自由連合召喚   作:短号司令官

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新型機登場につき、後書きに解説有り。


征く途の彼方に蒼き人魚を見る

 

グラ・バルカス帝国対自由連合軍による『第一次異世界大戦』が終結してから凡そ一年が経ったあるとき、年明けと同時に夜が昼間のように明るくなるという現象が各国で観測された。

 

数日後、偵察衛星に衝撃的な写真が写っていた。

それはハワイから凡そ3000km南方に大量の島嶼群が現れたのだ。

 

各国首脳部は緊急会議をハワイで開き、対策を協議。

そんな中NASDAから得られた情報を精査していたトウキョウフーチよりさらなる追加情報が寄せられた。

 

その内容は発見された島嶼群の地形の一部が日本の内陸部の山地と一致するとのことだった。

 

さらなる混乱により対策に悩む首脳陣であったが、トルーマン*1大統領が艦隊派遣を進言したことにより、真珠湾に集結していた5カ国の内すぐに動けた日帝米豪の艦隊が島嶼群へ向けて出撃していくのだった。

 

 

 

海上自衛隊

 

超弩級護衛艦おわり

 

航空護衛艦ほうしょう、ずいかく、きりゅう

 

対潜護衛艦しらね、くらま

 

大型護衛艦きりしま、ちょうかい、あたご、はぐろ

 

汎用護衛艦たかなみ、おおなみ、はるな、しらぬい

 

フリゲート艦あがの、なとり

 

 

日本海軍

 

戦艦出雲、薩摩、播磨

 

空母青龍、海龍、雷鳳、電鳳

 

重巡伊吹、利根

 

軽巡矢矧、笠置

 

秋月型駆逐艦多数

 

 

 

アメリカ海軍

 

戦艦モンタナ、ルイジアナ

 

空母ミッドウェイ、フランクリン、コーラル・シー

 

大型重巡洋艦アラスカ、ハワイ、グアム

 

軽巡洋艦ウースター、ロアノーク、ヴァレーオ

 

F・シャーマン級駆逐艦多数

 

 

 

オーストラリア海軍

 

空母エアーズロック

 

ホバート級駆逐艦ホバート、シドニー、キャンベラ

 

ハンター級フリゲート*2ハンター、フリンダース、タスマン

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

猪口「やれやれ……なんで俺はこうも毎回厄介事に駆り出されるのかねぇ…?」

 

おわりの艦長である猪口は休憩中に艦内の自動販売機で買った緑と黒のエナジードリンクを啜りながら言う。

 

「首相陣と幕僚長直々とあっては断れないのは分かりますが、何故艦長と我々の乗るおわりにはこういう役回りが来るんですかね?」

 

猪口の一言に副長も同調するように言う。

 

猪口「まぁ引き受けた以上はしょうがない。我々は役目を果たすまでよ、連中が敵が味方かを見極める為にな」

 

「艦長。方位351、距離80の地点に不明艦を捕捉。数は1」

 

猪口「1か…艦種は分かるか?」

 

「反応から見て2000tクラス……40年代の駆逐艦クラスですね」

 

猪口「はぁ?駆逐艦クラスだって……?護衛艦とかそのくらいじゃないのか…?」

 

「いえ……間違いありません……」

 

思わず反応に困った猪口の気持ちを代弁するように副長が言った。

 

「駆逐艦クラスでこの大艦隊に向かってくるなんて……命知らずかただの馬鹿か…はたまたド素人なのか……」

 

猪口「何をどうこう言っても結果は変わらんよ。通信、ずいかくに言ってF-14を上げるよう頼んでくれ」

 

「了解」

 

「応戦用意は?」

 

猪口「んなもんする必要ねぇよ。この数の艦隊だ、相手が核でも持ってない限りは壊滅することなんてねぇさ。それに駆逐艦1隻にやられるようなおわりではない」

 

〈おわり〉のハルナンバーとシルエットの刻印がなされた紺色の識別帽を目深に被り直した猪口はいつものような鋭い目つきで再び目の前のディスプレイに目をやる。

 

すぐさま、角田光吉一佐の乗る護衛艦ずいかくよりF-14SJ 2機が発艦し報告のあった海域へと向かっていった。

 

 

 

 


 

