自由連合召喚   作:短号司令官

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第15話 迫る終焉

 

その頃、ラルスフィルマイナでは出撃した特別水上攻撃隊壊滅の報がもたらされ、司令部はざわめいていた。

 

「攻撃隊壊滅……ミレケネス及びカイザル両大将戦死……」

 

「あのグレードアトラスターを含む艦隊が壊滅…………」

 

司令部の空気は非常に重く、レイフォル方面軍の幹部達は頭を抱える。

 

ファンターレ「皆、気を落とすな。カイザル大将達は命を賭して時間を稼いでくれたんだ。この隙を無駄にしてはならん!ランボール少佐、敵地上部隊の現状は?」

 

ランボール「はい。海戦直後より占領された各基地展開している敵部隊の動きがやや遅くなりました。やはり海上からの艦砲射撃という事実が効いた様です」

 

彼の言う通り、連合軍地上部隊の最前線部隊は海戦前に連合艦隊からの敵艦隊出撃の報告と上層部からの警告に基づき、敵による何らかの逆襲に備えて部隊の移動速度と作戦の一部を変更した事により、1日程動きを止めているのである。

結果的に艦隊は壊滅したが、地上部隊の牽制と時間稼ぎには成功している。

ほんの1日程度ではあるが、レイフォル方面軍には1日という時間はとても大きく意義があるものであった。

 

ファンターレ「今は時間との勝負だ!レイフォリアとラルスフィルマイナの防備を固めよ!」

 

ファンターレはこの1日を大いに利用し基地とレイフォリアの守りを固めようと、レイフォル方面軍の陸軍部隊の展開を急がせた。

レイフォリア防衛を担うレイフォル方面軍麾下の帝国陸軍第5師団はその持てる戦力全てを動員し、ラルスフィルマイナとレイフォリア南側の防備を固めていく。

 

そしてその日の夜 

 

「司令官殿!」

  

ラルスフィルマイナ統合基地内にある第5師団に新設された帝国初となる第23重戦車大隊が駐留するエリアを訪れていたファンターレは、第5師団長『ガーレ・ノストック』大将と第23重戦車大隊長『ザギ・イグルス』大佐の案内を受けながら、ある場所に居た。

 

ファンターレ「大将、大佐、どうかな?例の切り札の用意は?」

 

ガーレ「はい。勿論完了しています!」

 

3人が居る大の地下に建設された秘匿車両格納庫内には、天井にある蛍光灯の光に照らされた、複数の巨大な物体が鎮座している。

 

両方ともシートが掛けられ、片方は首を上に向ける程にとても大きく横幅も車両格納庫の半分を占めており、隣に鎮座しているもう片方はそれよりも二回りも三回りも小さいがそれでも人間の背丈よりも高くそして大きかった。

 

ザギ「我が第23重戦車大隊に配備された帝国の最新技術が惜しみ無く投入さへた2種類の新型重戦車であり、このレイフォル防衛の切り札的存在であります!」

 

 

大佐が先ずは巨大な物体の隣にある小さい方の物体のシートを剥がす。

 

「おぉ……これがワイルダーか」 

 

ファンターレの目の前に姿を表したのは、シェイファーやハウンド等の帝国陸軍主力戦車よりも一回りも二周りも大きい戦車だった。

それまでの帝国陸軍戦車には見られなかった巨大な角張ったデザインの砲塔と車体、砲塔の鼻先から突き出ている76ミリの長い砲身を持つ強力な戦車砲………見る者が見ればそれの外観は旧日本陸軍が開発していた幻の中戦車『5式中戦車』と全く同じ外観を持つ、帝国陸軍初となる本格的な量産型重戦車『ワイルダー』の姿がそこにあった。

 

ワイルダーは第23重戦車大隊に先行量産型が50両配備されており、この部隊の事実上の主力戦車を勤めている。

 

ガーレ「これなら敵の最新鋭戦車とも防御力と火力で渡り合えます!」

 

ファンターレ「うむ。頼もしいな…」

 

ファンターレはワイルダーの隣に鎮座している、更に巨大な物体に目を向けると、その物体に近寄る。

 

