調査開始
自由連合は転移以来なかなか手の付けられなかった課題である「北方地域への調査」として艦隊及び陸上部隊の派遣を公表。
表向きは単なる調査であったが、その真の目的はファルマート大陸に存在する正体不明の駐屯地に対する調査であった。
決定から凡そ2週間後、真珠湾海軍基地より調査軍が出撃していった。
日本国からは二個任務機動群
日本帝国からは第一機動艦隊
合衆国からは第5艦隊
イギリスからは太平洋艦隊
オーストラリアも第二艦隊が出撃。
陸上戦力は機甲戦力に注力しつつあり、その証拠に日本からは第七師団と独立装甲連隊を派遣するレベルである。
理由としてはファルマート大陸がフィルフィアデス大陸の北西、グラメウス大陸の真横に位置しておりグラメウス大陸から魔獣が移り住んでいる可能性が捨てきれず、ノスグーラのような怪物が出てきても有無を言わせず殲滅する為でもある。
派遣された艦隊はフィルフィアデス大陸を大きく迂回し、目標のファルマート大陸へと到達。
現地に到着すると適当な港町に接近し接触を試みる。
ところがここで一つ問題が起きた。
現地民と言語が通じないのだ。
かろうじてトーパ王国から来ていたエルフに通訳をしてもらい現地を掌握していた「エルベ藩王国」と接触する事に成功する。
ただ一つ気になったのは相手がやたらと自衛隊に対して頭が低く「採掘権」やらなんやらと言い、すんなりと調査軍に国内通過や土地の一部貸出を承諾した。
流石に訝しんだ調査軍は詳しく話を聞いた。
それによるとこちらの大陸に居る自衛隊員の一人が「炎龍」と呼ばれるドラゴンの親玉を倒した事で彼らに畏怖の念を抱いてる事が原因だと判明した。
利用できるなら利用してやろうと考えた調査軍は王国に対して自分達の事を秘密にさせ、借り受けた土地の一部を港湾施設へと大改造を行い1ヶ月も経たずに基地を完成させた。
港湾基地の完成から1週間後。
重低音を響かせながら戦車群出撃の準備を整えており、命令を今か今かと待っていた。
「出発ッ‼︎」
先頭の86式から合図の信号弾が上がると乗員達はそれぞれ装甲車輌に乗り、ハッチを閉める。
ディーゼルエンジンを快調に吹かしながら部隊は出撃していく。
その数は戦車2500輌以上、兵員輸送車1500以上、装甲車凡そ1300、輸送トラック3000以上、その他車輌2700、総兵員数22万人の大兵力が港湾基地より出発、目指すは「アルヌス」へと向けて進軍を開始。
部隊は第1独立装甲連隊を先頭に、帝国陸軍、豪陸軍、英陸軍、米陸軍、第七師団の順で深夜の中を進んでいく。
「閣下、一体アルヌスには何があると思いますか…?」
移動中の軽装甲車の中で陸軍参謀の高石正が上官の栗林中将に話しかける。
栗林「さぁな…今までの経験でいけば、おそらくまた別の世界の自衛隊が居ると考えるべきだろう」
高石「そうでしょうが……」
栗林「……どうしたというのだ?」
言葉に詰まる高石を見た栗林が問いかけた。
高石「はい……なんというか、言い知れない不安と言いますか……なんだか厄介事に首を突っ込みに行こうとしているような気がして……」
それを聞いた栗林も納得するかのようにモヤモヤとしたものが胸中に浮かんだ。
ただそれをどうこうできるわけではない為、彼は黙って軍刀を床に突き立て視線を窓の外へと向けた。