 

 

 

「はあ…いくら何でも学生である私たちにこの任務を任せますか…?」

 

 航洋艦晴風副長の宗谷ましろがため息をつく。

 

「仕方ないよシロちゃん、海の安全が確保されないと私たちだって海洋実習できないんだから」

 

 晴風艦長の岬明乃がそう答える。

 

ましろ「とは言ってもこんな広い海でターゲットを探すなんて不可能ですよ!空からでも探さない限り!」

 

「水素やヘリウムを使わない空飛ぶ船って作れないんですかね」

 

記録員の納沙幸子がつぶやく。

 

ましろ「あんなもの空想の産物だ…馬鹿馬鹿しい」

 

彼女がそう返すと、どこか遠くから音が聞こえてきた。

 

幸子「ん?」

 

ましろ「なんの音でしょうか?」

 

艦内がざわつく。

 

「左舷方向の空から何か接近してきます!」

 

見張り員の野間マチコが艦橋に報告する。

 

明乃「空から?飛行船かなー?」

 

のんきなことを言いながら明乃が双眼鏡で報告された方角を見る。

 

明乃「え…?何あれ…?飛行船じゃない!!」

 

その言葉に艦内は大騒ぎになる。

 

ましろ「そんなわけ⁉︎飛行船以外で空を飛べるものがあるわけな…!」

 

ましろの言葉を遮るようにしてF-14SJが2機晴風上空を通過し、轟音が響く。

 

明乃「きゃあ!」

 

ましろ「何この音⁉︎」

 

マチコ「何!?宇宙人!?」

 

エンジンの爆音に思わず誰もが耳を塞いでいた。

 

幸子「やっぱり宇宙人だー!」

 

幸子がそう騒いでいるのを横目に明乃は晴風の周りを旋回しているF-14を双眼鏡で見ている。

 

幸子「いや、違う!人が乗ってる!」

 

ましろ「人が⁉︎じゃあ何⁈ブルマーの新装備⁉︎」

 

慧「でも、レーダーには何も映ってませんよ?」

 

電測員の宇田慧が艦橋に報告する。

 

ましろ「そんな…!やっぱりUFOなのか!?」

 

理解できない状況に、ましろが彼女らしくないことを言う。

 

明乃「シロちゃん落ち着いて!とりあえず無線で呼びかけてみよう!つぐちゃんお願い!」

 

鶫「了解です!こちら航洋艦晴風です。貴官の所属と目的を教えてください!」

 

電信員の八木鶫が無線で呼びかける。しかし、

 

鶫「応答ありません!」

 

応答はなかった。それもそのはず。晴風とF-14SJでは無線の周波数が違うのだ。

 

一方で上空を旋回するF-14SJは

 

『こちらクレイン2。一尉、あちらからの応答はありません』

 

「分かった」

 

僚機からの報告を受けた南雲涼介一尉は視線を晴風の方へと向ける。

 

南雲「しかし陽炎型とは驚いたな」

 

「しかし付近で航行してる帝国海軍の艦艇は志摩中将の艦隊にもいませんよ?ましてやあんな派手なストライプ…」

 

南雲「全くだ…」

 

しかしそれ以外にも彼は違和感を感じていた。

目の前の晴風は確かに船体や艦上構造物は陽炎型そのものだが主砲はアメリカ海軍でも使用されているMk.39 5インチ単装砲を装備し、レーダーは明らかに護衛艦や巡視船に準じたものを装備している。

艦番号も「Y469」と自衛隊や米海軍に準じている。

 

『クレイン1、クレイン2、現状を報告せよ』

 

しょうかくからの通信を受けて南雲が応じる。

 

南雲「こちらクレイン1。角田艦長、目標は陽炎型駆逐艦です。しかし船体には赤いストライプ、兵装は米海軍のものを、さらにレーダー系は恐らく我々のと同じレベルのものを使っています」

 

角田『ちょ……ちょっと待ってくれ……南雲一尉、陽炎型なのは分かるが兵装がアメリカ式でレーダーは我々と同レベルだと……?』

 

南雲「詳しくは戻ってから報告します。無線は通じなかったので臨検するか直接接触した方がよろしいかと…」

 

角田『分かった。おわりには私から言っておく、帰投してくれ』

 