ファンターレ「まさかコイツを本当に作り上げてしまうとはな………」

 

ガーレ「皇帝陛下に感謝です。敵の戦力を重く見た陛下が我々に授けてくださった」

 

シートが剥がさせると現れたのは、全長39m、幅14m、高さ11m、車体前部に巨大な連装砲塔、その後ろの一段低くなっている車体中央部から後部にかけて単装砲が左右に二門装備されている。

 

ガーレ「これこそ我が陸軍における史上最大最強の超重戦車、いや陸上戦艦『マキシム』です!」

 

 

 

 


 

 

 

 

 

1日遅れになってしまったが、国連軍によるレイフォル侵攻作戦は続行となった。

 

 

深夜、連合軍の先鋒をつとめるは第1装甲独立連隊が占領したデスデモーナ基地を出発しレイフォルに向けて進撃を開始した。

 

そしてほぼ同時刻、ハルナガ京の飛行場からも航空自衛隊、アメリカ空軍の航空部隊がレイフォリアにある飛行場爆撃のため出撃していく。

その爆撃部隊の中でも一際存在感のある超大型の爆撃機B-36ピースメーカーは今回のレイフォリア空襲作戦で重要な存在であった。

 

B-29同様に脅威的な爆弾搭載量を誇るB-36は全てレイフォリアのラルスフィルマイナへの戦略爆撃を行う予定であり、航空自衛隊のイーグルプラスの護衛を受けながらレイフォリアに向けて飛び去っていく。

 

「いつ見てもでかいな」

 

その様子を地上から見守っていた86式戦車に乗る兵士達は巨大なB-36が夜空の向こうに飛び去っていくのを見て感嘆する。

 

「あんな化け物みたいな機体がアメリカ本土じゃあ絶賛大量生産中だってさ。帝国の連中が可哀想になってきたよ」

 

「全くだ。俺達がレイフォルに到着する頃には、敵基地なんて無くなってるんじゃないか?」

 

そんな会話をする自衛隊員の表情には少しばかりの余裕が見られた。

 

 

出撃から30分で爆撃部隊はレイフォル国境を越えて南方より侵入に成功した。

普段の帝国軍なら此処まで来れば迎撃部隊が上がってくる頃だがレーダーが電子戦機で無力化されている事と、残っている航空戦力温存のため爆撃部隊は迎撃を受けずに目標に近付きつつあった。

 

『こちらボマー1、これより攻撃を開始する』

 

レイフォリア南方にある山脈を越えてレイフォリア上空に差し掛かると、編隊の一番先頭に居た1機のB-36が動き出した。

胴体下の爆弾倉が開き内部の回転式ドラムに吊るされた大量の航空爆弾が姿を表し、パイロット達は安全装置を解除する

 

『パーティの始まりだぜぇ‼︎』

 

攻撃開始の合図と共にB-36から爆弾が次々と投下され、ラルスフィルマイナに爆弾の雨が降り注いだ。

 

B-36のエンジン音を聞いたラルスフィルマイナ基地の防空部隊の当番兵が辺りを見回す。

南の空から聞こえてくる雷のような低い音に、当番兵は別の兵士に声を掛けて、対空機関砲に弾倉を装着し、旋回ハンドルを使い砲を南の方向に向けて旋回させる。

 

「うぉっっ!」 

 

その直後、基地内の対空陣地が次々と破壊されていき、機関砲と高射砲の残骸が飛び散っていく。

 

「敵襲!敵襲!」

 

彼等は直ぐに有線電話を使い、司令部に敵襲を知らせようとするが、爆音が大きく会話ができない。 

 

「………」 

 

やがて爆音が鳴り止む。あちこちから多数の火の手があがる。 

 

「南方向に超大型機を視認!」

 

誰かがそう叫び、南の空を見ると黒い巨大な影が基地上空に差し掛かっていた。

 

「なんだあれは……爆撃機なのかよ⁉︎」

 

「応戦だ!残っている対空砲は直ちに攻撃を開始せよ!サーチライト用意!」 

 

対空砲の目標指示のためサーチライトが点灯し、上空に差し掛かっていたB-36に向けられた。

 

『ボマー1、攻撃成功!』

 

