自由連合召喚   作:短号司令官

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第11話 ハルナガ京攻略 後編

 

 

急遽変更された救助作戦に従いハルナガ京内に展開している各部隊は行動を開始していた。

王城からはタスクフォース332、空挺団本部第3小隊が、ハルナガ京東門方向からは航空救難団を載せたMV-22Jオスプレイが3機とUH-60Jブラックホーク4機、東からは空挺普通科から編成された救助部隊が墜落地点へと向かっている。

 

 

一方で、正統府と飛行場がある北エリアからは撃墜したジェロニモ6の確認と捕虜確保のためシーンから命令を受けたシーン部隊とヒノマワリ駐屯の帝国陸軍による合同部隊50名が墜落地点へと向かってきている。

双方とも墜落地点から30分以内の位置に来ているため、お互いにとっては分単位で早く到着する事を目的としているため、一刻も早く現場にたどり着こうと必死になっていた。

 

「こちらタスクフォース3-1、現在墜落地点より2キロ地点を移動中!到着まで後10分!」

 

タスクフォースに所属している全員は厳しい選抜訓練を経て特殊部隊となった強者揃いのため、走りながら本部と連絡をとりつつ全く疲れた表情を見せる事なく走り続ける。

 

「負けるな!急げ!急げ!急げ!」

 

空挺第3小隊も日頃の厳しい訓練で身につけた体力に物を言わせ、タスクフォースの面々よりも遥かに重い装備とパラシュートを纏いながらも速度を落とす事なく、走り続ける。

 

 

 

 

一方で、墜落地点へ向かっているシーン部隊は……

 

 

「早くしろ!走れ!走らんか!」

  

1個小隊50名は指揮官に急かされるように走っていた。彼等の手には帝国陸軍で採用されたばかりのサブマシンガン(MP-40)や、ジェロニモ6のテイルローターを吹き飛ばした携帯式対戦車砲(パンツァーシュラク)があり、重要任務を担うシーン部隊ならではの装備だった。

 

しかし、それらの最新鋭装備を手にしているのはシーン部隊のみであり彼等の後に続く陸軍兵は従来のボルトアクションライフル(Kar98k)のみしか持っていなかった。

これはシーン部隊と駐留部隊は任務の特性が違うと言う事もあるが、特別訓練を受けているシーン部隊とは対照的に駐屯部隊の兵員の顔に疲労感が浮かんでいた。

 

 

「チクショウ………連中化け物かよ……皆涼しい顔してやがる」

 

「なんてったって、あのシーン部隊だからな………俺達とは潜ってきた修羅場が違うんだろうぜ……」

 

 

シーン部隊から徐々に離されていく駐留部隊。そんな彼等を見向きもせず走り続けるシーン部隊は一直線に墜落地点を目指す。

 

 

 

 

 

墜落地点ではフレイア王女達が脱出準備を終えて庭に集まっていた。

 

フレイア「脱出の準備、整いました」

 

彼女達は最低限必要な物が入った鞄を手にしている。使用人達も着替えや最低限の仕事道具が入った鞄のみを携行しており、脱出に必要ない物は屋敷に置いている。

 

国場「分かりました。予定では間も無くですね」

 

国場は腕時計で時間を確認すると再び信号拳銃に信号弾を装填すると、空に打ち上げた。

  

早田「どうだ?」

 

それから3分後、複数のヘリコプターのローターが回転する音が聞こえてきた。 

 

国場「来た!」

 

東の空からオスプレイ3機とブラックホーク3機がやって来た。 

 

早田「助かったぞ!」

 

到着した航空自衛隊のUH-60Jブラックホーク3機と陸上自衛隊のMV-22Jオスプレイは屋敷の真上でホバリングに入った。

先ず先に航空救難団を乗せたブラックホーク1機が低空でホバリングに入り、機内から航空自衛隊の航空救難団2個分隊10名が降下準備に入った。

 

 

『降下開始!』

 

 

一番最初の隊員が降りようとした時、機体に火花が散った。

 