南雲「ラジャ」

 

 

 

 


 

 

 

 

明乃「行っちゃった…」

 

明乃が双眼鏡を目から離し、そう呟く。

 

幸子「一体何だったんでしょうか?」

 

幸子が首を傾げる。

 

ましろ「とりあえずブルマー本隊に問い合わせてみよう!」

 

鶫「あの!ブルマーからです!航洋艦吹雪が多数の国籍不明艦隊がこの付近を航行するのを目視したそうです!現在吹雪は現場から離脱したため、代わりに晴風は偵察へ向かえ、援軍が到着するまでなるべく隠密に行動せよ、万一攻撃を受けた場合は武器の使用を許可する、とのことです!」

 

鶫がブルーマーメイドからの電文を報告する。

 

ましろ「国籍不明艦隊…艦長どうしますか?」

 

明乃「とりあえず相手のレーダーに捕捉されないよう視程外にいよう!艦隊はスキッパーで接近して観察しよう!」

 

ましろ「なるほど、スキッパーは誰が乗りますか?」

 

明乃「しろちゃん、お願いできる?」

 

ましろ「了解!」

 

 

 


 

 

 

猪口「なるほど……」

 

報告を受けた猪口は表情を崩さず目の前のディスプレイに映し出された晴風を見ていた。

 

「角田艦長からは、臨検もしくは直接乗組員に会ってみてはと…」

 

猪口「………至急、志摩司令とスプルーアンス中将を本艦にお呼びしろ」

 

「はッ」

 

連絡を受けた出雲、モンタナからそれぞれ志摩清英とレイモンド・スプルーアンスがシコルスキーS-61に乗り、おわりを訪れた。

 

 

 

 


 

 

 

 

ましろ「あれが国籍不明艦隊…」

 

 ましろはスキッパーに乗り、艦隊が見えるギリギリのところから観察していた。

 

ましろ「なんて大きい直教艦なの……大和型を余裕で越してる……」 

 

彼女が知る上で一番巨大な戦艦は大和型だと認識しているが、きい型やモンタナ、出雲型を知らない彼女からすれば当然の反応である。

 

ましろ「艦長、国籍不明艦隊はこちらに向かってきています。移動したほうが良いかと」

 

明乃『わかった!とーりかーじ!』

 

ましろからの連絡を受けた晴風は進路を変更した。

 

明乃『ここなら大丈夫だね!』

 

ましろ「あの…こちらに向かってきています⁉︎」

 

明乃『ええ⁉︎なんで⁈場所移動したばかりだよ‼︎』

 

 その後、何度移動しても晴風の方へ向かってきた。彼女達の世界のレーダーは水平線の向こうの目標は捕捉できない。逆に自衛隊、帝国海軍、米海軍、豪海軍のレーダーは無論水平線の向こうの目標も捕捉できる。

 

つまり晴風側は連合艦隊を捕捉しておらず、逆に連合艦隊は全艦晴風を丸裸にしている。

 

猪口「さっきから奴さんは何をチョロチョロ動いてんだ…?」

 

「なんていうか…まるで自分達がまだ発見されてないかのような動きですね」

 

猪口「副長、奴さんに通信を入れてくれ。内容は……まぁ何者かを問う旨でいい。あぁ後接触を求める事も内容に含めてくれ」

 

「分かりました」

 

副長が通信員の方に向かい、まもなく「おわり」から晴風へ向けて通信が送られた。

 

 

 

 


 

 

 

 

明乃「海上自衛隊……自由連合……?しろちゃん何か分かる?」

 

ましろ「いえ……どちらも聞いた事がありません…」

 

明乃がおわりから発せられた信号灯を見ながら首を傾げる

 

ましろ「それにしても変わった艦隊です。ホワイトドルフィンの新鋭艦にそっくりな艦がいるかと思えば、私達と同じ直教艦がいる…」

 

幸子「それに見たことない支援母艦がいるってことは飛行船を運用してることに…」

 

明乃「あれ?」 

 

ふと明乃は幸子の一言であることに気付く。

 

明乃「支援母艦………もしかしてさっきのすごい速い飛行船ってあの母艦のじゃ…!」

 

ましろ「そんなまさか!あんなもの人間が作れるわけありません!」

 