『了解、よくやったぞ!とっととトンズラだ‼︎』

 

 

搭載していた爆弾を使い果たし、爆撃は終了した。

ラルスフィルマイナに投下された航空の総数は278発、流石にラルスフィルマイナ全体の無力化は出来なかったか、レイフォル方面軍の航空戦力喪失と基地の機能不全に陥れる事には成功した。これで地上部隊の作戦が実行しやすく、犠牲を少なく出来る筈である。

 

爆撃を終えたB-36はヒノマワリ王国へと引き返していった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

爆撃終了と同時刻、レイフォル沖からジェットエンジンの轟音が聞こえてきた。

空母エアーズロックから飛びたったF/A-18Fがハープーンミサイルを搭載し、攻撃態勢に入っていた。

 

『ターゲットインサイト、FOX-1、fire!』

 

10機のホーネットから放たれた40発のハープーンミサイルは、レイフォル港に向けて超低空飛行で飛翔を開始する。

爆撃で大混乱に陥るレイフォル方面軍は、連合軍の総攻撃に備えて戦闘態勢に入っており、レイフォル港に停泊していた第1艦隊の残存艦とレイフォル駐留艦隊の戦艦、空母、巡洋艦、駆逐艦は出港準備に入った。

 

「敵襲!」 

 

沖から迫ってくる40発のハープーンがレイフォル港に迫ってきた。艦隊は直ちに対空戦闘に入るが、音速に近い速度で迫るハープーンを迎撃できる訳もなく、駆逐艦と巡洋艦、空母に次々とハープーンが命中していき瞬く間に無力化されていく。

残されていたオリオン級戦艦やペガスス級空母もミサイル攻撃とは違う別の攻撃を受け、爆発炎上していく。

 

 

「初弾、命中!」

 

夜の海上を戦艦群の主砲がレイフォルに向け砲撃を行っていた。

ミサイル攻撃ではヘルクレス級とオリオン級の確実な無力化が難しい事から、沖合いからの艦砲射撃を行っていたのである。

 

 

「初弾、敵艦に全て命中!」

 

「次弾装填完了!」

 

「撃て!」

 

きいから伝達される修正指示により非常に正確で、レイフォル港に停泊していた戦艦にダメージを与えていき、僅か5回の斉射でいともたやすく無力化されてしまった。

 

砲撃終了後、デスデモーナ基地から進出していた第1独立装甲連隊は第35戦車師団、米第6装甲師団と合流、攻撃態勢に入り、その後方を日本陸軍第第12特科連隊所属の48式203mm榴弾砲、陸上自衛隊北部方面隊第1特科団所属のMLRSが攻撃準備を終えていた。

 

それらは全て南の方角に向けられている。

 

「攻撃開始!」

 

攻撃の火蓋を切ったのはMLRSだった。ランチャーから大量の噴射煙を吐き出しながらM26クラスター弾がレイフォルの南に展開している帝国軍の防衛陣地に向けて撃ち出された。

第1射目で放たれたM26の数はおよそ10発、独立装甲連隊の頭上を通り過ぎ、遥か先にある丘の上と裏側に設けられた帝国軍の防衛陣地上空に到達すると、弾体から644個×10の合計6440個の子爆弾が大雨の如く、降り注いだ。

 

「うぉっ!」

 

防衛陣地で起きた多数の子爆発が空気を震わせ、衝撃波が連隊が待機している場所までやって来た。

MLRSによるクラスター弾攻撃は続き、連射で放たれるM26は敵の頭上から次々と子爆弾をばら蒔き、射撃が終わる頃には1万を越える子爆弾が防衛陣地を粉砕していた。

 

「MLRS、攻撃終了!」

 

「続けて攻撃用意!撃て!」

 

MLRSに代わり、48式が砲撃を開始した。

203mmの砲弾はクラスター弾攻撃で致命的な被害を受けていた防衛陣地を更に大きくかき回し、あらゆる物を吹き飛ばし破壊していく。

 

「攻撃終了!」 

 

攻撃が終わると同時にヘリコプターによる戦果確認が行われる。

 

『こちらメタルホーク、敵防衛陣地は完全に沈黙。僅かながら敵車両と歩兵を確認』

 

