自由連合召喚   作:暁司令官

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第12話 アイアンフィストⅡ

 

ヒノマワリ王国での戦闘が終結し2日が経った。

 

グラ・バルカス帝国の植民地として最大規模を誇るレイフォル州レイフォリアにある陸海軍統合基地『ラルス・フィルマイナ』がある。

此処は、レイフォルに駐留する陸海軍の部隊を統合指揮が出来るだけの規模を誇り、基地内の建物は幾何学的に並べられており、基地内には飛行場と陸軍基地があり、レイフォル方面軍の総力が揃っている。

 

そんな基地の地下深くには、統合司令室がある。

其処には、この基地の長であり、レイフォル守備隊の最高指揮官に任命された『ファンターレ』をはじめとしたレイフォル方面軍の司令官級の人間が詰めていた。今彼等は、この狭い司令室内で慌てた様子で奔走していた。

 

ファンターレ「まだヒノマワリとの連絡はとれんのか!偵察機は?」

 

「ありません!こちらから呼び掛けているのですが、応答がありません!」

 

陸海軍の将校達はヒノマワリの友軍基地からの無線報告が来ず、有線で呼び掛けても応答がなく、連絡兵もやって来ない事から何か異常事態が起きたのでは無いかと、情報収集に務めていた。

唯一確定している事は連合軍からの攻撃を受けているという事だけだった。

 

「失礼します!」 

 

そこへ、陸軍将校の一人であるランボールが入ってきた。その場に居た者全員の視線が彼に集まる。

 

ファンターレ「ランボールよ、何か分かったか?」

 

ファンターレがランボールに問い掛ける。

  

ランボール「はい。つい先程、シーン大佐の副官が帰還して参りました」

 

ファンターレ「そうか。で、ヒノマワリでは何が起きたんだ?」

 

ランボール「は………」

 

 

ランボールは皆の視線が気になり、言葉に詰まる。それを見かねたファンターレが宥めるように言った。

 

カイザル「構わん………話してくれ」

 

ランボール「はい………ヒノマワリ王国はムー、マギカライヒ、日本、アメリカの連合軍の総攻撃を受け、壊滅したとの事です」 

 

その言葉にその場が静まり返る。

 

ファンターレ「やはり………覚悟はしていたが。で、戻ってきた副官は今どうしてる?」

 

ランボール「はい。負傷していた様で、今医務室で手当てを受けています」

 

ファンターレ「そうか。彼には良く帰ってきてくれたと伝えておいてくれ」

 

ランボール「はい」

 

ヒノマワリ王国失陥という現実が彼等にのし掛かる。

 

ファンターレ「さて皆、いよいよ敵との本格的な衝突が現実味を帯びてきた。分かっていると思うが、敵はとても……否、とんでもなく強く精強だ。既に第4師団は壊滅し、バルクルス基地は奪われ、ヒノマワリも失陥した。情報によると奴らは我々以上に優れた技術力を有しているとのことだ」

 

「「「「「………………………」」」」」

 

ファンターレ「しかし幸いな事に、大規模な軍事作戦が出来るだけの備蓄はある。例えどのような敵であっても我々は対峙せざるを得ない。状況はそこまで切迫している。諸君も知っての通り、この基地は帝国の技術の粋を集めて作られている。万が一にも敵が進撃してこようとも、この基地を陥とす事は至難の業だ!この基地が陥落するような事があれば祖国は敵の手の届く範囲に堕ち、多数の臣民や皇帝陛下の御身が危機に晒される事になる!だがそれも我々が敵に出血を強いる事で、本土の安全を守る事に繋がるのだ!」

 

彼の言葉に緊張で張り詰めていた将校達の顔が少し緩む。

 

ファンターレ「敵が何時攻めてくるのかは分からんが、少なくとも近いうちなのは確かだ。それまでに我々は持てる戦力を以て敵の侵攻を食い止める必要がある!それには準備が必要だ!直ちに陸海軍全部隊に戦闘態勢を取るように伝えろ!基地とレイフォル周辺空域にも警戒機を飛ばし、ヒノマワリ方面に偵察隊を出せ!本土との連絡を密にするのも忘れるな!」