 ましろは明乃の発言を否定する。すっかり宇宙人の飛行船だと思ってしまっているようだ。

 

ましろ「とりあえず接触を求めてるみたいだね。行ってみよう」

 

鈴「ふぇええ!?大丈夫なんですか!?」

 

鈴が心配する。

 

明乃「きっと大丈夫。ココちゃん、メイちゃん、ついてきてくれる?」

 

幸子「はい!」

 

芽衣「もちろん!」

 

二人は元気よく返事をする。

 

明乃「シロちゃん、艦の指揮をお願い」

 

ましろ「わかりました…気を付けてくださいね?」

 

ましろが心配そうに明乃を見つめる。

 

明乃「大丈夫。行ってくるね!」

 

3人はスキッパーに乗って、おわりの元へと向かう。

 

芽衣「なんておっきい直教艦……」

 

幸子「これ…絶対大和型より大きいですよね……」

 

おわりの真横まで来たとき、3人は間近で見るおわりのその巨艦に圧倒されていた。

降ろされたタラップから登っておわりの甲板上に立った。

 

芽衣「でっけ〜‼︎これ明らかに大和型の46cm砲よりデカいぞ‼︎まさか幻の51cm砲か⁉︎」

 

トリガーハッピーな彼女は生まれて初めてみる51cm砲を前に目を輝かせていた。

 

目新しいものに目を奪われつつ、3人は会議室へと案内された。

中に入ると艦長の猪口俊介、志摩清英中将、スプルーアンス中将が椅子から立ち上がって敬礼をした。

3人は一瞬軍人としての目を持つ彼らを前に怖気付くも気をしっかり持って応礼した

 

明乃「横須賀海洋女子学校航洋直接教育艦「晴風」艦長の岬明乃です…!」

 

幸子「お…同じく主計科の納沙 幸子です!」

 

芽衣「水雷科に所属の西崎芽衣です!」

 

猪口「ようこそ、我がおわりへ。私は本艦の艦長、猪口俊介だ」

 

志摩「帝国海軍第三機動艦隊司令の志摩清英だ」

 

スプルーアンス「合衆国海軍、第八任務機動艦隊司令のレイモンド・スプルーアンスだ。よろしく、可愛い船乗りさん達」

 

自己紹介を終えてそれぞれ席に着いた。

 

猪口「さてと…岬君だったね。まず私から質問をいいかね?」

 

明乃「はい、どうぞ」

 

猪口「我々が知る限りだと、女性が…しかも女学生だけが艦船を動かしているというのはあり得ない事だ」

 

志摩「それに横須賀海洋女子学校……そのような学校は聞いた事もない」

 

スプルーアンス「すまないが、君達の事を教えてくれないかね?無論我々も君達に我々の事を話すつもりだ」

 

幸子「えぇ………?てことは…ブルーマーメイドもホワイトドルフィンも知らないんですか……」

 

猪口「知らんな」

 

芽衣「おいおい艦長……これなんだか凄い事になってないか……?」

 

明乃「うん……」

 

 

 


 

 

 

それから明乃達3人は自分達の事について話し、猪口らも反対に話せる事実は全て話した。

 

芽衣「えっとぉ……つまり……欧州動乱から世界規模の戦争に移った世界から来たのが…猪口艦長の日本」

 

猪口「そうだ」

 

幸子「そして、第二の欧州動乱の直前の世界から来たのが…」

 

スプルーアンス「私と志摩中将の住む日本帝国とアメリカだ」

 

明乃「あぅ……凄すぎて頭の整理が……」

 

猪口「まぁ無理に理解しようとしなくていい、時間をかけてゆっくりと理解すればいい。だがそれにしても……」

 

志摩「坂本龍馬が近江屋事件で暗殺されずに日本が発展した世界……」

 

スプルーアンス「だが国土が水没していたり、航空機が存在しないとは随分とまた変わった世界から来たものだな……」

 

お互いの世界についてある程度理解ができた両者達。

しかしそこへ思わぬ来客が訪れた。

 

『艦長、付近にて客船が不審船から攻撃を受けているとの旨の通信を傍受しました』

 

猪口「敵数は?」

 

『8隻以上は確実です』

 