「了解」

 

戦果確認で脅威となる物は無いと判断され、日帝米戦車部隊は行動を開始した。

 

「行くぞ!突撃!」

 

先鋒を勤める陸軍第1歩兵連隊、その後ろ86式戦車がエンジン音を唸らせながら続き、履帯の金属同士が擦れる音を響かせながら丘を昇りながら防衛陣地へ向けて突撃を開始した。

 

「お………」

 

丘を上り敵防衛陣地に突入すると、そこにはクラスター爆弾と榴弾によりクレーターが出来た地面と、ひっくり返ってしまっているシェイファーとハウンド、トラック等の車両やその残骸が散らばっており、人の姿は全く見られなかった。

  

「誰も居ないな」

 

「皆ぶっ飛んだんだよ」

 

「何だか拍子抜けだな」

 

居る筈の敵が居ない事に多少拍子抜けする部隊は、そのまま敵防御陣地の制圧を開始する。

 

「うぉっ⁉︎」

 

直後に2両の86式が砲撃を受け、同時に機銃掃射が加えられた。 

 

「右側方に対戦車砲視認!」

 

 「左からも敵歩兵多数視認!戦車も居るぞ!」

 

しかし、砲撃を運良く切り抜けた帝国軍部隊の生き残りが、丘の制圧を行っていた部隊に襲い掛かった。

 

『応戦だ!第1戦車小隊は対戦車砲に注意しつつ、敵戦車に対処!第2戦車小隊は第1戦車小隊を援護!第3戦車小隊は歩兵の援護に回れ!』

 

「歩兵各小隊は戦車を盾にしつつ応戦!」

 

 

応戦を開始した各国部隊は各々の指揮官からの命令を受けながら、敵撃退のため戦闘を繰り広げる。

しかし戦闘は連合軍側が圧倒的に有利であり、第三世代国産MBTたる86式を前にハウンドやシェイファー、対戦車砲は悉く吹き飛ばされた。

 

一時間にも及ぶ戦闘の末丘を占領した連隊はそのまま丘を駆け降り、レイフォルへ向けて進撃を続けた。

 

 

 

 


 

 

 

 

何の妨害も受けずレイフォルに突入した連隊は、帝国軍のラルスフィルマイナに向けて前進を開始した。

ラルスフィルマイナがある軍事エリアの真正面にある、民間人達が暮らす市街地の大通りを突き進む第1戦車大隊は周囲を警戒しながら進んでいく。

 

『周囲に敵影なし』

 

第1戦車大隊は市街地へ突入すると広い市街地を制圧するため3つの中隊に分かれた。市街地中央部制圧を担当する第1戦車大隊第1中隊は、後方から歩兵を乗せたM113を率いて警戒しながら大通りを進んでいく。

 

「静かだな」

 

そのまま何事もなく市街地を進んで行く。

 

「何っ⁉︎」

 

放棄された防護壁を乗り越えた先に居たのは、シェイファーともハウンドではなく、帝国軍の虎の子である第23重戦車大隊所属の新型戦車『ワイルダー』重戦車が砲を向けて待ち構えていた。 

 

「新手か!砲撃よう…」

 

だがそれより前にワイルダー2両が砲撃を行い、1発は正面装甲に当たるも無傷、2発目は逸れて周りの建物を破壊した。

 

「先手を取られるとはな!だが86式の敵じゃねぇんだよ‼︎」

 

直様反撃に出た86式は120mm滑腔砲でワイルダー二両を容易く血祭りにあげる。

 

「うっしゃあ‼︎見たかッ‼︎」

 

 

その頃、ラルスフィルマイナでは

 

「敵の進撃速度が速すぎる…状況はどうなってる⁉︎」

 

「現在、防衛線を構築していますが敵の進撃速度が速すぎて対処仕切れません‼︎」

 

ファンターレ「第23重戦車大隊は!」

 

「他の戦車部隊と共に市内の各防衛線に展開し、応戦しています。ですがワイルダー以上の性能らしく、突破されるのは時間の問題かと」

 

ファンターレは最早レイフォルが陥落するのは時間の問題だと悟る。

 