 

『12時方向に敵影視認!』

 

 

ブラックホークのパイロットが屋敷の北にある裏門前にシーン部隊が到着し、攻撃を仕掛けてきた。降りようとしていた救難団の隊員は慌てて機内へと待避する。

 

 

『降下中止!一時離脱する!』

 

 

ジェロニモ6を撃墜させた敵部隊の練度とロケットランチャーによる攻撃が予想された事から万が一の二次被害を避けるため降下を中止し、一時離脱した。

武装した別のブラックホークが機銃攻撃を仕掛ける。

 

国場「不味いな……これじゃ降下は出来ないぞ」 

 

国場は敵の攻撃で降下出来ないのを見て、もどかしく思った。

膠着状態が続くと思われたその時、一歩遅れでタスクフォースと空挺第3小隊が屋敷の正門から入ってきた。

 

「騎兵隊の到着だ!」

 

駆け付けてきたタスクフォースと空挺第3小隊は国場とフレイア達の元へとやって来た。

 

「大丈夫か?」

 

早田「あぁ。王女殿下達も脱出準備は出来ているんだが、裏門に敵が居てヘリが降りられないみたいだ」

 

「分かった」

 

両部隊はヘリを安全に降ろせるように裏門へと走ると、各国の隊員は屋敷の屋根の上と塀を登り、空挺第3小隊は小銃の銃口に06式小銃擲弾を装着し、小銃を地面に立てて銃口を真上に向ける。

 

『撃て!』

 

先ず先に小銃擲弾が放たれ、塀越しに奥のシーン部隊の頭上に降り注ぐと、次々と爆発し敵兵を吹き飛ばしていく。

 

 

「うわっ!」

 

「ギャア‼︎」

 

 

手榴弾と同じ威力がある小銃擲弾の破壊力にシーン部隊と駐留部隊の兵士達は混乱する。

 

「撃て!」

 

続けて塀の上と屋敷の屋根の上から隊員達が射撃を開始した。

隊員達のメインウェポンである45式、M16、EM-2に装着されているレーザーサイトからの不可視光線がナイトビジョン越しに帝国兵を捉えてピンポイントで撃ち倒していく。

 

「上からだ!屋根の上から撃たれてる!」

 

「クソ!アレを使え!」

 

シーン部隊の小隊長がそう指示を出すと、後ろに控えていた兵士がジェロニモ6を撃ち落としたあの対戦車砲を構える。

 

「奥にRPGを持ったヤツが居るぞ!」

 

「させるかぁ‼︎」

 

「死ねぇぇぇ‼︎」

 

飛び出した2人の米兵がM60機関銃、ブローニングM1918を撃ちまくり敵兵を一挙にミンチ並みに酷い状態へと変えた。

その中には敵の指揮官も含まれていた。

 

「ヒィッ‼︎」

 

「なんて奴らだよ⁉︎小隊長がやられた‼︎」

 

銃撃に怖気付いた敵は姿勢を低くして塀の裏に隠れた。

 

「無駄なんだよなぁそれが!」

 

別の米兵がM72LAWを取り出して後部を展開、背後に誰もいない事を確認して敵の隠れる塀に向かって66mmHEATを発射する。

 

「ギャァァァァ‼︎」

 

塀ごと敵を吹き飛ばすと辺りに瓦礫と肉片が飛び散り爆炎が上がる。

 

「Whoooo!」

 

「yes!」

 

ハイタッチする彼らを見ていた国場は思わず言った。

 

国場「やっぱアメリカってどんな世界でも火力の事になると頭のネジがぶっ飛ぶのか………?」

 

 

「ちくしょお‼︎こんなんじゃ戦えるわけねぇ‼︎」

 

「撤退だ‼︎撤退するぞぉ‼︎」

 

誰かがそう叫んだ事で敵が撤退するのを察した部隊は裏門から回り込んで一人も逃すまいとM60やM1918、FN-MAGといった機関銃をやって来た敵に容赦なく撃ちまくった。