明乃「まさか…海賊⁉︎」

 

明乃達の世界において軍事組織の台頭が起きなかった代わりに、海賊が史実以上に軍事力を高めた為に戦闘力は高い。

民間船や輸送船を狙うのは日常茶飯事、それを止めるのがブルマーだと猪口らは説明を受けていた。

 

猪口「なるほど…どれくらいで現地には到着する?」

 

幸子「へ?」

 

『全艦最大速力で行けば10分はかからないかと』

 

猪口「結構。志摩司令、スプルーアンス司令」

 

志摩「分かっておるよ」

 

スプルーアンス「襲われている彼らを見過ごすとあっては海軍軍人の名折れだ」

 

そう言って両者はその場を、おわりを後にそれぞれモンタナ、出雲へと足早に帰還して行った。

 

猪口「さて…我々も出掛けるとするか」

 

そう言いながら猪口は識別帽を被り直す。

 

明乃「出掛ける……?」

 

猪口「決まってるだろう。海賊退治さ」

 

 

 

 


 

 

 

 

CICからの報告を受けたおわりは直ちにたかなみ、おおなみ、しらね、晴風を引き連れて現場へと急行した。

 

現場には攻撃を受けて炎上する客船とそれを包囲するようにフリゲート艦や駆逐艦が砲撃を加えていた。

 

幸子「酷い…」

 

「無抵抗の客船を……」

 

副長の言葉を代弁するかのように猪口は鋭い目つきでCIC内のモニターを睨みつけていた。

 

猪口「全艦対水上戦用意」

 

「対水上戦用意ッ‼︎」

 

アラームが鳴り響いてから僅か3分弱で戦闘配置完了の報告を猪口は受けた。

 

「煮るなり焼くなり方法は色々ありますが……艦長?」

 

猪口「奴らにはお灸を据えなくてはな…ロケット推進誘導砲弾を使え」

 

「了解、主砲砲戦用意ッ‼︎」

 

芽衣「おぉ!撃つのか⁉︎」

 

芽衣のはしゃぐ姿を見た猪口は明乃に質問をした。

 

猪口「岬君、君達のところには51cm砲を搭載した艦船はいるかね?」

 

明乃「いえ…対抗する艦船や国が無かったので51cm砲は計画だけで終わりました」

 

猪口「そうか…それは結構、では君達に見せてやろう世界最大級の砲戦火力を」

 

「射撃開始。繰り返す、射撃開始」

 

無数の号令がCIC内を飛び交う中、3人はある一点のモニターに映し出されたそれを眺めていた。

それは前甲板全体が映るように装着された定点カメラからの映像であり、被弾時の損傷具合を確認するのが目的のその映像には、あの極大な主砲塔が2基、背負い込み式で設置されているのが旋回している様子が映し出されていたのだ。

若干仰角を上げて51cm砲6門固定された。

 

猪口「撃ち方、始めぇ‼︎」

 

猪口が叫び終わる前に、前甲板で発生する巨大な火炎と轟音、そして黒煙が、映し出される映像と振動、そして防音されても尚聴こえる砲声によってCIC内の人間にも衝撃を伝えた。

 

明乃「わぁッ⁉︎」

 

幸子「す…凄い振動……!」

 

芽衣「こ……これが51cm砲‼︎」

 

それぞれ驚きを隠せないでいる3人を見て猪口は一瞬頬を緩ませるが、直ぐに気持ちを切り替えてモニターに目をやる。

 

おわりの前部2基の主砲は初手から全門斉射を敢行した。

本来なら交互射撃かSH-60、ハリアーⅡによる弾着観測が必要なのだが猪口は「ロケット推進誘導砲弾」正式名称は[26式噴進誘導砲弾]を主砲から発射した。

 

この砲弾は発射から凡そ3〜5秒後に弾底に組み込まれたロケットモータにより推力を付加して、射程を延伸する。

またGPSとの連動により飛翔中であっても母艦から弾道を変える、もしくは自らの判断で変更する事ができるのだ

内部の推進剤の容量にもよるが、これにより従来の射程から倍の距離にまで届くようになった。

 

ともかく発射された26式6発は弾道修正をしつつ、海賊船3隻に命中。

漏れなく全艦を轟沈せしめた。

 