 

「「「「「はっ!」」」」」

 

ファンターレの命令は直ちに陸海軍問わず全部隊に伝えられ、レイフォル方面軍全部隊は警戒態勢から戦闘態勢に入り、国連軍による侵攻に備える。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

ラルス・フィルマイナが戦闘態勢に移行し、国連軍による侵攻に備える態勢を整えてから数日が経過した。

 

 

「急げ急げ!自衛隊の連中に遅れを取るな!」

 

「弾薬と燃料は多めに積み込め!いざって時に無くなったじゃ済まされんからな!」

 

「そこの車両は積み込み次第移動させろ!」

 

 

この日の深夜、ヒノマワリ王国に設置された国連軍最前線基地と、ハルナガ京の東にあるハルダール川東岸の平野に建設された飛行場では国連軍の地上部隊と航空部隊が慌ただしい様子を見せていた。

 

 

『こちら第2戦車連隊、燃料弾薬補給完了。待機する』

 

『了解』

 

『こちら第8歩兵連隊。移動準備に多少の遅れがある』

 

『了解。準備完了次第報告し、次の指示を待て』

 

 

ハルナガ京内の国連軍地上部隊の戦車や装甲車等の車両はエンジンの暖気運転と弾薬燃料の搭載が急ピッチで行われており、戦車、装甲車、トラック、バイク、軽車両等、ありとあらゆる車両に燃料と弾薬が積み込まれていく。

 

 

 

連合軍はレイフォルのグラ・バルカス帝国軍に対する本格的な軍事行動である『アイアンフィストⅡ』の実行に向けて動き出している。

正統府の建物内に設置された司令部は事前のミーティングに従い各々が率いる部隊へ向けて指示を出している。

 

 

英・豪陸軍はレイフォルに向けての進撃作戦準備を整え、航空部隊も進撃路上にある帝国軍基地への爆撃とレーダー網の無力化、制空権確保のため発進準備を終えている。

 

「各部隊、出撃準備完了!」

 

大内田「よし!これよりアイアンフィストⅡを実行に移す!各自時刻合わせ!」

 

前線指揮所の大内田達は無線越しに鋼鉄の嵐作戦の実行前のカウントダウンを読み上げる。 

 

「5、4、3、2、1、0」

 

時計が午前0時を示すと同時にアイアンフィストⅡが開始された。

 

『前進!!』

 

 

ハルナガ京からヒノマワリ王国とレイフォルとの国境地帯へ向けてラ・シャルマンを主力とする英陸軍第1師団と豪第4戦車師団が動き出し、後ろを陸上自衛隊第1独立装甲連隊、帝国陸軍、アメリカ陸軍の地上部隊が次々と出発していく。

飛行場からも合衆国空軍のF-5E/Gに護衛されたF/B-105、航空自衛隊のF-3とF-15イーグルプラスが次々と飛び立っていき、レイフォル方面へ向かって飛び去っていった。

 

 

 

 

 

作戦開始から数時間後

 

国連軍地上部隊は何の障害もなくヒノマワリとレイフォルとの国境地帯に突入し、そして無事に国境線を越えてレイフォル領へと入った。地上部隊は国境を越えると同時にその場で進撃を停止した。 

 

「総員集合!」

 

英陸軍のある部隊指揮官を勤める将校の掛け声で、その配下の兵達が集まった。

 

「これより我が第1偵察大隊は当初の予定通り4個中隊に分かれ、進撃路上に存在する敵の4つの基地の前線偵察に出発する」

 

大佐の指示の下、大隊は4つに分かれる。

 