ファンターレ「そうか………このレイフォルを守る任を受けておりながら敵の進撃を許し、陥落の一歩手前まで追い込んでしまった不甲斐ない私のせいで多くの将兵を失ってしまった」

 

彼は此処まで事態を悪く持っていってしまった自分の指揮能力を責めていた。

 

ファンターレ「かくなるうえは………私も陣頭指揮に立ち、多くの敵兵を道連れにする事で皇帝陛下に最大のお詫びをとる覚悟。ザギ少佐!」

 

ザギ「はっ!」

 

ファンターレ「マキシムの用意は?」

 

ザギ「出来ております!」

 

ファンターレ「では直ぐに出撃だ!私が指揮を執る!」

 

ザギ「お供します!」

 

ファンターレはレイと共に司令室を立ち去ろうと入り口に向かおうとした時、ランボールに向けて話し掛けた。

 

ファンターレ「ランボール少佐」

 

ランボール「はい」

 

ファンターレ「君は今のうちに脱出しろ。此処から北へ真っ直ぐ走れば、海軍の潜水艦が待機している岬がある。それに乗って君は本土に戻り、この事を一言一句漏らす事なく、皇帝陛下に報告してくれ」

 

ランボール「司令ッ⁉︎私も残ります‼︎」

 

ファンターレ「ならん‼︎いいか少佐、この戦争はおそらくレイフォルの陥落と共に幕を閉じる。もしこれ以上戦火が拡大し本土に及ぶような事はあってはならん!」

 

ランボール「司令…」

 

ファンターレ「この戦争は我々の負けだ。だが負けて得られるものがある筈だ。君は本土に帰りその経験を活かしてより精強な帝国軍を育ててくれ」

 

そう言ってファンターレはランボールに機密文書に指定されている最終報告書を託した。

 

ファンターレ「この1年、私と共にレイフォル方面軍のため動いてくれた事に感謝する」

 

それだけ言うと彼は黙って司令部を出ていった。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

レイフォルに突入した連合軍地上部隊は、第1独立装甲連隊の活躍により、9割を手中に納めていた。

民間人達が生活している市街地一帯は英豪陸軍が抑え込み、敵は市街地から郊外にあるラルスフィルマイナへと後退している。

破竹の勢いでレイフォルに突入した連合軍は、帝国軍最後の砦であるラルスフィルマイナ陥落を目指し、進撃を開始した。

 

ザギ「司令、敵地上部隊は市街地一帯を占拠、こちらへ向かってきています」

 

ファンターレ「分かった、では最後の対戦と行くか。少佐、出してくれ」

 

「了解!」

 

地下格納庫に隠匿されていたレイフォル方面軍の最高戦力の一角である陸上戦艦マキシムは、航空機用水冷エンジンを改造した専用の1万7千馬力エンジンを唸らせる。

マキシムを乗せた専用エレベーターがゆっくりとせり上がりると、地上にある防護壁が開かれる。

そして、遂にマキシムは朝日の光に照らされ、その姿を表した。

 

ファンターレ「よし!基地正門へと向かうぞ!」

 

ザギ「了解!前進!」 

 

マフラーから黒い排気ガスを吐き出しながら、マキシムは非常にゆっくりとした速度で動き始めた。

 

 

一方で敵ワイルダー重戦車を全て退けた連合軍は遂にラルスフィルマイナの手前に辿り着いた。

 

「敵の本陣です‼︎」

 

「見えたな…ようやく終わるぞ」

 

しかしその直後、正面に見えるラルスフィルマイナの巨大な正門が開かれていく。

 

「何だ?」

 

何事かと各隊動きを止める。

扉が開かれると、その奥から巨大な鉄の塊が姿を表した。

 

「な、何なんだ⁉︎」

 

「戦車か⁉︎」 

 

「いや、戦車なのかアレ⁉︎」

 

姿を表した陸上戦艦マキシムは連合軍兵達の度肝を抜いた。

 

「応戦!撃て!」

 

戦車隊はマキシムに向けて砲撃するが、放たれた砲弾は全て弾かれてしまった。

 

「弾かれた………」

 

「120mm滑腔砲が効かない…⁉︎」

 

