命令を聞きパイロット達は歓声を上げて手元あった資料をその場に放り投げる。

 

カール「作戦開始は今から5時間後。しくじるなよッ‼︎」

 

「「イエッサー‼︎」」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

5時間後、バルクルス基地の滑走路より対艦用にヘルファイヤミサイル、ハープーンを搭載したF-5E/GタイガーシャークⅡが次々に飛び立っていった。

 

「へへッ!グッズの野郎どもには悪りぃがこの戦いは俺たちの勝ちだ」

 

余裕綽々のパイロット達は眼下に広がる碧海を目に敵輸送船団に向かっている。

 

『こちらゴッドアイ。応答せよ』

 

無線から聞こえてきたのは航空自衛隊から派遣されたE-3の管制官の声である。敵輸送船団の目前までの誘導と指示を任されている。

 

「こちらリーダー01。よく聞こえる」

 

『間も無く敵船団と接触する。直ちに攻撃態勢に入られたし』

 

「OK。よしッ!野郎ども、ロックンロールを始めるぜぇ‼︎」

 

隊長機に続いてハープーンを搭載したF-5が先行し発射態勢に入る。

 

「ターゲットロック‼︎fire!」

 

「「fire‼︎」」

 

翼下に搭載された2基のハープーンが発射、合計14発にもなる対艦ミサイルは白い煙を吹き出しながらまだ見ぬ敵艦隊へと飛翔していった。

そして間も無くE-3から報告が入る。

 

『敵輸送船、多数が撃沈又は大破。残存する敵艦は護衛艦も含めて凡そ20』

 

「了解した!リーダー2!次はお前達の番だぜ」

 

『了解!戦果を期待してたください』

 

自信満々にヘルファイヤを搭載した後続部隊が先発隊を追い抜いていく。

 

後続部隊は敵艦隊が視認できる距離にまで近づくが、そこでようやく敵の被害の詳しい内容を知る。

 

「なるほど……撃沈確定は凡そ10隻、大破は大体4〜5隻…残りは無傷か、よしッ‼︎喰らい尽くしてやれッ‼︎」

 

「「オォォォ‼︎」」

 

部隊は散開し、それぞれ無傷の輸送船を中心に次々とヘルファイヤミサイルを叩き込んでいく。

 

一方の敵船団は対空機銃や対空砲で応戦しようにも射程内に敵が来ず、代わりに超高速のミサイルを放ってくる為応戦する暇もなく一隻、また一隻と虚しく沈められていく。

 

「隊長!敵の雑魚共ですぜ!」

 

ここに来てようやく敵の直掩戦闘機が出てきたが、相手はどれもレシプロ戦闘機ばかりだった。

 

「雑魚とはいえハエが集ってくるのは面倒だ。身軽になった機から相手してやれ‼︎」

 

こういう事態も想定し後発隊の翼端にはAIM-9サイドワインダーを2基搭載していた。

ヘルファイヤを撃ち切った機から旋回して敵戦闘機との戦闘に入る。

 

そもそも速度性能で圧倒的に勝るタイガーシャークⅡに勝てる筈もなく、後ろを取ったと思えば引き離され、想定外の場所からサイドワインダーを喰らって爆散する機と様々であったが形勢は圧倒的にアメリカ空軍が優勢であった。

 

「そろそろミサイルの残弾も無いか……どうやって敵機動部隊にちょっかいをかけたもんか……」

 

視界に見える空母は日本国が来た世界で空母として就役した赤城と同じ艦が2隻、そして同じような加賀に酷似した艦がこれまた2隻いる。

 

「機銃掃射で甲板や艦橋を狙うこともできなくはないが、危険が大きい…」

 

どうしようかと考えていた最中、水平線の彼方から白い線が伸びてきたかと思うとミサイルだった。

そして次の瞬間それが航行していた空母の右舷に命中し爆発した。

 

「なっ……なんだ⁉︎」

 

突然の攻撃に両軍の兵士達は驚きを隠せないでいたが、その答えはすぐに現れた。

 

突如上空から2機の戦闘機が現れた。しかしそれは連合軍のパイロット達に、特に自衛隊には見慣れたF/A-18 スーパーホーネットであった。

 

「こちら航空自衛隊。そちらの所属を答えよ‼︎」

 