「誘導砲弾、全弾命中」

 

芽衣「ぜ…全弾命中⁉︎それも初手から……⁈」

 

GPSや誘導弾の概念が存在しない彼女達からすれば今の行動はほぼ神業に等しい所業だ。

 

幸子「す……凄い…」

 

3人が驚嘆している最中、おわりに気づいた海賊達は反撃に出た。

駆逐艦とフリゲート艦から噴進魚雷が発射された。

 

「敵船から飛翔体発射。ミサイルと思われます」

 

猪口「飛翔体……この世界だと噴進魚雷……アスロック紛いか」

 

明乃達から聞いた情報を冷静に整理した猪口。

 

幸子「あれは噴進魚雷だからほぼ100%よけられないですよ!」

 

芽衣「もうダメだあ!」

 

冷静な猪口を他所に芽依と幸子が騒ぐ。

 

明乃「噴進魚雷は誘導魚雷だから回避は……!」

 

彼女も珍しくネガティブになるがそれはそうだろう。回避が困難な魚雷が飛んできているのだから。彼女達にとっては……

 

猪口「発射弾数は?」

 

「10発です。結構な数を撃ってきました」

 

猪口「SM-2で迎撃。半数はメーサーで対処だ」

 

「了解」

 

直ぐにおわり前部甲板のMk.41VLSから5発のSM-2が敵の噴進魚雷の半数を迎撃。残り5発は左舷甲板上、90式35mm近接防御システムに代わって装備された[27式光線迎撃システム]から発射されたメーサー光線によって木っ端微塵に吹き飛ばされた。

 

明乃「………」

 

幸子「……え……今何が…?」

 

芽衣「噴進魚雷を噴進魚雷で破壊して……なんか光線が残りを堕とした…?」

 

自分達の理解が及ばない状況の連続に明乃は言葉を失っていた。

 

猪口「すまんが、アレ達を君らに説明するのはかなりの時間が必要になるから今は忘れてくれていい」

 

一方で噴進魚雷が迎撃されたと知った海賊達はおわりに恐れを成してその場から逃走を図ろうとするが、その思惑は無惨にも打ち砕かれた。

 

突然一隻が爆沈したかと思うと続け様に2隻、3隻と爆発と同時に沈められていき、ついに海賊達は敵の正体を知る事なく海底に没して行った。

 

明乃「今度は何が…⁈」

 

それ聞いた猪口が応えるように別のモニターを見るように促す。

モニターにはアメリカ海軍所属のA-5 ヴィジランティと日本海軍所属の軽攻撃機 天神が海域上空を飛行していた。

 

猪口「岬君、よく見て起きたまえ。これが我々の戦い方だ」

 

「しらねに通信。漂流者の救助を急げ」

 

「既にしらねからヘリ数機が発艦。敵味方問わず救助を行っています」

 

猪口「ご苦労」

 

そう言って猪口は今一度モニターに目を向けた。

 

自分達の知識や常識が追いつかない事に明乃は言葉を失っていた。

 

*1
ルーズベルト氏は勇退

*2
もがみ型ベース





艦上軽戦闘攻撃機 天神
外観: SEPECAT ジャギュア

スペック
乗員:1名(複座型は2名)
全長:16.83m
全高:4.89m
翼幅:8.69m
最高速度:M2.0

兵装
固定武装:M61A1バルカン砲×1

ミサイル
AIM-9 サイドワインダー×2(翼端部)
AIM-7 スパロー×4(翼下ハードポイント)
ハープーン×2

概要
続々と開発されるジェット戦闘機に対する練習機を欲していたイギリスと月光に代わる新たな攻撃戦闘機を求めていた日本帝国が共同で開発した艦載機。月光に代わる機体として設計・開発が進められた為、格闘性能や後続距離をも本機が上回っている。
またイギリス側が高等練習機として採用していた為、日本帝国でも新たに創設された日本空軍の練習機として配備が進められている。
最近ではアメリカ空軍も練習機としての本機に関心を寄せている。
単座型と複座型が有り、後者が主に練習機として使用されている。

一方で紅茶キメまくりと言うべきか、イギリスでは主翼上面にAAM ランチャー二基ずつ装備するというトンデモ仕様が存在する模様。
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