この部隊の任務は、レイフォリアに続く進路上に存在する4つの帝国陸軍基地へ主力部隊による攻撃に先だって、敵状偵察と監視、味方航空部隊の爆撃誘導、基地への強襲攻撃、味方地上部隊の誘導を担当する事になっている。隊はそれぞれ1つの目標につき1個中隊が割り当てられ、偵察歩兵を前衛として後方を豪陸軍のM1エイブラムス等の重装備が支援する手筈となっている。

 

「中隊編成完了!」

 

「よし!各隊は連絡を密に、敵に気付かれる事の無いように。万が一発見された場合は極力戦闘は避けて、撤退に全力を尽くすように!」

 

第1偵察大隊は行動を開始し、それぞれ割り当てられた目標へライトをつけず、月明かりのみを頼りに向かっていった。

 

 

 

 


 

 

 

 

前線偵察に出発した第1偵察大隊第1中隊は、目的地である帝国軍デスデモーナ基地へと到達していた。

中隊から選出された偵察小隊はデスデモーナから南へ僅か5キロの地点に存在する林の中で、デスデモーナ基地を偵察していた。

 

「今の所、動きはありません」

 

偵察小隊は新型のアクティブ式暗視装置を駆使し新月で星明かりの無い暗闇の中から、基地の動きを細かく記録し、後方に居る本隊へ向けて無線で報告していく。

 

「隊長、間も無くです」

 

「よし」

  

時間となりレーザー誘導装置の電源を入れ、目標となる基地内の兵舎と車両格納庫、弾薬庫へとレーザー光線を照射する。 

 

「慌てるな。訓練通りにすれば大丈夫だ」

  

少し慣れないながらも自衛隊から施された訓練通り、手順に従いながら誘導装置を操作する。

 

「用意よし」

 

「了解。こちらスカイキッド、スタンバイオールグリーン」 

 

通信兵が無線機を使って、航空自衛隊のE-767AWACSに向けて呼び掛ける。

 

『了解。これより無線封鎖を開始する』

 

この直後、EC-2による電波妨害が開始され、敵の通信とレーダーシステムは完全に無効化された。

 

「来た」

 

上空にジェット機特有の音が響く。

 

『こちらボマー、ドロップ ready……now!』

 

無線機から聞こえてきたパイロットの声に合わせて、彼等はレーザー光を目標にしっかり向ける。

それから数十秒後には爆弾が落下してくる落下音が聞こえてくる。

 

「5、4、3、2、1、今っ!」

 

秒読みの後、GBU-58LJDAMがデスデモーナ基地の兵舎と車両格納庫に直撃。爆炎が暗闇を照らし出した。

 

「おぉ………」

 

「流石だ。戦果確認」

 

すかさず戦果確認を行う。

暗視装置で目標と目標周辺の被害を確認を行うと、スコープ越しに、破壊された車両格納庫と兵舎、兵員が慌ただしく動き回ってるのが見える。

 

「奴等混乱してますよ」

 

「だろうな。こんな暗闇の中を爆撃されたんだからな」

 

「第2次攻撃は?」

 

「必要は無さそうだ。目標は完全に吹き飛んでる」

  

目標は完全に破壊された事から第2次攻撃の必要は無いと判断し、その旨を無線で伝えると上空のF-3は帰投していき、護衛のイーグルプラスが制空権を確保のため留まる。

 

「さて、次の仕事に移るか。敵を引っ掻き回してやろう」

 

偵察小隊は次の目的である基地制圧に備えて準備を開始する。

後方で待機していたM1エイブラムスとボクサーが動き出した。

 

『車両前進、前へ!』

  

エイブラムスを先頭に強襲部隊の兵士を乗せたボクサー装甲装輪車が木や叢を掻き分けながら、森から飛び出し基地の真正面から突撃を開始した。

 

「砲手、目標敵基地正門!撃て!」

 

エイブラムスの120mm滑腔砲を基地へ向けて砲撃し、基地正門を吹き飛ばす。

 

『突入!』

 

車両部隊は吹き飛ばした正門から基地内へと突入した。

 