そんな彼らを嘲笑うかの如く、マキシムは門を出ると動きを止めて、車体前方の主砲塔を戦車隊に向けてきた。

 

「後退ッ‼︎後退ッ‼︎」

 

戦車隊は急いで後進し距離を取ろうとするが、マキシムの連装砲が火を吹きM60と七式をそれぞれ10輌近くを吹き飛ばした。

 

「な……なんて野郎だ……」

 

「Jesus!」

 

福田「我々では限界がある……仮に懐に飛び込んだとしても装甲は頑丈だろうし……」

 

86式の1輌にのっていた福田はある決断を下す。

 

福田「こちら福田!連隊は敵最終防衛ラインを突破するも敵の新型兵器の攻撃により被害甚大!至急航空支援を求む‼︎」

 

『こちら作戦本部、敵の詳細を報告せよ!』

 

福田「敵は超大型の戦車みたいだ!幅は10数m、高さ10メートルくらいはある!連装砲が付いていて、動きはノロい!今はラルスフィルマイナ基地の正門に張り付いてる!」

 

『了解した。そちらに航空隊を送る。貴隊は現状に留まり、逐一報告せよ!』

 

福田「了解!」

 

福田は無線を切るとマキシムの様子を伺う。

 

福田「急いでくれよ……俺達だっていつまで待つか分からねぇんだ!」

 

 

報告を受けたバルクルス基地からGBU-28を4発装備したF-3 2機がラルスフィルマイナへ向けて飛び立った。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

連合軍の前に姿を表したマキシムは基地へと向かってくる、ムー陸軍相手に猛威を奮っていた。

基地の正門に居座った状態で、280mmの砲塔による絶大な火力と圧倒的な防御力を遺憾なく発揮し、86式や七式からの攻撃を全く寄せ付けず、対戦車兵の対戦車ミサイルによる攻撃すらも決定的なダメージを与えられていない。

しかも、マキシムを盾にしてワイルダーやシェイファーの残存車両や歩兵部隊も攻勢を強め、ゴジラコマンドは基地へ近付けないでいる。

 

福田「クソ!これじゃ味方の損害が増えるだけじゃないか‼︎増援はまだなのかよ⁉︎」

 

福田達はF-3到着を今か今かと待ち続ける。

 

「隊長!アレを‼︎」

 

ハッチから顔を出していた操縦士が上空を指差した先にはF-3 2機が現れて頭上を旋回していた。

 

福田「来たか…!頼むぞぉぉぉ‼︎」

 

 

『ガンマ3、ターゲットを捕捉。これより攻撃に移る』

 

F-3は旋回してマキシムの正面に回り込んだ。

 

「レーザーでマークしろ‼︎」

 

20式小銃に付けられたレーザーサイトをマキシムに照射しGBU-28の投下を支援する。

 

『ドロップ now』

 

主翼下に取り付けられたGBU-28を投下する。

GBU-28はそのまま誘導に従って落下し、マキシムに命中する。

その数合計8発、いずれも全て命中。

 

マキシムは内部から抉られるような大爆発を起こし周りにいたワイルダーやシェイファーをも巻き込んだ。

 

福田「……どうだ……?」

 

爆炎が晴れるのを待っている将兵達。

そして煙が晴れた先にはスクラップと化したマキシムの成れの果てがそこにはあった。

 

「やった……やったぞ‼︎」

 

「目標沈黙!このまま基地へ突入を再開する!」

 

ゴジラコマンドはそのまま基地へ向けて前進を始め、門を突破する。

M113から続々と普通科連隊の隊員達や陸軍兵達が降りてくる。

 

「撃てぇぇ!撃てぇぇ!奴らを近づけるなぁぁ!」

 

基地警備隊は向かってくる連合軍部隊に対して弾薬が続く限り抵抗する。

 

「今更遅いんだよ‼︎諦めなッ‼︎」

 

将兵達も自動小銃や機関銃を撃ちまくって応戦。

やがて続々と増援がやってきた事により基地警備隊は戦意を喪失し、投降。

 

こうしてラルスフィルマイナ基地は陥落しムー大陸からグラバルカス帝国は駆逐されたのであった。

 

 

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