 

「ロックン・ロールの時間だぜぇ!」

 

「逃げれるものなら逃げてみやがれぇぇぇ‼︎」

 

 

「後退!後退!後退!」

 

「貴様ら逃げるな!それでも帝国軍人かぁ⁉︎」

 

「もう敗けは確定だ!こんな所でくたばってたまるか!」

 

駐屯部隊の兵達も自衛隊の火力を前に後退を開始し、シーン部隊と基地駐留部隊は正統府へと引き返していった。

 

 

「引き際は良かったが………やれやれアメさんは容赦ないな」

 

安全が確保されると、空中で待機していたヘリが墜落地点の真上でホバリングを開始した。

 

『降下開始!』

 

ロープか垂らされ、航空救難団の隊員がラペリング降下で次々と墜落地点へと降り立っていく。

航空救難団全員が地面に降り立つと、直ぐに国場と早田の所に駆け寄ってきた。

 

「大丈夫か?」

 

早田「あぁ、両足が折れてるみたいだ。自力では降りられそうにない」

 

「分かった。直ぐに出してやるからな!」

 

 

救難団は状況確認を行う。

国場は片足を、早田は両足を墜落の衝撃で骨折しており、それ例外に打撲も認められたため、自力での移動は不可能と判断した。

 

「仕方ない!チェーンソーを持ってこい!担架と固定具も忘れるな!」

 

救難団の指揮官の冷静な指示で隊員達はチェーンソーと担架が用意される。

 

「救出部隊が来た!」

 

遅れて、正門の奥から空挺普通科連隊の救出部隊の姿が見えた。

軽装甲機動車と高機動車で編成された救出部隊は正門で停止し中に入る。

 

「すまん遅れた!」

 

「この2人を機体から運び出したいから手伝ってくれ!」

 

「分かった!」

  

救出部隊も加わり、国場と早田の救助作業が開始される。

その間に最初のオスプレイが広い庭に着陸し、保護されたフレイア王女と他の王女達、使用人らは彼等に促される形でオスプレイへと乗り込んでいき数名程の隊員が護衛として乗り込んでいく。

 

「よし!ゆっくりと引き出せ」

 

チェーンソーでコックピットのコンソールを切断し、広がった空間から救難団と救助部隊の隊員に支えられる形で国場と早田が運び出される。

機外へ出された2人は担架に載せられ、フレイア王女達の乗り込むオスプレイへと乗せられる。

  

「出してくれ!」

 

2人を乗せたオスプレイは現場から飛び立つと、そのまま安全地帯に向けて飛び去っていく。

 

大内田「そうか、成功したか」 

 

バルクルス基地の指揮所でパイロットとフレイア王女の救助作戦が成功した報告がもたらされ大内田達は安堵する。

 

パットン「これで心置きなく戦えますね」

 

「あぁ………現場に残ったタスクフォースと空挺の連中はどうします?」

 

山下「作戦目標の一つは達成できた。残りの作戦の増援に回ってもらおう」

 

「了解!」

 

 

 

 


 

 

 

 

 

現場に残ったタスクフォースと空挺第3小隊は、飛行場と正統府の制圧任務に当たっている空挺第1・第2小隊、タスクフォース2個小隊の増援に回る指示が出された。

命令を受けた彼等は2機のオスプレイに分乗し、割り当てられた場所へと向かった。

 

 

飛行場近くの林で待機していた浦田達空挺第1小隊とタスクフォース第1小隊は、襲撃の機会を伺っていた。

 

 

『隊長』

 

浦田「どうした?」

 

『滑走路の北側にトラックが1台と複数の敵兵が動いてます』

 

近くの基地全体を見渡せる木の上から基地内を偵察していた隊員からの報告が入る。

 

『トラックに燃料を入れているみたいです。トラックの回りに完全武装の帝国兵10名と、正装した人物が乗り込んでいます』

 

浦田「正装した人物?」

 

『はい。服装から、かなり身分の高い人物かと思われます』

 