基地へと突入した強襲部隊は、後方の本隊の基地突入支援のため基地正門を中心に突入口の確保に乗り出した。

 

「戦車を前面に!機銃と迫撃砲を準備!」

 

強襲部隊は正門を陣取り即席の防御陣地を構築すると、重機関銃と軽機関銃、軽迫撃砲を用意して基地からの迎撃に備える。

 

「前方敵戦車と敵歩兵接近!」

 

すると直ぐに、基地内からハウンドⅡが姿を表した。その後ろから武装した歩兵もやって来る。

 

「来たぞ!」

 

「先手必勝だ!撃て!」

 

前衛に出ていエイブラムスの車長は暗視装置が取り付けられたぺリスコープ越しに装填手ハッチ前方に設置されたの赤外線ライトに照らされたハウンドⅡに向けて砲手に砲撃指示を出す。

 

「あんなポンコツでよくも戦おうと思ったものだ!」

 

砲手が発射トリガーを引くとライメタル120mmL44から徹甲弾が放たれ大した装甲を持たないハウンドⅡは木っ端微塵に吹き飛んだ。

 

それから本隊が到着するまでの10分間でこのエイブラムスは向かって来たハウンドⅡジェイファーⅡの大群を一輌で全滅させる戦果を上げる。

 

 

そして、遂にデスデモーナ基地に国連軍の旗が上がり、完全に国連軍の占領下に置かれる事となった。 

 

それと同時刻、他の帝国軍基地も国連軍の攻撃を前に呆気なく壊滅し、グラ・バルカス帝国レイフォル方面軍の陸軍部隊は完全にレイフォリアのラルス・フィルマイナ基地に追い詰められる事となった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

国連軍による攻撃により、4つの基地との通信が不能となったラルス・フィラマイナ基地の地下司令室は蜂の巣を突いたような大騒ぎとなっていた。

 

「応答せよ!応答せよ!こちらラルス・フィラマイナ!デスデモーナ基地、応答せよ!」

 

「直ぐに通信兵を走らせろ!哨戒機も各基地へ至急向かわせるんだ!」

 

まだ夜明け直前で、普通ならまだ起床時間では無いにも関わらず、司令室は大勢の幹部と通信員の怒号が響き、大混乱の様相を呈していた。

 

ファンターレ「参ったな………まさか敵の進撃速度が此処まで早いとは」

 

ファンターレも自分が予想していたよりも敵の進撃速度が常識外にも早い事に驚き、頭を抱えていた。

レイフォル方面軍の本拠地であるレイフォリアの防衛線であったデスデモーナ基地を含めた4つの基地にはそれぞれレイフォル一帯をカバーできる複数のレーダーサイトと、陸軍航空隊が駐留していたのだが、それがたった数時間のうちにあっさりと突破されてしまい、既にラルス・フィラマイナを含めたレイフォリアは喉元に刃や銃口の2つを突きつけられている状態である。

 

最強と謳っていた帝国軍の優位が音を立てて徐々に崩壊しつつあるというのを、ファンターレは恐れていた。

 

ファンターレ(どうする………小規模と中規模だったとはいえ、4つの基地を同時に陥落させた敵に対してどう対抗すべきなのか?)

 

ファンターレは何とかムー大陸での優位を保つための最善策を必死になって考える。

しかし、これまでに上がっている情報から敵と真正面にぶつかるのはレイフォル方面軍にとって非常に荷が重いのは誰の目にも明らかであった。 

 

彼は暫く集中して今後の対応を考える。

それから30分程して、彼はランボールに問い掛ける。

 

ファンターレ「少佐、海軍の方はどうなってる?」

 

ランボール「はい。第1・第2艦隊は出港準備を整えつつあるそうです」

 

今レイフォル港には帝国海軍の精鋭の一角である第1・第2艦隊が駐留しており、両艦隊はグレード・アトラスター級が旗艦を勤めている。

 