『おっ?JASDF⁉︎まさかこんなところでお会いできるとは‼︎こちらはオーストラリア海軍航空隊所属、ラッキー03だ』

 

「お…オーストラリア海軍だと⁉︎」

 

『説明は後回しだ。兎も角今は目の前の古ぼけた空母と戦艦共を叩きのめせばいいんだよな?』

 

「了解、貴官らの協力に感謝する…!」

 

『よしッ02!母艦に連絡して増援とJASDFがいる事を連絡しろッ‼︎こいつはツいてるぜ!』

 

『了解!』

 

 

 

 

 


 

 

 

戦闘海域より南に55海里離れた海域には、2隻の空母と多数の現代的な駆逐艦が航行していた。

 

いずれの艦にもオーストラリア国家とオーストラリア海軍旗が掲げられている。

 

「急げ急げ!自衛隊とアメリカ空軍に残りを全部掻っ攫われるぞ‼︎準備できた機から随時発進‼︎」

 

空母エアーズロックとクレイドルから次々とスーパーホーネットが発進していく。

 

 

史実の世界と違い、この世界でのオーストラリア海軍は空母、それも原子力空母を2隻保有していた。

 

だがいずれもそれらは自国で建造されたものではなく、アメリカ海軍から退役したエンタープライズⅡとその同型艦ホーネットⅡであった。

その点の話を始めよう。

 

 

世界初の原子力空母として就役したエンタープライズであったが史実と違い、ソ連と北日本の存在を受けて同型艦の建造が半ば強引に決定され誕生したのが「エンタープライズⅡ」「ホーネットⅡ」であった。

 

湾岸戦争や統一戦争では米本土防衛の役目をうけてそれぞれ東海岸と西海岸に配備されていた。

統一戦争勃発と同時に起きた米空母壊滅事件に際し、アメリカ海軍空母部隊中核となるよう再編成されて以降、2010年代に米海軍空母の数が揃うまで現役でいた。

 

そして退役と同時に解体する為にコストかかかりすぎるとの事から一時モスボール保管される流れになるが、そこで待ったをかけたのがオーストラリア政府と海軍であった。

 

統一戦争・湾岸戦争での空母の戦いや重要性というのを痛感した当国は空母の導入を検討するようになるも適当な艦が見当たらず、やむなく自衛隊の「しょうかく型」をライセンス生産しようかと考えていた矢先に「エンタープライズⅡ」「ホーネットⅡ」の退役を聞き、ラストチャンスと捉えアメリカと交渉する。

 

アメリカとしては当初難色を示したが南太平洋地域に原子力空母を配備できるというメリットに押されて売却を決定。

 

こうしてオーストラリア海軍初の原子力空母「エアーズロック」「クレイドル」が誕生した訳である。

 

 

 

 

 


 

 

2隻から飛び立ったスーパーホーネットは残りを殲滅せんと必死にグラ・バルカスの輸送船団に襲い掛かる。

 

一方でタイガーシャークⅡでさえ厄介なのに対し、さらに手強いスーパーホーネットが来た事で生き残りの護衛艦隊と輸送船団は命令や統率を無視してそこら中逃げ回るがお見舞いされたハープーンを前に次々と撃沈されていき、こうして第三次輸送船団は自由連合軍とまさかのオーストラリア海軍によって壊滅させられたのだった。

 

 

 

そして後日、日本列島から南に1500km程行った場所にオーストラリア大陸が確認される。

会談の結果、日本と同じ21世紀から転移してきたことが判明した。

 

事情の一切を聞いたオーストラリア政府は日本帝国、アメリカ合衆国、大英帝国との国交を結ぶと同時に自由連合に加盟する。

 

先の戦闘に参加した豪第一・第二艦隊は訓練中転移に巻き込まれてムー大陸周辺へと転移、第一艦隊を現地に残し第二艦隊は帰還する流れとなった。

 

そして日本と成立寸前まで行っていた「もがみ型フリゲート」の輸出入の話は潰えたかに見えたが、ここに来て息を吹き返し正式オーストラリアへ向けてライセンス生産許可が降り、日本帝国やアメリカ、イギリス向けにもVLS非搭載型の輸出の方向で話が進められるのだった。

 

 

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