浦田「もしかしたら例のオール・ブーツって奴かもしれんな」

 

浦田は作戦前のブリーフィングでグラ・バルカスのヒノマワリ王国正統府最高責任者であるオール・ブーツに関する情報と顔写真を記憶しており、もし発見したら可能な限り拘束するようにと指示されている。状況から考えればその人物がオール・ブーツである事は明白だった。

 

「此処で対象を逃がす訳にはいかないが……」

 

腕時計で時間を確認する。

墜落現場から向かってきているタスクフォース第3小隊と空挺第3小隊の到着までは後5分程ある。

 

浦田「何とか足止めしないとな」

 

「what happened?」

 

そう言ってきたのは、浦田達と行動を共にしていたタスクフォース第1小隊長で第一特殊作戦任務群の現場指揮官を任されているロバート准将だった。浦田の側に来たロバートは管制塔を指差した。

 

 

ロバート「あそこに見える管制塔からなら狙撃でトラックを走行不能に出来る」

 

浦田「できるのですか?」

 

ロバート「見せて差し上げよう」

 

そう言うとロバートは小隊を率いて、飛行場のフェンスをワイヤーカッターで切断、穴を作るとそこを潜って基地内へと潜入する。

 

ロバート「アレか」

 

穴を通って中に入り管制塔へ向けて歩きだす。

管制塔の真下に到達し、上を見上げると窓からは人影は見えず、電気すらついていない様子だった。

 

ロバート「ん?」

 

施錠の有無を確かめようとドアノブを回すと、鍵が掛かっていなかったのかアッサリとドアは開いた。

 

ロバート「不用心だな」

 

そう呟きながら部下数名を引き連れて入っていく。

 

ロバート(誰もいないみたいだな)

 

 

中に入ると人の姿は無く、管制塔へ昇る階段が目の前にある。ロバート達は階段をゆっくりと足音をたてないように登り始める。

 

ロバート(此処か)

 

最上階の管制室にたどり着く。ドアが開けっ放しになっており、ゆっくりと中を覗き込むが案の定、誰も居なかった。

電気も点いておらず、机の上には書類やらが散乱している。内海らは警戒しながら管制室へと入った。

 

ロバート「オールクリア」

 

管制室内に敵の姿が無いのを確認し、室内を軽く探索する。管制室らしくレーダースコープや無線機は一通り備えられており、机や壁にはヒノマワリ王国やレイフォル周辺の詳細な地図や飛行図が貼られていた。

 

「無用心だな。無線機やレーダーがある管制塔を鍵もしないで空にするなんて」

 

「大方、俺達みたいなのがやって来るなんて想定してなかったんでしょう」

 

ロバートらは室内に残っていた地図と飛行図等の情報源になりそうな物は片っ端から回収していく。

 

 

ロバート「さて、仕事だ」

 

 

情報源の回収を終えた内海らは本来の目的に移る。管制塔から外の監視用ベランダに出る。

 

「此処からなら」

 

彼の部下であるスナイパーが、スプリングフィールドM14に弾倉を装着して初弾を薬室に送り込む。銃本体を支えているバイポットをベランダの柵に乗せると、下に居るオール・ブーツ達が乗り込もうとしているトラックに燃料を補給している燃料補給車に照準を合わせる。

 

ロバート「いいか、チャンスは一回だ。外すと奴らに逃げられる」

 

「イエッサー」

 

スナイパーに喝を入れたロバートはトランシーバーで浦田達に通信を入れる。

 

ロバート「配置完了」

 

浦田『了解。こちらも第3小隊と空挺と合流、突入準備よし』

 

ロバート「了解」

 

トランシーバーで下に居る浦田達にそう伝えると、ロバートはスナイパーの肩に手を置いた。

 

ロバート「NOW」

 

それを合図に狙撃手が引き金を引くと乾いた音と共に放たれた50口径7.62ミリ徹甲焼夷弾は、燃料補給車の燃料タンクに直撃。

 