カイザル麾下の第1艦隊にはグレートアトラスター以下タイタン級空母(大鳳型)2、ヘラクルス級1、オリオン級2と50隻弱の護衛艦。

 

ミレケネス麾下の第2艦隊にはグレートラニアケア以下ガリレオ級空母(信濃)1、ペガスス級2、オリオン級2とこちら同数の護衛艦がある。

 

しかし第2艦隊には密かに本国から持ち込まれた新型艦にしてグレートアトラスター級の次級『グレート・ギャラクシー』が一隻だが加わっていた。

 

 

グレートギャラクシー級戦艦

 

《外観:蒼焔の艦隊に登場するオリジナル艦:天照》

 

全長:290m

全幅:42.5m

最大速力:29ノット

 

兵装

主砲:51cm連装砲×2基/46cm3連装砲×2基

三連装高角砲多数

 

これらの戦力を踏まえてファンターレはこちらの態勢が整うまで敵の足どめを図ろうとある考えを起こす。

 

 

ファン「これだけの海上戦力があるのならもしかしたら敵の意表を突けるかもしれん」

 

ランボール「どう言う事でしょうか?」

 

ファンターレ「うむ………直ちに出撃可能な全艦艇による海上特別攻撃隊を編成し出撃させよ!それと、レイフォリア防衛のための最低限の戦力を残し、陸海軍航空隊を艦隊の上空援護に付けさせよ!」

 

突然の命令にその場にいた一同が目を見開き、彼に視線を向ける。

 

ファンターレ「第1艦隊をレイフォル沖南方海域に展開させ、グレードアトラスターによる艦砲射撃で敵地上部隊を攻撃せよと通達!」

 

ランボール「しかし司令、同海域に敵の潜水艦が潜んでいる可能性があります!それにマイカル港から姿を消した日本とアメリカ艦隊の行方が掴めない以上は迂闊な行動は……」

 

ファンターレ「そんな事は百も承知だ。だが此処で後手に回っては敵の思う壺だ………此処で討って出ない限り、我が軍に勝利は無い。それにこれは本部長が予め用意していた作戦だ」

 

ランボール「え⁉︎」

 

彼は驚きの余り声を上げる。

そんな彼にファンターレは耳元で囁くように言った。

 

ファンターレ「言い方が酷いようだが我々第1艦隊は囮だ。第2艦隊は現在ガラ空きのマイカル港に向かって突入する算段だ」

 

ランボール「な……なんですと……」

 

あまりの内容にランボールは言葉を失ったが、直ぐに気を取り直した。

 

ファンターレ「…………………分かりました。直ちに艦隊へ伝えます」

 

思い切った作戦にランボールは戸惑いつつも、彼の言葉を信じて直ちに動いた。

 

その1時間後には、司令部から命令書と即席の作戦指示書がレイフォル港沖で停泊していた、グレードアトラスター、グレートギャラクシーに届けられた。

 

以前よりも充実した艦隊旗艦設備を持つ防御区画内に設けられた長官室に第1艦隊司令部要員が召集された。

 

 

水上特別攻撃作戦の命令書と作戦指示書を携えてグレードアトラスターへとやって来たランボールは今、第2艦隊司令部が置かれているグレートアトラスターの重要区画に設けられた会議室で緊張した面持ちで宛がわれた椅子へと座っていた。

 

 

「『第2艦隊旗艦グレードギャラクシーは水上特別攻撃部隊を編成。マイカル沖南方40カイリ洋上に展開、マイカル港に艦砲射撃を実施。第1艦隊はレイフォル沖南方40カイリの適当と思われる海域にて北上してくると思われる敵艦隊を攻撃せよ』」

 

作戦司令書を読み上げたランボールは目の前に居る、第1艦隊司令長官『カイザル・ローランド』中将が放つ雰囲気に体が硬直しているのを感じる。

 

カイザル「ランボール少佐」

 

ランボール「は」

 