タンクを貫通した徹甲焼夷弾が燃料補給車のタンク内に詰まっていた燃料に引火、燃料補給車は大爆発で吹き飛んだ。

 

ブーツ「ぐぁぁぁぁ‼︎」

 

オール・ブーツと取り巻きの職員、帝国兵は爆風で派手に吹き飛ばされた。特にオール・ブーツは爆発の衝撃で脳震盪を起こして気を失ってしまった。

 

「ヒュウ……」

 

「派手に吹き飛びましたね」

 

ロバート「あぁ………目標は大丈夫か?」

 

「問題ありません。気絶しているだけみたいですけど」

 

管制室からその光景を見ていたロバート達は派手にやりすぎたと思ったが、スナイパーがオール・ブーツの生存を確認した事により何とか生きて捕縛できそうだと安心する。

 

浦田「やった。突入!」

 

その様子を見ていた浦田達も、有刺鉄線の穴を通り突入した。無事だった帝国兵が突入してきた浦田達に手にしていたライフルの銃口を向ける。

 

「何者だ⁉︎」

 

「連合軍だ!武器を捨てて手を上げて膝をつけ!」

 

対する浦田達も89式小銃とMINIMI軽機関銃の銃口を帝国兵に向ける。

 

浦田「言っておくが、こちらには狙撃手も居る。少しでも怪しげな動きをしたら容赦なく撃つぞ」

 

「多勢に無勢か………分かった!降伏する!」

 

 

その言葉を聞き、浦田達は帝国兵を結束バンドで拘束する。気絶しているオール・ブーツと意識が朦朧としている帝国正統府職員も拘束された。

 

浦田「間違いない、オール・ブーツだな」

 

浦田は手持ちの写真と照らし合わせ、拘束したのがオール・ブーツ本人である事を確認した。

 

浦田「コイツが此処の親玉か。散々良い生活をしてきたんだ、ツケはしっかりと払えよ」

 

ふと、東の空からヘリコプターのローター音が聞こえてきた。

 

浦田「さて、仕事は此処からだ」

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

「降下!!」

 

ヘリ部隊が到着し、武装したUH-60Jブラックホークからから次々と空挺団とタスクフォースの隊員達が降下する。

 

「行け、行け、行け!!止まるな!!」

 

ブラックホークから次々と空挺団の隊員達がファストロープを使って降下、地面に降り立つと同時に周囲の安全を確保、待機していた浦田達と無事に合流した。

 

「これから車両を降ろす!周囲の安全を確保!」

 

ブラックホークに続いてチヌークが飛来し、降下した隊員達の目の前で高度を下げると、吊り下げ輸送していた高機動車と軽装甲機動車を降ろし、隊員達は降ろされた車両に次々と乗り込む。

 

「よし、行くぞ!」

 

 

 

 

「敵襲っ!敵襲っ!」

 

一方、ヘリコプターの騒ぎに気付いた帝国兵達は直ぐに行動を開始した。と言っても飛行場に居た兵士の大半は爆撃により戦闘不能に陥っており、現状で動けるのは数十名の兵士のみで武器も弾薬も少なく、人手不足により組織立った行動は難しい状況である。

 

「オール・ブーツ閣下は!?」

 

「分からん!だが敵が向かってきている方向から見れば恐らく………」

 

帝国兵達は予定ではそろそろ出発する頃合いのオール・ブーツのトラックの姿が見えないのに気付き、彼がどうなったのかを悟る。

 

「どうする?」

 

「どうするもこうするも………」

 

オール・ブーツと言う最重要人物を失った帝国兵達はどう行動すれば良いのかが分からず、特に徴兵で連れて来られた若手の兵士達に動揺が広がっている。

 

 

「何をしている!!早く迎撃態勢を取らんか!」

 

「しかし……」

 

帝国兵の指揮官らしき将校が拳銃を上空に向けて放ちながら兵士達を怒鳴りつけながら命令を出す。

兵士達は上官命令に逆らえず、渋々といった感じで各々が担当するエリアに即席の防衛線を構築し向かってくる敵を迎え撃つ。

 

「来たぞ!」

 

彼らの目の前に軽装甲機動車と高機動車に乗り込んだ空挺団とタスクフォースが現れた。

 

 

「撃て!近づけるな!」

 

 

防衛線に居た帝国兵達は軽機関銃や小銃を放った。

先行している軽装甲機動車に弾丸が命中するが、殆ど跳ね返されてしまう。

 

「撃て!」

 

軽装甲機動車の銃座に居る隊員がM2重機関銃とMINIMIの引き金を引き、それらの弾丸が帝国兵達に襲い掛かる。

 

「なんて火力だ!こっちの倍以上だぞ!」

 

「上からも来るぞ!」

 

上空からもブラックホークによる機銃掃射が加わり、帝国兵達は次第に押されていく。

 

 

戦闘開始から僅か10分足らずで、飛行場の東、西、南の3つのエリアは陥落、残りは北エリアを残すのみである。

 

「奴らを此処から先に通すな!死守しろ!」

 

帝国兵達は最後の抵抗と言わんばかりに、武器庫からかき集めた雑多な武器を動員し、攻撃を仕掛けてくる。

 

「クソ!やはり最後の砦なだけに抵抗が凄いな!」

 

「伏せろ!」

 

誰かが叫んだと同時に、帝国兵達は貴重な迫撃砲と対戦車砲を撃ってきた。

 

「RPG!」

 

「うぉっ!」

 

携帯対戦車砲の砲弾1発が1両の高機動車の至近距離で炸裂。爆風の直撃を受けて横転してしまい、乗っていた空挺隊員達が投げ出された。

 

「やったぞ!吹っ飛ばしてやった!」

 

アパッチを撃墜した携帯対戦車砲を使った帝国兵は横転し大破した高機動車と動けなくなっていた空挺隊員達を嘲笑う。

 

「クソっ!損傷車両を救出!」

 

一両の軽装甲機動車が横転した車両に近付き、横転した高機動車を守るように展開すると、後部座席から降りた隊員が投げ出された隊員を回収していくが、その車両にも小銃と機関銃による攻撃が加えられる。弾丸は装甲に弾かれるが、防弾ガラスに弾丸が直撃し、いつ弾丸が貫通してくるか分からない。

 

「クソ!あの重火器が厄介だな!」

 

「ふざけやがってぇ‼︎」

 

「おい⁉︎」

 

隠れていた米兵の一人が悪態をつくと背負っていた長方形の物体を取り出して物陰から飛び出す

 

「はぇ?」

 

「野郎ぉぶっ殺してやらぁ‼︎」

 

敵の目の前に飛び出した彼はM202ロケットランチャーを構えるとトリガーを引いて装填された榴弾*1の一発を敵陣に向けて発射、呆気に取られた帝国兵は一瞬の内に吹き飛ばされる。

 

「なんだありゃ⁉︎」

 

「地獄に堕ちやがれ‼︎」

 

別の陣地を見つけるとそこにも一発発射し木っ端微塵に吹き飛ばす。

しかし潜んでいたスナイパーに足を撃たれてその場に倒れ込む。

 

「アァァァァァッ‼︎サノバ・ビッチッ‼︎」

 

それでも彼は怯むことなくスナイパーのいる辺りに向かってM202をお見舞いさせ瓦礫ごと吹き飛ばして見せた。

 

「fuck you‼︎」

 

そして残った最後の一発を再び防衛陣地に撃ち込むと彼はそこで地面に伏せた。

 

「アイツの勇気を無駄にするなッ‼︎」

 

「今の内に救助だ‼︎」

 

全てでは無いが、幾つかの陣地を無効化した事で隙が生まれ隊員達は米兵を引き摺って物陰に戻る。

 

「隊長!あれを!」

 

若い隊員が指差した方向を見る。

 

「あれは!」

 

敵防衛線の側面にあたる飛行場の東方向から、一両の大型車両が乗り込んできているのが見えた。

 

「RCVだ!」

 