カイザル「この作戦、上空援護はどれ程出せる?」

 

ランボール「80機ほど」

 

カイザル「……………たったこれだけの上空援護で、こんな思い付きのような作戦は通用すると思っているのか?私は大勢の将兵の命を預かっている。只の一兵卒と言えど、無駄に死なせる訳にはいかん!」 

 

カイザルの言葉から、この作戦内容に対する大いなる不満が見て取れる。他の艦隊参謀達もこの作戦に対して懐疑的となっており表情からもそれが読み取れる。

 

ランボール「それは仰る通りです閣下。ですが我々は帝国の未来のために存在しています」

 

カイザル「それは分かっている。私も軍人であり、命令は絶対だと理解している。だが、このように根拠も意味も無いような作戦で大勢の将兵達と貴重な戦力を失えば、どのように責任をとるのだ?」

 

ランボール「それに関しまして、ファンターレ閣下よりカイザル閣下へ書簡があります」

 

カイザル「書簡?」

  

ランボールはファンターレから預かった手紙を手渡す。

 

ランボール「内容については自分は関知していません」

 

カイザル「そうか」

 

カイザルは手紙を開き内容を見る。

 

カイザル「……………………………『帝国臣民のための矛と盾となれ』か。ファンターレめ狡い奴だ」

 

ラクスタル「閣下……」

 

カイザル「……分かった。このカイザルの身命を賭して自ら先頭に立ち陣頭指揮をしよう」

 

ランボール「ありがとうございます!第2艦隊にもこの旨を伝えるので、それでは私はこれで失礼いたします」

 

ランボールが足速にその場を去って行くのを見届けたカイザルは、

 

カイザル「よし!これより艦隊は水上特別攻撃隊を編成、直ちに準備に掛かれぃ!」

 

 

その一言で第1艦隊全体が動き出した。

また同時にミレケネスの第2艦隊も同じように行動を開始した。

作戦は短期戦が予想されたため、レイフォル港から作戦に必要な燃料と弾薬が作戦に参加する水上特別攻撃隊の艦艇に追加で運び込まれていく。

 

そして、1日掛けた準備により夕方にはグ第1艦隊と第2艦隊の出撃準備は整い、夜更けを待ってから出港準備に入る。

 

『出港用意!』

 

出港準備のラッパが鳴り響き、グレートアトラスターの艦橋にはカイザル以下の艦隊司令部要員が集まる。

 

ラクスタル「両舷前進微速、取りかぁじ!」

 

ラクスタルの号令によりグレードアトラスターのその巨体がゆっくりと前進を開始した。

そして第1艦隊に遅れる事2時間後、ミレケネス中将麾下の第2艦隊もレイフォルを後にしたのだった。

 

 

 

しかし、この部隊の動きは既に国連軍により察知されていた。

 

ムー大陸南方沖を航行中の連合艦隊は、衛星がキャッチした水上特別攻撃隊の出撃情報を受け取っていたのである。

 

有賀「まさか向こうから出てきたとはな」

 

きいのCICにあるメインディスプレイに投影されているレイフォル港を出撃するグレードウォール以下の艦隊の姿を捉えた衛星画像を見ていた有賀はそう呟く。

 

「今まで地に根が張ったように動かなかったグレードアトラスター級の同型艦が自ら出てきた………彼らは何を考えてるのでしょうか?」

 

有賀「分からん。だが一番の脅威であるこのグレードアトラスター共が艦隊を率いて出てきたという事は、何かを仕掛けようとしているに違いない」

 

「では艦隊を北上させますか?」

 

有賀「あぁ。念のため地上の部隊にも警戒するように伝えてくれ。艦隊はこのまま北上する」

 

「了解!」

 

きい以下の海上自衛隊第二任務機動群と連絡を受けた米第1任務機動艦隊、日本海軍第一艦隊はその場よりレイフォル南方沖海域に向け敵艦隊迎撃のため北上を開始した。

 

 

 

 

 

 

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