東エリアを確保していた空挺普通科連隊から応援部隊が到着。先陣を切って突入してきた16式機動戦闘車が飛行場の東入り口のゲートを突き破り、飛行場へと突入すると、後ろから96式装輪装甲車と軽装甲機動車等の装甲車両が次々と雪崩れ込んできた。

 

「側方に敵戦車!」

 

「なんだと⁉︎」

 

敵も側面に現れた彼等に驚いたのか、慌てて攻撃を仕掛けようとしたが、その前に16式の105ミリ砲による砲撃が、帝国兵と防衛陣地に直撃した。

 

「うぁぁぁっっ!!」

 

「腕がぁ…………目がぁぁ…………」

 

「クソ!こちらも戦車を前に出せ!!」 

 

生き残りのハウンドⅠ/Ⅱ中戦車3両が動き出し、16式の迎撃に出る。

 

『なんだあの戦車は!?車輪で走ってやがる!』

 

『慌てるな!兎に角ヤツを近付けさせるな!』

 

『撃て‼︎』

 

1両のハウンドⅠが57ミリ砲を向けるが、スラローム走行しながら走る16式に狙いが定まらず、105ミリ砲の攻撃を受け破壊された。

 

『ウソだろ!?あんなに動いて当てられるのか!』

 

『慌てるな!あんなのまぐれ当たりだ!2号車、撃て!』

 

 

もう一両のシェイファーⅡが前に出た瞬間、突然その車両は爆発炎上した。

 

『やられた!!』

 

『敵は撃ってないぞ!』 

 

この時、2号車を破壊したのは空挺普通科対戦車小隊の84ミリ無反動砲の射撃で、対戦車榴弾を真横から受けたシェイファーは先のシェイファーⅠと同じ運命を辿った。

 

『駄目だ!こんなのやってられない!俺は降りるぜ!!』

 

『俺もだ!』

 

『置いてくな‼︎』

 

最後のシェイファーⅡの乗員は戦意を失い、我先にと自車を棄てて逃げ出す。

 

「敵が戦車を放棄した!」

 

「押し込むぞ!前進!」

 

空挺普通科隊は火力を集中し一気に押し上げていく。

 

「我々も押し込め!」

 

橋本達も車両を盾に前進を再開し、2方向から集中攻撃を受ける防衛線は徐々に崩されていく。

 

「敵機が来るぞ!」

 

後退する帝国兵に向けて近接航空支援のアメリカ軍のUH-1が飛来した。

 

「クソ!走れ!兎に角撃て!上のヤツを近付けるな!」

 

帝国兵達は手にしていた小銃と軽機関銃でUH-1を攻撃する。

 

『これより攻撃する、目標をマークしてくれ』

 

「分かった!」

 

地上部隊が帝国兵に向けて発煙手榴弾を放り投げ、目標の位置をUH-1のパイロットに報せる。

 

『oh right‼︎さぁ野郎共民主主義のバーゲンセールだッ‼︎』

 

直後、UH-1に搭載されているM60とM2重機関銃による猛烈な機銃掃射が始まり、帝国兵達に鉄の雨を浴びせる。

 

『掃射終了!引き続き警戒する!』

 

機銃掃射を終えて硝煙による煙が晴れると、同時に部隊は車両を盾に前進する。機銃掃射前に比べて反撃の量は劇的に少なくなっており、最終的に帝国兵らは武器を棄てて駆け寄ってくる。

 

「武器を棄てる!降伏する!だから助けてくれ!」

 

「降参だ!降参!撃つな!撃つな!」

 

「止まれ!動くな!動くな!止まれ!」

 

「両手を後ろにその場でうつ伏せに!」

 

降伏の意思を示した帝国兵を次々と拘束、その5分後には最後の防衛線を突破に成功した空挺団は遂にヒノマワリ王国のグラバルカス帝国軍最後の砦である飛行場の制圧に成功した。

 

 

 

 

 

*1
M202を焼夷ではなく普通のロケットランチャーに改造

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